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1話 おじさん、異世界転生する
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俺、佐久間祐介は36歳にして引きこもりのニートである。
金持ちのとーちゃんかーちゃんに甘やかされて、働かなくても良くねってなっちゃってそのままズルズルと……。
このままじゃダメだって分かってるけど、でも、どうしても俺は部屋から動けなかった。
だって、恋愛小説にハマってしまって……この話を呼んだら仕事を探そう、やっぱりこの話の後……そう思い続けてもう1年くらい経つ。
そんなだから自分自身は恋愛経験なんて一度もない。
そもそも俺は女になんか興味なかったし、最近はもっぱらBLにハマってる。
俺はちょっと華奢な可愛い系の男の子が、ガッチリ筋肉のある逞しいイケメンに食われる系が好き。
そこは無理矢理でも純愛でも何でもOK。多分その形が俺の性癖。
今日も1つBL小説を読み終えてぽーっと余韻に浸る。
はぁ、やっぱたまらん……。
俺ももう少し若かったらこういう経験できたんかなぁ……。
いや、そもそも俺、コミュ障だし。
無理か。
そう俺は現実に戻ると、遂に重い腰を上げて部屋の外へと出た。
その勢いで家の外にも出る。
うわ、すっげー久々に外の空気吸った気がする……。
スマホでポチポチ仕事探してもなんか実感わかないから、俺はこの勢いでハローワークに行くんだ!
ズンズンと進んでいった俺は……。
車にひかれて死んだ。
⸺⸺⸺⸺
「フィルー? そろそろ起きなさい! 今日はお勤め先を探しに行くんでしょう?」
ん? フィルって誰? 俺は身体を起こすと、あまりの軽やかさに違和感を感じる。
あれ、俺の手、めっちゃ細くて綺麗……。
何気なく窓の外を見ると、平和そうな田舎の町の風景が広がっていた。
って、そんなことより!
窓に映った自分の顔がアイドル顔のめちゃくちゃ可愛い青年の顔になっていることに気付く。
栗色のマッシュヘアにエメラルドグリーンのくりくりっとした瞳。
やっばいどこの角度から見ても可愛い、俺。
俺はハッとしてパンツの中身を凝視する。
んあ~! なんかお股に可愛いのついてる~!
その瞬間、俺は前世で死んで異世界転生して17年間生きてきたことを思い出した。
なんでお股覗いた瞬間なの!?
そっか、俺、異世界に転生したんだ。
俺の名前はフィル・アーネット。17歳。
生まれも育ちもこの田舎の町【ルース】で、友達もそれなりにできて何不自由なく生活してきた。
そしてこの町では17歳になるとギルドへ行って仕事を探す。
日雇いを色々やってもいいし、契約締結後にギルドを離れてそこで継続して働くも良し。
前世と違って良くわからない手続きとか税金とかもあんまないし、色々と自由にやれそうだ。
俺は準備をして1階へ降り、質素な洋風の朝食を取ると家を飛び出した。
「母さん行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい! 頑張るのよー!」
ありがとう母さん。前世のかーちゃんは頑張れなんて一言も言ってくれなかったよ。
俺はエメラルドグリーンのかんわいい瞳をルンルンにさせて、急ぎ足でギルドへと向かった。
【ルースの町 ギルド】
「うわ、すごい人だな……」
そりゃ、日雇いの人もたくさんいるんだからそりゃそうか。
俺はとりあえず日雇いを色々と見てみる。
ん~、魔物討伐とか戦闘系ばっかりだな……。
俺戦えないよ。だって、こんな華奢で可愛い体格だし。
んで、次に継続勤務を眺めてみる。
道具屋に武器屋、防具屋……。
あ~、あのおっちゃんとかおばちゃんのところね~。俺は戦わないから道具屋だけはたまにお世話になってたな……。
ん?
俺は、ある仕事に目が止まった。
⸺⸺ルース領主の屋敷 使用人⸺⸺
屋敷の領主、オスカー・ルース様の身の回りのお世話係。
年が近い同性をご所望のため、17歳~24歳限定で1名募集。
⸺⸺⸺⸺
領主……。
領主ってあの、最近世代交代してイケメン過ぎて話題になったあのオスカー様!?
そのお世話係!?
俺は、今の俺がオスカー様に襲われているところを妄想する。
うん。
良いねっ!
俺は早速ギルドの受付で応募の手続きをすると、すぐに先方から連絡があり、屋敷へと向かった。
【ルース領主の屋敷】
うわぁ、すごい大豪邸……。
そりゃそうだ。いくら田舎って言っても領主だもん。
俺はメイドさんらに案内されて、オスカー様の書斎に顔を出した。
「あの、失礼します……」
うわ、今更緊張する。これから仕事の面接ってことだ。そんなの前世では1回もしたことないよ。
って、この町の17歳男子はみんな初めてか。
「あぁ、良く来てくれた。そこに座ってくれ」
はぁぁぁ! 生オスカー様! 低音のイケボっ!
黒髪に小顔のキリッとした超絶イケメン。確か年齢は24歳だったはず。
そんなイケメンがこの可愛い俺に向かってキラキラの笑顔を送ってくれている。
「は、はい。フィル・アーネットです、よろしくお願いします」
俺はドキドキしながら深く一礼をして、ソファへと腰掛ける。
すると、オスカー様は俺の向かいのソファに座り、俺の顔を覗き込んできた。
「ふっ、そう緊張しなくていい。何も意地悪な質問はしない」
「あ、はい、スミマセン……」
俺はシュンとする。多分今の俺めっちゃ可愛い。
「なぜそんな顔が赤い? 緊張で顔まで赤くなるのか? それとも、調子が悪いのに無理して来たか?」
うわー! オスカー様にめちゃくちゃ心配されてる!
ってか俺、今顔赤いんだ……。確かにほっぺはめちゃくちゃ熱いけども。
言えない……。オスカー様がイケメンでイケボ過ぎてドキドキしてるなんて絶対言えない……。
「あ、あの、スミマセン……。すごく緊張してしまっています……体調は万全なんですが……」
「ふっ、そうか。ハーブティーでも飲むか? きっと落ち着くぞ」
「あ、いえいえ、そんな、大丈夫です……」
「そうか……。それならこのまま面接を始めるぞ?」
「はい……」
「質問はただ1つ。俺は、お前には仕事というよりは、側で俺の話し相手になってもらいたい。そういうつもりで募集をかけたが、大丈夫か?」
「え? えっと……それじゃぁお仕事内容っていうのは……?」
「この屋敷に住んでもらえればそれでいい。たまに話し相手になってくれ」
「え、そんなことでいいんですか?」
「俺にとってはそんなことじゃなくてな……」
はっ、ヤバい。俺失礼なこと言っちゃった!?
「ごめんなさいっ! 俺っ……!」
俺は涙目で謝る。
すると、オスカー様は目を見開いて驚いていた。
「い、いや、何も攻めた訳ではない。俺は、怖いだろうか……?」
そういうオスカー様の目少し悲しそうだった。
「いえいえ! 怖くなんかないです! むしろ逆で……昔からオスカー様は俺の憧れで、そんな憧れが目の前にいて、テンパっちゃってます……」
俺がそう言うとオスカー様はふっと笑った。
「なら、話を続けるぞ。俺はずっと領主としての教育を受けてきて、去年父にその座を譲ってもらって領主へと就いた」
「はい……」
確かお父上のお身体の調子が悪くなってしまって、公務ができなくなっちゃったからだ。
「領主としての仕事はとても誇らしく思っている。だが、町を歩いていると同年代の青年らが楽しそうに笑いあっているのを見て、少し羨ましく思ってしまった。だから、俺もそういう息抜きがしてみたいのだ」
「そう、だったのですね……」
「憧れのオスカー様がこんな小さな悩みを抱えていてガッカリしたか?」
いやいや、逆ですよオスカー様。
「そんなことないです! ぜひ俺にオスカー様のお付きをさせてください! 俺もオスカー様とたくさんお話したいです!」
俺が一生懸命にそう言うと、オスカー様は表情が柔らかくなった。
「ありがとう。そう言ってくれて嬉しいよ。では、これからよろしく頼む」
「はい! よろしくお願いします!」
こうして可愛い17歳の俺の初仕事が始まった。
金持ちのとーちゃんかーちゃんに甘やかされて、働かなくても良くねってなっちゃってそのままズルズルと……。
このままじゃダメだって分かってるけど、でも、どうしても俺は部屋から動けなかった。
だって、恋愛小説にハマってしまって……この話を呼んだら仕事を探そう、やっぱりこの話の後……そう思い続けてもう1年くらい経つ。
そんなだから自分自身は恋愛経験なんて一度もない。
そもそも俺は女になんか興味なかったし、最近はもっぱらBLにハマってる。
俺はちょっと華奢な可愛い系の男の子が、ガッチリ筋肉のある逞しいイケメンに食われる系が好き。
そこは無理矢理でも純愛でも何でもOK。多分その形が俺の性癖。
今日も1つBL小説を読み終えてぽーっと余韻に浸る。
はぁ、やっぱたまらん……。
俺ももう少し若かったらこういう経験できたんかなぁ……。
いや、そもそも俺、コミュ障だし。
無理か。
そう俺は現実に戻ると、遂に重い腰を上げて部屋の外へと出た。
その勢いで家の外にも出る。
うわ、すっげー久々に外の空気吸った気がする……。
スマホでポチポチ仕事探してもなんか実感わかないから、俺はこの勢いでハローワークに行くんだ!
ズンズンと進んでいった俺は……。
車にひかれて死んだ。
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「フィルー? そろそろ起きなさい! 今日はお勤め先を探しに行くんでしょう?」
ん? フィルって誰? 俺は身体を起こすと、あまりの軽やかさに違和感を感じる。
あれ、俺の手、めっちゃ細くて綺麗……。
何気なく窓の外を見ると、平和そうな田舎の町の風景が広がっていた。
って、そんなことより!
窓に映った自分の顔がアイドル顔のめちゃくちゃ可愛い青年の顔になっていることに気付く。
栗色のマッシュヘアにエメラルドグリーンのくりくりっとした瞳。
やっばいどこの角度から見ても可愛い、俺。
俺はハッとしてパンツの中身を凝視する。
んあ~! なんかお股に可愛いのついてる~!
その瞬間、俺は前世で死んで異世界転生して17年間生きてきたことを思い出した。
なんでお股覗いた瞬間なの!?
そっか、俺、異世界に転生したんだ。
俺の名前はフィル・アーネット。17歳。
生まれも育ちもこの田舎の町【ルース】で、友達もそれなりにできて何不自由なく生活してきた。
そしてこの町では17歳になるとギルドへ行って仕事を探す。
日雇いを色々やってもいいし、契約締結後にギルドを離れてそこで継続して働くも良し。
前世と違って良くわからない手続きとか税金とかもあんまないし、色々と自由にやれそうだ。
俺は準備をして1階へ降り、質素な洋風の朝食を取ると家を飛び出した。
「母さん行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい! 頑張るのよー!」
ありがとう母さん。前世のかーちゃんは頑張れなんて一言も言ってくれなかったよ。
俺はエメラルドグリーンのかんわいい瞳をルンルンにさせて、急ぎ足でギルドへと向かった。
【ルースの町 ギルド】
「うわ、すごい人だな……」
そりゃ、日雇いの人もたくさんいるんだからそりゃそうか。
俺はとりあえず日雇いを色々と見てみる。
ん~、魔物討伐とか戦闘系ばっかりだな……。
俺戦えないよ。だって、こんな華奢で可愛い体格だし。
んで、次に継続勤務を眺めてみる。
道具屋に武器屋、防具屋……。
あ~、あのおっちゃんとかおばちゃんのところね~。俺は戦わないから道具屋だけはたまにお世話になってたな……。
ん?
俺は、ある仕事に目が止まった。
⸺⸺ルース領主の屋敷 使用人⸺⸺
屋敷の領主、オスカー・ルース様の身の回りのお世話係。
年が近い同性をご所望のため、17歳~24歳限定で1名募集。
⸺⸺⸺⸺
領主……。
領主ってあの、最近世代交代してイケメン過ぎて話題になったあのオスカー様!?
そのお世話係!?
俺は、今の俺がオスカー様に襲われているところを妄想する。
うん。
良いねっ!
俺は早速ギルドの受付で応募の手続きをすると、すぐに先方から連絡があり、屋敷へと向かった。
【ルース領主の屋敷】
うわぁ、すごい大豪邸……。
そりゃそうだ。いくら田舎って言っても領主だもん。
俺はメイドさんらに案内されて、オスカー様の書斎に顔を出した。
「あの、失礼します……」
うわ、今更緊張する。これから仕事の面接ってことだ。そんなの前世では1回もしたことないよ。
って、この町の17歳男子はみんな初めてか。
「あぁ、良く来てくれた。そこに座ってくれ」
はぁぁぁ! 生オスカー様! 低音のイケボっ!
黒髪に小顔のキリッとした超絶イケメン。確か年齢は24歳だったはず。
そんなイケメンがこの可愛い俺に向かってキラキラの笑顔を送ってくれている。
「は、はい。フィル・アーネットです、よろしくお願いします」
俺はドキドキしながら深く一礼をして、ソファへと腰掛ける。
すると、オスカー様は俺の向かいのソファに座り、俺の顔を覗き込んできた。
「ふっ、そう緊張しなくていい。何も意地悪な質問はしない」
「あ、はい、スミマセン……」
俺はシュンとする。多分今の俺めっちゃ可愛い。
「なぜそんな顔が赤い? 緊張で顔まで赤くなるのか? それとも、調子が悪いのに無理して来たか?」
うわー! オスカー様にめちゃくちゃ心配されてる!
ってか俺、今顔赤いんだ……。確かにほっぺはめちゃくちゃ熱いけども。
言えない……。オスカー様がイケメンでイケボ過ぎてドキドキしてるなんて絶対言えない……。
「あ、あの、スミマセン……。すごく緊張してしまっています……体調は万全なんですが……」
「ふっ、そうか。ハーブティーでも飲むか? きっと落ち着くぞ」
「あ、いえいえ、そんな、大丈夫です……」
「そうか……。それならこのまま面接を始めるぞ?」
「はい……」
「質問はただ1つ。俺は、お前には仕事というよりは、側で俺の話し相手になってもらいたい。そういうつもりで募集をかけたが、大丈夫か?」
「え? えっと……それじゃぁお仕事内容っていうのは……?」
「この屋敷に住んでもらえればそれでいい。たまに話し相手になってくれ」
「え、そんなことでいいんですか?」
「俺にとってはそんなことじゃなくてな……」
はっ、ヤバい。俺失礼なこと言っちゃった!?
「ごめんなさいっ! 俺っ……!」
俺は涙目で謝る。
すると、オスカー様は目を見開いて驚いていた。
「い、いや、何も攻めた訳ではない。俺は、怖いだろうか……?」
そういうオスカー様の目少し悲しそうだった。
「いえいえ! 怖くなんかないです! むしろ逆で……昔からオスカー様は俺の憧れで、そんな憧れが目の前にいて、テンパっちゃってます……」
俺がそう言うとオスカー様はふっと笑った。
「なら、話を続けるぞ。俺はずっと領主としての教育を受けてきて、去年父にその座を譲ってもらって領主へと就いた」
「はい……」
確かお父上のお身体の調子が悪くなってしまって、公務ができなくなっちゃったからだ。
「領主としての仕事はとても誇らしく思っている。だが、町を歩いていると同年代の青年らが楽しそうに笑いあっているのを見て、少し羨ましく思ってしまった。だから、俺もそういう息抜きがしてみたいのだ」
「そう、だったのですね……」
「憧れのオスカー様がこんな小さな悩みを抱えていてガッカリしたか?」
いやいや、逆ですよオスカー様。
「そんなことないです! ぜひ俺にオスカー様のお付きをさせてください! 俺もオスカー様とたくさんお話したいです!」
俺が一生懸命にそう言うと、オスカー様は表情が柔らかくなった。
「ありがとう。そう言ってくれて嬉しいよ。では、これからよろしく頼む」
「はい! よろしくお願いします!」
こうして可愛い17歳の俺の初仕事が始まった。
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