ケモとボクとの傭兵生活

Fantome

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第二章 彼の期待と僕の覚悟

崩堕

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「あ……っ!ん……っ!ひあああァっ!!き、ちゃうぅうッ!!」

あれからどれくらい経ったのか、もはやまともな思考など出来ないくらい蕩けきった薫の喉から、普段の引っ込み思案な彼からは想像も出来ないほどあられもない声が室内に響き渡る。

それに混ざるのは、まるで機関銃のように断続的に鳴り響くのは肌のぶつかり合うような音。うつ伏せでクッションに顔を押し付けたまま腰を上げるような体勢になった薫の腰を抱え込むように猛然とギランが肉槍を叩き付けていた。

「がははははっ!おいおい、どうしたカオルぅ?さっきまでの余裕そうな面はどこ行ったんだぁ?何とか言ってみろよオラァッ!!」

「あっ、ん……っ!ご、ごめ、な……ッ!ん、んぁあっ!そこ、そこばっか、やらぁ……っ、」

ぶつかり合う腰からは、汗と白濁色の混ざる飛沫が飛んでシーツを汚す。何度も注ぎ込まれたのだろう薫の下腹部はぽっこりと膨れ、さらに突き込まれるギランの凶器にも等しいペニスに掻き回される。

始まってどのくらい時が経ったのか、自分が一体何処にいるのか、それすら自覚出来ないほどに薫の思考はミキサーに掛けられたかの如く掻き回され、もはやただ嬌声を上げるだけの存在と化していた。

恐るべきは、仮にも道場で鍛えられた薫の精神を発情期の獣に等しくなるまで陥れたギランの手腕か。薫の後穴は本来の用途を忘れ、ただ快楽を求めて自身を貫く肉槍に媚びへつらうように甘くまとわりつく女性の性器へと作り替えられていた。

「昨日までウブなガキと思いきや、とんだ好き者だなぁオイ!これじゃ傭兵だか男娼だかわかんねぇな。おらッ、ここがイイんだろう……がッ!」

「やらあぁッ!やっ、な、んんんっ、なんかァ、く、る…ッ、くる、イ……くぅううッ!!」

最奥を抉られ、爪先までピンと張り積めさせて薫は再び達した。もう何度目なのだろう、お互いの体液で濡れたシーツを握りしめながら腰から背筋に掛けてビクビクと痙攣する薫のペニスからは、もう一滴すら出て来ない。

だが、薫が絶頂の余韻に浸る暇もなく、ギランは再び猛然と腰を叩き付け始めた。

「ふぁあああッ!キて、るぅッ……ッ!!ひあッ、ああぁ!!キてるの、にぃいッ!」

「俺様がまだイッてねぇだろうが。これでもまだ気ィ遣ってやってんだからな。なかなかイけねぇんだよ」

これでもまだ手加減をしているというのか。薫がもはや限界を通り越して辛うじて意識を保っている一方、呼吸を乱すこともなく平然としているギランの様子からもそれが嘘ではないことは明白だ。

ここまで来ると経験の差云々ではなく、性豪とも言うべきギランの体質が超越しているとしか言い様がなかった。

「しかしまぁ、あんま遅くなるとアルトの奴が怖ぇし……悪ィが、そろそろ本気でヤらせてもらうとするか」

「ふぇっ!?」

繋がったまま、ギランは薫の体勢を反転させる。お互いに向き合う姿勢になると、ギランは薫の両腕を掴んでベッドに押し付けながら覆い被さった。

「こっからは俺様がイくまで止めねぇからな。お前はせいぜい俺様が一秒でも早くイくように祈ってな。じゃねぇと……マジでぶっ壊れるぞ」

「はっ……はっ……」

浅く、何度も呼吸を繰り返す薫は見下ろしてくるギランの瞳から目を逸らすことが出来なかった。まさに、今の彼らは獰猛な肉食獣とそれに捉えられた哀れな草食獣。力の差は歴然。ジタバタしても逃れられるはずはない。ならば、ギランに対する薫の取るべき態度など既に決まっていた。

「…シて……下さい」

「あん?」

「壊して……下さい。僕のことなんて考えずに、ギランさんが気持ち良くなれるようにやって下さい。お願い、します……」

草食獣は、一思いに喰らってくれるように肉食獣に最後まで媚びることを選んだ。自分が何を言っているのか、薫自身でも理解出来なかった。だが、快楽を求める身体の疼きが、好き勝手蹂躙し、身体の深くまで貫かれた肉槍に対する愛しさが、彼から正常な判断力を奪い去っていた。

「…そうかい。んじゃ……」

「ひぅ……っ!?」

ギランがゆっくりと腰を引くと、薫の臍の裏側の内壁を抉りながらズルズルと三日月のように反り返った肉槍が姿を表す。

その先端が抜けるか抜けないかという位置で、ギランは狙いを定める。薫を快楽の奈落に突き落とす、その最奥を狙って。

そして、遂に暴食の時が始まった。

「あぅ…ッ、やぁっ、ああぁっ……っ!やめ、あぁっ!おかしくなるッ!も、おく、んっ、あっ!!あああァっ!!」

「オラァッ!音ェ上げるにはまだ早ェぞ!」

ただ快楽を得るための道具として扱うように、よりも激しく、強く何度も肉槍が薫の小柄な身体を貫く。その間にも幾度となく絶頂に達する薫だったが、ギランの責めが収まる気配は一切無い。それは、まるで先ほどまでの行為が前座であったのかと思うほどであった。

「んんん……っ!ああぁっ!あぅ…ひ………!やら、あぁッ!おくッ、やめてぇ!やめ、あぁっ!おかしくなるッ!んんッ……!?」

何度も貫かれ、快楽に喘ぐ薫の酸素を欲する小さな口元へ、不意にギランが口付ける。長いマズルで薫の口をすっぽり覆いながら長く厚い舌が独立した別の生き物のようにその口元を舐め回し、唇を押し割って口内を味わい尽くす。

だが、それも終わりの時が近付きつつあった。余裕のあったギランの呼吸が微かに乱れ、口付けの合間に熱い吐息が薫の顔に吹き掛けられる。絶頂までの階段を一気に駆け上がるように、より苛烈に薫の身体に肉槍が突き込まれる。

「んんッ……!?あッ、ん、やぁあああっ!きっ、あァ!き、ちゃうううッ!!」

「ぐるる、ぅ……俺様も……っ!」

ズドンと重機で杭を打ち込まれるが如く、一際強く腰が叩き付けられた瞬間、薫の中で熱い奔流が弾けた。それは何度も脈打ちながらドプドプと音を立てながら薫の中に注がれ、身体の中を満たしていく。

それは底無しと思うほどに恐ろしく長く、そして多い。やがてゆっくりとギランが腰を上げると、ズルリと硬度を失った肉槍が引き抜かれた瞬間、薫の後穴からゴポリと音を立てて収まりきらなかった分が溢れ、シーツを汚した。

「ふぃ~、出した出したぁ。久々に空になるまで出し切ったぜ。やっぱ、たまには全弾撃ち尽くさねぇと身体に良くねぇわな。がははははっ!」

あれだけの激しい肉体運動の後でなお、ギランは余裕綽々といった様子で額に滲んだ汗を拭った。魂の淀みも何もかもを出し尽くしたのか、どことなく鱗の艶も輝きが増しているような気がする。

「しかしまぁ、良かったぜカオルぅ。こんだけ燃えたのは数年前に繁華街の娼館一日借りきった時以来だぜ。まぁ、その時は一人残らず全員足腰立たなくしてやったがな!その超人無敵の俺様を一人で搾り取っちまうとは、お前にはコッチの才能もーーーカオル?」

そこでギランはようやく、組み敷いていた薫の様子に気付いた。常軌を逸する絶倫ぶりを誇るギランからの猛攻をたった一人で受け止める嵌めになった薫は、完全に気を失っていた。

ギランと自分のものが混ざった体液に全身を濡らし、夏場の終わりを迎えたセミのように両足を大きく開いた体勢のまま、時折思い出したかのように小さく痙攣している。

初心な薫では経験豊富なギランを一人で相手にするのはさすがに荷が重かったらしく、見るも無惨な有り様であった。

「カオル?おい、カオル~……やっぱダメか」

ギランが軽く頬を叩いても、薫の意識が覚醒することはない。彼の未熟な快楽神経ではギランの苛烈な責めに堪えられなかったようだ。

「……………………」

その時、沈黙したギランの視線が、無防備な薫の身体へと注がれる。それはそれとして、可憐さすら感じさせる可愛らしい少年があられもない姿で横たわる光景というものは、意外と扇情的であった。

「おっ……?」

その時、ギランの股関に電流走る。感情の昂りを感じて薫からさらに視線を下げると、そこには再び力を取り戻し、神槍の如くそそり立つ自身の怒張の姿があった。

「ん~……」

さすがに、これ以上はマズイんじゃなかろうか。時間も残り少ない。後始末の時間を考えればここで終了するのが賢明だろう。

だが、こんな機会はそう何度もあるものではない。薫はこういった行為には奥手なのは目に見えている。再び身体を重ねることが出来る可能性は未知数だ。

悩むギランの脳内で、快楽を求める悪魔と自制を訴える天使がせめぎ合いーーー

「悪ィ、カオル。もうしばらく辛抱してくれ」

数秒と経たずあっさりと答えを導き出したギランは、自らの肉槍の狙いを薫へと定めた。

薫を襲う快楽の宴が終わりを迎えるのは、まだまだ先になるようだ。
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