【完結】長い眠りのその後で

maruko

文字の大きさ
上 下
49 / 50
第三章 長い眠りのその後で

それぞれの愛と罪と罰

しおりを挟む
サンディル様がお帰りになって公爵邸も少し変わりました。
残念だったけどダルトンはサンディル様の侍従に戻ってしまったの。
でもダルトンの為にはその方がいいのかもね。
未練がましくちょっとだけ引き止めたらダルトンに「私はまだ死にたくありません」って言われたのだけど、まさかサンディル様、ダルトンにまでヤキモチ妬いてないわよね?

陛下とエンヌ様は玉座を王太子様たちに譲る決心をされたみたい。
今回の事で運命を変えられてしまった方々の救済にあたるそうです。
調べて解ったのはミント伯爵は自分が王座に着くために色々と画策していたのだけど、反対派の末端貴族や平民の人達を自分の目の届く所へ拉致監禁して、騙して奴隷契約を結ばせ虐げていた。
その数はあとからあとから出てきておそらく千単位の方々の人生が台無しになってしまっていたの。

エンヌ様は泣いていたわ。
もっと早くに気づいていたら、こんな事にはなってなかったのにと悔やんでも悔やみきれないと仰って。
生命を落とした方も中にはいるので王家の失態は免れない。

でも悪いのは陛下たちでは無いのに、と思う私も居るの。

だけどサンディル様は王家の失態は王家が取らなければならないから、誰かが責任を取らないといけない、だからしょうがないと仰いました。

2代前でも始まりは王家だからと言ってたけど王族の責任はそれだけ重いものなんだと、やっぱりサンディル様の曾祖母様ではあるけどこの方が一番悪いのではなくて?

でも私はこの方の立場にないからなんとも言えないのだわ、だけど人を殺めるのは違うと思うのよね、ましてや権力を使ってだなんて。

元凶の前ミント伯爵は毒杯。
ミント伯爵の息子達は父や伯母の事は全く知らなかった事も判明したのだけれど、そのままというわけにはいかなくて男爵家まで降格。

元アッパール夫人とその長女のコーディは処刑。
スノーは国家転覆の事までは知らされてなかったので恩赦なしの修道院送致が決まりました。
『高い』の中で姉の取り調べを聞いていて驚愕のあまり失神していたわ。
その時にお義父様からスダンの事やご自身のお兄様の事などを詳しく聞かされて真実を知ると、人が変わったようになったの。
修道院へ行く前の日に私へ面会要請があって赴くと静かに謝罪されました。
私も謝罪は受け入れたけれど許すかどうかは今後の彼女次第です。
恩赦無しなので一生を修道院で過ごすことになるけれど許した時に差し入れでもしようかと思います。

元サイフェル侯爵の娘でティーナ様の義妹のマリーナはこの国に潜伏していた所を捕らえられました。
マッケナン王国が失くなった事も知らず執拗くメリルに近づこうとしていた所を、バスティナ伯爵に気づかれて漸く捕まったの。
勿論この方も処刑。

キャンベラの誘拐に加担した侍女も処刑。

元サイフェル侯爵は、なんと潜伏していたマッケナン王国が近隣諸国の連合軍に囲まれた時に王族と一緒にいた所を捕らえられ、国境に遺体を吊るされるというマッケナン王家と同じ処遇で処刑されました。
そんなに大物でもないけれど、この方にはティーナ様の無念を聞かせたかった、そして少しでも反省させたかったけれどマリーナが全く反省しなかったから無理かな。

陛下の【夢見】で国家転覆という計画は破綻したけれどもあまりにも犠牲が多かった。

お義父様とお義母様は今後は陛下やエンヌ様と同じく救済に全力を注ぐそうです。

皆でミラー侯爵領にあるジョイ様たちのお墓に行きました。
そこの一画はダンテ商会が土地ごと買取って毎日支店の方が花を供えてくれていました。
前商会長の遺言だったそうです。

メリルとラデイール様は静かに祈りを捧げています。
二人は今どのような思いで祈っているのかしら?

キャンベラはミラー侯爵夫妻に挨拶のお手紙だけ送ったそうです。
自分の父と母はスパナートの祖父母だからと⋯⋯。
ただもし時間が経過して会いたいと思ってくれたら是非お目通り願いたいと書いてあったそうです。
クラリスに教えてもらいました。

キャンベラは私に会いに来てくれた時、最初の方はツンツンしててレイニー公爵に促されて謝罪してくれたけれど、キャンベラの真実を知ったらキャンベラは謝罪する必要あるのかしら?と思ったのでその旨伝えると「ありがとう」と言ってくれました。
アンディーにも謝罪に行ったそうですけどいつものように「お前を愛する事はない」と言われたそうで⋯⋯。
今度アンディーにはシャレにならないから止めるように言っておきますとアンディーに代わって謝罪しました。
私の謝罪を聞いたキャンベラは笑ってというか爆笑してたのだけど帰り際にシャボン玉を見せてくれと懇願されたので、見せてあげると「あの頃、自分は病気だと思ってて苦しかった、でもこれを見てる時は幸せな気持になってたわ。アディルありがとう」と言ってくれました。

今回の事は人を愛する事から始まったのに⋯愛することが罪な事もあるのかしら?

私にはまだわからない。
そしてそれぞれの罪と罰。
自己愛が強い方は言語道断だけれども誰かを愛した為に罪を犯す、ティーナ様のように我が子を置き去りにしてしまうという罪。
ジョイ様を愛していたからメリルを愛せなかった、それはメリルに対しては罪なのよね。

人を愛する事はまだまだ私には難しいのかもしれないけれど、サンディル様が好きだなというこの想いはいつか愛に代わるのかしら?

昼下がり私の庭でのお茶会
クラリスとタリーを招待しました。
婚約を真剣に考え始めた二人から相談を受けたのだけど私にはサンディル様が初恋で参考意見は皆無。
それでも愛については考えてしまうと話すと

『人の愛と罪と罰』

人生の永遠のテーマだわと、したり顔のクラリスが呟いたので私達も頷きました。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

【完結】人生で一番幸せになる日 ~『災い』だと虐げられた少女は、嫁ぎ先で冷血公爵様から溺愛されて強くなる~

八重
恋愛
【全32話+番外編】 「過去を、後ろを見るのはやめます。今を、そして私を大切に思ってくださっている皆さんのことを思いたい!」  伯爵家の長女シャルロッテ・ヴェーデルは、「生まれると災いをもたらす」と一族で信じられている『金色の目』を持つ少女。生まれたその日から、屋敷には入れてもらえず、父、母、妹にも虐げられて、一人ボロボロの「離れ」で暮らす。  ある日、シャルロッテに『冷血公爵』として知られるエルヴィン・アイヒベルク公爵から、なぜか婚約の申し込みがくる。家族は「災い」であるシャルロッテを追い出すのにちょうどいい口実ができたと、彼女を18歳の誕生日に嫁がせた。  しかし、『冷血公爵』とは裏腹なエルヴィンの優しく愛情深い素顔と婚約の理由を知り、シャルロッテは彼に恩返しするため努力していく。  そして、一族の中で信じられている『金色の目』の話には、実は続きがあって……。  マナーも愛も知らないシャルロッテが「夫のために役に立ちたい!」と努力を重ねて、幸せを掴むお話。 ※引き下げにより、書籍版1、2巻の内容を一部改稿して投稿しております

〈完結〉【コミカライズ・取り下げ予定】思い上がりも程々に。地味令嬢アメリアの幸せな婚約

ごろごろみかん。
恋愛
「もう少し、背は高い方がいいね」 「もう少し、顔は華やかな方が好みだ」 「もう少し、肉感的な方が好きだな」 あなたがそう言うから、あなたの期待に応えれるように頑張りました。 でも、だめだったのです。 だって、あなたはお姉様が好きだから。 私は、お姉様にはなれません。 想い合うふたりの会話を聞いてしまった私は、父である公爵に婚約の解消をお願いしにいきました。 それが、どんな結末を呼ぶかも知らずに──。

【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜

秋月一花
恋愛
 公爵令嬢のカミラ・リンディ・ベネット。  彼女は階段から降ってきた誰かとぶつかってしまう。  その『誰か』とはマーセルという少女だ。  マーセルはカミラの婚約者である第一王子のマティスと、とても仲の良い男爵家の令嬢。  いつに間にか二人は入れ替わっていた!  空いている教室で互いのことを確認し合うことに。 「貴女、マーセルね?」 「はい。……では、あなたはカミラさま? これはどういうことですか? 私が憎いから……マティスさまを奪ったから、こんな嫌がらせを⁉︎」  婚約者の恋人と入れ替わった公爵令嬢、カミラの決断とは……?  そしてなぜ二人が入れ替わったのか?  公爵家の令嬢として生きていたカミラと、男爵家の令嬢として生きていたマーセルの物語。 ※いじめ描写有り

「僕が望んだのは、あなたではありません」と婚約破棄をされたのに、どうしてそんなに大切にするのでしょう。 【短編集】

長岡更紗
恋愛
異世界恋愛短編詰め合わせです。 気になったものだけでもおつまみください! 『君を買いたいと言われましたが、私は売り物ではありません』 『悪役令嬢は、友の多幸を望むのか』 『わたくしでは、お姉様の身代わりになりませんか?』 『婿に来るはずだった第五王子と婚約破棄します! その後にお見合いさせられた副騎士団長と結婚することになりましたが、溺愛されて幸せです。 』 『婚約破棄された悪役令嬢だけど、騎士団長に溺愛されるルートは可能ですか?』 他多数。 他サイトにも重複投稿しています。

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

不遇な王妃は国王の愛を望まない

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。 ※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり(苦手な方はご注意下さい)。ハピエン🩷 ※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲

〈完結〉「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

処理中です...