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番外編
因果応報 sideユリ3−①
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✱注意です!
今回の番外編は屑まみれのお話しです。
受け付けられない方はそっとお逃げくださいませ
──────────────
私はユリ、ユリ・セロー。
セロー男爵の妻です。
私は生まれ育った国で罪を犯し罰を与えられ国外追放になってしまいました。
とても理不尽な辺境伯の仕打ちでしたが、力のない私では太刀打ち出来ませんので受け入れました。
親からは少しだけ怒られました。
何故もっと上手く立ち回らなかったのかと⋯。
そして、丁度いいと言って私は隣国のセロー男爵に嫁に出されたのです。
大金と引き換えに⋯⋯。
結局侍女としてはもう働けなくなったので、当初の予定通り売り飛ばしたみたいです。
歳の離れた色ボケ爺に嫁がされるのは、あの国だけと思っていたのに隣国にも伝手が合ったとは知りませんでした。
私が嫁いだセロー男爵は齢70を超えた方で自分の事もよくわからないほど老いていらっしゃいました。
結局介護要員として嫁がされたのです。
「お前がユリか?」
「はい」
「私は男爵の息子だ、だが父上は事故でボケてしまってから、まだ継承の手続きが出来ていないんだ。だからお前を雇った」
「妻と聞いておりますが」
「あぁお前罪人だろう?妻にしなければ自由にさせられなかったからな、まぁ父上に嫁ぐからこちらとしても何の問題もない」
「左様でございますか」
「ふん!お前にやってもらいたいのは父上の世話と遺言書を探してくれ」
「遺言書?」
「あぁそうしたら俺の嫁にしてもいい、それまでは名ばかりの男爵夫人だな」
セロー男爵の息子は3人いるようです。
私にこの話しを持ちかけた男は長男のサウスベック、次男の名前はヒューリー、三男はマーチス。
サウスベックは50代だと思われます。
この国は勝手に継承が出来ないように、爵位を継承した時に遺言書を作成して国に預けます。
対になった遺言書があれば例え当主が突然亡くなったりまぁ今回のようにボケていても継承できるのです。
逆にそれがなければたとえば今男爵が死んでしまったら国に全て取り上げられる、そういうことみたい。
私には関係ないのだけれど、見つけたとしてもあんな男の妻にしかなれないなら、お先真っ暗だし、とりあえず世話をすればいいのよね。
そう思って始めましたが仕事はとても大変で有り得ないものでした。
しかも侍女はおらずメイドが2名一日交代で来るだけ。
休む暇も無く働かされました。
初日にメイドに丸投げしたら次の日、50歳の息子に鞭打たれました、食事もさせて貰えなかった。
なんの事はないメイドは私の監視も兼任していたのです。
逃げたくても逃げる隙も与えてもらえず絶望の日々でした。
そんなある日実は私見つけてしまったの遺言書を。
でも直ぐに渡すのは憚られました。
だってこれを差し出しても私には一銭の得にもならないもの。
それで考えたの、ここの長男であるサウスベックは50代、でもね下の二人はまだ30代と20代。
どうせお飾りの妻か愛人なら下の二人のほうが幸せになれそう。
下の二人も遺言書を探しに偶にここにやって来る、その時を狙って話しかけてみた。
3男のマーチスはちょっと話したけど私には全く興味なさそうだった。
それなら話しを持ちかけても見返りが期待できない。
だから次男のヒューリーに話しを持ちかけたの。
「ヒューリー様、こんにちは」
「こんにちは、ユリさん父上は相変わらずですか?」
「えぇ」
私は努めて清楚に微笑みました。
今回の番外編は屑まみれのお話しです。
受け付けられない方はそっとお逃げくださいませ
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私はユリ、ユリ・セロー。
セロー男爵の妻です。
私は生まれ育った国で罪を犯し罰を与えられ国外追放になってしまいました。
とても理不尽な辺境伯の仕打ちでしたが、力のない私では太刀打ち出来ませんので受け入れました。
親からは少しだけ怒られました。
何故もっと上手く立ち回らなかったのかと⋯。
そして、丁度いいと言って私は隣国のセロー男爵に嫁に出されたのです。
大金と引き換えに⋯⋯。
結局侍女としてはもう働けなくなったので、当初の予定通り売り飛ばしたみたいです。
歳の離れた色ボケ爺に嫁がされるのは、あの国だけと思っていたのに隣国にも伝手が合ったとは知りませんでした。
私が嫁いだセロー男爵は齢70を超えた方で自分の事もよくわからないほど老いていらっしゃいました。
結局介護要員として嫁がされたのです。
「お前がユリか?」
「はい」
「私は男爵の息子だ、だが父上は事故でボケてしまってから、まだ継承の手続きが出来ていないんだ。だからお前を雇った」
「妻と聞いておりますが」
「あぁお前罪人だろう?妻にしなければ自由にさせられなかったからな、まぁ父上に嫁ぐからこちらとしても何の問題もない」
「左様でございますか」
「ふん!お前にやってもらいたいのは父上の世話と遺言書を探してくれ」
「遺言書?」
「あぁそうしたら俺の嫁にしてもいい、それまでは名ばかりの男爵夫人だな」
セロー男爵の息子は3人いるようです。
私にこの話しを持ちかけた男は長男のサウスベック、次男の名前はヒューリー、三男はマーチス。
サウスベックは50代だと思われます。
この国は勝手に継承が出来ないように、爵位を継承した時に遺言書を作成して国に預けます。
対になった遺言書があれば例え当主が突然亡くなったりまぁ今回のようにボケていても継承できるのです。
逆にそれがなければたとえば今男爵が死んでしまったら国に全て取り上げられる、そういうことみたい。
私には関係ないのだけれど、見つけたとしてもあんな男の妻にしかなれないなら、お先真っ暗だし、とりあえず世話をすればいいのよね。
そう思って始めましたが仕事はとても大変で有り得ないものでした。
しかも侍女はおらずメイドが2名一日交代で来るだけ。
休む暇も無く働かされました。
初日にメイドに丸投げしたら次の日、50歳の息子に鞭打たれました、食事もさせて貰えなかった。
なんの事はないメイドは私の監視も兼任していたのです。
逃げたくても逃げる隙も与えてもらえず絶望の日々でした。
そんなある日実は私見つけてしまったの遺言書を。
でも直ぐに渡すのは憚られました。
だってこれを差し出しても私には一銭の得にもならないもの。
それで考えたの、ここの長男であるサウスベックは50代、でもね下の二人はまだ30代と20代。
どうせお飾りの妻か愛人なら下の二人のほうが幸せになれそう。
下の二人も遺言書を探しに偶にここにやって来る、その時を狙って話しかけてみた。
3男のマーチスはちょっと話したけど私には全く興味なさそうだった。
それなら話しを持ちかけても見返りが期待できない。
だから次男のヒューリーに話しを持ちかけたの。
「ヒューリー様、こんにちは」
「こんにちは、ユリさん父上は相変わらずですか?」
「えぇ」
私は努めて清楚に微笑みました。
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