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3話 ジークハルトとの出会い
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「はぁ……なんとか倒した……」
僕は、はぁはぁと息を荒げ、その場にしゃがみ込む。
僕の背後で一緒に戦ってくれた彼は、槍を背に収め僕に向かって手を差し伸べた。
「大丈夫か? ここで休憩は危険だから、魔除けの像の近くまで行くぞ」
「うん、そうだね」
僕は彼の手を取りなんとかまた立ち上がる。
「あの、助けてくれてありがとう……君がいなかったら僕は今頃……え?」
僕はローブをパンパンと払って彼へお礼を言い、彼の方を見る。
すると彼は、僕を見て目を見開き、涙をボロボロと流していた。
「やっと……見つけた……」
「ど、どうしたの? どこか怪我してる!? 見つけたって、何を……?」
僕のほうが心配になってしまい彼に傷がないかキョロキョロ見ていると、彼はハッと我にかえって、涙を拭った。
「す、すまない……これは、その、何でもないんだ。どこも怪我はしていない……とにかく、魔除けの像を探そう」
「ほ、ホントに大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。行こう、ついてきてくれ」
「うん、分かった……」
僕は不思議に思いながらも、彼についていく。
そして、魔物が寄り付かない“魔除けの像”のあるところまでたどり着くと、そこにあった回復の泉で体力を回復させた。
「はぁーっ、生き返ったー!」
僕はうーんと伸びをする。
「無事で良かったよ……」
そう言って彼は優しい眼差しを僕に向けてくる。
あれ、何だろう……なんか、安心する眼差しだな。
「改めて、本当にありがとう。君は僕の命の恩人だよ」
僕は感謝の気持ちを込めて深く頭を下げた。
「いいんだ……お前が無事だっただけで俺は……」
「えっ……?」
「あぁ、すまない。俺はジークハルト・ライザー。ジークでいい。君は?」
「僕はノア・ルーカスだよ。えっと、ジーク……初めましてでいいんだよね……?」
僕がそう尋ねると、彼は一瞬悲しそうな表情を浮かべたけど、すぐに優しく微笑んだ。
「あぁ、そうだな。すまないな、ちょっと知り合いに似ていて、変な態度を取ってしまった……」
彼はそう言って困ったように頭をかく。
「知り合いに……? なんだ、そうだったんだ。僕、前に1度会ってるのに忘れちゃったのかと思って、自分失礼だよなって……」
「大丈夫。心配させて悪かった。ところで、お前は1人でこの洞窟に潜っていたのか?」
「うん……E級になったから大丈夫かなって……。でも、全然ダメだった」
僕はシュンとうつむく。
「E級の魔道士じゃさっきみたいに囲まれたらキツイな……。よかったらパーティ組まないか? 一緒に討伐しよう」
「え、いいの? ぜひお願いします! さっきの戦いのとき、ジークすごく強かったから、これで安心だぁ」
「良かった、ありがとう。じゃぁお互いの団員証をかざして……と」
僕とジークはギルド団員証を重ねる。すると、僕の団員証の下の方に“ジークハルト・ライザーとパーティ行動中”と表示された。
「ありがとう、よろしく」
「あぁ、こちらこそ」
僕たちは握手を交わし、洞窟の奥へと進んでいった。
僕は、はぁはぁと息を荒げ、その場にしゃがみ込む。
僕の背後で一緒に戦ってくれた彼は、槍を背に収め僕に向かって手を差し伸べた。
「大丈夫か? ここで休憩は危険だから、魔除けの像の近くまで行くぞ」
「うん、そうだね」
僕は彼の手を取りなんとかまた立ち上がる。
「あの、助けてくれてありがとう……君がいなかったら僕は今頃……え?」
僕はローブをパンパンと払って彼へお礼を言い、彼の方を見る。
すると彼は、僕を見て目を見開き、涙をボロボロと流していた。
「やっと……見つけた……」
「ど、どうしたの? どこか怪我してる!? 見つけたって、何を……?」
僕のほうが心配になってしまい彼に傷がないかキョロキョロ見ていると、彼はハッと我にかえって、涙を拭った。
「す、すまない……これは、その、何でもないんだ。どこも怪我はしていない……とにかく、魔除けの像を探そう」
「ほ、ホントに大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。行こう、ついてきてくれ」
「うん、分かった……」
僕は不思議に思いながらも、彼についていく。
そして、魔物が寄り付かない“魔除けの像”のあるところまでたどり着くと、そこにあった回復の泉で体力を回復させた。
「はぁーっ、生き返ったー!」
僕はうーんと伸びをする。
「無事で良かったよ……」
そう言って彼は優しい眼差しを僕に向けてくる。
あれ、何だろう……なんか、安心する眼差しだな。
「改めて、本当にありがとう。君は僕の命の恩人だよ」
僕は感謝の気持ちを込めて深く頭を下げた。
「いいんだ……お前が無事だっただけで俺は……」
「えっ……?」
「あぁ、すまない。俺はジークハルト・ライザー。ジークでいい。君は?」
「僕はノア・ルーカスだよ。えっと、ジーク……初めましてでいいんだよね……?」
僕がそう尋ねると、彼は一瞬悲しそうな表情を浮かべたけど、すぐに優しく微笑んだ。
「あぁ、そうだな。すまないな、ちょっと知り合いに似ていて、変な態度を取ってしまった……」
彼はそう言って困ったように頭をかく。
「知り合いに……? なんだ、そうだったんだ。僕、前に1度会ってるのに忘れちゃったのかと思って、自分失礼だよなって……」
「大丈夫。心配させて悪かった。ところで、お前は1人でこの洞窟に潜っていたのか?」
「うん……E級になったから大丈夫かなって……。でも、全然ダメだった」
僕はシュンとうつむく。
「E級の魔道士じゃさっきみたいに囲まれたらキツイな……。よかったらパーティ組まないか? 一緒に討伐しよう」
「え、いいの? ぜひお願いします! さっきの戦いのとき、ジークすごく強かったから、これで安心だぁ」
「良かった、ありがとう。じゃぁお互いの団員証をかざして……と」
僕とジークはギルド団員証を重ねる。すると、僕の団員証の下の方に“ジークハルト・ライザーとパーティ行動中”と表示された。
「ありがとう、よろしく」
「あぁ、こちらこそ」
僕たちは握手を交わし、洞窟の奥へと進んでいった。
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