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第二章 彼の期待と僕の覚悟
絶体絶命
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薫が気付いた時には既に彼の足は地面から離れ、天と地が逆転する。抵抗も、受け身を取る暇もなく、薫は鞭を振るうかの如く木箱の上に叩き付けられた。
「ぐうぅっ!?けは、っ……ぅ……」
全身に響き渡るような衝撃に薫の呼吸は止まり、手足はその力を失った。悠長に回復する暇など与えてくれるわけもなく、木箱に横たわる薫に口元を吐瀉物と涎で汚した牛人が覆い被さり、薫の首を掴んで押さえ付けた。
「…ぁ、ぐ……っ」
「はぁっ……はぁっ……さっきのは、げほっ……俺も流石に驚いたぜ……けどなぁ、オトナをナメるのもそのくらいにしやがれ、このクソガキがァッ!」
怒りに任せて、牛人は薫の頬を殴打する。抵抗も出来ない薫の口内に鉄の味が満ち、口の端から真っ赤な血が流れた。
木剣は既に薫の手を離れ、地面に転がっている。昨日も味わった恐怖が蘇り、体が震える。だが、薫は牛人の顔を睨み付けていた。みっともなく、怯えきった小動物のように震えながらも瞳は闘志を失ってはいなかった。
何故なら、自分はもう昨日までの自分とは違う。ギランが率いる傭兵団の一員なのだから。
しかし、それが牛人の癪に障ったらしい。薫の首を締める腕にさらなる力が加わった。
「がっ……けはっ……」
「相変わらず、ムカつく目をしてやがる。すぐにそんな態度取れなくしてやるからなぁ……っ!」
牛人は唐突に薫のズボンに手を掛けると、下着ごとそれらを一気に取り払った。冷たい外気に薫の白雪のような肌が晒されると、牛人は笑みを浮かべてみせ、自らのズボンに手を掛けた。
「ひっ……」
ずるりと牛人のズボンから飛び出した肉塔に、薫の口元から微かな悲鳴が洩れた。濃い臭気と熱気を放ち、赤黒く聳え立つそれは通常の人間のサイズとは比較にもならず、圧倒的な太さと長さをもって薫の前に姿を見せた。
あんなものを、受け入れられるはずもない。危機感を感じて足をばたつかせる薫であったが、牛人は彼の片足を掴むと大きく足を広げさせ、その小さな菊門に狙いを定めた。
「さぁて、お楽しみの時間だぜ。前準備なんかしてやらねぇからな。無理矢理捩じ込んでテメェの温かけぇ中身をズタズタに引き裂いて血塗れにしてやる。その反抗的な顔が泣き顔に変わる瞬間を、じっくり堪能させてもらうぜぇ……っ」
「や、やだ、やだぁああ……っ!」
薫の必死な抵抗も虚しく、牛人の熱い昂りが押し当てられた。
薫は精一杯抵抗したつもりだった。だが、現実は漫画や映画の主人公のように上手くはいかない。だから、これは必然。弱者が辿る当然の結果だ。
数秒後に訪れるであろう痛みに、薫は全身を強張らせる。
そしてーーー
「おい」
「あ……?」
突然背後から呼び掛けられた声に、牛人が振り返る。その瞬間、彼の視界に飛び込んできたのは、巨大な拳であった。
「へべェっ!?」
前に長い顔を半分ほどにひしゃげさせ、牛人は鼻血をジェット機のように噴出しながら宙を舞った。
なんとなくデジャブを感じる光景に呆然とする薫。だが、正面に立つその人物、ギランの姿に気付いた瞬間、ボロボロと堰を切ったように涙を溢れさせた。
「ったく……捜したぜ、カオルぅ。だから一人でうろちょろすんなって言っただろうが」
「ぎ、ギランさ……あぅっ」
ギランの姿を目の当たりにした瞬間、飛び跳ねるように体を起き上がらせた薫だったが、彼の拳骨がコツンと薫の頭を小突いた。
しかし、ギランはすぐにその拳骨を弛め、薫の頭を撫でた。
「だが、よく頑張ったな。お前の根性と度胸、しっかり見させてもらったぜ。やっぱ、お前を見込んだ俺様の目は間違ってなかったってことだな。だから泣くんじゃねぇよ。お前はもう、この俺様の傭兵団の一員だろうが」
「はい……っ」
その言葉だけで、薫は報われた気持ちになれた。自分を認めてくれるその言葉が、彼にとって何よりも心に響いた。
ギランの言葉に頷き、薫は涙を拭う。すると、ギランによって殴り飛ばされた牛人が砕けたらしい鼻先を押さえ、よろめきながら起き上がった。
「う、が……て、テメェは、昨日の……っ!?」
「よぉ、せっかく手加減してやったのに全然改心してねぇな。しかも、俺様の可愛い新入り団員に手を出そうとするなんざ……こりゃ、今回も仕置きが必要だな」
バキバキと拳を鳴らし、牛人の前に立ち塞がるようにギランが立ち塞がった。
「ぐうぅっ!?けは、っ……ぅ……」
全身に響き渡るような衝撃に薫の呼吸は止まり、手足はその力を失った。悠長に回復する暇など与えてくれるわけもなく、木箱に横たわる薫に口元を吐瀉物と涎で汚した牛人が覆い被さり、薫の首を掴んで押さえ付けた。
「…ぁ、ぐ……っ」
「はぁっ……はぁっ……さっきのは、げほっ……俺も流石に驚いたぜ……けどなぁ、オトナをナメるのもそのくらいにしやがれ、このクソガキがァッ!」
怒りに任せて、牛人は薫の頬を殴打する。抵抗も出来ない薫の口内に鉄の味が満ち、口の端から真っ赤な血が流れた。
木剣は既に薫の手を離れ、地面に転がっている。昨日も味わった恐怖が蘇り、体が震える。だが、薫は牛人の顔を睨み付けていた。みっともなく、怯えきった小動物のように震えながらも瞳は闘志を失ってはいなかった。
何故なら、自分はもう昨日までの自分とは違う。ギランが率いる傭兵団の一員なのだから。
しかし、それが牛人の癪に障ったらしい。薫の首を締める腕にさらなる力が加わった。
「がっ……けはっ……」
「相変わらず、ムカつく目をしてやがる。すぐにそんな態度取れなくしてやるからなぁ……っ!」
牛人は唐突に薫のズボンに手を掛けると、下着ごとそれらを一気に取り払った。冷たい外気に薫の白雪のような肌が晒されると、牛人は笑みを浮かべてみせ、自らのズボンに手を掛けた。
「ひっ……」
ずるりと牛人のズボンから飛び出した肉塔に、薫の口元から微かな悲鳴が洩れた。濃い臭気と熱気を放ち、赤黒く聳え立つそれは通常の人間のサイズとは比較にもならず、圧倒的な太さと長さをもって薫の前に姿を見せた。
あんなものを、受け入れられるはずもない。危機感を感じて足をばたつかせる薫であったが、牛人は彼の片足を掴むと大きく足を広げさせ、その小さな菊門に狙いを定めた。
「さぁて、お楽しみの時間だぜ。前準備なんかしてやらねぇからな。無理矢理捩じ込んでテメェの温かけぇ中身をズタズタに引き裂いて血塗れにしてやる。その反抗的な顔が泣き顔に変わる瞬間を、じっくり堪能させてもらうぜぇ……っ」
「や、やだ、やだぁああ……っ!」
薫の必死な抵抗も虚しく、牛人の熱い昂りが押し当てられた。
薫は精一杯抵抗したつもりだった。だが、現実は漫画や映画の主人公のように上手くはいかない。だから、これは必然。弱者が辿る当然の結果だ。
数秒後に訪れるであろう痛みに、薫は全身を強張らせる。
そしてーーー
「おい」
「あ……?」
突然背後から呼び掛けられた声に、牛人が振り返る。その瞬間、彼の視界に飛び込んできたのは、巨大な拳であった。
「へべェっ!?」
前に長い顔を半分ほどにひしゃげさせ、牛人は鼻血をジェット機のように噴出しながら宙を舞った。
なんとなくデジャブを感じる光景に呆然とする薫。だが、正面に立つその人物、ギランの姿に気付いた瞬間、ボロボロと堰を切ったように涙を溢れさせた。
「ったく……捜したぜ、カオルぅ。だから一人でうろちょろすんなって言っただろうが」
「ぎ、ギランさ……あぅっ」
ギランの姿を目の当たりにした瞬間、飛び跳ねるように体を起き上がらせた薫だったが、彼の拳骨がコツンと薫の頭を小突いた。
しかし、ギランはすぐにその拳骨を弛め、薫の頭を撫でた。
「だが、よく頑張ったな。お前の根性と度胸、しっかり見させてもらったぜ。やっぱ、お前を見込んだ俺様の目は間違ってなかったってことだな。だから泣くんじゃねぇよ。お前はもう、この俺様の傭兵団の一員だろうが」
「はい……っ」
その言葉だけで、薫は報われた気持ちになれた。自分を認めてくれるその言葉が、彼にとって何よりも心に響いた。
ギランの言葉に頷き、薫は涙を拭う。すると、ギランによって殴り飛ばされた牛人が砕けたらしい鼻先を押さえ、よろめきながら起き上がった。
「う、が……て、テメェは、昨日の……っ!?」
「よぉ、せっかく手加減してやったのに全然改心してねぇな。しかも、俺様の可愛い新入り団員に手を出そうとするなんざ……こりゃ、今回も仕置きが必要だな」
バキバキと拳を鳴らし、牛人の前に立ち塞がるようにギランが立ち塞がった。
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