紙屑、ゴミ屑、粗大ゴミ

野田莉帆

文字の大きさ
上 下
10 / 77

本当にあった怖い話

しおりを挟む
 昔から、野田は極度の怖がりでしてね。
 おおよそ人の怖がるものの全てがダメだと思われます。


 高所や暗所や閉所は単発でも十分にスリルを味わえるものですから、ホラー映画や絶叫マシンに関して野田には一切の必要性がないと申し上げておきましょう。

 怖がらせようとしていただかなくても大丈夫ですよ。
 世界は怖いもので溢れていますから。
 そして、絶叫マシンは落ちる前から普通に怖いです……。


 虫も全般的にダメです。 
 どんなに小さくても可愛くても無理です。
 団子虫がいるだけで、周りに助けを求めます。
 フットワークの軽い虫だと、叫びながら逃げ回る羽目になります。

「おまえの方が怖いわ」とよく言われるのですが。
 正直なところ、対峙しなくても殺虫剤に描かれた絵を見るだけで怖いです……。


 痛いのも無理です。
 ギターは、弦を押さえるのが痛くて弾けません。
 ピアスは、開けようなんて1ミリも考えたことがありません。
 永久脱毛は、恐れているうちに行く機会を失いました。
 包丁は、家で人が死んだら困るのでプラスチック製のものしか置いておりません。

 注射も病気も病院も怖いですね。
 すでに検査の時点で怖くて逃げ回ってしまうタイプなので、病気にかかっていないことを切に願ってやみません。

 人をひとり普通分娩で産んでおりますが、あれは何かの手違いでした。
 次があれば、絶対に無痛分娩を選びます。

 しかしながら。
 出産時に助産師さんから伝えられたのですが、野田は痛みに強いタイプの人間だそうです。
 はい、ただのヘタレということですね……。


 スポーツも怖いものが多いです。
 格闘技は勿論ですが、サッカーやバレーもシンプルに痛い。
 ドッジボールに至っては、人にボールをぶつけて喜ぶ野蛮なゲームという認識です。

 あまりにも怖いものが多すぎて、よく家族からバカにされる人生でした。

 しかしながら。
 一緒にスケートを滑っていた夫が転びそうになった際。
 ナチュラルに野田を引っ張って転ばせたことは、一生忘れられそうにありません。
 痛くなかったのですけどね……。


 やはり、人も怖いです。
 文章では何とでも書けますが、顔を合わせると野田は何も言えません。

 でも、見知らぬ人々は普通に話しかけてきます。
 駅を歩いているだけで知らないお婆さんに「1万円ありませんか」と聞かれます。
 路地を歩いているだけで知らないお兄さんに「地下駐輪場に行こうよ」と誘われます。

 本当にあった怖い話は、何気ない日常のなかに溶け込んでいるのです……。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クルマでソロキャンプ🏕

アーエル
エッセイ・ノンフィクション
日常の柵(しがらみ)から離れて過ごすキャンプ。 仲間で 家族で 恋人で そして……ひとりで 誰にも気兼ねなく それでいて「不便を感じない」キャンプを楽しむ 「普通ではない」私の ゆるりとしたリアル(離れした)キャンプ記録です。 他社でも公開☆

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

小説執筆マニュアル

百々 五十六
エッセイ・ノンフィクション
書き溜めた小説のアイディアを実際に小説に起こすときに、分かりやすく、すぐに書けるようマニュアルとして残しておくための保管庫としての設定資料集です。 この小説を実際に読んでみたいなどの感想をお待ちしています。

データから分析して目指せスコアアップ!初心者投稿者の試行錯誤と記録。

終夜
エッセイ・ノンフィクション
Web小説を書き、いつか本にしてみたい。そう考える初心者がアルファポリス様で小説を連載する中で、記録をとってグラフにしたり考察したりして試行錯誤する日々をお送りします。

猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~

橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。 記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。 これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語 ※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります

我が家の猫は王様である

饕餮
エッセイ・ノンフィクション
我が家に来た猫は、ダンボールの中に捨てられていた、4匹いたうちの1匹。 3匹はすぐに貰い手がついたのに、我が家に来た猫はなかなか貰い手がつかず、保健所行き寸前だった。 そんな我が家に来たオス猫。 我が家に来てからの悪戯大好きな王様の話である。 ブログ風エッセイです。 当時を思い出しながらになるので、不定期更新となります。 写真もありますよ~。

処理中です...