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保留期間(元夫の奮闘と母子の変化)
守りたいなら離れろsideカイル
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潮の香りが漂う港を行き交う人々は色々な服装をしていた。
ロイドはここへ何度か来ているようで港の近くのお土産屋で夢中になっている。
ロイドが見ているのは玩具の剣だ。
その剣は大きな壺に無造作に入れられている。
ロイドと同じ位の子が一本手に取り「やぁ」と言いながら横で壺を叩いていた。
ふと見ると壺には傷がかなり入っていて、その子のように試しに振り回す子が何人もいるのを物語っていた。
「ロイドは?やってみないか?」
俺はそう言って一本手に取りロイドに渡したが、ロイドは首を左右に振って玩具の剣を受け取らない。
俺はそれを元に戻しながら首を傾げる。
(では何故熱心に見ているのだろう)
答えは出ずにロイドが動いたので慌てて手を取り一緒に歩く。
船が丁度着いたところで「ふわぁ」と言いながら握ってない方の手を口に宛てている。
俺はまだロイドの行動に慣れていない。
鉢植えを買ったあの日から会う度にロイドとは散歩に行くようにしていた。
一日にだいたい二時間ほど、ルーマン夫婦の奥さんの方がサンドイッチを持たせてくれるので途中で休憩しながら一緒に食べたりと過ごしている。
これが毎日続いてくれたらと俺は夢見ている。
明日は王都に帰らなければならない。
今回の訪問は3日しか時間を取れなかった。
寂しくなってロイドの手を思わずギュッとしてしまった。
「どうちたの?」
ロイドの練習の成果なのか、俺が解るようになったのかは解らないが段々とロイドの言う事が理解出来るようにはなった。
「ロイド今度王都に遊びにこないか?」
ロイドが王都を把握しているかいないか解らないのに俺はロイドを誘っていた。
口に出してしまってからこれはマリナに怒られるのでは?と思ったが、既に口にしたのだからもうあとの祭りだ。
ロイドは少し考えた風に首を傾げて返事をしなかったが、出てきた答えは
「ちちうえ~ちゃびちいの?」
ロイドの答えに俺は吃驚した。
3歳の息子は人の機微を感じて発言しているのだろうか?
「そうかな、そうかもしれない」
そう言ってその話を終えた。
ロイドからの返答がそれ以降なかったので、その話は続かなかったからだ。
港から帰る時は肩車をして帰った。
ロイドはご機嫌で帰ってからも俺から離れなかった。
それが嬉しい。
「まぁまぁすっかり仲良くなって良かったですね」
ルーマンさんに言われた時はロイドは俺の膝枕で昼寝をしていた。
「ありがとう貴方方のおかげです」
「そんな事ないんですよ、きっとお父さんと居ると安心するんです」
その言葉に俺は照れた。
「では今日は失礼しますね」
そう言って二人は帰っていった。
ロイドの寝顔を見ながら俺は2年半前に思いを馳せる。
丁度伯父と本当の父との対決の時だ。
当時のエジェット辺境伯の失態で隣国との関係が悪化した事により王家は、長年暗躍していた伯父の方に天秤を傾けた。
それにより辺境伯は伯父が継承し、本当の父は捕らえられた。
伯父はその前に俺を養子にしていたので俺は連座は免れる事が出来た。
だが前辺境伯には本妻の間に息子がいた。
本来なら彼は連座で捕らえられるはずだったのに逃げられてしまったのだ。
そのせいで伯父に呼ばれて離婚届を出すように言われた。
俺の血縁上の義兄が捕まるまでは危険だと言われたのだ。
俺が側にいて守りたいと言ったけれど、俺も狙われているのだから尚更危険と言われた。
二人を思うなら離れろと。
伯父はマリナ達の居所を掴んでいる様だった。
だが俺が会いに行かないように教えてはもらえなかった。
おそらくあの時に聞いていたら我慢できずに会いに行っていたかもしれない。
エルザも危険だと言われたから俺から離した。
まだあの子も幼かった、辺境伯家で守ってもらっていたのに人の口から俺の子だと勘違いされた事とレイラの罪で辺境伯家に居られなくなったのだ。
人の噂は何処までも俺に憑き纏う。
俺は一所に居られなくなって王都と辺境、色々な場所を動き回った。
漸く一年前に義兄が捕まってホッと胸を撫で下ろしたのだ。
それからは拠点を王都に移すことになった。
何故かマリナの居場所を父は教えてくれなかった。
安全になったのだから良いと思ったのに、マリナ達は幸せに暮らしている。
それしか教えてくれなかった。
俺は密かに自分で探そうと思っていた矢先にあの日王都でバッタリと会った。
俺はある可能性を考えてた。
エルザはロイドと半年しか歳は変わらない。
だからあんまり外に連れ出す事などない、それなのにあの日ハリソン夫人は、エルザの服を買いに行こうと言った。
あの道を何故か何度も往復していたのだ。
そんな時何気なく反対側を見たら黒髪が見えた。
黒髪は珍しくはないがそんなに頻繁にいるわけでもない、黒髪が目に入った俺は、その隣にマリナを見つけた。
何秒、いや何分見つめ合っていたかは解らない。
会いたくてたまらなかったマリナが直ぐそこにいる事に、胸から熱いものが込み上げて俺は動けなかった。
そうしたらハリソン夫人の「追いかけなきゃ!」と言う声に突き動かされて俺は馬車道を突っ切った。
マリナは逃げたけど体力は俺の方がある。
あれがなければ俺はひょっとしたらまだマリナを探していたかもしれない。
あれから何度かハリソン夫人に聞いたが偶然だと言い張る。
でも俺には伯父が絡んでいるのではないかと今でも思っている。
ロイドはここへ何度か来ているようで港の近くのお土産屋で夢中になっている。
ロイドが見ているのは玩具の剣だ。
その剣は大きな壺に無造作に入れられている。
ロイドと同じ位の子が一本手に取り「やぁ」と言いながら横で壺を叩いていた。
ふと見ると壺には傷がかなり入っていて、その子のように試しに振り回す子が何人もいるのを物語っていた。
「ロイドは?やってみないか?」
俺はそう言って一本手に取りロイドに渡したが、ロイドは首を左右に振って玩具の剣を受け取らない。
俺はそれを元に戻しながら首を傾げる。
(では何故熱心に見ているのだろう)
答えは出ずにロイドが動いたので慌てて手を取り一緒に歩く。
船が丁度着いたところで「ふわぁ」と言いながら握ってない方の手を口に宛てている。
俺はまだロイドの行動に慣れていない。
鉢植えを買ったあの日から会う度にロイドとは散歩に行くようにしていた。
一日にだいたい二時間ほど、ルーマン夫婦の奥さんの方がサンドイッチを持たせてくれるので途中で休憩しながら一緒に食べたりと過ごしている。
これが毎日続いてくれたらと俺は夢見ている。
明日は王都に帰らなければならない。
今回の訪問は3日しか時間を取れなかった。
寂しくなってロイドの手を思わずギュッとしてしまった。
「どうちたの?」
ロイドの練習の成果なのか、俺が解るようになったのかは解らないが段々とロイドの言う事が理解出来るようにはなった。
「ロイド今度王都に遊びにこないか?」
ロイドが王都を把握しているかいないか解らないのに俺はロイドを誘っていた。
口に出してしまってからこれはマリナに怒られるのでは?と思ったが、既に口にしたのだからもうあとの祭りだ。
ロイドは少し考えた風に首を傾げて返事をしなかったが、出てきた答えは
「ちちうえ~ちゃびちいの?」
ロイドの答えに俺は吃驚した。
3歳の息子は人の機微を感じて発言しているのだろうか?
「そうかな、そうかもしれない」
そう言ってその話を終えた。
ロイドからの返答がそれ以降なかったので、その話は続かなかったからだ。
港から帰る時は肩車をして帰った。
ロイドはご機嫌で帰ってからも俺から離れなかった。
それが嬉しい。
「まぁまぁすっかり仲良くなって良かったですね」
ルーマンさんに言われた時はロイドは俺の膝枕で昼寝をしていた。
「ありがとう貴方方のおかげです」
「そんな事ないんですよ、きっとお父さんと居ると安心するんです」
その言葉に俺は照れた。
「では今日は失礼しますね」
そう言って二人は帰っていった。
ロイドの寝顔を見ながら俺は2年半前に思いを馳せる。
丁度伯父と本当の父との対決の時だ。
当時のエジェット辺境伯の失態で隣国との関係が悪化した事により王家は、長年暗躍していた伯父の方に天秤を傾けた。
それにより辺境伯は伯父が継承し、本当の父は捕らえられた。
伯父はその前に俺を養子にしていたので俺は連座は免れる事が出来た。
だが前辺境伯には本妻の間に息子がいた。
本来なら彼は連座で捕らえられるはずだったのに逃げられてしまったのだ。
そのせいで伯父に呼ばれて離婚届を出すように言われた。
俺の血縁上の義兄が捕まるまでは危険だと言われたのだ。
俺が側にいて守りたいと言ったけれど、俺も狙われているのだから尚更危険と言われた。
二人を思うなら離れろと。
伯父はマリナ達の居所を掴んでいる様だった。
だが俺が会いに行かないように教えてはもらえなかった。
おそらくあの時に聞いていたら我慢できずに会いに行っていたかもしれない。
エルザも危険だと言われたから俺から離した。
まだあの子も幼かった、辺境伯家で守ってもらっていたのに人の口から俺の子だと勘違いされた事とレイラの罪で辺境伯家に居られなくなったのだ。
人の噂は何処までも俺に憑き纏う。
俺は一所に居られなくなって王都と辺境、色々な場所を動き回った。
漸く一年前に義兄が捕まってホッと胸を撫で下ろしたのだ。
それからは拠点を王都に移すことになった。
何故かマリナの居場所を父は教えてくれなかった。
安全になったのだから良いと思ったのに、マリナ達は幸せに暮らしている。
それしか教えてくれなかった。
俺は密かに自分で探そうと思っていた矢先にあの日王都でバッタリと会った。
俺はある可能性を考えてた。
エルザはロイドと半年しか歳は変わらない。
だからあんまり外に連れ出す事などない、それなのにあの日ハリソン夫人は、エルザの服を買いに行こうと言った。
あの道を何故か何度も往復していたのだ。
そんな時何気なく反対側を見たら黒髪が見えた。
黒髪は珍しくはないがそんなに頻繁にいるわけでもない、黒髪が目に入った俺は、その隣にマリナを見つけた。
何秒、いや何分見つめ合っていたかは解らない。
会いたくてたまらなかったマリナが直ぐそこにいる事に、胸から熱いものが込み上げて俺は動けなかった。
そうしたらハリソン夫人の「追いかけなきゃ!」と言う声に突き動かされて俺は馬車道を突っ切った。
マリナは逃げたけど体力は俺の方がある。
あれがなければ俺はひょっとしたらまだマリナを探していたかもしれない。
あれから何度かハリソン夫人に聞いたが偶然だと言い張る。
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