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9 お義母様
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とりあえずお風呂は先に夫人が入る事になった。
何故かというと私は今後もお目にかかれるかもしれないけど夫人は家でする以外機会がないからって事なんです。
私も平民になったらチャンスはないかもだけど、そんな事を言える立場にないので夫人にお譲りしました。
アルはあの後、自分の部屋に戻った。
一人で豪華なソファに座ってからこの2日間の夢のような出来事に思いを馳せる。
初めての遠出
初めてのピクニック
初めての湖
初めてだらけだな、本当苦笑する。
きっと普通の家族ならみんな体験してることなんだろうな、両親はよく姉と3人で出かけてたけどこういう事をしてたのね。
考えまいと思っても何につけ思ってしまう。
本当何で私は居ないものと思われちゃってるのかな?
たった1年しか姉との年の差はないのに⋯。
考えたら惨めになるってわかってても、気持ちを切り替えてもふとした時に戻ってしまう。
逃げてしまっていたからだろうと思う、今回のような物理的な逃げではなく、今までのことだ。
両親に何故なのかと聞けずにこの年まで来てしまった。
何度か聞いてみようかと思った事はあるけれど、その度に両親の間に座ってお喋りをしている姉を見てスゴスゴと部屋に戻っていた。
決心するたびに本当に目の当たりにするのは初めは態と姉が見せつけてると捻くれて考えてたけれど、気づいてしまった。
その光景は侯爵家ではありふれた普通なのだ。
特別なことでもなくましてやわざとでも無くただ普通の日常で、いつ私が両親に尋ねてみようと決心したところでその光景を見て引き下がるのはタイミングの問題ではないのだ。
ただそれが普通で当たり前なのだといつからか諦めてしまっていた。
両親に聞けなかった思いがきっといつまでも私の胸に燻り続けるのだろう。
私が生まれた事に意味があったのだろうか?
子供の頃から何度も繰り返し疑問に思っていたことが、またぶり返してしまう。
折角楽しかった事を思い出してたのにこんな事では先に進めないのにな
私も大概しつこいなぁと自分に呆れたところで夫人が薔薇ぶろからあがったみたい。
「マイラちゃん入っていいわよ。お湯も足してるし棚に薔薇の花びらが備えてあったから入れちゃった」
ニコニコしながら夫人が近づいてくる。
何故なのかわからないけどその体に体当たりするような勢いで抱きついてしまった。
夫人はびっくりしていたけど、また頭を撫でながら
「マイラちゃん、私の名前はサラフィーナっていうの。主人からはサラって呼ばれてるわ。マイラちゃんさえ良かったらサラお義母様って呼んでくれない?」
そのお言葉にびっくりして体を離して夫人の顔を見る
嫌そうな顔ではなくてニコニコしながら仰ってくれた。
「いいのですか?私はアルのただの幼馴染ってだけの侯爵家を家出するような娘です。貴族社会からは脱落してしまいました。それでもそんな嬉しいことを仰ってくださるのですか?」
「えぇ貴方が良ければだけど」
「ありがとうございます、サラお義母様」
声に出して呼んでみたら私の中の何かがシャボン玉のように弾けて消えていく。
小さな声で何度も『サラお義母様』って呟く度にシャボン玉は消えていった。
先程とはうって変わって私はスッキリした気持ちで、薔薇ぶろにソォーッと浸かり天井から下がってるシェードを見ながら涙が溢れてきたけど、決して辛い涙ではなかった。
この日から私に前世の母とサラお義母様の二人の母が出来た。
何故かというと私は今後もお目にかかれるかもしれないけど夫人は家でする以外機会がないからって事なんです。
私も平民になったらチャンスはないかもだけど、そんな事を言える立場にないので夫人にお譲りしました。
アルはあの後、自分の部屋に戻った。
一人で豪華なソファに座ってからこの2日間の夢のような出来事に思いを馳せる。
初めての遠出
初めてのピクニック
初めての湖
初めてだらけだな、本当苦笑する。
きっと普通の家族ならみんな体験してることなんだろうな、両親はよく姉と3人で出かけてたけどこういう事をしてたのね。
考えまいと思っても何につけ思ってしまう。
本当何で私は居ないものと思われちゃってるのかな?
たった1年しか姉との年の差はないのに⋯。
考えたら惨めになるってわかってても、気持ちを切り替えてもふとした時に戻ってしまう。
逃げてしまっていたからだろうと思う、今回のような物理的な逃げではなく、今までのことだ。
両親に何故なのかと聞けずにこの年まで来てしまった。
何度か聞いてみようかと思った事はあるけれど、その度に両親の間に座ってお喋りをしている姉を見てスゴスゴと部屋に戻っていた。
決心するたびに本当に目の当たりにするのは初めは態と姉が見せつけてると捻くれて考えてたけれど、気づいてしまった。
その光景は侯爵家ではありふれた普通なのだ。
特別なことでもなくましてやわざとでも無くただ普通の日常で、いつ私が両親に尋ねてみようと決心したところでその光景を見て引き下がるのはタイミングの問題ではないのだ。
ただそれが普通で当たり前なのだといつからか諦めてしまっていた。
両親に聞けなかった思いがきっといつまでも私の胸に燻り続けるのだろう。
私が生まれた事に意味があったのだろうか?
子供の頃から何度も繰り返し疑問に思っていたことが、またぶり返してしまう。
折角楽しかった事を思い出してたのにこんな事では先に進めないのにな
私も大概しつこいなぁと自分に呆れたところで夫人が薔薇ぶろからあがったみたい。
「マイラちゃん入っていいわよ。お湯も足してるし棚に薔薇の花びらが備えてあったから入れちゃった」
ニコニコしながら夫人が近づいてくる。
何故なのかわからないけどその体に体当たりするような勢いで抱きついてしまった。
夫人はびっくりしていたけど、また頭を撫でながら
「マイラちゃん、私の名前はサラフィーナっていうの。主人からはサラって呼ばれてるわ。マイラちゃんさえ良かったらサラお義母様って呼んでくれない?」
そのお言葉にびっくりして体を離して夫人の顔を見る
嫌そうな顔ではなくてニコニコしながら仰ってくれた。
「いいのですか?私はアルのただの幼馴染ってだけの侯爵家を家出するような娘です。貴族社会からは脱落してしまいました。それでもそんな嬉しいことを仰ってくださるのですか?」
「えぇ貴方が良ければだけど」
「ありがとうございます、サラお義母様」
声に出して呼んでみたら私の中の何かがシャボン玉のように弾けて消えていく。
小さな声で何度も『サラお義母様』って呟く度にシャボン玉は消えていった。
先程とはうって変わって私はスッキリした気持ちで、薔薇ぶろにソォーッと浸かり天井から下がってるシェードを見ながら涙が溢れてきたけど、決して辛い涙ではなかった。
この日から私に前世の母とサラお義母様の二人の母が出来た。
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