27 / 42
26 独占欲
しおりを挟む
雨は思ったよりも強くなかったので今日中に少しでも進もうと言うことになり、1時間ほど休憩したあとに出発しました。
ミナさんのお兄様は騎馬でご一緒するそうです。
お義父様が少し飛ばすから眠気が来たら寝ていいと言ってくれましたが、寝顔を見られるのは淑女として有るまじき行いなので目に力を入れて踏ん張りましたが、いつの間にか寝ていました。
起こされた時は、辺りが真っ暗で本日のお宿に着いた所でした。
私⋯寝すぎでしょ。
馬車を降りるといい匂い(端ない)
お昼も食べずに寝てたらしいです、ミナさんに「起こしたんですけどすみません」と謝られましたが、全くもって私が悪いです。
夜更かししてたからかなぁ
昼間にたっぷり寝たせいでその日は眠れなくてどうしようと思っていたら、ミナさんが眠れないならと言ってハーブティーを入れてくれました。
これはカモミールティーだと思います。
前世で唯一飲んだことのあるハーブティーです。
懐かしさも合って匂いを十分に楽しみながら飲みます。
ずっと気にしていたみたいでミナさんがヤイナさんの話しを始めました。
私も忘れたふりして気になっていたので少し身を乗り出して聞きます。
「ヤイナはずっと勝手に勘違いしていたんです」
「勘違いですか?」
「そうです、世にも恐ろしい勘違い女だったんです、ヤイナは」
2年ほど前に子爵家からアルに婿入りの話があったそうです。
でも常日頃からアルは結婚しないと宣言していたのでお断りしたらしく、その時にリース様とお義父様が執務室で「アルは幼馴染が好きだ」っていう会話をしてて、それが自分だと思いこんでいたそうです。
ヤイナさんはアルが7歳で王都に行くまでは、伯爵家に何人か呼ばれるリース様やアルの遊び相手に選ばれた子の中の一人だったそうで、あながち幼馴染だと思いこむのもわからんでもない勘違い。
でも当のアルはヤイナさんの子供の時のことを覚えてないとミナさんは言っていました。
「今回マイラ様が奥様やアル様に連れられて伯爵家に来られた時に自分の勘違いに気付いたみたいなんです。それで終わればよかったんですけどねぇ」
「終わらなかったんですか?」
「ヤイナは勘違いしてる間、アル様がいつかプロポーズしてくれると思いこんでいたんで、自分からはアプローチせずにおとなしくしてたんです」
うんうん、ん?アプローチ?
「シルバー伯爵家のご子息は二人とも見目がよろしいでしょう、だから侍女見習いには応募が殺到するんです。
でもご子息に色目を使ったりする娘も多くて、そういう娘は直ぐに外されてお暇をってコースで、今まで何人もいたんですよそういう娘が、でも勘違いヤイナは悠長にしてたので、周りには好ましく思われてました。今回勘違いがわかるまでは」
(まさか⋯⋯。)
「そうなんですよぉ、自分の勘違いに気づいてから、こうしちゃいられない位思ったんでしょうね、まぁ勘違い女の気持ちはわかりませんが、急にアプローチしだしてアル様の逆鱗に触れてました。でもティナにはあまり詳しい事は言ってなかったので、ただの配置転換との認識だったからですね。今朝の失態は」
私がこちらに来た初日にはヤイナさんのやらかしで配置転換していた事をティナさんはあまり重く受け止めてなくて、今朝は忙しかったからヤイナさんに起こしに行くのを任せてしまったんじゃないかとミナさんは言います。
「本来は自分の持ち場と違う所で働くには家人の命令か侍女長、執事様の指示以外ではしてはいけない決まりがあるんです。ヤイナが親切で言ったとしてもティナは断らないといけない立場で、強引に言われたとしても止めないといけなかったのに止められなかったって言ってましたからねぇ。相当強引だったかヤイナが突っ走ったかですね」
「そうだったのですね⋯⋯それじゃあヤイナさんは」
「おそらくお暇を頂くのではないでしょうか、既に配置転換された後の行動ですから、今までの娘達と同じ処遇になると思います」
「そうですか」
始まりが勘違いなのでなんとなく気の毒に思う反面、ホッとしている私です。
アルのそばに女の子がいるのが嫌だなってちょっと思ってしまいました。
私は嫌だけど婚約者がいる分際で何言ってるんですかね。
でもこれって⋯⋯独占欲⋯⋯では?
また私の初めてが増えました。
ミナさんのお兄様は騎馬でご一緒するそうです。
お義父様が少し飛ばすから眠気が来たら寝ていいと言ってくれましたが、寝顔を見られるのは淑女として有るまじき行いなので目に力を入れて踏ん張りましたが、いつの間にか寝ていました。
起こされた時は、辺りが真っ暗で本日のお宿に着いた所でした。
私⋯寝すぎでしょ。
馬車を降りるといい匂い(端ない)
お昼も食べずに寝てたらしいです、ミナさんに「起こしたんですけどすみません」と謝られましたが、全くもって私が悪いです。
夜更かししてたからかなぁ
昼間にたっぷり寝たせいでその日は眠れなくてどうしようと思っていたら、ミナさんが眠れないならと言ってハーブティーを入れてくれました。
これはカモミールティーだと思います。
前世で唯一飲んだことのあるハーブティーです。
懐かしさも合って匂いを十分に楽しみながら飲みます。
ずっと気にしていたみたいでミナさんがヤイナさんの話しを始めました。
私も忘れたふりして気になっていたので少し身を乗り出して聞きます。
「ヤイナはずっと勝手に勘違いしていたんです」
「勘違いですか?」
「そうです、世にも恐ろしい勘違い女だったんです、ヤイナは」
2年ほど前に子爵家からアルに婿入りの話があったそうです。
でも常日頃からアルは結婚しないと宣言していたのでお断りしたらしく、その時にリース様とお義父様が執務室で「アルは幼馴染が好きだ」っていう会話をしてて、それが自分だと思いこんでいたそうです。
ヤイナさんはアルが7歳で王都に行くまでは、伯爵家に何人か呼ばれるリース様やアルの遊び相手に選ばれた子の中の一人だったそうで、あながち幼馴染だと思いこむのもわからんでもない勘違い。
でも当のアルはヤイナさんの子供の時のことを覚えてないとミナさんは言っていました。
「今回マイラ様が奥様やアル様に連れられて伯爵家に来られた時に自分の勘違いに気付いたみたいなんです。それで終わればよかったんですけどねぇ」
「終わらなかったんですか?」
「ヤイナは勘違いしてる間、アル様がいつかプロポーズしてくれると思いこんでいたんで、自分からはアプローチせずにおとなしくしてたんです」
うんうん、ん?アプローチ?
「シルバー伯爵家のご子息は二人とも見目がよろしいでしょう、だから侍女見習いには応募が殺到するんです。
でもご子息に色目を使ったりする娘も多くて、そういう娘は直ぐに外されてお暇をってコースで、今まで何人もいたんですよそういう娘が、でも勘違いヤイナは悠長にしてたので、周りには好ましく思われてました。今回勘違いがわかるまでは」
(まさか⋯⋯。)
「そうなんですよぉ、自分の勘違いに気づいてから、こうしちゃいられない位思ったんでしょうね、まぁ勘違い女の気持ちはわかりませんが、急にアプローチしだしてアル様の逆鱗に触れてました。でもティナにはあまり詳しい事は言ってなかったので、ただの配置転換との認識だったからですね。今朝の失態は」
私がこちらに来た初日にはヤイナさんのやらかしで配置転換していた事をティナさんはあまり重く受け止めてなくて、今朝は忙しかったからヤイナさんに起こしに行くのを任せてしまったんじゃないかとミナさんは言います。
「本来は自分の持ち場と違う所で働くには家人の命令か侍女長、執事様の指示以外ではしてはいけない決まりがあるんです。ヤイナが親切で言ったとしてもティナは断らないといけない立場で、強引に言われたとしても止めないといけなかったのに止められなかったって言ってましたからねぇ。相当強引だったかヤイナが突っ走ったかですね」
「そうだったのですね⋯⋯それじゃあヤイナさんは」
「おそらくお暇を頂くのではないでしょうか、既に配置転換された後の行動ですから、今までの娘達と同じ処遇になると思います」
「そうですか」
始まりが勘違いなのでなんとなく気の毒に思う反面、ホッとしている私です。
アルのそばに女の子がいるのが嫌だなってちょっと思ってしまいました。
私は嫌だけど婚約者がいる分際で何言ってるんですかね。
でもこれって⋯⋯独占欲⋯⋯では?
また私の初めてが増えました。
551
お気に入りに追加
2,405
あなたにおすすめの小説
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
生まれたときから今日まで無かったことにしてください。
はゆりか
恋愛
産まれた時からこの国の王太子の婚約者でした。
物心がついた頃から毎日自宅での王妃教育。
週に一回王城にいき社交を学び人脈作り。
当たり前のように生活してしていき気づいた時には私は1人だった。
家族からも婚約者である王太子からも愛されていないわけではない。
でも、わたしがいなくてもなんら変わりのない。
家族の中心は姉だから。
決して虐げられているわけではないけどパーティーに着て行くドレスがなくても誰も気づかれないそんな境遇のわたしが本当の愛を知り溺愛されて行くストーリー。
…………
処女作品の為、色々問題があるかとおもいますが、温かく見守っていただけたらとおもいます。
本編完結。
番外編数話続きます。
続編(2章)
『婚約破棄されましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました』連載スタートしました。
そちらもよろしくお願いします。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。
夢草 蝶
恋愛
侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。
そのため、当然婚約者もいない。
なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。
差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。
すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?
何を間違った?【完結済】
maruko
恋愛
私は長年の婚約者に婚約破棄を言い渡す。
彼女とは1年前から連絡が途絶えてしまっていた。
今真実を聞いて⋯⋯。
愚かな私の後悔の話
※作者の妄想の産物です
他サイトでも投稿しております
【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる