33 / 91
32 夕日
しおりを挟む
辺境地カザール領とセザン伯爵領の境界線に置かれてるのはマルクス領。
この地はカザール領内の治安維持のために日々粉骨砕身の騎士たちが集う場所。
代表はマルクス子爵が担っている。
マルクス子爵は主に騎士団の金庫番を努めている家で騎士の家ではない。
だからなのか、大きな砦の横にズラッとある騎士の居住区を少し歩くときれいに整備された商店街が並んでいる。
「へぇ~とてもきれいな街なのね。騎士の街とは思えないくらい。王都よりも歩道が整備されてとても歩きやすいし、お店は一軒一軒覗きたくなるわね」
驚いたことに異世界では珍しく店頭ディスプレイを施している。
やはりこの地には前世、地球に住んでいた人がいるんじゃないかしら?
日本人だといいなぁ話が合いそうだし。
すると一軒のお店に目が止まる
絶対日本人だと思う。
だってそのお店で、『たこせん』を店頭で売ってるんだもん。
「サーラさん、あれなんですか?すごく美味しそうな匂い。初めて見るんですけど」
ミナさんが『たこせん』に興味津々の模様。
「私は普段こちらにはいなくて、マルクスに来て3日目ですけど、あれは初日に食べました。非常に美味しいですよ。あまり知られてないんですけどスースーっていうドレッシングがついたターコっていうものをせんべいっていうので挟んであるんです」
スースーはソースで、ターコはたこ焼きね、う~~間違って伝承されてるー、正解を教えてあげたい、でも煎餅だけはしっかり合ってる何故だ!
前世、一時期近所のスーパーの店頭前で『たこせん』の屋台が立っていて、あれを私は主食にしていた。
「ミナさん食べてみようよ」
口の中で前世の味を思い出してしまったのかソースの夢想が広がっている。
サーラとミナさんを誘ってお店に向かう。
「いらっしゃいませー」
「それは何ていう食べ物なの?」
「ターコセンベイって言うんです!美味しいですよ。この地方の名物なんです」
(たこせんでいいじゃん)
「ではそちらを3個頂くわ」
「まーいどーりー」
「それは挨拶なの?」
「はいどうぞ!今のですか?私のお祖父さんがターコせんべいが売れたとき必ず言っていたんです。おまじないじゃないかなーって思ってますけど、これ言うと沢山売れるんです」
絶対“毎度あり”だ!
「お祖父様は、お店の中ですか?」
「えっ?あの貴族の方だったんですね。先程から失礼いたしました。えっとご令嬢はお祖父さんに興味があるのでしょうか?」
しまったわ、平民の物言いではお祖父様とは言わないのね。身バレしてしまった。
「いえそんなに畏まらないで、お祖父様に興味があるというか、会ってみたいなと思いまして」
「お祖父さん5年前に死んでしまったんです」
「⋯⋯そうだったんですね、申し訳ないわ、辛い話をさせてしまいましたね」
「いえ老衰の大往生でしたから、本人も周りも悔いはないです。ターコせんべい熱いうちに食べてください。お嬢様のお口に合うかわかりませんが、美味しかったらまたよろしくお願いします」
よく見るとお店番の娘は私と同じくらいの年で、少し赤みがかった髪を三つ編みにして三角巾を着けている。
そして彼女は割烹着を着ていた。
彼女のお祖父様とお話ししてみたかったなぁ
『たこせん』改め『ターコせんべい』を右手にこれまた途中で購入したどう見てもウーロン茶を左手に持って、サーラの案内で公園にやって来た。
公園には人口で作ったと思われる少し高めの丘があってそこに長めの丸太が椅子代わりに置いてありました。
私達はそこに座って三つ編みの彼女のアドバイスどおり熱いうちにターコせんべいを頬張る。
うわぁ前世とほぼ同じ味。
お祖父さんはどうやって再現したのだろう。
前世まさか“粉もの屋”だったのかな。
しかしタコは入ってなかった、代わりにコーンが少し入っていて絶妙に甘さがプラスされて私としてはこちらのほうが好みかも。
でも、タコもいつかは食べてみたい。
ミナさんも目が丸くなってる、そして口の端にも頬にもソースがついてる。
ハンカチで拭いてあげると「すみません」と言ってるそばからソースが垂れてる。
「美味しいけど食べにくいですね」
私はミナさんにたこせんの正しい食べ方を教えてあげました。
私のたこせん歴は10何年だったかな?
久しぶりに食べて日本が懐かしくなってきたなぁ
3人でたこせんパーティーを終わらせて少しお喋りをしていたら真正面に夕日が落ちてゆく様子が見えてきた。
少し小高い丘だったから周りに視界を遮るものがない。
ゆっくりゆっくりと落ちる。
陽の光が段々と白い雲を包むようにオレンジに染め上げて夕暮れになってくる。
一人で見たらきっと物悲しく寂しい気持ちだったかもしれない。
でも今私は一人じゃない。
どうでもいい存在でもない。
今ここで生きているんだと思えるの。
この地はカザール領内の治安維持のために日々粉骨砕身の騎士たちが集う場所。
代表はマルクス子爵が担っている。
マルクス子爵は主に騎士団の金庫番を努めている家で騎士の家ではない。
だからなのか、大きな砦の横にズラッとある騎士の居住区を少し歩くときれいに整備された商店街が並んでいる。
「へぇ~とてもきれいな街なのね。騎士の街とは思えないくらい。王都よりも歩道が整備されてとても歩きやすいし、お店は一軒一軒覗きたくなるわね」
驚いたことに異世界では珍しく店頭ディスプレイを施している。
やはりこの地には前世、地球に住んでいた人がいるんじゃないかしら?
日本人だといいなぁ話が合いそうだし。
すると一軒のお店に目が止まる
絶対日本人だと思う。
だってそのお店で、『たこせん』を店頭で売ってるんだもん。
「サーラさん、あれなんですか?すごく美味しそうな匂い。初めて見るんですけど」
ミナさんが『たこせん』に興味津々の模様。
「私は普段こちらにはいなくて、マルクスに来て3日目ですけど、あれは初日に食べました。非常に美味しいですよ。あまり知られてないんですけどスースーっていうドレッシングがついたターコっていうものをせんべいっていうので挟んであるんです」
スースーはソースで、ターコはたこ焼きね、う~~間違って伝承されてるー、正解を教えてあげたい、でも煎餅だけはしっかり合ってる何故だ!
前世、一時期近所のスーパーの店頭前で『たこせん』の屋台が立っていて、あれを私は主食にしていた。
「ミナさん食べてみようよ」
口の中で前世の味を思い出してしまったのかソースの夢想が広がっている。
サーラとミナさんを誘ってお店に向かう。
「いらっしゃいませー」
「それは何ていう食べ物なの?」
「ターコセンベイって言うんです!美味しいですよ。この地方の名物なんです」
(たこせんでいいじゃん)
「ではそちらを3個頂くわ」
「まーいどーりー」
「それは挨拶なの?」
「はいどうぞ!今のですか?私のお祖父さんがターコせんべいが売れたとき必ず言っていたんです。おまじないじゃないかなーって思ってますけど、これ言うと沢山売れるんです」
絶対“毎度あり”だ!
「お祖父様は、お店の中ですか?」
「えっ?あの貴族の方だったんですね。先程から失礼いたしました。えっとご令嬢はお祖父さんに興味があるのでしょうか?」
しまったわ、平民の物言いではお祖父様とは言わないのね。身バレしてしまった。
「いえそんなに畏まらないで、お祖父様に興味があるというか、会ってみたいなと思いまして」
「お祖父さん5年前に死んでしまったんです」
「⋯⋯そうだったんですね、申し訳ないわ、辛い話をさせてしまいましたね」
「いえ老衰の大往生でしたから、本人も周りも悔いはないです。ターコせんべい熱いうちに食べてください。お嬢様のお口に合うかわかりませんが、美味しかったらまたよろしくお願いします」
よく見るとお店番の娘は私と同じくらいの年で、少し赤みがかった髪を三つ編みにして三角巾を着けている。
そして彼女は割烹着を着ていた。
彼女のお祖父様とお話ししてみたかったなぁ
『たこせん』改め『ターコせんべい』を右手にこれまた途中で購入したどう見てもウーロン茶を左手に持って、サーラの案内で公園にやって来た。
公園には人口で作ったと思われる少し高めの丘があってそこに長めの丸太が椅子代わりに置いてありました。
私達はそこに座って三つ編みの彼女のアドバイスどおり熱いうちにターコせんべいを頬張る。
うわぁ前世とほぼ同じ味。
お祖父さんはどうやって再現したのだろう。
前世まさか“粉もの屋”だったのかな。
しかしタコは入ってなかった、代わりにコーンが少し入っていて絶妙に甘さがプラスされて私としてはこちらのほうが好みかも。
でも、タコもいつかは食べてみたい。
ミナさんも目が丸くなってる、そして口の端にも頬にもソースがついてる。
ハンカチで拭いてあげると「すみません」と言ってるそばからソースが垂れてる。
「美味しいけど食べにくいですね」
私はミナさんにたこせんの正しい食べ方を教えてあげました。
私のたこせん歴は10何年だったかな?
久しぶりに食べて日本が懐かしくなってきたなぁ
3人でたこせんパーティーを終わらせて少しお喋りをしていたら真正面に夕日が落ちてゆく様子が見えてきた。
少し小高い丘だったから周りに視界を遮るものがない。
ゆっくりゆっくりと落ちる。
陽の光が段々と白い雲を包むようにオレンジに染め上げて夕暮れになってくる。
一人で見たらきっと物悲しく寂しい気持ちだったかもしれない。
でも今私は一人じゃない。
どうでもいい存在でもない。
今ここで生きているんだと思えるの。
930
あなたにおすすめの小説
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
繰り返しのその先は
みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、
私は悪女と呼ばれるようになった。
私が声を上げると、彼女は涙を流す。
そのたびに私の居場所はなくなっていく。
そして、とうとう命を落とした。
そう、死んでしまったはずだった。
なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。
婚約が決まったあの日の朝に。
【完結済】25年目の厄災
紫
恋愛
生まれてこの方、ずっと陽もささない地下牢に繋がれて、魔力を吸い出されている。どうやら生まれながらの罪人らしいが、自分に罪の記憶はない。
だが、明日……25歳の誕生日の朝には斬首されるのだそうだ。もう何もかもに疲れ果てた彼女に届いたのは……
25周年記念に、サクッと思い付きで書いた短編なので、これまで以上に拙いものですが、お暇潰しにでも読んで頂けたら嬉しいです。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる