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13話 心強い味方
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アリス様のお屋敷にお邪魔してかなり時間が経ってしまっていたようで、日が傾き始めていた。
「大変、日が暮れるまでにおじさまに今回の件の一報を入れませんと!」
アリス様はソファから勢い良く立ち上がる。
「おじさまって国王陛下ですよね。な、なんて、報告するんです……?」
「ご安心下さい。お二人の身体を重ねていた話は一切しておりませんし、するつもりもありません。ただ、アルシェ家の皆様にご迷惑をおかけしているので私からアルシェ家の皆様にご説明に伺いたいと、進言しに行きます。ぜひディオン様もいらして下さい」
「うぅ、お気遣いいただきありがとうございます……。国王陛下に謁見……! 緊張するけど、分かりました。当事者ですし、俺もお供させていただきます!」
「ありがとうございます、では、早速!」
アリス様は元気良く部屋から飛び出していく。なんて頼もしいお方だろう。勇気を出して王都まで来たら、とても心強い味方が出来た。
アリス様を追いかけて俺も部屋を出ると、廊下でアリス様のお母上であるルーティア夫人とすれ違った。
「まぁ、本物のアリスの推しの片割れ!」
俺への認識の仕方よ。
「あはは、あのディオン・ラグエルと申します、お邪魔して……」
「ディオン様急いで下さい! お母様、アリスとディオン様は急いでますのでご挨拶はまた後にしてくださいませ!」
アリス様はそう言うと俺の腕を引っ張ってお母上から引き剥がした。
「まぁまぁ、本物の推しの片割れに会えて元気だこと。ディナーまでに帰ってくるのですよ」
背後からお母上の呆れたような声が聞こえてくる。この様子だと、お母上もアリス様の趣味の事、知ってそう。もしかしたらルーティア家のお方も全員味方かもしれない。なんて心強いのだろう。
⸺⸺グランディア城、玉座の間⸺⸺
「おじさま! 大変です!」
衛兵の静止を振り切ってアリス様が玉座の間への扉を押し開ける。
するとそこには、先に国王陛下へ謁見していたアルシェ町長とカミユの姿があった。
「えっ、カミユ!?」
「ディオン!? 何でアリス様とディオンが……!?」
テンパる俺とカミユをよそに、アリス様はホッと安堵する。
「アルシェ家の方々がいらして丁度良かったです……はぁ、なんとかこの場で誤解を解くことが出来そうですね、ディオン様」
「ええ、そうですね」
ニッコリ微笑むアリス様に釣られて、俺もホッと安堵の笑みを浮かべた。
「大変、日が暮れるまでにおじさまに今回の件の一報を入れませんと!」
アリス様はソファから勢い良く立ち上がる。
「おじさまって国王陛下ですよね。な、なんて、報告するんです……?」
「ご安心下さい。お二人の身体を重ねていた話は一切しておりませんし、するつもりもありません。ただ、アルシェ家の皆様にご迷惑をおかけしているので私からアルシェ家の皆様にご説明に伺いたいと、進言しに行きます。ぜひディオン様もいらして下さい」
「うぅ、お気遣いいただきありがとうございます……。国王陛下に謁見……! 緊張するけど、分かりました。当事者ですし、俺もお供させていただきます!」
「ありがとうございます、では、早速!」
アリス様は元気良く部屋から飛び出していく。なんて頼もしいお方だろう。勇気を出して王都まで来たら、とても心強い味方が出来た。
アリス様を追いかけて俺も部屋を出ると、廊下でアリス様のお母上であるルーティア夫人とすれ違った。
「まぁ、本物のアリスの推しの片割れ!」
俺への認識の仕方よ。
「あはは、あのディオン・ラグエルと申します、お邪魔して……」
「ディオン様急いで下さい! お母様、アリスとディオン様は急いでますのでご挨拶はまた後にしてくださいませ!」
アリス様はそう言うと俺の腕を引っ張ってお母上から引き剥がした。
「まぁまぁ、本物の推しの片割れに会えて元気だこと。ディナーまでに帰ってくるのですよ」
背後からお母上の呆れたような声が聞こえてくる。この様子だと、お母上もアリス様の趣味の事、知ってそう。もしかしたらルーティア家のお方も全員味方かもしれない。なんて心強いのだろう。
⸺⸺グランディア城、玉座の間⸺⸺
「おじさま! 大変です!」
衛兵の静止を振り切ってアリス様が玉座の間への扉を押し開ける。
するとそこには、先に国王陛下へ謁見していたアルシェ町長とカミユの姿があった。
「えっ、カミユ!?」
「ディオン!? 何でアリス様とディオンが……!?」
テンパる俺とカミユをよそに、アリス様はホッと安堵する。
「アルシェ家の方々がいらして丁度良かったです……はぁ、なんとかこの場で誤解を解くことが出来そうですね、ディオン様」
「ええ、そうですね」
ニッコリ微笑むアリス様に釣られて、俺もホッと安堵の笑みを浮かべた。
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