ケモとボクとの傭兵生活

Fantome

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第二章 彼の期待と僕の覚悟

竜槍、穿通

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それは、赤黒い一本の肉槍だった。それがギランの性器なのだと薫が理解するのに僅かばかり時間を要したのは、その形状が人間のそれとは全く異なっていたからだ。

竜人は人のように性器が外に出てはおらず、通常はスリットの中に収まっている。行為に及ぶ際にその中から出てくるのだが、根元から先端へ向かって先細りするそのペニスは三日月のように反り返り、薫の臍まで届くほど長く、そして太い。

その肉槍でもって今まで何人もの相手を完膚なきまでに屈服させてきたのだろう、淫水焼けして赤黒く変色したそれは禍々しさすら感じさせるほどで、一種の魔槍と呼んでも遜色無い。

「へっへっ……覚悟しろよ、カオルぅ。こいつを味わって朝方腰が立たなくならなかった奴なんざ一人もいねぇからな。テメェの喉が枯れるまで突き上げて、腹がぶち裂けるまで出してやるからなぁ」

「や、やぁ……っ、やめて、やめて下さい、お願いですからぁ……!」

薫の体が持ち上げられると同時にギランの尻尾が引き抜かれ、ヒクヒクと物欲しげに口を開けていた菊門が閉じきる前に魔槍の先端が押し当てられる。

あとは、ギランが薫を抱える腕を弱めれば、魔槍は一気に薫の身体を刺し貫くだろう。一応解されているとはいえ受け入れられるかもわからない恐怖に、薫は身体を震わせるばかりだった。

「さぁて、そろそろ始めるか、カオルぅ。へっへっ……最初のこの瞬間が最高にたまンねぇよなぁ……!」

「や、やめっ、やっ……!」

「うっせ」

突然薫を支えるギランの腕から力が抜け、薫は数十センチに渡って落下。その瞬間、ずぶりとギランの魔槍が彼の小柄な身体を刺し貫いた。

「う、ぁ……けはっ……!」

圧倒的質量を一息に受け入れ、薫の腹がぽっこりと膨れる。有り得ないところまで、ギランの魔槍が埋められているのがわかる。

ギランに背後から抱きすくめられる薫の身体は震えている。だが、それは恐怖によるものではなかった。

「う、あ……ああ……っ」

刺し貫かれた瞬間、薫は再び絶頂に達していた。二度目ともあって少量の白濁液を床に巻き散らしながら身体をくの字に折り曲げ、爪先はピンと伸ばされて全身を電流のように駆け巡る快楽に打ち震えていた。

先ほど尻尾によって押し上げられた箇所。ギランの肉槍は狙い定めたかのようにそこを凶悪的な反り返りによって抉っていったのだ。その快感は凄まじく、まともな思考すら阻害されるほど。

その証拠に、ギランの手によって顎を押し上げられた薫は彼の口付けを無抵抗に受け入れていた。

「んっ……んんっ……」

「ふぁ……ん……うぁ……っ」

口の端から溢れるほどの唾液を絡ませ、ギランとの濃厚な口付けに耽る薫。やがてギランの顔が離れた時、薫は無意識の内に彼の口元を追い、顔を近付けようとしたが、我に返ると恥ずかしげに顔を俯かせた。

「どうしたよ、カオルぅ。さっきまでイヤイヤ言ってた割には、すっかり骨抜きじゃねぇか」

「はぁっ、はぁっ……、これっ……すご、いい……っ」

ギランの魔槍は、まさに相手を屈服させるためにあるようなものと言っても過言ではない。それは薫も例外ではなかったようで、身体の内側を隙間無く埋める肉槍の圧倒的存在感に身体は快感に打ち震え、既に次の絶頂が近付きつつあった。

「そろそろ慣れた頃合いだな。んじゃ、動かすからな。お前はそうやって力抜いてろよ?」

「ま、待って……まだ呼吸が整って……ひゃああっ!?」

ギランの剛腕が薫の腰を抱え上げ、そして落とした。内壁が擦り上げられ、身体と身体がぶつかる弾けるような音を響かせると、宝石のような汗が散った。ギランはまるで性処理の道具でも扱うかのように、リズミカルに薫の腰を上下させる。

その度に、ギランの肉槍が薫の中の一点を押し上げる。背筋を反らせ、声を上げないよう自分の腕に口元を押し付けて屈服させられてなるものかと快感に堪える薫だったが、それが無駄な抵抗であることは誰が見ても明らかであった。

「カオル、わかるか?俺様が突いてやってるこの部分な、ここを集中的に突き回してやると堪らねぇだろ?」

「はっ……ひぁっ、ひぅ……っ!」

薫はギランの問い掛けに答えない。と言うより、そもそも答える余裕が無い。しかし、どうやらその反応はお気に召さなかったらしく、顔をしかめたギランの眉間にシワが寄った。

「…おいコラ、黙ってるとわかんねぇだろうが。俺様の質問にさっさと答えねぇ……かっ!」

「んぐぅううっ!?」

一際強く腰を落とされ、堪らず薫の口元から悲鳴に近い声が洩れた。その一度だけに留まらず、ギランはさらに速度を上げて薫の腰を上下させ始める。

結合部分から卑猥な水音が響き、その間にも何度か絶頂に達したのか、上下運動に合わせて揺れる薫の肉棒の先端からは睾丸内に残されていたであろう僅かばかりの白濁液が押し出され、室内や自分の身体を汚していた。

「くっくっくっ、触れてもねぇのにもうイッてやがる。やっぱお前才能あるぜ。中なんざすっかりトロトロになっちまって、俺様のモノをぎゅうぎゅうに締め付けてきやがる。お前、そんなに俺様のモンにされてェのか?」

「ひっ……あっ、う……ち、ちがっ……そんなんじゃ、ないぃ……っ」

そう言ってはいるものの、快感に蕩けきった声では何一つ説得力は無い。薫自身に実感は無いが、身体は既にギランの魔槍に順応しつつあるようで、突き上げられる度に頭の先まで突き抜けるような快感に思考は麻痺し、喘ぎ声を押さえられなくなっていた。

無論、それをギランが看破していないはずもなかった。

「がははははっ!そんなツラで言うセリフかよ!まぁ、時間はまだたっぷりあるんだ。そんな寝言言えねぇようにしてやるつもりではあるんだが……お前ばっかイッてるんじゃ不公平だよな」

「ふぁ……?」

薫はギランの腕に抱かれ、彼の巨体をベッド代わりに横たわる。一体何をしようというのか、困惑しながら顔を見上げてくる薫だったが、その間にもギランの腕に腰を支えられ、中間ほどまで肉槍が引き抜かれていく。

「ふ、くっ……な、何を……?」

「あん?さっき言っただろうが。お前ばっかじゃ不公平だって……なっ!」

その瞬間、ズンと重い衝撃が薫を貫く。空中で固定した薫に向かって、ギランが腰を突き上げたのだ。不意討ちのような衝撃と快感に白い喉を晒して背筋をピンと伸ばして硬直する薫だったが、ギランはそれで止まってはくれなかった。

「ひぁっ!?うぁっ、あああっ!や、それっ、やぁあああっ!」

ドリルが地面を掘削するが如く、猛然と力任せに何度も腰を叩きつける。しかも、単調に見えてそうではなく、突き上げる角度を細かに変えて薫の中を抉った。その勢いは凄まじく、ベッドのスプリングが悲鳴を上げるほどの連打を一身に受け続ける薫が平静を保っていられるわけもなく、限界を伝えるように何度もギランの身体を叩いた。

当然、ギランがそれに応じるわけもないのだが。

「ひゃははははっ!数多の娼婦をベッドに沈めてきた俺様のモノの味はどうだカオルぅ!気ィ失っちまったらつまんねぇからな、ちゃんと堪えてろよ!」

「ふぁっ!?やっ!それぇっ、いっ、イッてるからぁああっ!」

約数分に渡って薫を蹂躙するギランだが、その勢いは全く衰えるところを知らない。一方で、薫は既に何度も絶頂を重ねており、もはや出るものは全て出尽くしたが、身体は与えられる快感に屈服させられていた。

その時、薫の中で微かにギランの肉槍が膨張する。彼もまた絶頂が近いのか、最後のスパートを掛けるようにギランの腰使いが加速する。

「ふあっ、あっ、あぁああっ!」

「ぐっ、う、やべぇ、いつもはこんな早くはねぇんだが、最近溜め込んでたからな。そろそろ限界だ……っ」

限界を訴えるギランだが、薫も既に限界は迎えていた。快楽に堪えかねて一瞬気絶しては、それを上回る快感によって無理矢理覚醒させられていた。そして、一気に絶頂に向かって駆け上がっていくギランと共に、薫もまた再び絶頂の波が押し寄せていた。

「出すぞ、カオル!ぐる、ぅう……っ」

「ひぅ……っ、かはっ……あつ……いの、入って……っ」

ギランが薫を押さえつけるように抱き締めた瞬間、肉槍が跳ね、放たれた火傷しそうなほど熱い奔流が薫の中を満たしていく。それは一体どれだけ出すのかと思うほどに長く、何度も脈打っては内壁を叩き、薫の下腹部を微かに膨れさせた。

「っは……はぁっ……は、ぁっ……」

どれだけ長く続いただろうか。ようやく吐精が終わり、同時にギランの動きも止まる。玉のような汗を額に浮かばせ、肩を上下させて深呼吸を繰り返す薫の後ろで、爽やかな笑みを浮かべたギランが起き上がった。

「ふぃ~、出した出した。俺様の審美眼に狂いはねぇが、これまででも上位に入る具合の良さだったぜ、カオルぅ」

「…それ、褒めてるつもりですか?」

ようやく呼吸も整い、薬の効果も薄れたのかさんざん鳴かされた仕返しにとギランを睨み付ける薫。しかし、一方のギランは何処吹く風で、薫の頭を乱暴に撫で擦る。

「がははははっ、そう言うなって。お前も結構楽しんでたじゃねぇか。どうよ、俺様のモノは良かっただろ?」

「う……」

ギランに一服盛られた薬のせいとはいえ、男なのにこんな初体験を迎えることになって薫も複雑な気分ではあるのだが、正直なところ悪かったと言えば嘘になる。

顔を真っ赤に染めてそっぽを向く薫の様子に全てを悟ったらしいギランは、満足げに顔を頷かせる。

「くっくっくっ、そうかそうか。俺様としても、初体験のお前に楽しんでもらえたようで良かったぜ。さて……」

「はい……?」

肩を掴まれ、薫はギランを振り返る。そこには、満面の笑みを浮かべた彼の顔があった。

「まさかとは思うが……これで終わりと思っちゃいねェよな?」

「ひゃ……!?」

あれだけの量を出してなお、全く硬度の衰えない魔槍が突然薫を突き上げる。不意を打たれ、思わず声を上げる薫をギランは背後から両腕を回して抱きすくめる。

「おいおい、まだ一発終わっただけじゃねぇか。俺様はまだまだイケるぜ?こちとら久々なんだからな。全部出し尽くすまで付き合ってもらうぜ」

「う、うそ……ですよね……?だって、もう薬の効果切れてるみたいですし、もう続ける理由なんて無いはずですよね……?」

「バッカお前、こちとら完全に火ィ着いてんだ。今更止められるわけねェだろうが。そら、ちっとばかり動かすぞ」

「え、ええっ!?」

動揺する薫を他所にギランはさっさと体勢を入れ換え、彼をうつ伏せにベッドに横たえさせる。自分は膝立ちになり、薫の腰を突き出させるような体勢で抱えた。

「そんじゃ、早速第二ラウンドといくか。泣いても喚いても構わねぇが、せいぜい良い声で鳴いてくれよな」

自分は、果たして無事に五体満足でアルト達の元に帰れるのだろうか。もはや抵抗する気力も起きるはずもなく、全てを諦めた薫はひきつった笑みを浮かべるのだった。
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