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作者の想い
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昔、私にはリスペクトする師匠がいた。たまたまネットで知り合った師匠は、私に小説の書き方から教えてくれた。
毎日、必死で習った。師匠に、追いつきたいと思った。やっと肩を並べられるか、と思えるようになるまで、5年間かかった。
でも、5年経ったら師匠はもう、小説を書いていなかった。さらに5年めを迎える今となっては、行方も知れない。
残ったのは、師匠の未完の小説だけ。
「莉南、俺が最後まで書けなかった小説。最後まで書き上げてみろ」
呪いの言葉だった。ずいぶん長い間、私はこの小説に囚われていた。何度も何度も書いた。でも、納得のいくラストはいつも迎えられなかった。
もう書きたくなかった。自分には才能がない。
書くのをやめた。でも、書くのをやめられなかった。
再び書き始めた時、師匠の小説とはもうお別れだよ、という気持ちで詩を書いた。
それなのに、まだ私の中に生きるキャラクターが言うのだ。
「私を書いてほしい」と。
うるさい、うるさい、うるさい!
ずっとずっと、その声を私は無視してきた。
でも、心の奥底で、ずっと思っていた。
——私は、師匠の小説のキャラクターを助けたい。
もともとは未完の小説。私の描く、ラストは最高に格好の悪い形になる。
それでも、やっぱり幕は開けてしまうのだ。
小説のキャラクターを、助けるために。
毎日、必死で習った。師匠に、追いつきたいと思った。やっと肩を並べられるか、と思えるようになるまで、5年間かかった。
でも、5年経ったら師匠はもう、小説を書いていなかった。さらに5年めを迎える今となっては、行方も知れない。
残ったのは、師匠の未完の小説だけ。
「莉南、俺が最後まで書けなかった小説。最後まで書き上げてみろ」
呪いの言葉だった。ずいぶん長い間、私はこの小説に囚われていた。何度も何度も書いた。でも、納得のいくラストはいつも迎えられなかった。
もう書きたくなかった。自分には才能がない。
書くのをやめた。でも、書くのをやめられなかった。
再び書き始めた時、師匠の小説とはもうお別れだよ、という気持ちで詩を書いた。
それなのに、まだ私の中に生きるキャラクターが言うのだ。
「私を書いてほしい」と。
うるさい、うるさい、うるさい!
ずっとずっと、その声を私は無視してきた。
でも、心の奥底で、ずっと思っていた。
——私は、師匠の小説のキャラクターを助けたい。
もともとは未完の小説。私の描く、ラストは最高に格好の悪い形になる。
それでも、やっぱり幕は開けてしまうのだ。
小説のキャラクターを、助けるために。
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