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第一章 公爵夫人になりました
お義父様の目論見
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アッパール家が世間的に没落した後、残されたのはアッパール伯爵家最後の当主スダンの妻と二人の娘でした。
いくら当主の暴挙があったからとはいえ流石に王家はこの3人の行く末を見捨てるわけにはいきませんでした。
それにはスダンの推挙の件が絡んでいたそうです。
王妃様がまだ王太子妃であった頃、彼女の護衛にアッパールの親戚筋の者がおりました。
彼の出自は4代前のアッパールの当主と共に生き残り王家の影となった弟の家系です。
彼自身は魔力がなかったので騎士団に入隊しその後実力を認められ王族の護衛の任につく事になったそうです。
彼は本家が段々と没落していくのを忸怩たる思いで見ていたそうです。
本家に干渉することなかれという遺言の為、手出しも口出しもできず途方に暮れていた時に、偶然にも妃殿下の窮地を救ったのです。
妃殿下の公務の際に賊に襲われ馬車毎崖から落とされるという事件がありました。
その日は雨が強く降り本来なら視察した場所へ留まり天候が回復してから移動するのですが、早馬にて妃殿下の母が危篤という連絡が入りました。
妃殿下は王族になったので私用で動く理由にはいきませんが、回りの者が妃殿下の心中を慮って帰る手配をしてくれたそうです。
普段なら了承しない妃殿下もその時ばかりは動揺して母の元に行きたいと許したのです。
その帰路の出来事でした。
護衛は充分にいるはずでしたが途中で一度襲われ、その際に護衛も分断されてしまい最後には馬車毎崖から落とされたそうです。
その時妃殿下も崖下に落とされたのですが咄嗟にその者が手を伸ばし妃殿下の手を掴んでくれたそうです。
それから助けが来るまでの2日間そのままの状態だったそうです。
助けられた後解ったのですが彼の腕と足は骨折していたそうです。
それにも関わらず彼はずっと妃殿下の手を離さず、時には励ましの声を掛け支えてくれたという事です。
命の恩人に王太子殿下と妃殿下は褒美を取らせる事にして、要望を聞いたそうです。
彼は躊躇っていましたがアッパール本家の反映を望みました。
その時にアッパール家の秘密を知った王太子(現陛下)がお義父様に側近として鍛えて欲しいと預けたそうです。
王太子の側近は殿下の一存では決められないのでお義父様に話がいったようですね。
王妃様の推挙の裏にそんな事があったのですね。
それは命の恩人の頼みだったら、しかも自分達から聞いておいて断る訳にはいかないですもんね。
「スダンは初めは真面目に取り組んでたんだよ。
ここで勉強して領地にも活かせることが出来るかもしれないと言ってね。その言葉を私は信じた、だから多少厳しくもしたんだ。
彼には伝わらなかった、段々と卑屈になり最後には他人を貶める事しか考えないような男になってしまった。
私の所にいた時に父親が亡くなって家督を継いだ事も影響あるのかもしれないね。
その頃から傲慢になっていってたから」
関係を解消したあとも金銭的には補助したそうです。
領地の事も調べたり何か策はないかと思案していましたが肝心のスダンがあの通りだったので結果は断絶という事に⋯⋯。
その事を知った彼の護衛は責任を感じ職を辞し自らの命を持って償うという最悪な事態も招きました。
そんな事があったので彼女達の保護先はかなり慎重に検討していました。
スダンの妻の実家は子爵家でしたが既に弟が継いでいます、ただ本人は実家に帰る事を希望していました。
陛下が子爵に確認すると引き取ってもいいと言う事だったのでそのまま本人の希望通りにさせたのですが、ここで王家は失態を冒します。
陛下がどうかと訊ねたら臣下である子爵は御意しか言えない事を権力がある者が忘れていたのです。
王妃殿下もお義父様も忘れていました。
2年後スノーが教会にいる所を偶然見かけたお義父様が、スノーから話しを聞くと、自分達は子爵家で使用人同然の扱いで母と姉は死んだとその後自分も追い出されて教会にいたといったそうです。
お義父様は話しの脈絡もおかしいとは思いましたが、そのままにできずスノーを公爵家に連れ帰りました。
その後の調べで、やはりスノーは嘘をついていて子爵家では贅沢三昧の横暴を繰り返していたある日突然男と一緒に母と姉は出ていったそうです。
その後もスノーはお義父様と会うまで子爵家にいたそうで、帰ってこないのでどうしたものかと思っていたと子爵は話しました。
周りの家にも事実確認をして子爵の言い分が正しいと思ったお義父様は、スノー達は何かを画策していると思い監視する事にしたのです。
お義父様が本邸を出たあとはその任はマーク様に引き継いだといいます。
「調べるとスダンの妻と娘は今、あの国に行ってるんだ。マークの父親が連絡してきた。
おそらく我々をというよりこの国を恨んでいるのは間違いないからね。
ただどういう風に復讐しようとしているのか不明なんだ。探りたくてもサンディルがいない状態では少し厳しくてね、で、アディルに頼もうかな~って」
軽く言っちゃってますけど大変な事押し付けないでください。
態と心の中で念じてるのにお義父様が無視します。
無視しないでくださいませ。
「ねぇアディル。私達は沢山後手に回ってるの。
陛下の夢見の敵国もおそらくあの国だと思うけど確証はない。
貴方のご実家の養女のどちらが唆されるのかもわからない。
ないない尽くしで、チェリーナのいない今貴方しか頼れないの。
難しいことをしなくていいわ。
ありのまま過ごしてくれたらそれでいい。
ただあのスノーという娘だけは手元に置いておかないといけないの。
上手いことやってくれない?」
「王妃様の策があれば私に与えてくださいませ。
今は頭がゴチャゴチャで考えが纏まらないのですけど、期待に添えず申し訳ありません」
私は不敬とも思ったけど正直に言ってみたらお義母様が助け舟を出してくれました。
「エンヌ、私の可愛い義娘に無理難題は無しよ」
「ババーンと魔法披露しちゃったら?貴方のそのチェリーナを凌ぐ魔法を」
「そんな事でいいのですか?」
「いいわよ、それであちらがどう動くかね。
国はそれでいいし、国内も貴方の魔法にびっくりして流石に公爵家に手は出さないでしょうし、そっちの企みもわかるかも!ね!一石二鳥よ」
「それはいいな!僕らも周りの動きを見るだけで済むし、義姉上珍しく冴えてますね」
「不敬。こいつを捉えて」
笑ってるお義父様を捉える勇気はこの邸にはいないと思います王妃様。
私の契約結婚の契約がどんどん増えてるのですけど、どこかで打ち止めしなければ際限がないのではないかしら?
いくら当主の暴挙があったからとはいえ流石に王家はこの3人の行く末を見捨てるわけにはいきませんでした。
それにはスダンの推挙の件が絡んでいたそうです。
王妃様がまだ王太子妃であった頃、彼女の護衛にアッパールの親戚筋の者がおりました。
彼の出自は4代前のアッパールの当主と共に生き残り王家の影となった弟の家系です。
彼自身は魔力がなかったので騎士団に入隊しその後実力を認められ王族の護衛の任につく事になったそうです。
彼は本家が段々と没落していくのを忸怩たる思いで見ていたそうです。
本家に干渉することなかれという遺言の為、手出しも口出しもできず途方に暮れていた時に、偶然にも妃殿下の窮地を救ったのです。
妃殿下の公務の際に賊に襲われ馬車毎崖から落とされるという事件がありました。
その日は雨が強く降り本来なら視察した場所へ留まり天候が回復してから移動するのですが、早馬にて妃殿下の母が危篤という連絡が入りました。
妃殿下は王族になったので私用で動く理由にはいきませんが、回りの者が妃殿下の心中を慮って帰る手配をしてくれたそうです。
普段なら了承しない妃殿下もその時ばかりは動揺して母の元に行きたいと許したのです。
その帰路の出来事でした。
護衛は充分にいるはずでしたが途中で一度襲われ、その際に護衛も分断されてしまい最後には馬車毎崖から落とされたそうです。
その時妃殿下も崖下に落とされたのですが咄嗟にその者が手を伸ばし妃殿下の手を掴んでくれたそうです。
それから助けが来るまでの2日間そのままの状態だったそうです。
助けられた後解ったのですが彼の腕と足は骨折していたそうです。
それにも関わらず彼はずっと妃殿下の手を離さず、時には励ましの声を掛け支えてくれたという事です。
命の恩人に王太子殿下と妃殿下は褒美を取らせる事にして、要望を聞いたそうです。
彼は躊躇っていましたがアッパール本家の反映を望みました。
その時にアッパール家の秘密を知った王太子(現陛下)がお義父様に側近として鍛えて欲しいと預けたそうです。
王太子の側近は殿下の一存では決められないのでお義父様に話がいったようですね。
王妃様の推挙の裏にそんな事があったのですね。
それは命の恩人の頼みだったら、しかも自分達から聞いておいて断る訳にはいかないですもんね。
「スダンは初めは真面目に取り組んでたんだよ。
ここで勉強して領地にも活かせることが出来るかもしれないと言ってね。その言葉を私は信じた、だから多少厳しくもしたんだ。
彼には伝わらなかった、段々と卑屈になり最後には他人を貶める事しか考えないような男になってしまった。
私の所にいた時に父親が亡くなって家督を継いだ事も影響あるのかもしれないね。
その頃から傲慢になっていってたから」
関係を解消したあとも金銭的には補助したそうです。
領地の事も調べたり何か策はないかと思案していましたが肝心のスダンがあの通りだったので結果は断絶という事に⋯⋯。
その事を知った彼の護衛は責任を感じ職を辞し自らの命を持って償うという最悪な事態も招きました。
そんな事があったので彼女達の保護先はかなり慎重に検討していました。
スダンの妻の実家は子爵家でしたが既に弟が継いでいます、ただ本人は実家に帰る事を希望していました。
陛下が子爵に確認すると引き取ってもいいと言う事だったのでそのまま本人の希望通りにさせたのですが、ここで王家は失態を冒します。
陛下がどうかと訊ねたら臣下である子爵は御意しか言えない事を権力がある者が忘れていたのです。
王妃殿下もお義父様も忘れていました。
2年後スノーが教会にいる所を偶然見かけたお義父様が、スノーから話しを聞くと、自分達は子爵家で使用人同然の扱いで母と姉は死んだとその後自分も追い出されて教会にいたといったそうです。
お義父様は話しの脈絡もおかしいとは思いましたが、そのままにできずスノーを公爵家に連れ帰りました。
その後の調べで、やはりスノーは嘘をついていて子爵家では贅沢三昧の横暴を繰り返していたある日突然男と一緒に母と姉は出ていったそうです。
その後もスノーはお義父様と会うまで子爵家にいたそうで、帰ってこないのでどうしたものかと思っていたと子爵は話しました。
周りの家にも事実確認をして子爵の言い分が正しいと思ったお義父様は、スノー達は何かを画策していると思い監視する事にしたのです。
お義父様が本邸を出たあとはその任はマーク様に引き継いだといいます。
「調べるとスダンの妻と娘は今、あの国に行ってるんだ。マークの父親が連絡してきた。
おそらく我々をというよりこの国を恨んでいるのは間違いないからね。
ただどういう風に復讐しようとしているのか不明なんだ。探りたくてもサンディルがいない状態では少し厳しくてね、で、アディルに頼もうかな~って」
軽く言っちゃってますけど大変な事押し付けないでください。
態と心の中で念じてるのにお義父様が無視します。
無視しないでくださいませ。
「ねぇアディル。私達は沢山後手に回ってるの。
陛下の夢見の敵国もおそらくあの国だと思うけど確証はない。
貴方のご実家の養女のどちらが唆されるのかもわからない。
ないない尽くしで、チェリーナのいない今貴方しか頼れないの。
難しいことをしなくていいわ。
ありのまま過ごしてくれたらそれでいい。
ただあのスノーという娘だけは手元に置いておかないといけないの。
上手いことやってくれない?」
「王妃様の策があれば私に与えてくださいませ。
今は頭がゴチャゴチャで考えが纏まらないのですけど、期待に添えず申し訳ありません」
私は不敬とも思ったけど正直に言ってみたらお義母様が助け舟を出してくれました。
「エンヌ、私の可愛い義娘に無理難題は無しよ」
「ババーンと魔法披露しちゃったら?貴方のそのチェリーナを凌ぐ魔法を」
「そんな事でいいのですか?」
「いいわよ、それであちらがどう動くかね。
国はそれでいいし、国内も貴方の魔法にびっくりして流石に公爵家に手は出さないでしょうし、そっちの企みもわかるかも!ね!一石二鳥よ」
「それはいいな!僕らも周りの動きを見るだけで済むし、義姉上珍しく冴えてますね」
「不敬。こいつを捉えて」
笑ってるお義父様を捉える勇気はこの邸にはいないと思います王妃様。
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