逃げるが価値

maruko

文字の大きさ
上 下
12 / 42

11 シルバー領内

しおりを挟む
朝早くに出発して1時間ほどでシルバー領に入ったみたいです。
サラお義母様とアルが、あちこちの茶畑の説明をしてくれます。
よく見るとお茶畑も沢山ありますが、普通に麦や野菜の畑もあるし、家畜を飼ってる所も多いです。
一軒一軒が広いなという印象を受けました。

「シルバー領は大きな家が多いのですね」

「マイラは他の領地とか見た事ある?」

「ううん、ないわ」

首を振って答えるとアルはニコッと笑って

「じゃあこれも初めてだね。マイラの初めてがうちの領地で嬉しいな」

その言葉と笑顔に、再び私の胸はドキドキし始めました。また顔が暑い。
湖の時みたいに両手でパタパタ風を送っていると今度はサラお義母様が教えて下さいました。

「うちの領地ではね、基本的に食事情は領内で治めることにしているの、外貨はお茶で今の所充分だから。
領民に食の役割を分散させてるのよ、だから各家庭で少しでも自分の所で賄えるようにしているの。伯爵邸うちでは全部を賄ってるわ。着いたらびっくりするかもね」

「お茶畑も分散されてるんですか?」

「お茶だけは外貨に必要だから、領内の茶畑は全てうちの管理だ。働き手は家で畑や家畜を飼えない領民にお願いしてるよ。他の領地から移住してきた人も直ぐに働いて貰ったりしてるから、最近移住者が多いんだ」

「そうなんだぁ、じゃあ何でも領内で済ませる事が出来るんですね」

「そうなのよマイラちゃん、だから態々毎晩のように社交しなくてもいいから、王都に行くのも久しぶりだったの。広大な領地を治めさせて頂いてるから挨拶は必要だものね」

「アルの行ってる学園も領内にあるの?」

「イヤ俺が行ってる学園は隣のセザン伯爵領内にあるんだ。セザン伯爵は学問に精通された方で領内に学び舎を3つ作られていてね。平民科、貴族科、高等科。今俺は貴族科なんだ、高等科は18歳から20歳までだから試験に受かれば来年から高等科に行けるんだよ」

「うちの領地にも平民が通う学校は設立してるのよ。識字率も上がったの。セザン伯爵のおかげよ」

サラお義母様とアルの話によると貴族は学ぶのに場所も選べるけど平民はなかなか領地外へ行くのは難しいから平民の学校だけ設立したんだそうです。
シルバー領内の各地には代官を置いてて主に領地を持たない男爵を置いてるんだって。
前世の市長みたいなものかな。
聞いてたらシルバー領ってどんだけ広いんだと感心してしまう。
領地の広さは辺境伯の次に広いと聞いてびっくりした。

領地を持たない執政のみでやってる侯爵家うちなんかより凄いと思う。

改めてこの大陸内でも広大な土地をこの国は持ってるのだと思ったら王族も凄いなと思った。
フンバル公爵家との婚約のご報告する時にチラッとしか王族も見てないし、私のデビュタントは忘れ去られているので両親が私の事を王家にどんな報告してるのか今、気になってしまった。

「ねぇアル。私デビュタントしてないんだけどそれって捕まっちゃったりする?」

「「はぁ?」」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた

ああああ
恋愛
優は大切にしていた妹の友達に冤罪を掛けられてしまう。 そして冤罪が判明して戻ってきたが

一年で死ぬなら

朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。 理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。 そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。 そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。 一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・

生まれたときから今日まで無かったことにしてください。

はゆりか
恋愛
産まれた時からこの国の王太子の婚約者でした。 物心がついた頃から毎日自宅での王妃教育。 週に一回王城にいき社交を学び人脈作り。 当たり前のように生活してしていき気づいた時には私は1人だった。 家族からも婚約者である王太子からも愛されていないわけではない。 でも、わたしがいなくてもなんら変わりのない。 家族の中心は姉だから。 決して虐げられているわけではないけどパーティーに着て行くドレスがなくても誰も気づかれないそんな境遇のわたしが本当の愛を知り溺愛されて行くストーリー。 ………… 処女作品の為、色々問題があるかとおもいますが、温かく見守っていただけたらとおもいます。 本編完結。 番外編数話続きます。 続編(2章) 『婚約破棄されましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました』連載スタートしました。 そちらもよろしくお願いします。

女官になるはずだった妃

夜空 筒
恋愛
女官になる。 そう聞いていたはずなのに。 あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。 しかし、皇帝のお迎えもなく 「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」 そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。 秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。 朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。 そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。 皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。 縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。 誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。 更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。 多分…

妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――

何を間違った?【完結済】

maruko
恋愛
私は長年の婚約者に婚約破棄を言い渡す。 彼女とは1年前から連絡が途絶えてしまっていた。 今真実を聞いて⋯⋯。 愚かな私の後悔の話 ※作者の妄想の産物です 他サイトでも投稿しております

婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。

夢草 蝶
恋愛
 侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。  そのため、当然婚約者もいない。  なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。  差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。  すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです

処理中です...