逃げるが価値

maruko

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19 流れ星

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アルへの気持ちを自覚した私はその日疲れてるはずなのに全然寝付けません。

右に向いたり左に向いたりうつ伏せになったり、どうあっても寝られなくて起き上がる事にしました。

部屋から小さなバルコニーに出て外を眺めます。

シルバー伯爵邸は少し小高い所に建立されているので街が見渡せます。

街の灯りがポツポツと付いていたり、密集して付いていたり、灯りが動いているのは馬車に付いてる灯りかな?

一つ一つの灯りをずっと眺めていたらシュンと何かが流れました。
アレ?これって⋯。
そしてまたシュン、少し時間を置いてシュン、3回で終わったけれど流れ星でした。

流れ星も今世では初めてです。

侯爵家では、前世の小説のように可哀想な主人公みたく使用人としてこき使われるわけでもなく、一応、貴族令嬢として学園にも入学させてもらってますし、ただ居ないもののように扱われていたというだけなのです。

学園に通えないのも公爵家からの家庭教師派遣があったり、週一の行儀見習いと言う名の奴隷もあくまでもフンバル公爵家がしている事で、ただそれに両親が物申したりしないだけです。

前世で読んだ小説や乙女ゲーム(した事はないです)の記憶を持ってるって訳でもなく、そう考えると私って何もかも中途半端です。

それなのに現状不満で家出するのは私の我侭なのかな?

でも我慢出来なかったの。

私は生きてるから、この世界で生きなきゃいけないから居ないものとして無視されるのは辛かった。

今度流れ星を見たら『幸せになりたい』ってお願いしよう。
それくらいの言葉数なら3回は言えるよね。


夜空からまた街の灯りに視線を移します。

そしてアルの事を考えてみる

ただの幼馴染だったアル
再開するまではそれだけの関係だったのに、今は私の好きな人に変わっちゃった。

アルは私の事をどう思ってるかな?

ただの幼馴染のままかな?

優しいアルは私を見捨てられなくて旅の同行を申し出てくれた。

今も昔も優しい人


アルと初めて会ったのは王都の有名な絵画教室だった。
姉が8歳、私が7歳の時

当時、王妃様が絵画が趣味という事は貴族の中では有名で、貴族は挙って娘や息子を教室に入れたがった。

侯爵家でも姉に行くように両親は言ったけど姉は絵画に興味がなく最初は行きたがらなかった。

でも暫くして何処かのお茶会に参加したあと急に行きたいと言い出した。

最初は姉だけの筈だったのに何故かその時は私も同行するように言われた。
私も絵画には全くもって興味はなかったけれど両親が私を忘れずに行かせてくれようとした事が嬉しくて、姉と一緒に通う事になった。

姉の目当てはアルのお兄様、リーストファ・シルバー様だった。

お茶会でなかなか王都には出てこないシルバー伯爵の嫡男が、無茶苦茶イケメンという噂を聞いて実物を見たかったらしくて、どうも見た瞬間姉は一目惚れでもしたのかな?

珍しく固まってたし私にも親切になって、ちょっと怖かった。

その絵画教室には私がタンキ様と婚約する10歳まで通った。

絵画教室ではずっと姉に付いてなくても良かったし(姉達は友人達とアルのお兄様の周りに群がってた)一人で課題の絵を描いてるときにアルから話しかけられてそれから私達は仲良くなった。

アルの周りにも私と同じか少し年下の女の子がはべっていたけどアルはその子達を見向きもせずに私の横にいつも来てくれてた。

うるさい女の子は苦手なんだって言ってたっけ

だからあまり話しかけないようにしてた。

でもあの時はアルの方がうるさかったような?
無茶苦茶矢継ぎ早に質問されたり喋ってたりしてたような気がするなぁ

懐かしい事を思い出してたら眠気が差して来たのでベッドに潜りやっと眠りに就きました。

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