逃げるが価値

maruko

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28 衝撃

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叔父様が我が伯爵家の恥になりますが、と仰って昔語りを始めました。

今から20年前、当時のバイカ伯爵家というよりもこの辺境地、旧バイオリー領は未曾有の危機に陥っていました。

原因はバイオリー辺境伯の失恋とその時起こった大洪水と伝染病の影響でした。

バイオリー領には大きな川が隣国と連なる山より流れています。
その川は枝分かれするように領内を流れていて、そのおかげでバイオリー領は潤沢な水の確保をしていました。

何代前かはわからないけれどなんと山にダムを作っているそうです。
私と同じく前世の記憶がある人がバイオリー辺境伯だったのかもしれません。

ただ定期的に放流もしないと洪水が起きてしまうので、代々の辺境伯はしっかりと管理していてくれたそうですが、20年前に家督を引き継いだ当時の辺境伯様が長年の婚約者に破棄を言い渡され、自暴自棄になり辺境伯権限のダムの鍵を持ったまま引き籠もってしまわれて、大雨の後に大洪水が起き、それに伴い伝染病が発生した。
というとんでもない出来事がこの領内に起こってしまい、どの家も切迫してしまったそうです。

その時に当時のバイカ伯爵(私の祖父)が娘(私の母)とアルシェ侯爵家の嫡男(私の父)の婚約を取り付けて援助してもらうようになったそうです。

私の父は侯爵家の嫡男で、学業は優秀だったのですがお顔が非常に残念な方で、家柄だけなら婚約も直ぐに整うのでしょうがお見合いをするとお断りされてしまっていたので、このままではアルシェ侯爵家の存亡の危機となっていた為、侯爵家の方でもこの婚姻は喜ばしい物だったそうです。
母は私の目から見ても清楚な美人だったからでしょう。

その婚約のおかげでバイカ家はアルシェ侯爵家から莫大な援助をしてもらい存続する事もでき、叔父様達も好きな事が出来たそうです。

「アルシェ侯爵家には私達は大変な恩があります、あの時は騎士学校を卒業してこちらに帰る時に退寮の手続きが、10日程かかると言われて姉を頼ってアルシェ侯爵家に滞在のお願いをしたんです。義兄は快く引き受けて下さいましたので、マイラにも会いたくて侯爵家に行きました。するとマイラではない見知らぬ子供がいてそれがアイラだったのです」

姉の存在を両親は母の実家には告げていなかったようです。

「あの子は王弟、先代陛下の第ニ王子のお子です」


衝撃の告白に私は目眩がしました。

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