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第三章 初仕事は蒼へと向かって
友との別れ
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「何言ってんだよカオル!これはお前らに対する報酬だぞ!俺の事なんか気にすんなよ!」
「僕、テクトさんが頑張ってるの知ってますから。だから、もう報われてもいいと思うんです」
三年もアルドゴート商会で下働きを続け、ダリウスから尊厳を踏み躙られようともテクトは今の状況から逃げ出そうとしなかった。高価な商品を無くしてしまったという後ろめたさもあったのかもしれないが、それならばもう十分に罰は受けたはずだ。
これ以上、テクトが苦しむ必要は無い。薫はそう考えたのだった。
「お願いします。テクトさんも、もう十分反省していると思うんです。もしもお金が必要なら、僕が頂いた分はお返しします。ですから……」
「待て待て。勝手に話を進めるな。その件については私も知るところではあるが、何故傭兵が口を挟む?お前に何か得があるわけでもないだろう?」
「テクトさんは、僕にとって初めての友達だから……それだけです」
「カオル、お前……」
テクトはどう思っているのかはわからないが、少なくとも薫はそう思っている。この異世界で出来た、初めての同世代の友人。今この時、彼のために頭を下げることに何一つ躊躇いは無かった。
深々と頭を下げる薫を前に、ブラマスは片眼鏡の奥の瞳に戸惑いの色を滲ませながら溜息をついた。
「…友人か。私は硬貨に換算出来ないものは信用しないようにしているのだが……いや、正しくは信用出来なくなったと言うべきか」
「えっ……?」
「いや、こちらの話だ。いいだろう、身内の恥を晒さぬよう、後ほど始末をつけるつもりだったのだが……ダリウス」
「へ、へいっ!」
ブラマスから唐突に名前を呼ばれ、ダリウスは硬直したかのように直立する。
「この傭兵が言っていることは、お前が以前報告のあった商品を紛失した件だな。おい、テクト。それはどのようなものだった?」
「は、はぁ……工業都市の名のある職人が作ったっていう、金細工の腕輪ですよ。宝石とかいろいろついたヤツで、海の向こうの貴族様の注文品だったとか……」
「ああ、そうだ。金はともかく、代替品を探すのは私も随分と骨を折った。間違い無いな、ダリウス?」
「へ、へい、確かに。そんな代物をコイツが無くしちまったもんで、俺があちこちに詫びを入れて……」
「その腕輪だが、見つかったぞ」
「え、ええっ!?」
驚くテクトの前で、ブラマスは懐から取り出した腕輪を見せる。細かな装飾と惜しげもなく宝石を散りばめたもので芸術性はともかく金額は相当なものだろうと薫にも察することが出来た。
「そ、そいつを一体何処で!?商会の倉庫を全部ひっくり返しても見つからなかったのに……!」
「それはそうだろう。何せこれは……闇市に流れていたのだからな」
「闇市……?」
「商人ギルドに通さないで品物を取引するところだよ。僕も直接は行った事ないけど」
都市から離れた村や集落では限られたことではないが、行商人が街や都市に商品を持ち込んだ場合、一度全て商人ギルドが買い取ることになっている。商人ギルドが一括して商品を管理し、適正な価格を定めて商人達にそれらを仕入れさせることで円滑な流通を図っているのだ。
闇市とはその根幹を揺るがすものであり、流通する品物のほとんどは無法者達が持ち込んだ盗品である。中には流通ルートに乗せることの出来ない禁制品が出回ることもあり、過去には依存性の高い麻薬が蔓延した結果、都市一つが崩壊したという出来事もあった。
テクトが紛失した商品が闇市で発見されたということは、何者かによって積荷から持ち出され、闇市に流れたということだろう。この大陸一帯の都市や街に構える店のほとんどはアルドゴート商会の管理下にある。商会から盗んだ品物を秘密裏に処分するには闇市に持ち込むしかなかったはずだ。
「闇市に持ち込んだ者を調べ上げるのに随分と時間が掛かってしまったが、つい先日品を買い取った男を絞り上げてようやく判明した。その口から誰の名が出たと思う……なぁ、ダリウス?」
「ええっ!?」
ブラマスの言葉によって一切に全員の視線がダリウスへと集中する。複数の眼差しから刺し貫かれる結果となったダリウスは尋常でないほどの脂汗を流し、限界まで見開かれた瞳は動揺の色に満ちていた。
「ち、違う!そりゃ何かの間違いだ!俺は何も知らねぇ!俺を貶めようとする誰かの陰謀だ!」
「持ち込んだ者は商会のバッジをつけていた牛人だそうでな、その男も随分と印象に残っていたそうだ。アルドゴート商会では一定以上の役職にある者にしかバッジは支給していない。我が商会で該当する者はお前だ……ダリウス」
「ちょ、ちょっと待ってくれよブラマスさん!俺は本当に何も……っ、や、やめろ!俺に触るんじゃねぇ!」
いつの間にかダリウスの隣に移動していた狼人と虎人が彼の両腕をホールド。丸太のような腕でガッチリと固定されてしまい、もはやダリウスにそれを抜け出す術は残されていなかった。
ブラマスはそんなダリウスへと歩み寄ったかと思えば、テクトの嫌疑を晴らす証拠となったダリウスの胸元に輝くバッジを無造作に取り上げた。
「信用の証であるこれを、もはやお前が身に付ける資格は無い。言い訳ならば後で好きなだけ聞いてやる。お前にその無駄口を叩く余裕があるのか見せてもらおうではないか。商会への背信行為に対する罰は、お前も知っているはずだが……」
「ひ、ひぃいいっ!それだけはっ!あそこだけは嫌だァッ!ま、待て!待ってくれぇ!嫌だぁああああッ!!」
まるで聞き分けのない子供のように喚き散らしながら、ダリウスは何処かへと連行されていく。あの彼をああまで怯えさせるとは、商会への背信行為に対する罰とは一体どれほどのものなのか。
テクトを貶めた人物は判明したわけだが、直接文句を言う権利があるはずのテクト本人も絶句するほどダリウスの怯え様は壮絶であった。
「おい」
「えっ……あ、は、はいっ!」
ブラマスによって唐突に呼ばれた薫は完全に不意を突かれ、彼へと振り返りながら裏返ったような声を上げた。
「これでお前の望みは果たされたな?私はこれから後始末をしなければならんのでな、これで失礼する。それと……テクト」
「お、おうっ!」
「指示役の枠が一つ空いた。お前が担当しろ」
「は、はぁ?ちょ、何言って……お、おっと!」
ブラマスから投げ渡されたバッジをテクトは慌てて受け止める。驚いた表情を向けた時には、既にブラマスは背を向けて歩き出していた。
「ちょ、ちょっと、ブラマスさん!」
「お前の勤勉な働きは聞き及んでいる……が、その体格では荷運びには不向きだ。適材適所が私の信条なのでな。これからも業務に励め」
「は……は、はいっ!」
群衆に紛れてブラマスの姿は見えなくなったが、彼から渡された信用の証はテクトの手の中に残っている。ブラマスの性格を考えれば、商会がダリウスの不正を見抜けなかったことに対するお詫びというわけではない。働きを評価し、適任だと思ったからこそ、テクトを新たに任命したのだろう。
「何だかいろいろありましたけど……良かったですね、テクトさーーーうわっ!?」
「ありがとな、カオルッ!」
いきなり薫へと抱き付くテクト。俊敏な兎の亜人らしい、もはやタックルにも近い彼の抱擁を薫はなんとか抱き止めた。
「本当に助かった!お前が言ってくれなきゃ俺……!」
「ぼ、僕は何もしてないですよ。テクトさんの日頃の行いが良かっただけですって」
あの様子では、薫が言い出さなくとも遅かれ早かれダリウスは処罰されていただろう。薫の進言でそれが早まったに過ぎない。
「そんなことねぇよ。こうして俺がここに立っていられんのも、全部お前のおかげだ。お前には本当に世話になっちまったな」
「そうそう、カオルは本当によく頑張ったよ。初仕事にしては上出来過ぎるくらい。ねっ、ヴァルツさん」
「…………」
「あ、あはは……」
惜しまない賞賛に苦笑いを浮かべながらも満更ではない様子の薫。一時はどうなることかと思われた出来事もあったが、ブレイドボアやロックゴーレムといった大物相手に立ち回った経験は薫にとって大きな財産となったことだろう。
「ところで、お前らはこれからどうするんだ?」
「こっちで少し休んでから、昼にカーシェル行きの馬車に乗る予定だよ。テクト君は?」
「俺は積荷を商会に運び込んだ後、船に積み込んで次の積荷を載せた船が来るまで待機だ。それからは、また別の街に商品を運ぶ。だから、お前らとはここでお別れだな」
「そう、ですか……」
仕事の終わりは、即ち依頼人達との別れを意味する。運び人としてあちこちを渡り歩くテクトとはしばらく顔を合わせることも出来なくなる。早くも訪れたテクトとの別れに、薫は寂しげな表情を浮かべた。
「そんな顔すんなって。今生の別れになるわけじゃねぇんだ。また一緒に仕事をする時もあるだろ」
「そうだよ、カオル。アルドゴート商会からの依頼は結構あるから、またきっと会えるよ」
「カーシェルに戻ったら、お前らの所に顔出すからよ。その時は俺が旨いもの食わせてやるからな」
「…ありがとうございます、テクトさん。楽しみにしてますね」
差し出されたテクトのフワフワの手を握る薫。目頭が熱くなり、涙腺から溢れ落ちそうになる涙を堪え、ぎこちない笑みを浮かべる薫に、テクトは満面の笑みでそれに応える。
「またな、カオル。次に会う時までに死ぬんじゃねぇぞ」
「テクトさんも、身体に気を付けて」
こうして薫の初仕事は、数々の苦難と羞恥、友との別れを超えて達成されたのであった。
「僕、テクトさんが頑張ってるの知ってますから。だから、もう報われてもいいと思うんです」
三年もアルドゴート商会で下働きを続け、ダリウスから尊厳を踏み躙られようともテクトは今の状況から逃げ出そうとしなかった。高価な商品を無くしてしまったという後ろめたさもあったのかもしれないが、それならばもう十分に罰は受けたはずだ。
これ以上、テクトが苦しむ必要は無い。薫はそう考えたのだった。
「お願いします。テクトさんも、もう十分反省していると思うんです。もしもお金が必要なら、僕が頂いた分はお返しします。ですから……」
「待て待て。勝手に話を進めるな。その件については私も知るところではあるが、何故傭兵が口を挟む?お前に何か得があるわけでもないだろう?」
「テクトさんは、僕にとって初めての友達だから……それだけです」
「カオル、お前……」
テクトはどう思っているのかはわからないが、少なくとも薫はそう思っている。この異世界で出来た、初めての同世代の友人。今この時、彼のために頭を下げることに何一つ躊躇いは無かった。
深々と頭を下げる薫を前に、ブラマスは片眼鏡の奥の瞳に戸惑いの色を滲ませながら溜息をついた。
「…友人か。私は硬貨に換算出来ないものは信用しないようにしているのだが……いや、正しくは信用出来なくなったと言うべきか」
「えっ……?」
「いや、こちらの話だ。いいだろう、身内の恥を晒さぬよう、後ほど始末をつけるつもりだったのだが……ダリウス」
「へ、へいっ!」
ブラマスから唐突に名前を呼ばれ、ダリウスは硬直したかのように直立する。
「この傭兵が言っていることは、お前が以前報告のあった商品を紛失した件だな。おい、テクト。それはどのようなものだった?」
「は、はぁ……工業都市の名のある職人が作ったっていう、金細工の腕輪ですよ。宝石とかいろいろついたヤツで、海の向こうの貴族様の注文品だったとか……」
「ああ、そうだ。金はともかく、代替品を探すのは私も随分と骨を折った。間違い無いな、ダリウス?」
「へ、へい、確かに。そんな代物をコイツが無くしちまったもんで、俺があちこちに詫びを入れて……」
「その腕輪だが、見つかったぞ」
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「それはそうだろう。何せこれは……闇市に流れていたのだからな」
「闇市……?」
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都市から離れた村や集落では限られたことではないが、行商人が街や都市に商品を持ち込んだ場合、一度全て商人ギルドが買い取ることになっている。商人ギルドが一括して商品を管理し、適正な価格を定めて商人達にそれらを仕入れさせることで円滑な流通を図っているのだ。
闇市とはその根幹を揺るがすものであり、流通する品物のほとんどは無法者達が持ち込んだ盗品である。中には流通ルートに乗せることの出来ない禁制品が出回ることもあり、過去には依存性の高い麻薬が蔓延した結果、都市一つが崩壊したという出来事もあった。
テクトが紛失した商品が闇市で発見されたということは、何者かによって積荷から持ち出され、闇市に流れたということだろう。この大陸一帯の都市や街に構える店のほとんどはアルドゴート商会の管理下にある。商会から盗んだ品物を秘密裏に処分するには闇市に持ち込むしかなかったはずだ。
「闇市に持ち込んだ者を調べ上げるのに随分と時間が掛かってしまったが、つい先日品を買い取った男を絞り上げてようやく判明した。その口から誰の名が出たと思う……なぁ、ダリウス?」
「ええっ!?」
ブラマスの言葉によって一切に全員の視線がダリウスへと集中する。複数の眼差しから刺し貫かれる結果となったダリウスは尋常でないほどの脂汗を流し、限界まで見開かれた瞳は動揺の色に満ちていた。
「ち、違う!そりゃ何かの間違いだ!俺は何も知らねぇ!俺を貶めようとする誰かの陰謀だ!」
「持ち込んだ者は商会のバッジをつけていた牛人だそうでな、その男も随分と印象に残っていたそうだ。アルドゴート商会では一定以上の役職にある者にしかバッジは支給していない。我が商会で該当する者はお前だ……ダリウス」
「ちょ、ちょっと待ってくれよブラマスさん!俺は本当に何も……っ、や、やめろ!俺に触るんじゃねぇ!」
いつの間にかダリウスの隣に移動していた狼人と虎人が彼の両腕をホールド。丸太のような腕でガッチリと固定されてしまい、もはやダリウスにそれを抜け出す術は残されていなかった。
ブラマスはそんなダリウスへと歩み寄ったかと思えば、テクトの嫌疑を晴らす証拠となったダリウスの胸元に輝くバッジを無造作に取り上げた。
「信用の証であるこれを、もはやお前が身に付ける資格は無い。言い訳ならば後で好きなだけ聞いてやる。お前にその無駄口を叩く余裕があるのか見せてもらおうではないか。商会への背信行為に対する罰は、お前も知っているはずだが……」
「ひ、ひぃいいっ!それだけはっ!あそこだけは嫌だァッ!ま、待て!待ってくれぇ!嫌だぁああああッ!!」
まるで聞き分けのない子供のように喚き散らしながら、ダリウスは何処かへと連行されていく。あの彼をああまで怯えさせるとは、商会への背信行為に対する罰とは一体どれほどのものなのか。
テクトを貶めた人物は判明したわけだが、直接文句を言う権利があるはずのテクト本人も絶句するほどダリウスの怯え様は壮絶であった。
「おい」
「えっ……あ、は、はいっ!」
ブラマスによって唐突に呼ばれた薫は完全に不意を突かれ、彼へと振り返りながら裏返ったような声を上げた。
「これでお前の望みは果たされたな?私はこれから後始末をしなければならんのでな、これで失礼する。それと……テクト」
「お、おうっ!」
「指示役の枠が一つ空いた。お前が担当しろ」
「は、はぁ?ちょ、何言って……お、おっと!」
ブラマスから投げ渡されたバッジをテクトは慌てて受け止める。驚いた表情を向けた時には、既にブラマスは背を向けて歩き出していた。
「ちょ、ちょっと、ブラマスさん!」
「お前の勤勉な働きは聞き及んでいる……が、その体格では荷運びには不向きだ。適材適所が私の信条なのでな。これからも業務に励め」
「は……は、はいっ!」
群衆に紛れてブラマスの姿は見えなくなったが、彼から渡された信用の証はテクトの手の中に残っている。ブラマスの性格を考えれば、商会がダリウスの不正を見抜けなかったことに対するお詫びというわけではない。働きを評価し、適任だと思ったからこそ、テクトを新たに任命したのだろう。
「何だかいろいろありましたけど……良かったですね、テクトさーーーうわっ!?」
「ありがとな、カオルッ!」
いきなり薫へと抱き付くテクト。俊敏な兎の亜人らしい、もはやタックルにも近い彼の抱擁を薫はなんとか抱き止めた。
「本当に助かった!お前が言ってくれなきゃ俺……!」
「ぼ、僕は何もしてないですよ。テクトさんの日頃の行いが良かっただけですって」
あの様子では、薫が言い出さなくとも遅かれ早かれダリウスは処罰されていただろう。薫の進言でそれが早まったに過ぎない。
「そんなことねぇよ。こうして俺がここに立っていられんのも、全部お前のおかげだ。お前には本当に世話になっちまったな」
「そうそう、カオルは本当によく頑張ったよ。初仕事にしては上出来過ぎるくらい。ねっ、ヴァルツさん」
「…………」
「あ、あはは……」
惜しまない賞賛に苦笑いを浮かべながらも満更ではない様子の薫。一時はどうなることかと思われた出来事もあったが、ブレイドボアやロックゴーレムといった大物相手に立ち回った経験は薫にとって大きな財産となったことだろう。
「ところで、お前らはこれからどうするんだ?」
「こっちで少し休んでから、昼にカーシェル行きの馬車に乗る予定だよ。テクト君は?」
「俺は積荷を商会に運び込んだ後、船に積み込んで次の積荷を載せた船が来るまで待機だ。それからは、また別の街に商品を運ぶ。だから、お前らとはここでお別れだな」
「そう、ですか……」
仕事の終わりは、即ち依頼人達との別れを意味する。運び人としてあちこちを渡り歩くテクトとはしばらく顔を合わせることも出来なくなる。早くも訪れたテクトとの別れに、薫は寂しげな表情を浮かべた。
「そんな顔すんなって。今生の別れになるわけじゃねぇんだ。また一緒に仕事をする時もあるだろ」
「そうだよ、カオル。アルドゴート商会からの依頼は結構あるから、またきっと会えるよ」
「カーシェルに戻ったら、お前らの所に顔出すからよ。その時は俺が旨いもの食わせてやるからな」
「…ありがとうございます、テクトさん。楽しみにしてますね」
差し出されたテクトのフワフワの手を握る薫。目頭が熱くなり、涙腺から溢れ落ちそうになる涙を堪え、ぎこちない笑みを浮かべる薫に、テクトは満面の笑みでそれに応える。
「またな、カオル。次に会う時までに死ぬんじゃねぇぞ」
「テクトさんも、身体に気を付けて」
こうして薫の初仕事は、数々の苦難と羞恥、友との別れを超えて達成されたのであった。
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