【本編完結】逃げるが価値

maruko

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56 罪人達

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邸に着いて時間が遅かったので取りあえず夕食を先にという事になり、食堂に向かうと伯母様がまだでした。

「マイラ、義姉上は元気そうだったかな?」

叔父様が心配そうに尋ねます。
なので、から元気かもしれないけれどとても楽しそうだったと一日の流れを話してメイさんが言ってた言葉も伝えます。

すると伯父様は口を押さえ少しウルッとしてます。

「義姉上が元気がなかった事にも気づけてなかったんだろう、自分が隠すのに精一杯で」

「⋯そうなんだ、隠し事は私に向いてない。だから毎日献上品の選定だと言って外出していた。ナタリーがあんなに辛い思いをしていたのにも気づかずに、サーラまで巻き込んで、しかもその話しを聞かれていたとは」

「そうなんですか?」

「あぁ食後に義姉上も交えて話すよ、マイラは聞けたのかな?」

「はい、叔父様は聞けなくてもいいと仰ってましたけど聞いてしまいました。伯母様は話してくれましたけど、私が存じ上げない方なので目的はさっぱりです」

「名前はわかるかい?」

「アマンダ様という方です」

「「はぁ!」」

二人で驚いているという事はかなりの近しい方だったのでしょう。
伯母様が気の毒です。

ここで伯母様が来られたので続きは、食後ということになりました。

4人で談笑しながらの食事はとても楽しかった。
とりわけ伯母様は今日の出来事が新鮮だったのか、度々伺いたいと伯父様に懇願しています。

伯父様は暫く伯母様とちゃんとお話しが出来なかったので(伯母様は愛人云々、伯父様はサプライズの為の挙動不審)ニコニコしながら伯母様の話しを聞いていましたが、外出は自分と一緒ならと言ってます。

もしかして伯父様は過保護?

伯母様が大好きなんですね、この二人を壊そうとした輩は絶対に許すまじ!

食後に移動した部屋はレッスン室でした。

中に入るとが縛られて騎士に囲まれていました。

その中で私の見知った顔は二人のみ、侍女たちです。

他は見覚えありません。

私と伯母様が二人で寄り添っていると青年執事が椅子を持ってきてくれます。

この方もいたのね。
彼の名前はアレンと紹介されましたが私はまだ一度も名前を呼んでません。

まだ彼の事は許してないからです。

仮にも執事なのですから今回の愛人騒動を彼は防げる立場にいたのにそれを怠ったからです。

防ぐ所か一緒に騙されるなんて私から言わせれば彼は『アホ』です、もしくは『マヌケ』あるいは『スットコドッコイの唐変木』です。

暫くは青年執事で十分です。
ちなみに伯母様の甥だとか⋯⋯系図だと私の親戚ですけど修行がまだまだ足りませんね。

いや、伯母様も基本はおっとり系⋯⋯血筋?
執事向いてないのでは?
伯父様に進言した方がいいのかしら。

人様の邸の人事に勝手に思いを馳せながら、心の中でフンフン鼻を踏み鳴らしていたら伯父様が一人一人のを説明してくださいました。


事の経緯はアマンダを捕らえてからとか、今カザール騎士団が叔父様の命で向かっているそうです。

先程聞いたばかりの筈なのにお仕事早いです。

そして騎士団を動かしましたのね。
おじ様達の怒りが偲ばれますが私も思いは同じなので、良しとしましょう。

お歳の割に純粋培養な伯母様を騙すのはいとも容易かったかもしれませんが、相手の信頼に託つけて騙すなんて!
しかも虐めという下劣な物を利用して⋯⋯。


さて、どんな顔の女でしょうか。

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