【完結】オレンジ色の空に誓う

maruko

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「暇ぁ~ふあぁぁ」

大きな欠伸と共に私は読んでいた本を膝に置いた。
お義母様に任せろと言われて早一週間。
本気で暇を持て余している。

最初の3日位はムカムカムカムカってモヤモヤモヤって悶々と過ごしていたし、心も傷付いていた。

でも4日目位からちょっと気持ちも落ち着いた。
人間って怒りを保つのって結構体力も気力も使うのだと知ったの。

カッとしたけど今考えたらそんなに怒ることかなぁなんて考えて、いや怒るでしょう。
って繰り返し。

まぁ怒っているのは変わりはないけれど、きっと会えば怒りも込上げるだろうけど、そのまま怒り続けるのは正直キツイ。

普通にしてたら怒ってるのも馬鹿馬鹿しくなった。
まぁだからといって許しはしないけどね~。

ただする事が無い。
前世のようにスマホもパソコンもゲームもない。
暇が潰せないから本でも読もうと思ったけれど、部屋にあった本は読み尽くした。
3回繰り返した。

侍女が食事を持ってきたら本を頼もうかと思ったけれどお義母様の支持で傷心して引き籠もってる事になってるからそれも頼めない。

ふがー

ベッドに寝転んでゴロンゴロンしながら暇を持て余していた私はノックの音で我に返った。


「エル、私だ!開けてくれないか」

お父様だ!私は直ぐに扉を開けた。

「大丈夫か?」

お父様の心配声がチクリと心臓を撃ち抜く。

「お父様、私もう落ち着いてます」

「そうか」

「はい」

「だが許してはならない」

「それはわかってます、おそらく会えば再び怒りが湧くかもしれませんけど」

「そうだろうそうだろう、人間早々ずっと怒っていられないからな、あれは体力を使う」

「ただ⋯」

「ただ?」

「悲しくはありますね、泣いてはいませんが」

「⋯⋯そうか」

「はい」

マリエーヌに対しての怒りは収まったけれど、リスキャリー様への悲しみは継続中なのだ。

「エルは留学は嫌か?」

「⋯はい、気は進みません。お父様達と離れるのは嫌ですから、ですが学園の事を考えれば致し方ないのでしょうね」

「いや、大丈夫だ。これで何にも王家が動かなければ見限るまでだが、おそらく動くだろう。だが最悪も考えておくのが貴族だ。王家が動かなければ留学になるとは思う」

「そうなのですね」

「あぁ今話しをして3日経った、どんな風に動くか見ものだな」

「動かない場合の覚悟もしておいた方がいいと言いに来られたのですね」

「⋯⋯まぁそういうことだ」

「わかりました、私そろそろ退屈で⋯」

「もう部屋からは出てもいいぞ」

「引き篭もりは?」

「明日か明後日に動かなければ実行するから、もう必要ない」

「はいわかりました」


明後日までにリスキャリー様や王家の気持ちがわかるということみたい。

はぁぁやっと部屋から出られる。
きっとマルシェにも心配かけただろうなぁ

そう思って夕食に食堂へ行ったけどマルシェも弟も

「あっお姉様~元気~」

と軽く言われてしまった。





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