悲劇の令嬢の逆襲〜旦那様契約結婚の延長は致しません〜

maruko

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王子妃様の悩み

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気が付くとベッドの天蓋が目に入りました。

「お気付きになられましたか?」

声をかけてくれたのは昨日からずっと私に付いてくれてる侍女です。
軽く目を其方に向けると濡れたタオルで私の額を押さえてくれます。
私、熱まで出したの?

ここまでくるとあの匂いは凶器です。

「ミランダ様、ご気分が宜しければ王子妃様がご相談があるそうなのです」

私はギョッとしました。
いやいや少し離れた所でもこの状態に陥ってしまうのに、側になど⋯。
躊躇っていると私の気持ちを察したのか、侍女が言葉を続けます。

「大丈夫ですわ、王子妃様付きの侍女が代わりにお手紙を預かっておりますから」

はぁ~良かった
手紙なら読むだけですし大丈夫ですわ
起き上がろうとすると侍女が私の背に手を添えて介添えしてくれます。
いたれりつくせり天国です。
自分の事は自分でやっていましたから、こういうの久しぶりで、これに慣れると戻れなくなりそうで怖いわ。

「ありがとう」

「いえ、呼んでまいります」

侍女に連れられて入ってきた王子妃様付きの侍女はおずおずと入ってきたのですけど、少し緊張しているようです。
渡された手紙でなるほどと思いました。
手紙にまで少し匂いが移ってます。

これは酷いわ。

私の侍女(後でお名前を聞かなきゃ)が手袋を渡してきました、えっ!いいの?
思わず着けましたけど、ここまでされる手紙が何だか気の毒になってきました。

手紙を開くとそこには王子妃様の悲痛な悩みが認めてありました。

どうやら王子妃様は流産されたようで、その後からご自身の体臭に悩まされているようです。

流産だけでも辛い上に体臭まで⋯⋯悪臭に変わるなんて⋯。
お気の毒としか言えませんね。

私の家系が薬師と聞いて、先程もご相談に見えられたみたい、それなのに私が倒れてしまったから⋯。
どうしましょう、私相当酷いことをしてしまったかもしれません。

王子妃様は体臭に効く薬はないかとご相談されてますが、そのての物はお父様達の方が詳しいのですけどセルトが居ないと私では連絡が付きませんし。

私の邸にはリュウキがあるから⋯あれで何とか。
そうだわ!
リュウキを教会からわけてもらいましょう!
誰かに採ってきて貰わないとね

私は王子妃様には私の事情と暫く待ってもらう事を、司祭様にはリュウキの株分けのお願いを其々手紙に認めて侍女に預けました。

薬の作り方が解らないので王宮の図書館で調べてみようと思い立ったのです。

我ながらいい考え!

早速取り掛かりましょうと立ち上がろうとしたけれど、まだ体が回復してませんでした。
そういえば発熱したんでしたわ。

「まだお熱が下がっておりませんわ」

そう言われて渋々ですがまたベッドに横になりました。

私のポーションが病気を治すものなら良かったのに⋯。

ちょっと残念。

その辺りも図書館で薬草について調べてみようと思います。
今迄21年間、自分で調べてみようなんて思いませんでした。
薬作りを教えてもらえない事に無意識の抵抗だったか意地だったのかもしれません。

お父様達の連絡、王妃様に頼んでみよう
そう思った所で再び私は眠りにつきました。



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