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53 謝罪合戦
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馬車の中で伯母様がその侍女を紹介して下さいました。
彼女はメイさんというお名前でなんとジールの奥様でした。
私は昨日のビンタの件は、私的には謝りたくなかったのですが、ジールの奥様ということで悩んでしまいます。
どうしたもんかと心の中で葛藤していたら、伯母様から話しを振ってくださいました。
「マイラちゃん、出来れば彼女の事を許してあげて私の命令に従っただけなの。私が悪いのよ、勘違いして自分の侍女にも貴方にも辛い思いをさせたの」
「マイラ様、昨日は大変失礼しました。嫌なものをお見せしてしまって、申し訳ありません。あの⋯⋯サーラには謝罪して許して貰っています。」
サーラが許したのなら私がとやかく言うことでもないし、そもそも伯母様の命に従っただけの侍女を勝手にビンタしたの私だし⋯⋯。
「いえメイさん、私の方こそいきなり失礼しました」
「マイラ様はサーラが大好きなのですね」
「はい!子供の頃はサーラが母だったらいいのにって思っていた位、大好きです。私のせいで侯爵家を追われましたが今ではこちらに来られて良かったとサーラは言ってましたし⋯⋯あの私子供の頃ジールに助けてもらったんです。その⋯それなのにジールの大切な奥様に⋯でも叩いたのは、謝れないです、その⋯⋯」
「マイラ様、気にしないで下さい。マイラ様は母とも思っていたサーラを救っただけです。それに私も主人に怒られました。妻がそんな事していたらマイラ様に合わす顔がないと言われてしまって、私の方こそどうかお許し下さいませ」
「そんな!ジールにとても会いたいんです私。ジールのくれた鉢植えを家を出る時、持ってこれなくて私の方こそ合わす顔がなくて⋯⋯」
「まぁ鉢植えってなあに?」
伯母様が、メイさんと私の謝罪合戦の緩衝材になってくれるみたいです。
引っ込みつかなくて助かりました。
「子供の頃にジールが鉢植えを私にくれたんです。私のお誕生日に花が咲くように合わせてくれて⋯私、その鉢植えに毎日お水をあげる事にとても癒やされていて、あの鉢植えがあったから寂しさも耐える事ができたのに⋯⋯持って出ることができなくて⋯⋯」
「まぁマイラ様、そんな事気にしなくても大丈夫です。鉢植えなんて外出するのに持って出るのは大変です」
「そうよ!マイラちゃん。またジールに何か見立ててもらいましょう。今度はどんな花にしましょうか?楽しみね」
「主人も喜びます。よくマイラ様のお話しをしていました、今度会えたらって考えていたから主人も張り切ると思います。お邸に帰ったら是非会ってやってくれませんか?」
「会いたいわ。サーラからジールがこちらにいるって聞いてとっても会いたかったの」
そうこうしているうちに馬車が止まりました。
少し歩いて昨日の硝子細工のお店に向かいます。
お店の前で店主さんが待っていてくれました。
そういえば名乗ってなかったな私。
店主さんのお名前も聞きそびれています。
「お嬢様、おはようございます。朝早くから来て頂けるなんて!」
「店主さんおはようございます」
「昨日はうっかり名乗るのを忘れていました、お許しください。私はトーチと申します」
「トーチさんと呼んでもよろしいですか?」
「ありがとうございます。是非」
「トーチさん、私はマイラと申します。そして⋯」
「店主、私はマイラの伯母です。姪が世話になるわね」
「これは!代官様の奥様!そんなお嬢様は代官家の方でしたか、そんな方に頼み事など申しわけありません」
トーチさんが恐縮してますが、私はディスプレイしたいので、ここで話しが流れるのは嫌です。
「トーチさん、私がやってみたいの。中に入ってもいいかしら?」
「お嬢様、いいのですか?」
トーチさんは私に尋ねながら伯母様の顔を伺ってる。
伯母様お願い!
「マイラちゃんが是非にと私も誘ってくれたの。私も楽しみにしていたのよ、中へいいかしら?」
「どうぞ、どうぞ、狭い店ですがお入り下さい」
漸くお店に入れます。
あ~良かったぁ
伯父様はこのバイカ地方を統治しているから代官様って呼ばれてるのね。
前世の事があるから代官ってあまりいいイメージないんだけどなぁ
人生~楽ありゃ苦もあるさぁ♫
と、ハミングしながらお店の中へ案内してもらいました。
彼女はメイさんというお名前でなんとジールの奥様でした。
私は昨日のビンタの件は、私的には謝りたくなかったのですが、ジールの奥様ということで悩んでしまいます。
どうしたもんかと心の中で葛藤していたら、伯母様から話しを振ってくださいました。
「マイラちゃん、出来れば彼女の事を許してあげて私の命令に従っただけなの。私が悪いのよ、勘違いして自分の侍女にも貴方にも辛い思いをさせたの」
「マイラ様、昨日は大変失礼しました。嫌なものをお見せしてしまって、申し訳ありません。あの⋯⋯サーラには謝罪して許して貰っています。」
サーラが許したのなら私がとやかく言うことでもないし、そもそも伯母様の命に従っただけの侍女を勝手にビンタしたの私だし⋯⋯。
「いえメイさん、私の方こそいきなり失礼しました」
「マイラ様はサーラが大好きなのですね」
「はい!子供の頃はサーラが母だったらいいのにって思っていた位、大好きです。私のせいで侯爵家を追われましたが今ではこちらに来られて良かったとサーラは言ってましたし⋯⋯あの私子供の頃ジールに助けてもらったんです。その⋯それなのにジールの大切な奥様に⋯でも叩いたのは、謝れないです、その⋯⋯」
「マイラ様、気にしないで下さい。マイラ様は母とも思っていたサーラを救っただけです。それに私も主人に怒られました。妻がそんな事していたらマイラ様に合わす顔がないと言われてしまって、私の方こそどうかお許し下さいませ」
「そんな!ジールにとても会いたいんです私。ジールのくれた鉢植えを家を出る時、持ってこれなくて私の方こそ合わす顔がなくて⋯⋯」
「まぁ鉢植えってなあに?」
伯母様が、メイさんと私の謝罪合戦の緩衝材になってくれるみたいです。
引っ込みつかなくて助かりました。
「子供の頃にジールが鉢植えを私にくれたんです。私のお誕生日に花が咲くように合わせてくれて⋯私、その鉢植えに毎日お水をあげる事にとても癒やされていて、あの鉢植えがあったから寂しさも耐える事ができたのに⋯⋯持って出ることができなくて⋯⋯」
「まぁマイラ様、そんな事気にしなくても大丈夫です。鉢植えなんて外出するのに持って出るのは大変です」
「そうよ!マイラちゃん。またジールに何か見立ててもらいましょう。今度はどんな花にしましょうか?楽しみね」
「主人も喜びます。よくマイラ様のお話しをしていました、今度会えたらって考えていたから主人も張り切ると思います。お邸に帰ったら是非会ってやってくれませんか?」
「会いたいわ。サーラからジールがこちらにいるって聞いてとっても会いたかったの」
そうこうしているうちに馬車が止まりました。
少し歩いて昨日の硝子細工のお店に向かいます。
お店の前で店主さんが待っていてくれました。
そういえば名乗ってなかったな私。
店主さんのお名前も聞きそびれています。
「お嬢様、おはようございます。朝早くから来て頂けるなんて!」
「店主さんおはようございます」
「昨日はうっかり名乗るのを忘れていました、お許しください。私はトーチと申します」
「トーチさんと呼んでもよろしいですか?」
「ありがとうございます。是非」
「トーチさん、私はマイラと申します。そして⋯」
「店主、私はマイラの伯母です。姪が世話になるわね」
「これは!代官様の奥様!そんなお嬢様は代官家の方でしたか、そんな方に頼み事など申しわけありません」
トーチさんが恐縮してますが、私はディスプレイしたいので、ここで話しが流れるのは嫌です。
「トーチさん、私がやってみたいの。中に入ってもいいかしら?」
「お嬢様、いいのですか?」
トーチさんは私に尋ねながら伯母様の顔を伺ってる。
伯母様お願い!
「マイラちゃんが是非にと私も誘ってくれたの。私も楽しみにしていたのよ、中へいいかしら?」
「どうぞ、どうぞ、狭い店ですがお入り下さい」
漸くお店に入れます。
あ~良かったぁ
伯父様はこのバイカ地方を統治しているから代官様って呼ばれてるのね。
前世の事があるから代官ってあまりいいイメージないんだけどなぁ
人生~楽ありゃ苦もあるさぁ♫
と、ハミングしながらお店の中へ案内してもらいました。
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