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16 変身
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「そろそろ夕食になるから部屋に戻ろう」
そう言ってアルはお邸の方に引き返す。
ところで手はずっと握ったままで離してくれなくて、嬉しいんだけど恥ずかしい。
そして逃げてきたとはいえ、手続きしてないから私はまだタンキ様と婚約中なんですよぉ
これじゃあ不貞だ!
私が不貞?⋯⋯ふぎゃぁーーーありえない。
己の考えに驚愕しちゃった。
「アル、アル」
「何?」
「手⋯あの、離して」
「⋯⋯何で?嫌だった?」
「違うの!嫌じゃないの、でも私はまだ婚約者がいるのよ」
「逃げてきたからいいんじゃない?」
「そうなんだけど、手続きしてないからさ。まだ、ね」
「逃げて終わりじゃないの?」
「そういうわけにはいかないよ。ちゃんと手続きはしないと完全に逃げ切れないもん」
「⋯⋯でも手続きってする時に会うだろう、そしたら捕まるんじゃないか?」
「会わないよ、手続きは除籍届けを出そうと思ってるの、平民になったら必然的に婚約は解消されるのよ」
「あっ!そうか、そうだな。いや、でもそしたら⋯俺とも、あー、んー」
「何?」
アルは相槌の後何か言ってるんだけどゴニョゴニョしてるので聞こえない。
訝しんでたら私の用意してもらった部屋の前
「着いたな、じゃあ可愛くしてもらえよ!後で迎えに来るよ」
そう言って私を部屋まで送り届けたアルは足早に去っていった。
⋯⋯可愛くとは?
部屋に入って少し疲れた足をお行儀悪く伸ばしてたらミナさんがお風呂の用意ができましたって言ってきた。
なぜに?と思ったけど、そうだった貴族は夕食前に着替えるのだ。
侯爵家では私は自分で着替えてたからお風呂も寝る前に入ってただけだった。
ピンと来ない私を見てミナさんが
「お手伝いもさせて頂きますわよ」
ニコッと笑って言ってる、泊まってた宿でもサラお義母様の髪はミナさんが洗ってたけど私は遠慮してたのに~
ここでは逆らえないみたい⋯。
有無を言わさずバスルームに連れて行かれちゃった。
で・も・人に髪を洗ってもらうのってサイコー!
美容室を思い出しちゃう。
ミナさんが上手だからなのか、侍女職の人はみんなこんなに上手なのかは比べる人がいないからわからないけど気持ちいいーー。
『ちょ~気持ちいい』
懐かしい言葉を呟いたらミナさんが「何か言いましたぁ」って返されちゃったけど前世の某大賞なんて知らないだろうから聞こえないフリしました。
バスルームを出たら念入りに髪を乾かしてもらって、見た覚えのない服を着せられた。
サラお義母様のプレゼントなんだって!嬉しいよぉ
可愛いドレス、でもデコルテが少し開いてて大人っぽさもあるかな?
髪はミナさんが渾身の出来ですって言ってセットしてくれた。
いつもはおろしっぱなしの髪を可愛くサイドから編み込んでくれて後ろで束ねてくれてる。
こんな髪型前世でもしたことないよ
薄っすらとお化粧もしてくれた。
気づいたら基礎化粧のセットとメイクセットも置いてある。
これもサラお義母様が準備してくれてたみたい。
本当のお義母様だったら良かったのに⋯⋯。
ネックレスを着けてもらったらミナさんが立たせて鏡の前に連れて行ってくれた。
「どうですか?何処か気になる所はないですか?」
「ミナさん!私⋯私⋯こんな格好も、そして人にしてもらうのも初めてで⋯⋯足が震えます」
実際に震えてて、生まれたての子鹿のようにガクガクしてたら
「気合で立ってください!マイラ様はとても可愛らしいんですよ、もう少し大人になったらもっとキレイになります。フンバル公爵子息なんかには勿体無いです」
「あっあの、ありがとうございます」
思わず日本式のお辞儀をしてしまったところでアルがお迎えに来てくれました。
そう言ってアルはお邸の方に引き返す。
ところで手はずっと握ったままで離してくれなくて、嬉しいんだけど恥ずかしい。
そして逃げてきたとはいえ、手続きしてないから私はまだタンキ様と婚約中なんですよぉ
これじゃあ不貞だ!
私が不貞?⋯⋯ふぎゃぁーーーありえない。
己の考えに驚愕しちゃった。
「アル、アル」
「何?」
「手⋯あの、離して」
「⋯⋯何で?嫌だった?」
「違うの!嫌じゃないの、でも私はまだ婚約者がいるのよ」
「逃げてきたからいいんじゃない?」
「そうなんだけど、手続きしてないからさ。まだ、ね」
「逃げて終わりじゃないの?」
「そういうわけにはいかないよ。ちゃんと手続きはしないと完全に逃げ切れないもん」
「⋯⋯でも手続きってする時に会うだろう、そしたら捕まるんじゃないか?」
「会わないよ、手続きは除籍届けを出そうと思ってるの、平民になったら必然的に婚約は解消されるのよ」
「あっ!そうか、そうだな。いや、でもそしたら⋯俺とも、あー、んー」
「何?」
アルは相槌の後何か言ってるんだけどゴニョゴニョしてるので聞こえない。
訝しんでたら私の用意してもらった部屋の前
「着いたな、じゃあ可愛くしてもらえよ!後で迎えに来るよ」
そう言って私を部屋まで送り届けたアルは足早に去っていった。
⋯⋯可愛くとは?
部屋に入って少し疲れた足をお行儀悪く伸ばしてたらミナさんがお風呂の用意ができましたって言ってきた。
なぜに?と思ったけど、そうだった貴族は夕食前に着替えるのだ。
侯爵家では私は自分で着替えてたからお風呂も寝る前に入ってただけだった。
ピンと来ない私を見てミナさんが
「お手伝いもさせて頂きますわよ」
ニコッと笑って言ってる、泊まってた宿でもサラお義母様の髪はミナさんが洗ってたけど私は遠慮してたのに~
ここでは逆らえないみたい⋯。
有無を言わさずバスルームに連れて行かれちゃった。
で・も・人に髪を洗ってもらうのってサイコー!
美容室を思い出しちゃう。
ミナさんが上手だからなのか、侍女職の人はみんなこんなに上手なのかは比べる人がいないからわからないけど気持ちいいーー。
『ちょ~気持ちいい』
懐かしい言葉を呟いたらミナさんが「何か言いましたぁ」って返されちゃったけど前世の某大賞なんて知らないだろうから聞こえないフリしました。
バスルームを出たら念入りに髪を乾かしてもらって、見た覚えのない服を着せられた。
サラお義母様のプレゼントなんだって!嬉しいよぉ
可愛いドレス、でもデコルテが少し開いてて大人っぽさもあるかな?
髪はミナさんが渾身の出来ですって言ってセットしてくれた。
いつもはおろしっぱなしの髪を可愛くサイドから編み込んでくれて後ろで束ねてくれてる。
こんな髪型前世でもしたことないよ
薄っすらとお化粧もしてくれた。
気づいたら基礎化粧のセットとメイクセットも置いてある。
これもサラお義母様が準備してくれてたみたい。
本当のお義母様だったら良かったのに⋯⋯。
ネックレスを着けてもらったらミナさんが立たせて鏡の前に連れて行ってくれた。
「どうですか?何処か気になる所はないですか?」
「ミナさん!私⋯私⋯こんな格好も、そして人にしてもらうのも初めてで⋯⋯足が震えます」
実際に震えてて、生まれたての子鹿のようにガクガクしてたら
「気合で立ってください!マイラ様はとても可愛らしいんですよ、もう少し大人になったらもっとキレイになります。フンバル公爵子息なんかには勿体無いです」
「あっあの、ありがとうございます」
思わず日本式のお辞儀をしてしまったところでアルがお迎えに来てくれました。
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