【本編完結】逃げるが価値

maruko

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ミナさんが店員にお金を渡して何かを頼んでいます。
戻って暫くすると店員が持ってきたのはレターセットとペンでした。

サラサラっと何かを認めて封書の口をしっかり糊付けします。

それから立ち上がり何と斜め後ろでお喋りしていた彼女達に託しています。

「えっ?サーラと知り合いなのですか?」

「えぇまぁそうです。私のことはミナって言ってくれればサーラさんにはわかりますので、お願い聞いてくれたら先程の貴方の失言黙っていますわ」

「⋯⋯⋯」

「お願い聞いて下さいます?」

「わかりました、お預かりします」

「ありがとう、それと一つ質問が、この辺りに宿を取りたいのだけど良い所はあるかしら?」

「そこの角を曲がったところに貴族の方も泊まる大きめな宿屋がありますよ。ミラン亭って名前です」

「あぁありがとうございます。ではサーラさんにお手紙渡す時にミナはそこの宿屋にいるとお伝えくださいね」

「⋯⋯⋯」

「ねっ!ねっ!ねっReply⋯⋯」

ミナさんは彼女達が「わっわかったわよ伝えるわ」と言うまで「ねっ!」を繰り返してました。
その様子を私は背中で聞きながら”ミナさん怖い”って思っちゃった。

私達の食事の途中で彼女達は店を出るようです。

ミナさんがニッコリ微笑んで軽く頭を下げたので、向こうがこちらを見ながら帰ったのだと気づきました。

「マイラ様、そういうことなので本日はこの近くで泊まりましょう。誤解は早めに解いたほうがよろしいと思われますし、伯爵夫人の心の安寧は願いたくありませんが無駄に夫婦仲を壊す必要もありませんし、万が一サーラさんに迷惑がかからないように、かかっても対処できるようにしましょう」

「ありがとうミナさん。叔父様に泊まることを手紙に書くわ。見たらこちらにも来てくださるかもしれないし」

「それはいいですね。愛人の話もちゃんと書いておいてくださいね」

「書いたほうがいい?誤解されてるって書こうと思ったけど、そこまでいるかしら?」

「絶対に書いてくださいね!マイラ様お優しすぎます」

「えっ?優しいわけじゃないけど」

「書いたほうが絶対いいですから、ねっ!」

ミナさんの『ねっ!』が怖かったので言うとおりにしようと思います。

先程ミナさんが使ったレターセットで早速叔父様に手紙を書いて、護衛の方にお願いしました。

片方の方が早速、騎馬で向かわれるみたいです。

『子羊のブラウンシチュー』美味しかったのに十分に堪能できずに残念です。

先程の女性たちが言っていたとおり宿屋は直ぐ近くにありました。

ミナさんが宿泊の手続きなどしている時にもう片方の護衛の方に馭者のお爺さんに食べ物の差し入れとここに泊まることを伝えに言ってもらいました。

案内された部屋は二人部屋です。

泊まりのつもりで来ていなかったので、直ぐに部屋を出てミナさんとお買い物へ行くことにしました。

そういえばお買い物するのはあちこち回って大変だった記憶があります。

ミナさんはサラお義母様に付いて行けてたから、あんな感じでのお買い物なら私またフラフラになるかもしれません。

「ミナさん!お買い物は、あの⋯お手柔らかにお願いします」

「承知しました」

満面の笑みのミナさんはお返事だけは立派でした。


このあと倒れそうになるほどのお買い物、やっぱり女性の買い物って凄い!
再び実感する私です。
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