逃げるが価値

maruko

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4 出発

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出発するまでの間は師匠が神父さんに掛け合ってくれて教会の一室をお借りして泊まることになったの。

アルだけなら直ぐにでも出発する気満々だったけど師匠は王都での身辺整理が少し残ってるって。

朝早くに近所の子供達が集まって剣術の稽古をしていた。
みんなえぃーとか、やぁーとか声が大きいからイヤでも目が覚めた。

軽く身支度を整えて水場に行き顔を洗うとサッパリする。

そのタイミングで「えー!!」と声が上がる。
師匠がお別れの挨拶をしたみたい、みんなごめんね。

昨日のうちに師匠の代わりの人を見つけたみたいで、みんなに紹介してる。
代わりの人が見つかって良かった。

その日の午後にアルのお母様である伯爵夫人がコソッと教会に来てくれた。
私の荷物の少なさをアルが気にしてくれたみたい。
サイズの確認に来てくれたのでビックリしてお断りしようと思ったけれど夫人は頑として譲ってくれないからお言葉に甘える事にした。
いつか恩を返さなければ。

それから2日後、3台の馬車で私達は王都を出発した。

因みに私が家出して3日経ってるけど私の事はまだ噂にもなってないし、侯爵家も公爵家も探してるようではないみたい。

こんなことならもっと早く家出してたら良かったけど前世を思い出さなければ、家を出るという概念すら私にはなかったのかも。

1台目の馬車には伯爵夫人と私、2台目の馬車には師匠とアル、3台目の馬車は荷物専用。

大掛かりな大移動になったけど、先ずはアルの家のシルバー伯爵領へ向かう。

馬車で3日かかるんだって、こんなに遠くまで出かけた事はなかったから(侯爵家うちは領地無しの家なのだ)とても⋯楽しい!

こんなに楽しい家出なんて、いいのかしら?


夕方近くに宿場町らしい所に着いた。
今日はここで1泊するらしい、宿がいくらなのか不躾だけどアルに尋ねた。
その様子を見てた夫人が私の頭を撫でてくれて

「子供はそんな事を気にしなくていいのよ」

って言われたんだけど

「もうすぐ16歳になるので⋯⋯」

「じゃあ貸しにしましょう!そうすれば気にしないでしょう?マイラはしっかり者ね」

ずっと頭を撫でながら言われてたんだけど、私泣いてたみたい。
ずっーと小さな頃にジョルデ叔父さんに撫でられて以来だったから嬉しかった。

前世の母を思い出した。
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