ケモとボクとの傭兵生活

Fantome

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第三章 初仕事は蒼へと向かって

ダリウスの陰謀

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彼もテクトと同様に全裸というわけではないが、ズボンが膝上ほどまで下ろされ、その大柄な体格に相応しい太く長大な男根が最大膨張を遂げていきり立っている。よほど場数を踏んできたのであろうソレは禍々しいほどに赤黒く、マーブル模様の白濁液を滴らせながら濃厚な匂いを漂わせている。

こんな状況、何が起きていたのかなど一目見れば誰でも容易に想像がつくだろう。呼吸を整えながらテクトはダリウスを睨み付けた。

「はぁっ、はぁっ……酷いですよ、ダリウスさん!あと少しでカオルにバレるところだったじゃないですか!」

「別にいいじゃねぇか。どうせ、あのガキだって傭兵団じゃお前と同じような立場だろうからな。それより、ぐだぐだ話す暇があるなら最後までやれよオラッ!」

「むぐ、ぅ……!」

呼吸も整わない内に、テクトの口内につい先程まで自分を貫いていた肉槍が突き込まれる。堪らずテクトが押し返そうとするが、ダリウスはお構い無しに喉奥深くまで何度も腰を押し付ける。

「そろそろ……うっ、で、出るからな。ちゃんと飲めよ……!」

「ぐ、むぐぅ……っ!?」

テクトの喉奥深くまで侵入していたそれがまるで別の生き物のように大きく跳ねる。同時に粘性のある熱い液体が喉を食道へと向かって滑り落ちていき、鼻先に向けて生臭い匂いが突き抜ける。

テクトはとてつもない不快感に顔を歪めたが、それでも口を離すことはなく緩やかに喉を脈打たせ、さんざん技術を叩き込まれた故か、残っているものすら吸い上げる。そんな時間が十数秒ほど続くと、やがて気が済んだところで腰を引いた。

「げほっ!げほっ!はぁっ……はぁっ……!」

テクトが激しく咳き込むと、唾液と共に吐き出された口の中に僅かに残っていた白い体液が床を汚した。

「なーに俺を睨んでんだよ、バカ。俺を恨むのはお門違いだろうが。他の誰でもねぇ、お前がアイツらの責任を肩代わりするって言ったんだからな」

ズボンを履き直すダリウスの言葉に誤りは無い。返す言葉もなく、テクトは力無く項垂れた。

「しかしまぁ、アイツもなかなか俺好みの面してんだよなぁ。犬の兄ちゃんも悪かねぇんだが。あそこで覗きでもしてくれりゃ、なし崩し的にお前と一緒に可愛がってやったんだがなぁ。がははははっ!」

「そ、そんなの絶対ダメに決まってるでしょ!もしも向こうと揉めでもしたら……!」

薫はともかく、ヴァルツという傭兵の実力は紛れもなく本物だ。あちらも仕事とはいえ、逆鱗に触れようものならその銃口がテクト達に向けられる可能性も十分にあった。

「こっちも高い金払ってあんな化け物の餌にしかならねぇようなチビ押し付けられてんだぞ。それぐらいさせてもらわなきゃ割に合わねぇだろ。そうだな、とりあえず今晩仕掛けて……そうと決まりゃ、邪魔者を退けるにゃ頭数がいるな。仕方ねぇ、アイツらも巻き込んで……」

服を着るのも忘れて訴え掛けるテクトだったが、既にダリウスの方は完全にやる気に火が着いてしまっているらしい。虚空を見つめながら腕組みをして何やら謀略に考えを巡らせているようだ。

止めることが出来ないなら、この陰謀というより淫謀を薫達に伝えるしかない。そう決心するテクトだったが、その考えを見越したかのようにダリウスの顔が向けられた。

「おっと、先に言っとくが連中に余計なことを喋るんじゃねぇぞ。そうすりゃどうなるか、テメェが一番わかってることだと思うがなぁ?」

「ぐっ、く……っ!」

固く握り締めた拳をテクトは床に押し付ける。薫のことは守りたい。だが、それと同等、いや同じくらお守りたいものが彼にはある。そう思わせるような沈痛な表情を浮かべていた。

「へっへっへっ、退屈な仕事かと思ったが良いお楽しみが出来たぜ。もっと早く考え付いてりゃ、さっきテメェに飲ませた分もとっておくべきだったかもなぁ」

「…アンタ、本当に最低な奴ですね。もう少しマトモな人だと思ってましたけど」

「こんな雀の涙みたいな薄給でコキ使われてんだぞ。このくらいの役得があってもバチは当たらねぇよ。あと、他人事みてぇに言ってるが当然テメェにも一働きしてもらうぜ。ちゃんと言うとおりにすりゃ、テメェにも良い思いをさせてやるからな。がはははっ!」

こんな関係を除けば仕事面では尊敬出来る点も多少はあったというのに、本当に最低な奴だ。

だけどーーー

「俺もそれは同じ、か……」

自嘲するような笑みを浮かべ、ダリウスの笑い声を耳にしながらテクトは失意と共にそう呟いた。
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