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第六話 ドビュ目線・なぜか女性には恥じる聖女
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結局、聖女様は僕が止めるのも関わらず、気が付けば町全体にかける大規模な魔法を使っただけではなく、そのまま元気よく最後まで町の人たちと挨拶をして、惜しむように別れた。
護衛として、未だに緊張の糸を張りながらも、馬車に揺られていた。
「聖女様、お身体に問題はありませんか?」
「なんでだ?」
ケロっとした驚いたように目を見開く。さもできて当然だ言わんばかりに。いや、聖女様、ちょっとおかしくないですか。えっ、聖魔法って魔力食うんですよ。これだけの街全体の人の調子をよくするとか、人間業じゃないですよ。
「あ、でも、神の遣いの聖女様だから、おかしくはないか」
「俺を気遣ってくれたのか?」
言葉遣いは荒いが、見た目は可憐なる少女である聖女は、見上げるように小首を傾げこちらの顔を伺った。破壊力、はんぱないですよ...。
「ありがとな。おまえ、名前は...?」
「僕は、ドビュッシー・ホーリィクリシャー...」
「こいつは、ドビュって呼ばれています」
名前を全部告げる前に、ホッチポッチ先輩に言葉を遮られる。嫉妬ですか、と睨む。横目で一笑される。
「ドビュか。良い名じゃな」
「ありがとうございます。聖女様、でも、お疲れではありませんか。あれだけの規模で魔法をかけることは、ふつうはできないですよ」
「ふむ。でも、できる気がしたし、たしかに人疲れはしたが、それ以外特に問題はない」
「かしこまりました。でも、無茶はしすぎないでくださいね」
「そうだな。少し今は寝ててもいいか?」
「もちろんですよ」
だが、僕の予想をはるかに超えて、聖女はこの規模の魔法をなんなく連日のように使った。しかも、街の人たちとも笑顔でのコミュニケーションを欠かさない。無尽蔵な魔力と体力だ。間もなくして「聖女は神の遣わした奇跡」「もはや生き神」「この世の者とは思えない美しさと癒し」など噂が流れ始めた。教会にも、「ぜひ、自分の街に聖女が来てほしい」という嘆願書が届くようになるまで、そう時間はかからなかった。
しかし、聖女様は勉強も事欠かさず、毎日文字を習い、この国の文化や制度も学んでいるそうだった。そういうのは、僕と同じころに出家したレインが担当している。僕みたいなバカと違って、あいつは頭がいい。こないだも、廊下ですれ違いざまに挨拶をしたら、なにやら書類の山を持っていた。パッと一枚見てみたが、何を書いているのかよくわからない、役所文書らしく3行で眼がぐるぐると回った。
「何してるんだ?」
「聖女様から、宿題をいただいてんのさ」
「読めない」
「お役所の資料なんてそんなもんだ。私が今からその資料を整理して聖女様にも見やすくするんだから」
「なんで、そんなに頭がいいの?」
「そういうドビュこそ、生真面目に修行だけは怠ってないんだろ? おまえは、それでいいのさ」
まぁ、つまり、僕はそこまで頭が良くないからこそ、術師でありながら剣技だけは磨いている。術の腕だけだとイマイチだが、魔法剣を使えば、ポチ先輩とはいい勝負だ。だが、やっぱり頭が抜けているせいもあって、どうしても難しい話は分からず、先輩に任せている。まぁ、単純で裏表がないのもあって、聖女の護衛として働かせていただけているのだから、いいんだろう。
「聖女様は、休んでいるときがあるのかな?」
「さぁな。でも、馬車では寝ているんだろ? いいよな、寝顔が見られて」
「レインだってくればいいじゃん」
「いいか、雨男なんだ。来るなとわざわざ言いつけられてる。私は巡錫ではしゃいでる聖女様も、奇跡を神々しく起こす聖女様も拝めないんだぞ。」
「でも、授業中は二人きりのことも多いんでしょ?」
「ふん、悔しがっとけ」
レインは余程一緒に出掛けたかったのか、思い出してプリプリすねた。頭はいいのだが、時々こうやって子供っぽい。きっと負けず嫌いだから、勉強もいっぱいできるのだろう。
「でもさ。こないだ、授業中に好みの異性を聞いたんだよ」
「おぉ、聖女様に?」
「ああ。だが、可愛い女の子と結婚したいだって。私たちは眼中にすら無いんだろうな..。侍女のサヤが一番の好みだと言ってた」
「二人が仲良くしてるのも言ってるのも、なんだか和むけれどなぁ」
「そうじゃねぇ。『男?ざけんな』って感じが。泣けてくるぜ」
僕のことをキッと涙目でレインは睨んだ。どうやら、聖女様にフラれたみたいで悲しんでいるようだ。まぁ、もともと聖女様は神様のもんだし、僕らも出家している以上、結婚したら俗世に戻って教会暮らしをやめなければいけない。そういった妄想をするだけ無駄だと、僕は鼻から諦めている。僕は泣き言をいうレインを放っておく。
しばらくして護衛として勤務していると、どうしても聖女の部屋周辺を警戒することも多くなった。特に、男性なのに色目を使わないとして僕は買われた。護衛ができる術師や剣士となると、身体的な適性的として男性が多い。ちなみに、召喚時に心が乱れるような出来事は、全員が誰もシスターには話していない。おそらくバレれば、全員追放されかねない。
まぁ、そうやって部屋の近くにいるから、侍女役を買って出ているシスターのサヤと話す機会もあった。
「聖女様の世話は大変かい?」
「ううーん、あまり聖女様は女性らしくないかな。でも、サバサバしてて話しやすいよ」
「なんか、世話してるかいがあるって顔してるね」
「だって、あんなに可愛い女の子なんだよ?妹ができたみたいで嬉しいじゃない」
「中身は、豪快で大胆だけどなぁ」
談笑していると、声が聞こえたのか、ひょっこり聖女様が顔を出した。
「どうかしたのか?」
「あら、聖女様。ちょっと噂してただけですよ」
「どんな?」
「可愛い妹みたいって話です」
嬉しそうにサヤが聖女の頭を撫でた。聖女は、恥ずかしそうに顔を赤らめて俯く。男に裸を見られても顔色一つ変えなかったのに、サヤみたいな女性には免疫が無いようだ。
「あんなに男にはあっけらかんとしてるところを見ると、もしかしたら、気持ちは男性なのかもなぁ」
ぼんやりと思ったことをそのまま呟くと、なぜだか知らないが聖女様は顔を青くしながら、眼を見開いてこちらを見つめてきた。
限りなく真実に近いことを勘で言っているだけだが、もちろんドビュにそんな気はない。
「どうかしたのですか?聖女様」
「いや。ドビュは...なんでもない」
聖女はサヤを盾にして隠れるように身をひそめる。なにか悪いことをしただろうか。
「聖女様が、そうやって侍女とは戯れているのが見れてよかったです。いつも、僕たちが傍にいるときは、何かに頑張っていますから」
「可愛いシスターと一緒の時ぐらい、いいじゃないか...」
何かぶつぶつと俯きながら言っていたが、姉にすがる妹のように見えたドビュはただ、微笑ましく見ていた。
護衛として、未だに緊張の糸を張りながらも、馬車に揺られていた。
「聖女様、お身体に問題はありませんか?」
「なんでだ?」
ケロっとした驚いたように目を見開く。さもできて当然だ言わんばかりに。いや、聖女様、ちょっとおかしくないですか。えっ、聖魔法って魔力食うんですよ。これだけの街全体の人の調子をよくするとか、人間業じゃないですよ。
「あ、でも、神の遣いの聖女様だから、おかしくはないか」
「俺を気遣ってくれたのか?」
言葉遣いは荒いが、見た目は可憐なる少女である聖女は、見上げるように小首を傾げこちらの顔を伺った。破壊力、はんぱないですよ...。
「ありがとな。おまえ、名前は...?」
「僕は、ドビュッシー・ホーリィクリシャー...」
「こいつは、ドビュって呼ばれています」
名前を全部告げる前に、ホッチポッチ先輩に言葉を遮られる。嫉妬ですか、と睨む。横目で一笑される。
「ドビュか。良い名じゃな」
「ありがとうございます。聖女様、でも、お疲れではありませんか。あれだけの規模で魔法をかけることは、ふつうはできないですよ」
「ふむ。でも、できる気がしたし、たしかに人疲れはしたが、それ以外特に問題はない」
「かしこまりました。でも、無茶はしすぎないでくださいね」
「そうだな。少し今は寝ててもいいか?」
「もちろんですよ」
だが、僕の予想をはるかに超えて、聖女はこの規模の魔法をなんなく連日のように使った。しかも、街の人たちとも笑顔でのコミュニケーションを欠かさない。無尽蔵な魔力と体力だ。間もなくして「聖女は神の遣わした奇跡」「もはや生き神」「この世の者とは思えない美しさと癒し」など噂が流れ始めた。教会にも、「ぜひ、自分の街に聖女が来てほしい」という嘆願書が届くようになるまで、そう時間はかからなかった。
しかし、聖女様は勉強も事欠かさず、毎日文字を習い、この国の文化や制度も学んでいるそうだった。そういうのは、僕と同じころに出家したレインが担当している。僕みたいなバカと違って、あいつは頭がいい。こないだも、廊下ですれ違いざまに挨拶をしたら、なにやら書類の山を持っていた。パッと一枚見てみたが、何を書いているのかよくわからない、役所文書らしく3行で眼がぐるぐると回った。
「何してるんだ?」
「聖女様から、宿題をいただいてんのさ」
「読めない」
「お役所の資料なんてそんなもんだ。私が今からその資料を整理して聖女様にも見やすくするんだから」
「なんで、そんなに頭がいいの?」
「そういうドビュこそ、生真面目に修行だけは怠ってないんだろ? おまえは、それでいいのさ」
まぁ、つまり、僕はそこまで頭が良くないからこそ、術師でありながら剣技だけは磨いている。術の腕だけだとイマイチだが、魔法剣を使えば、ポチ先輩とはいい勝負だ。だが、やっぱり頭が抜けているせいもあって、どうしても難しい話は分からず、先輩に任せている。まぁ、単純で裏表がないのもあって、聖女の護衛として働かせていただけているのだから、いいんだろう。
「聖女様は、休んでいるときがあるのかな?」
「さぁな。でも、馬車では寝ているんだろ? いいよな、寝顔が見られて」
「レインだってくればいいじゃん」
「いいか、雨男なんだ。来るなとわざわざ言いつけられてる。私は巡錫ではしゃいでる聖女様も、奇跡を神々しく起こす聖女様も拝めないんだぞ。」
「でも、授業中は二人きりのことも多いんでしょ?」
「ふん、悔しがっとけ」
レインは余程一緒に出掛けたかったのか、思い出してプリプリすねた。頭はいいのだが、時々こうやって子供っぽい。きっと負けず嫌いだから、勉強もいっぱいできるのだろう。
「でもさ。こないだ、授業中に好みの異性を聞いたんだよ」
「おぉ、聖女様に?」
「ああ。だが、可愛い女の子と結婚したいだって。私たちは眼中にすら無いんだろうな..。侍女のサヤが一番の好みだと言ってた」
「二人が仲良くしてるのも言ってるのも、なんだか和むけれどなぁ」
「そうじゃねぇ。『男?ざけんな』って感じが。泣けてくるぜ」
僕のことをキッと涙目でレインは睨んだ。どうやら、聖女様にフラれたみたいで悲しんでいるようだ。まぁ、もともと聖女様は神様のもんだし、僕らも出家している以上、結婚したら俗世に戻って教会暮らしをやめなければいけない。そういった妄想をするだけ無駄だと、僕は鼻から諦めている。僕は泣き言をいうレインを放っておく。
しばらくして護衛として勤務していると、どうしても聖女の部屋周辺を警戒することも多くなった。特に、男性なのに色目を使わないとして僕は買われた。護衛ができる術師や剣士となると、身体的な適性的として男性が多い。ちなみに、召喚時に心が乱れるような出来事は、全員が誰もシスターには話していない。おそらくバレれば、全員追放されかねない。
まぁ、そうやって部屋の近くにいるから、侍女役を買って出ているシスターのサヤと話す機会もあった。
「聖女様の世話は大変かい?」
「ううーん、あまり聖女様は女性らしくないかな。でも、サバサバしてて話しやすいよ」
「なんか、世話してるかいがあるって顔してるね」
「だって、あんなに可愛い女の子なんだよ?妹ができたみたいで嬉しいじゃない」
「中身は、豪快で大胆だけどなぁ」
談笑していると、声が聞こえたのか、ひょっこり聖女様が顔を出した。
「どうかしたのか?」
「あら、聖女様。ちょっと噂してただけですよ」
「どんな?」
「可愛い妹みたいって話です」
嬉しそうにサヤが聖女の頭を撫でた。聖女は、恥ずかしそうに顔を赤らめて俯く。男に裸を見られても顔色一つ変えなかったのに、サヤみたいな女性には免疫が無いようだ。
「あんなに男にはあっけらかんとしてるところを見ると、もしかしたら、気持ちは男性なのかもなぁ」
ぼんやりと思ったことをそのまま呟くと、なぜだか知らないが聖女様は顔を青くしながら、眼を見開いてこちらを見つめてきた。
限りなく真実に近いことを勘で言っているだけだが、もちろんドビュにそんな気はない。
「どうかしたのですか?聖女様」
「いや。ドビュは...なんでもない」
聖女はサヤを盾にして隠れるように身をひそめる。なにか悪いことをしただろうか。
「聖女様が、そうやって侍女とは戯れているのが見れてよかったです。いつも、僕たちが傍にいるときは、何かに頑張っていますから」
「可愛いシスターと一緒の時ぐらい、いいじゃないか...」
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