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1回目の人生3 白いアネモネの花言葉は希望
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※残酷な描写があります
苦手な方はこの回を読むのを飛ばす事をオススメ致します。
✎ ------------------------
「リリーがいなくなった?⋯⋯」
「あぁ。昨日から騎士団に捜索も頼んだが、まだ見つかってない」
アリーの捜索を開始した次の日。
学園に行く準備をしていたらカイルが血相を変えて俺の家に来た。
昨日はメリーの教育の日だった。
いつものように二人でお茶をしていたらスワロ家からリリーが来てないかとソーダン家に連絡が来たらしい。
学園にリリーを迎えに行った馬車ごと帰ってきてないらしく騎士団に届ける前に念の為の確認だった。
それから半狂乱になったメリーは帰宅してその後はカイル達にも連絡はなく心配していたら、今朝になってメリーがアリーのことを思い出し、その後どうなったかを俺に聞いてくれとの連絡が入った。
まさか⋯⋯
俺は父に話してカイルと二人でスワロ家に向かった。
着いたそうそう詳しい話が聞きたいと騎士団の隊員に呼ばれた俺はアリー母娘が領地からいなくなった事を話した。
「今の時点では憶測でしかないのでメーキリー家に話を聞けませんね」
「そうだな。だが可能性の一つとしてメーキリー令嬢の捜索もしよう」
俺から話を聞いた騎士団員達がボソボソ会話をしてる所にその一報は入った。
王都を出て2時間程行った山の崖下にスワロ家の馬車を発見。
潰れた馬車の中には一緒にいなくなった侍女、護衛騎士、御者の3人が遺体で見つかったとの事だった。
それからは王都中が大騒ぎになった。
ありとあらゆる方法でみんながリリーを探した。
王家からも探索の強化命令を出してもくれたがなかなかリリーは見つからなかった。
──────────────
リリーが変わり果てた姿で発見されたのは捜索開始から4日後の事だった。
発見されたのは王都だった。
長い間使われていなかった商店街の空き店舗でその日から改装工事に入る為、管理人が鍵を開けに来て見つけた。
遺体の顔は意図したように鼻から下が潰されていたらしい。
酷すぎる遺体はスワロ伯爵と前伯爵のみが呼ばれて確認した。
その後の葬儀は哀しみに満ちていた。
メリーと母親の悲痛は見てられなかった。
最愛の娘を妹を最後の顔を見れないままで別れなければならない家族は声にならない慟哭を⋯⋯
その様子を見ていた俺は心に誓った!
リリーの埋葬された白い花に囲まれた墓に誓った。
「敵は必ず俺が⋯」
⋯⋯⋯まだアリーは見つかっていない⋯⋯⋯
事件後直ぐに思うところがあり俺は両親と話し合って隣国に留学する事にした。
留学して直ぐにエミリーを訪ねて以前呟いてた事を直接聞いてみた。
「オーラン様お久しぶりです。突然留学って⋯そんなに私に会いたかったですか?」
リリーの事を知らないエミリーはおどけて冗談交じりで話しかけてきた。
その屈託のない笑顔を見てリリーを思い涙が溢れてくる。
慌てるエミリーにちょっと待ってと言いながらなんとか涙を留め鼻声で聞いた。
「噴水のとこで話してた時、ヒロイン退場かーって呟いてただろ!その話を詳しく聞きたいんだ」
「あれっ!聞こえてましたか。んーいいですよ、同胞ですし。この世界って私がしてたゲームの世界なんじゃないかと思うんですよね」
エミリーが話してくれたのは、ある乙女ゲームの話だった。
ヒロインはエミリー。
攻略対象は表面的には5人。隠れ攻略者も存在するらしいがエミリーは見つけられなかったそうだ。
俺とカイル、王太子、騎士団長の息子、平民の男。
平民の男はビックリするほど頭脳明晰らしい。
悪役令嬢はその都度違うらしく、俺を攻略するならアリーが悪役、カイルならメリーになるそうだ。
他の対象者もそれぞれの婚約者で平民の秀才だけは誰になるかが毎回わからなかったそう。
「そのゲームにリリーベルって出てこなかったか?メリーの妹なんだけど」
「リリーベルですか?んーんーんーちょっと待ってくださいねー。なーんか見た覚えがあるようなないような」
考え込むエミリーを見ながら俺は辛抱強く待った
「⋯⋯んー見た事あると思うんですよねー、字面とその響きが⋯リリーベル、リリーベル⋯⋯⋯あぁっ!」
考えていたエミリーが確信した声を出す。
「ツーだ!」
「ツー?」
「はい!あのゲームは2弾が発売される予定だったんです。予告で見ました。でも発売元のトラブルで結局出なかったんです。予告だけ見たんですけど面白そうでしたよ。悪役令嬢とヒロインが代わるんです!」
「代わる?」
「代わるというか、ごっちゃになるというか、多分その頃流行った逆ザマァの感じとかの要素を盛り込んで。簡単にいうとですね、通常だと学園の卒業式でヒロインに攻略された対象者が自分の婚約者を断罪して、ヒロインとハッピーエンドを迎えるんです」
「卒業式で?そんな事したら貴族社会でやっていけないだろ」
「えー、オーラン様、転生者ですよね。ゲームとか小説とかでそういうの聞いたことないんですかぁ?」
「知らねー。初めて聞いた。知ってたらこんなとこまで話聞きに来てねぇし」
「こんなとこって⋯。まぁいいですけどね。とりあえずゲームの話なんで現実社会は一旦置いといてください。で、そのゲームの2弾ではヒロインが攻略対象によって変わるんです。例えばオーラン様だとアリー様、カイル様だとメリー様って感じで、ちょっと説明ムズいな。1弾で悪役令嬢だった人がヒロインなんですけど、今度は断罪されるのがヒロインになるんです」
「???」
「ゲームする人は最初に攻略対象者を選んでその人の婚約者になってからスタートするんです。で、表れたヒロインがあの手この手で自分の婚約者を攻略しようとするのを阻止しようとするゲームなんです。面白そうだったけど発売されなかったからしてないし、詳しくはわからないんですけどね2弾の方は、その予告の中で、確か平民の秀才君の婚約者じゃなくて恩人かなんかでリリーかリリーベルって名前がありました。メリー様の妹なのかはわからないですけど」
「そうか。ゲームの話は正直よくわからなかったけどリリーベルという名前は出てたんだな」
「よくわかんなかったって⋯私の説明した用力返してもらえますかぁ?」
「ごめん。もう一つ、その平民の秀才くんにあたりはついてるのか?」
「Dクラスのサミー・ルゥ君だと思いますけど⋯」
「ありがとう。話してくれて、ところで元気でやってる?」
「今頃⋯⋯。元気ですよ家族も。オーラン様のお父様達には感謝してます。実は気がかりだった乙女ゲームからも離脱できたしこっちに来れて良かったです。ヒロインとかしたくなかったんで」
「そっか。良かった。⋯⋯⋯俺帰るわ。聞きたいことも聞けたし」
「早っ!留学したんじゃないんですか?」
「留学は口実。君の話が俺の推察に役立つ物か未知数だったから、もし直ぐに役立つ物じゃなかったらこちらで力を蓄えようと思ってたんだけど帰った方が動けそうだ」
「んー?よくわからないけどお役に立てたなら良かったです。関係ないかもだけど、ゲームの中のキーワードが白いアネモネなんです。私は使えなかったのでどうやって使うかはわからないんですけど、豆知識として教えときますね!」
「白いアネモネ⋯⋯ありがとう。エミリー嬢元気でな。また!」
──────────────
帰国した俺はDクラスのサミー・ルゥに手紙を書いた。
待ち合わせたカフェでは個室に入り両隣も序に予約して無人にした。
「初めましてオーラン・ドートルです。君はDクラスのサミー君で間違いないかな?申し訳ないが学園の身分証提示してもらえないか?」
「初めましてサミー・ルゥです、身分証はこちらです」
俺は身分証を確認してから彼と2時間程話し別れた後、カイルの所へ行った。
カイルにメリーの様子を聞いたが詳しい話は聞けなかった。メリーに話を聞くのは無理だな。
それから5年の月日がたったがまだリリーの事件は解決してない。
カイルとメリーは結婚して子供が2人産まれた。
エミリーも隣国の男爵との結婚式に招待してくれたが俺は行けなかった。
友人たちはそれぞれの道を見つけ日々生活してる。
俺はあれからずっとアリーの手かがりを探してた。
騎士団ではアリーの犯行だという証拠を見つけられなかったから状況から家出人としてしか捜索してない。
そんな緩くて見つかるわけないや。
そんなある日俺は待ちわびてた彼から連絡をもらう。
「やっとか」
期待に胸を弾ませ指定された丘の上の時計台に向かう。
そこには平民の格好のアリーがいた。
─────────────────────
「オーラン⋯⋯何故?⋯⋯彼は騙したの?」
「そうだな。詳しいことは話さなかったけど、聡明な彼は気づいていたのかもしれないな。だって君が彼と会ったのは3年前だろう?その時は連絡がなかったからな。監視はしてたけど一応泳がせたんだ。3年一緒にいて彼は君の中に狂気を見つけたんだろう、それで俺の話を信じて連絡してきた」
逃げようと走り始めたアリーの腕を掴み、彼女をねじ伏せ馬乗りになり一纏めにしていた髪を引っ張り首を晒した。
約5年間騎士団で鍛えた俺の腕は太くて、一瞬で落とした。
さぁ断罪の時間だ。
時計台の中にはお誂え向きの柱があり縛り付けたあと気絶してる彼女に水をぶっかけた。
「ねぇアリー。リリーが君に何をしたの?」
「なんの事?知らないわ。何よ!証拠でもあるの?」
「ふーん。知らなくてもいいや、証拠も必要ない、例え君が無実でももう俺は止まれないんだ」
俺の中の狂気を見た彼女は懇願し始めた
「イヤ。イヤ、ごめんなさい。許して、ただあなたが好きなだけなの。私はあなたが、あなたが」
とりあえず五月蠅いので首を軽く切った、うん、まだ生きてるね。
俺は騎士団に入ってからリリーの死体検案書を見てるので、リリーの亡骸と同じ死体になるようにアリーを裁いた。
この世界がゲームと同じなのかは知らない。
でも人物にほぼ相違はなかった、なら答えはそこにしかない。
父親と領地は監視済みなので、俺はエミリーから聞いたゲームの攻略対象者に辺りをつけた。
アリーと接点の無さそうな王太子と騎士団長の息子、そしてアリーを憎んでる俺とカイルを除けば一人だ。
彼女が転生者なら違う行動をするかもしれないが、それはない。転生者なら自分を積極的に悪役にはしないだろう、サミーに関係ありそうなのはリリーだったがここでのポイントが彼は平民だという事。
逃げ回らなければならないアリーとの接点はいつかはあるかもしれない。
正直なくても構わなかった。ただの勘だから、駄目でも見つけるまでの時間が長くなるだけだ。
王宮の文官の推薦書と引き換えに彼に情報を頼んだ。今後偶然に知り合う女がいたら全て教えてほしいと、狂気を隠した女がいるはずだからと。
彼は見つけてくれた、もう俺は満足だ。
貴族籍の除籍届は既に出している。
リリー⋯⋯会えるかな。
無理かもしれないが君に会いたいな。
そしたら今度は絶対に幸せにするんだ。
白いアネモネに囲まれたリリーの墓石の前で俺は胸を貫いた。
苦手な方はこの回を読むのを飛ばす事をオススメ致します。
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「リリーがいなくなった?⋯⋯」
「あぁ。昨日から騎士団に捜索も頼んだが、まだ見つかってない」
アリーの捜索を開始した次の日。
学園に行く準備をしていたらカイルが血相を変えて俺の家に来た。
昨日はメリーの教育の日だった。
いつものように二人でお茶をしていたらスワロ家からリリーが来てないかとソーダン家に連絡が来たらしい。
学園にリリーを迎えに行った馬車ごと帰ってきてないらしく騎士団に届ける前に念の為の確認だった。
それから半狂乱になったメリーは帰宅してその後はカイル達にも連絡はなく心配していたら、今朝になってメリーがアリーのことを思い出し、その後どうなったかを俺に聞いてくれとの連絡が入った。
まさか⋯⋯
俺は父に話してカイルと二人でスワロ家に向かった。
着いたそうそう詳しい話が聞きたいと騎士団の隊員に呼ばれた俺はアリー母娘が領地からいなくなった事を話した。
「今の時点では憶測でしかないのでメーキリー家に話を聞けませんね」
「そうだな。だが可能性の一つとしてメーキリー令嬢の捜索もしよう」
俺から話を聞いた騎士団員達がボソボソ会話をしてる所にその一報は入った。
王都を出て2時間程行った山の崖下にスワロ家の馬車を発見。
潰れた馬車の中には一緒にいなくなった侍女、護衛騎士、御者の3人が遺体で見つかったとの事だった。
それからは王都中が大騒ぎになった。
ありとあらゆる方法でみんながリリーを探した。
王家からも探索の強化命令を出してもくれたがなかなかリリーは見つからなかった。
──────────────
リリーが変わり果てた姿で発見されたのは捜索開始から4日後の事だった。
発見されたのは王都だった。
長い間使われていなかった商店街の空き店舗でその日から改装工事に入る為、管理人が鍵を開けに来て見つけた。
遺体の顔は意図したように鼻から下が潰されていたらしい。
酷すぎる遺体はスワロ伯爵と前伯爵のみが呼ばれて確認した。
その後の葬儀は哀しみに満ちていた。
メリーと母親の悲痛は見てられなかった。
最愛の娘を妹を最後の顔を見れないままで別れなければならない家族は声にならない慟哭を⋯⋯
その様子を見ていた俺は心に誓った!
リリーの埋葬された白い花に囲まれた墓に誓った。
「敵は必ず俺が⋯」
⋯⋯⋯まだアリーは見つかっていない⋯⋯⋯
事件後直ぐに思うところがあり俺は両親と話し合って隣国に留学する事にした。
留学して直ぐにエミリーを訪ねて以前呟いてた事を直接聞いてみた。
「オーラン様お久しぶりです。突然留学って⋯そんなに私に会いたかったですか?」
リリーの事を知らないエミリーはおどけて冗談交じりで話しかけてきた。
その屈託のない笑顔を見てリリーを思い涙が溢れてくる。
慌てるエミリーにちょっと待ってと言いながらなんとか涙を留め鼻声で聞いた。
「噴水のとこで話してた時、ヒロイン退場かーって呟いてただろ!その話を詳しく聞きたいんだ」
「あれっ!聞こえてましたか。んーいいですよ、同胞ですし。この世界って私がしてたゲームの世界なんじゃないかと思うんですよね」
エミリーが話してくれたのは、ある乙女ゲームの話だった。
ヒロインはエミリー。
攻略対象は表面的には5人。隠れ攻略者も存在するらしいがエミリーは見つけられなかったそうだ。
俺とカイル、王太子、騎士団長の息子、平民の男。
平民の男はビックリするほど頭脳明晰らしい。
悪役令嬢はその都度違うらしく、俺を攻略するならアリーが悪役、カイルならメリーになるそうだ。
他の対象者もそれぞれの婚約者で平民の秀才だけは誰になるかが毎回わからなかったそう。
「そのゲームにリリーベルって出てこなかったか?メリーの妹なんだけど」
「リリーベルですか?んーんーんーちょっと待ってくださいねー。なーんか見た覚えがあるようなないような」
考え込むエミリーを見ながら俺は辛抱強く待った
「⋯⋯んー見た事あると思うんですよねー、字面とその響きが⋯リリーベル、リリーベル⋯⋯⋯あぁっ!」
考えていたエミリーが確信した声を出す。
「ツーだ!」
「ツー?」
「はい!あのゲームは2弾が発売される予定だったんです。予告で見ました。でも発売元のトラブルで結局出なかったんです。予告だけ見たんですけど面白そうでしたよ。悪役令嬢とヒロインが代わるんです!」
「代わる?」
「代わるというか、ごっちゃになるというか、多分その頃流行った逆ザマァの感じとかの要素を盛り込んで。簡単にいうとですね、通常だと学園の卒業式でヒロインに攻略された対象者が自分の婚約者を断罪して、ヒロインとハッピーエンドを迎えるんです」
「卒業式で?そんな事したら貴族社会でやっていけないだろ」
「えー、オーラン様、転生者ですよね。ゲームとか小説とかでそういうの聞いたことないんですかぁ?」
「知らねー。初めて聞いた。知ってたらこんなとこまで話聞きに来てねぇし」
「こんなとこって⋯。まぁいいですけどね。とりあえずゲームの話なんで現実社会は一旦置いといてください。で、そのゲームの2弾ではヒロインが攻略対象によって変わるんです。例えばオーラン様だとアリー様、カイル様だとメリー様って感じで、ちょっと説明ムズいな。1弾で悪役令嬢だった人がヒロインなんですけど、今度は断罪されるのがヒロインになるんです」
「???」
「ゲームする人は最初に攻略対象者を選んでその人の婚約者になってからスタートするんです。で、表れたヒロインがあの手この手で自分の婚約者を攻略しようとするのを阻止しようとするゲームなんです。面白そうだったけど発売されなかったからしてないし、詳しくはわからないんですけどね2弾の方は、その予告の中で、確か平民の秀才君の婚約者じゃなくて恩人かなんかでリリーかリリーベルって名前がありました。メリー様の妹なのかはわからないですけど」
「そうか。ゲームの話は正直よくわからなかったけどリリーベルという名前は出てたんだな」
「よくわかんなかったって⋯私の説明した用力返してもらえますかぁ?」
「ごめん。もう一つ、その平民の秀才くんにあたりはついてるのか?」
「Dクラスのサミー・ルゥ君だと思いますけど⋯」
「ありがとう。話してくれて、ところで元気でやってる?」
「今頃⋯⋯。元気ですよ家族も。オーラン様のお父様達には感謝してます。実は気がかりだった乙女ゲームからも離脱できたしこっちに来れて良かったです。ヒロインとかしたくなかったんで」
「そっか。良かった。⋯⋯⋯俺帰るわ。聞きたいことも聞けたし」
「早っ!留学したんじゃないんですか?」
「留学は口実。君の話が俺の推察に役立つ物か未知数だったから、もし直ぐに役立つ物じゃなかったらこちらで力を蓄えようと思ってたんだけど帰った方が動けそうだ」
「んー?よくわからないけどお役に立てたなら良かったです。関係ないかもだけど、ゲームの中のキーワードが白いアネモネなんです。私は使えなかったのでどうやって使うかはわからないんですけど、豆知識として教えときますね!」
「白いアネモネ⋯⋯ありがとう。エミリー嬢元気でな。また!」
──────────────
帰国した俺はDクラスのサミー・ルゥに手紙を書いた。
待ち合わせたカフェでは個室に入り両隣も序に予約して無人にした。
「初めましてオーラン・ドートルです。君はDクラスのサミー君で間違いないかな?申し訳ないが学園の身分証提示してもらえないか?」
「初めましてサミー・ルゥです、身分証はこちらです」
俺は身分証を確認してから彼と2時間程話し別れた後、カイルの所へ行った。
カイルにメリーの様子を聞いたが詳しい話は聞けなかった。メリーに話を聞くのは無理だな。
それから5年の月日がたったがまだリリーの事件は解決してない。
カイルとメリーは結婚して子供が2人産まれた。
エミリーも隣国の男爵との結婚式に招待してくれたが俺は行けなかった。
友人たちはそれぞれの道を見つけ日々生活してる。
俺はあれからずっとアリーの手かがりを探してた。
騎士団ではアリーの犯行だという証拠を見つけられなかったから状況から家出人としてしか捜索してない。
そんな緩くて見つかるわけないや。
そんなある日俺は待ちわびてた彼から連絡をもらう。
「やっとか」
期待に胸を弾ませ指定された丘の上の時計台に向かう。
そこには平民の格好のアリーがいた。
─────────────────────
「オーラン⋯⋯何故?⋯⋯彼は騙したの?」
「そうだな。詳しいことは話さなかったけど、聡明な彼は気づいていたのかもしれないな。だって君が彼と会ったのは3年前だろう?その時は連絡がなかったからな。監視はしてたけど一応泳がせたんだ。3年一緒にいて彼は君の中に狂気を見つけたんだろう、それで俺の話を信じて連絡してきた」
逃げようと走り始めたアリーの腕を掴み、彼女をねじ伏せ馬乗りになり一纏めにしていた髪を引っ張り首を晒した。
約5年間騎士団で鍛えた俺の腕は太くて、一瞬で落とした。
さぁ断罪の時間だ。
時計台の中にはお誂え向きの柱があり縛り付けたあと気絶してる彼女に水をぶっかけた。
「ねぇアリー。リリーが君に何をしたの?」
「なんの事?知らないわ。何よ!証拠でもあるの?」
「ふーん。知らなくてもいいや、証拠も必要ない、例え君が無実でももう俺は止まれないんだ」
俺の中の狂気を見た彼女は懇願し始めた
「イヤ。イヤ、ごめんなさい。許して、ただあなたが好きなだけなの。私はあなたが、あなたが」
とりあえず五月蠅いので首を軽く切った、うん、まだ生きてるね。
俺は騎士団に入ってからリリーの死体検案書を見てるので、リリーの亡骸と同じ死体になるようにアリーを裁いた。
この世界がゲームと同じなのかは知らない。
でも人物にほぼ相違はなかった、なら答えはそこにしかない。
父親と領地は監視済みなので、俺はエミリーから聞いたゲームの攻略対象者に辺りをつけた。
アリーと接点の無さそうな王太子と騎士団長の息子、そしてアリーを憎んでる俺とカイルを除けば一人だ。
彼女が転生者なら違う行動をするかもしれないが、それはない。転生者なら自分を積極的に悪役にはしないだろう、サミーに関係ありそうなのはリリーだったがここでのポイントが彼は平民だという事。
逃げ回らなければならないアリーとの接点はいつかはあるかもしれない。
正直なくても構わなかった。ただの勘だから、駄目でも見つけるまでの時間が長くなるだけだ。
王宮の文官の推薦書と引き換えに彼に情報を頼んだ。今後偶然に知り合う女がいたら全て教えてほしいと、狂気を隠した女がいるはずだからと。
彼は見つけてくれた、もう俺は満足だ。
貴族籍の除籍届は既に出している。
リリー⋯⋯会えるかな。
無理かもしれないが君に会いたいな。
そしたら今度は絶対に幸せにするんだ。
白いアネモネに囲まれたリリーの墓石の前で俺は胸を貫いた。
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