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14話 叙勲
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僕が元奴隷である事が好都合というのは一体どういう事なのか。その僕の問いに、ランス様が答えてくれた。
「先程伯父上が仰っていたように、奴隷売買は御法度だ。だから、ルミエルがこのままセネト卿の屋敷に帰らなかったとしても、俺がお前を連れているところを奴らに見られたとしても、奴らは合法的にお前を返せと言えないんだ」
「そっか……じゃぁ、僕はこのまま何もしなくても……」
ランス様はうんと頷く。
「あぁ。孤児であるお前は、孤児院でもあるディオールの屋敷に辿り着き、保護を依頼。俺はお前を屋敷に迎え入れ、付き人とした。ただそれだけで事が片付く。ですよね、伯父上」
「左用。では、ルミエルがディオール公爵の屋敷に入り、ランスの付き人になったと、余が正式に認めよう。ランスは王族ゆえに、その付き人となったルミエルには、ランスが公爵となる以前に所持していた"リィン子爵"の位を授けよう」
「僕が……子爵……!?」
「うむ。王家に連なる者の証として王家の紋章の入った腕輪を……って、既にしておる!?」
国王様は僕の右腕を見て目をぱちくりとさせた。
この紋章、王家の紋章だったの!?
僕も驚いてランス様を見上げると、彼はバツが悪そうに頭を掻いて、僕たちから視線をそらした。
「いや、この方が俺が持っていた子爵の位を引き継がせるのに良いかと思って……」
「全くお主は……。余は今、位を授けたのだぞ?」
「授けた事に変わりありません。少し順番が逆になってしまっただけの話です。という訳で、私の王家の腕輪を新調してはいただけませんか……」
ランス様、意外とお茶目! いや、違う。僕が痣を気にしていたから、少しでも早く隠してあげようとしてくれただけなんだ。
「はぁ。新調するのは構わないが、ルミエルはそんなお古で良いのか。なんならこの際、2人分新調しても良いぞ」
国王様は善意で仰って下さっているのは分かっているけど、僕はぶんぶんと首を横に振った。
「僕……じゃない、私は、ランス様から頂いたこの腕輪が良いです」
ふふっと笑って右手首を擦る。そんな僕の隣で額を手で覆って悶えるランス様を、国王様は白い目で見ていた。
「相分かった。本人らがそれで良いなら余からは何も言うまいよ。なら後日、ランスの腕輪が出来次第取りに来るように。こちらは引き続きセネト卿の裏の繋がりへ探りを入れておく」
「はっ、私の方でも別の側面から調査はしていきますので。何かあればご報告致します」
「うむ。では下がって良いぞ」
「はい、失礼致します」
サッと直角にお辞儀をするランス様の隣で、僕は急いで国王様へお礼を述べる。
「国王陛下! 本日は、お話し出来て嬉しかったです! 寛大なご対応、ありがとうございました!」
「うむ。またいつでも遊びに来なさい。それと、これからは存分にランスに甘えると良い。お主の願いを何でも叶えてくれようぞ」
国王様はふっふっふ、と笑っていた。
「……伯父上、一言余計です。ルミエル、行くぞ。王都を見て回るんだろう?」
そう言って早足で玉座の間を出て行こうとするランス様を必死に追いかけ、隣に並ぶ。
「はい、でも、お時間ありますか……?」
「ある。叙勲祝いに何でも好きな物を買ってやる」
「な、何でもですか!?」
「あぁ、何でもだ」
そんな僕たちの光景を、国王様は微笑ましそうに眺めていた。
「そうか。ランスが結婚を嫌がったのは……ああいう関係を望んでいたからなのだな」
「先程伯父上が仰っていたように、奴隷売買は御法度だ。だから、ルミエルがこのままセネト卿の屋敷に帰らなかったとしても、俺がお前を連れているところを奴らに見られたとしても、奴らは合法的にお前を返せと言えないんだ」
「そっか……じゃぁ、僕はこのまま何もしなくても……」
ランス様はうんと頷く。
「あぁ。孤児であるお前は、孤児院でもあるディオールの屋敷に辿り着き、保護を依頼。俺はお前を屋敷に迎え入れ、付き人とした。ただそれだけで事が片付く。ですよね、伯父上」
「左用。では、ルミエルがディオール公爵の屋敷に入り、ランスの付き人になったと、余が正式に認めよう。ランスは王族ゆえに、その付き人となったルミエルには、ランスが公爵となる以前に所持していた"リィン子爵"の位を授けよう」
「僕が……子爵……!?」
「うむ。王家に連なる者の証として王家の紋章の入った腕輪を……って、既にしておる!?」
国王様は僕の右腕を見て目をぱちくりとさせた。
この紋章、王家の紋章だったの!?
僕も驚いてランス様を見上げると、彼はバツが悪そうに頭を掻いて、僕たちから視線をそらした。
「いや、この方が俺が持っていた子爵の位を引き継がせるのに良いかと思って……」
「全くお主は……。余は今、位を授けたのだぞ?」
「授けた事に変わりありません。少し順番が逆になってしまっただけの話です。という訳で、私の王家の腕輪を新調してはいただけませんか……」
ランス様、意外とお茶目! いや、違う。僕が痣を気にしていたから、少しでも早く隠してあげようとしてくれただけなんだ。
「はぁ。新調するのは構わないが、ルミエルはそんなお古で良いのか。なんならこの際、2人分新調しても良いぞ」
国王様は善意で仰って下さっているのは分かっているけど、僕はぶんぶんと首を横に振った。
「僕……じゃない、私は、ランス様から頂いたこの腕輪が良いです」
ふふっと笑って右手首を擦る。そんな僕の隣で額を手で覆って悶えるランス様を、国王様は白い目で見ていた。
「相分かった。本人らがそれで良いなら余からは何も言うまいよ。なら後日、ランスの腕輪が出来次第取りに来るように。こちらは引き続きセネト卿の裏の繋がりへ探りを入れておく」
「はっ、私の方でも別の側面から調査はしていきますので。何かあればご報告致します」
「うむ。では下がって良いぞ」
「はい、失礼致します」
サッと直角にお辞儀をするランス様の隣で、僕は急いで国王様へお礼を述べる。
「国王陛下! 本日は、お話し出来て嬉しかったです! 寛大なご対応、ありがとうございました!」
「うむ。またいつでも遊びに来なさい。それと、これからは存分にランスに甘えると良い。お主の願いを何でも叶えてくれようぞ」
国王様はふっふっふ、と笑っていた。
「……伯父上、一言余計です。ルミエル、行くぞ。王都を見て回るんだろう?」
そう言って早足で玉座の間を出て行こうとするランス様を必死に追いかけ、隣に並ぶ。
「はい、でも、お時間ありますか……?」
「ある。叙勲祝いに何でも好きな物を買ってやる」
「な、何でもですか!?」
「あぁ、何でもだ」
そんな僕たちの光景を、国王様は微笑ましそうに眺めていた。
「そうか。ランスが結婚を嫌がったのは……ああいう関係を望んでいたからなのだな」
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