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5話 故郷の町を目指して

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 パーティは組んだままの状態で同じ宿屋の隣同士の個室に泊まった僕たちは、酒場で一緒に朝食を取ると、王都の駅から汽車に乗って故郷のカルムを目指して出発した。

 2人で向かい合って席に座り、一緒に窓の外を眺める。
「なんか、宿代だけじゃなくて汽車の乗車賃まで出してもらっちゃってごめん……」

 僕がそう言うと、ジークはふっと吹き出した。
「俺は出してないよ。昨日2人で稼いだ金から出しただけだろ?」

「でも、昨日の稼ぎの内訳はジークがほとんどじゃないか。僕ひとりじゃ昨日の10分の1も稼げなかったよ。しかも残りは半分ずつなんて……」

「相変わらずだな……」

「え、何が?」

 僕が問い返すと、ジークはハッとしてすぐに謝った。
「悪い……何でもない……」

 僕は、昨日言ってた似てる人のことかなって思ったけど、失礼なこと聞いたらまたあの悲しそうな顔になっちゃうかなって思って、聞けずにいた。

 まだ昨日会ったばかりだけど、ジークが悲しそうな顔になるのは心が痛むから。

 僕は失礼なことは聞かないようにと言葉を選んでいると、ジークは申し訳なさそうに口を開いた。

「ごめん、俺、変だよな。それなのに逆にお前の方に気、使わせちゃってるな」

「あ、ううん、いいのいいの。僕、田舎者で世間知らずだから余計なこと聞いちゃわないか不安で……。人見知りもちょっとあるから、誰ともパーティ組めなくて、ジークがパーティ組んでくれてるだけですごく嬉しいんだよ?」
 僕は早口で言った。

「そっか……。人見知りなら、俺も大丈夫か? 気疲れとかしてないか?」

 そう言うジークに対し僕はぶんぶんと首を横に振る。

「ううん、ジークはなんか知らないけど大丈夫。たまにいるんだ、全然人見知りが発動しない人」

「そっか、なら良かったよ」
 ジークは優しく微笑んだ。

 その笑顔、なんだかすごく安心するな……。


 それから僕たちは他愛もない会話をしながら道中を楽しんだ。

 その僕と似てる人っていうのを意識しなければ、もうずっと一緒にいる友達みたいに普通に話せる。
 昨日あったばっかりなのにすごく不思議だ。

 多分ジークが優しい人だからなんだろうなって思った。


 夕方、終点の町で汽車から降りると、今日はその町の宿屋で1泊することとなった。
 


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