Summer Vacation

セリーネス

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終わり、そして始まり1

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翌日の夜、地下のリビングに集まり今回のターゲットについて久志達は互いの情報交換を行った。

「…ここに隠し通路があって、その先のこの場所が恐らく目的地」

雅鷹さんが用意していた見取り図を指差しながら、久志は各部屋の広さ、廊下の幅や距離等を細かく説明をしていった。

「…それから、こっちが橘家の全使用人のプロフィールとシフト表」

久志はクリアファイルからA4の紙を取り出して、貴美恵さん達に手渡した。

あの時とても調べている時間なんて無かった様にしか見えなかったのにホント一体いつ調べたのかしら?
気になって聞いても「企業秘密♪」と言って久志は教えてくれなかった。
続いて、貴美恵さんと蕾紗さんが説明を始めた。
全員、それぞれの説明に頷いたり質問をしたりときちんと理解しているけど、私は全く話に付いて行けていない。この場に居て良いのだろうか?と内心困ってしまっていた。

「…私、話解らないのに居て良いの?」

隣に座る久志の袖をツンツンと引っ張り、小声で聞くも全員にバッチリ聞こえていた様で、一斉に見つめられてしまった。

「佳夜ちゃん!」

「はいっ!」

貴美恵さんから突然大きな声で呼ばれ、ビックリして私も大きな声で返事をしてつい姿勢を正してしまった。

「佳夜ちゃんはここに居て良いの❤」

貴美恵さんがニッコリと微笑んだ。

「佳夜ちゃんをね、まだこちら側に引き入れる訳にはいかないから今回の仕事の事は気にしないで。でも、久志と結婚後は私達と一緒に仕事をして貰えたら嬉しいわ♪」

蕾紗さんも私の手を握り、優しい笑顔を見せた。

「佳夜ちゃんがゼラフィーネになって色々と世間を騒がせてくれた事とターゲットと接触出来た事が充分過ぎる程我々の力になってくれたんだよ」

にこにこと微笑み、雅鷹さんがそう言ってくれたけど、久志が婚約した。と言う話題で世間が騒いだ事の何処が怪盗・怜俐にとって有利なのか皆目検討も付かない私だった。

「ホント、佳夜ちゃん達のおかげで余裕出来たし、これだけ情報が揃えば私はいつでも行けるわよ♪」

今回ターゲットの品を盗み出す役目は蕾紗さんなのだそうだ。

「そうね~、決行は3日後が良さそうよ。予報が当たれば夜は厚い雲に覆われそうね♪」

スマホで天気予報を見ていた貴美恵さんがそう言った。

…3日後。
ルーのお休みの日なので、私はこちらにはいない。
何もお手伝い出来る事は無いのかも知れないけど、何だかとても申し訳ない気持ちになる。

「佳夜には戻って来た後で手伝ってもらいたい事があるから、気にするな」

私の表情から思った事が解った久志がよしよしと頭を撫でた。

その後もしばらく細かな打ち合わせを行い、各自部屋に戻った。

「…サラ」

脱衣場で抱き締められ、唇にキスを受けた。
毎日一緒にお風呂に入る事が当たり前になってしまい、今もキスをされたまま久志にワンピースと下着も脱がされていく。

「大好きだよ、サラ」

私だけに見せてくれる久志の甘い笑顔に私はいつもドキドキしてしまう。きっと何年経っても慣れないだろう。

「私も久志が大好きよ♪」

そう頬を赤らめて私が答えると、久志は一層嬉し気に笑顔を深めた。
久志に手を引かれて一緒に浴室に入り、シャワーで軽く身体の汚れを落としてから湯船に入り私は久志に後ろから抱き込まれる様な形でお湯に浸かった。

「来週から新学期だな」

「…そうだね」

何とか課題と宿題は片付いたけど、今年の夏休みは本当にあっという間に過ぎてしまい夏休みを満喫出来なかった気がする。

『性別も変わっちゃったしね~』

思わずクスっと笑いが零れてしまった。

「サラ?」

突然小さく笑った私を見て、久志は首を傾げた。

「夏休みがあっという間に終わっちゃうのに、夏休みらしい事を全くしなかったなぁって思っていたんだけど、…そんな事よりも私自身が色々変わりまくっちゃったって思ったら可笑しくなっちゃったの」

「確かに…」

久志は私の身体を優しく抱き締めた。

「だけど、5才の時の事が無かったらこんな苦労はしなくて済んだのにな」

「ん~。でも私が彰だったから、中等科も高等科も一緒に過ごせて色んな思い出を共有出来ている訳だし、久志に想いを寄せる沢山の女子からは男で幼馴染みって思って貰えていたから、陰湿ないじめを喰らわなくて済んだしね~。あとはもし私が男だったら久志とは恋人にはならなかったから、自分が女で良かったって思える。だから、結果的には良かったんじゃない?」

「そうだな。確かに佳夜のままだったら互いに部活があって良くても連休や夏休み位にしか会わなかっただろうな。…だが、例え彰だったとしても、俺はお前を恋人に選んでいたと思うぞ」

「…え?久志ってやっぱりバイだったの?……え~と、でも彰なら女の子を好きになっていたと思うよ?それに、久志だって男に欲情はしなかったんじゃない?」

久志の台詞に引き気味になりつつ彰としての考えを伝えた。

「やっぱりってなんだよ。…違う、俺は彰だから好きなんだ。彰なら欲情して抱ける自信はある」

久志からのビックリ過ぎるカミングアウトに、しばし凍り付いた。

「…………………私は全力で拒否ると思うよ?」

たっぷりと間を開けて、何とか答えるも、久志はニヤリと笑った。

「それはどうかな?彰は押しと快楽に弱いから、俺に告白されてそのまま抱かれて気持ち良くなっちゃったら違ったかもよ?」

「……久志のスケベ!変態!エロ親父!」

自信満々に言われたけど、否定出来ない気もする自分もいて何だか久志にムカッと腹が立った私は、勢いよく立ち上がり浴槽から出た。そして、慌てて一緒に出ようとした久志の顔面にシャワーをかけて牽制し、自分で身体を洗い出した。

「冗談だよ」

浴槽から出た久志が苦笑いしながらボディタオルを私から奪って、私の身体と自分の身体を洗い出した。

「俺だって女の子の方が好きに決まってんじゃん」

そう言いながら手際良く私を洗い、シャワーで泡を流してくれたけど、私は内心「絶対冗談じゃないんだろうなぁ」と少しだけ恐怖心を感じたのだった。





※※※※※※※※※※※※※※※※※




「到着♪」

私はまだ勤務から帰ってきていないルーの家に1人で転移をした。それも、ルーには内緒で♪

『よしっ!魔力を奪われ過ぎないで転移出来た!』

多少は身体に気だるさを感じるけど、気分は悪くない。
先週こちらから向こうへ戻る時に、自分の魔力で道を作りたくて転移の魔方陣を構築した。
初めて異世界を転移するので、ルーに多少サポートはして貰ったけどちゃんと成功し渡る事が出来た。
しかし、ごっそりと魔力を奪われ目の前に立つ久志に「ただいま~」と言うや否や私は意識を失って倒れてしまったのだった。
真っ青になって倒れた私をルーは慌てて支え、久志は直ぐ様私の母・リルーリリアを呼んで私を視てもらった。そしてどうやら私の身体は、地球人とのハーフの為か本来は身体全体を守る様に覆われている魔力の壁が弱く、ファルリーアパファルを離れる際重力に身体が捕らわれて引っ張られてしまう様に、半身が引き込まれ魔力をファルリーアパファルに奪われてしまったのだそうだ。
ただ、一度転移の道が出来ればもう身体がファルリーアパファルに捕らわれる心配は無いだろうし、母から魔力に身体を馴染ませ何時でも発動出来る様に、と言われて私が毎日修練を続けていたおかげで魔力の回復も早く、一晩寝れば意識も戻るでしょう。と母は2人に伝えた。
しかしそれでもルーはかなり私の事を心配し、久志に「来週も迎えに行くから1人で渡らせ無いでくれ」と言って帰って行ったのだそうだ。
母の言う様に、私は翌日には普通に目を覚ましたが前の日に倒れた事等全く記憶に無くてむしろ『良く寝たぁ!』と身体がスッキリしていて元気そのものだった。なので、やたらと身体を心配する久志から転移後に一体何があったのかを聞かされて逆に驚いた位だった。
母の言う様にもう魔力が奪われ過ぎない気がするので、ルーの次の休みの日の前日に自分で転移してルーを出迎えてあげようと考えていた。
だけど、目の前で倒れたのを見てしまった久志からは心配され、1人で異世界を渡る事に猛反対を受けて叱られてしまった。なので、私は渡ると決めた当日まで大人しく過ごし、久志が地下の資料室に用事が出来て部屋を離れた隙に置き手紙を置いて転移したのだった。

『さて、ルーが帰って来るまでに支度をしちゃいますか♪』

最近、貴美恵さんと都子さんから料理を習い始めた私は簡単な物なら作れる様になってきたので、今回は自分で作ってあげ様と思った。でもまだファルリーアパファルの食材を1人で扱うのは不安なので、食材や調味料は向こうからリュックに積めて持ってきたのだった。

「よいしょっと」

重かったので、一旦床に置いたリュックを持ち上げてキッチンへ移動しようとした時だった。

「サラ!」

「きゃあっ!!」

突然玄関ドアが勢いよく開き、ルーが飛び込んで来た。それに驚き過ぎた私は、思わず持っていたリュックをルーに向かってぶん投げてしまった。

「うぉ!?」

目の前にぶん投げられてきたリュックに驚きつつも、ルーは難なくそれを掴み平然と床に置いたのだった。

……ルーの身体能力の高さ恐るべし。

「…良かった。無事だったか」

そう呟くのと同時にルーは私を抱き締めた。

「執務室で書類を片付けていた時に、サラが転移してきた事が判ったんだ」

何度も身体を重ねて来たから、やはりルーの体内にも私の魔力が混じり離れていても私が魔力を使ったら感知出来る様になった様子だ。

「リルーリリアはもう倒れる心配は無いだろうって言っていたけど、サラは魔力を取り戻して日が浅いからまた身体に変調を来しているんじゃないかと思って心配したよ…」

「そんな、心配し過ぎだよ~」

私は苦笑しルーを抱き締め返したけど、ルーの身体は少し冷たくて小さく震えていた。

「…ルー?」

私が声を掛けると、ルーは強く私を抱き締めて震える声で過去に魔力を使い過ぎて真っ青になって倒れ、そのまま死んで行った人達を何度も目の前で見てきた。と話し始めた。

「この間サラが全く同じ様に倒れたから、サラを失ってしまうのではないかと思って恐ろしくなった」

翌日は勤務もあったし、母に命に別状は無いから一晩寝れば目を覚ますわよ。と説得されたが、本当は私が目を覚ます迄側に付いて居たかったルーは、久志にも過去の話をして私の身体に変調が無いかよくよく気を付けて見ていてくれ。と頼んで渋々こちらに戻って来たのだと言った。
そして、こちらに戻って来てしまえば向こうとの連絡手段が無いからその後の私がどうだったかずっと心配をしていたのだそうだ。

「……ごめんなさい」

そんなに心配させてしまっていたとは思わず『ルーも久志も心配し過ぎ!過保護なんだから!』と2人の気持ちを無視して勝手をした事を私は後悔した。

「いや、サラが元気ならそれで良いんだ。きちんと修練をしていたおかげだな♪」

抱き締めていた腕を緩ませ、ルーは私の元気な顔を見てやっと安心した様に笑顔になった。

「…ただいま、ルー♪」

「!? …お帰り、サラ❤」

私の言葉に益々嬉しそうに笑ったルーは、私に深く口付けた。
ルーの舌が口腔内を貪る様に這い回り私の舌を絡め取られた。私は酸欠で息苦しくなり、身体から力が抜けてしまった。

「…あっ!」

ルーは力が抜けてしまった私の身体をダイニングテーブルの上に押し倒し、ワンピースの中に手を入れて割れ目に指を入り込ませた。

「濡れてるな♪」

「言わないでぇ…」

ルーとの口付けだけで濡れてしまった下半身に恥ずかしくなり、私は顔が真っ赤になってしまった。

「可愛いな、サラは」

そう言いながらルーは騎士服のズボンのベルトを緩め、前を寛がせると既に血管が浮き出る程怒張させた陰茎を取り出したのだった。

「…余裕無いから、一気に挿れるぞ」

そう言って、私の下着の紐を解き床に落とすと膣に陰茎を宛がい挿入してきた。

「……あぁ!」

膣壁を抉り奥深くまで一気に挿入され、そのままルーは激しく抽挿し出し、私は快楽に呑まれ嬌声を抑えられなかった。

「あっ!や!駄目ぇ!激し過ぎっ……イッちゃう~!」

重厚なダイニングテーブルが揺れ出す程、ルーは腰を強く私に打ち付けた。何度も最奥を突かれ、抽挿される度に膣壁を抉られて気持ち良すぎて堪えきれずに私はイッてしまった。だけど、ルーは膣が陰茎を絞め付けるのも構わず更に激しく抽挿をし続けた。
身体が弛緩しないままで快楽を与え続けられ、私の身体はまた昂り直ぐに追い詰められしまった。そして、先程のものとは比べ物にならない程の快感に呑まれ身体が弾けてしまう様な快感が全身を駆け抜けて行った。

「あっ!…ダメぇ~~~!」

私の身体が強く震え、激しくイッてしまったのと同時にルーも「あぁっ!」と喘ぎ、達した。緩く腰を動かし続けビクビクと陰茎を震わせながら射精し続けた。
互いの身体が弛緩してきた所で、ルーは浄化の魔術を私に掛けてズルリと陰茎を抜き出した。
力が抜けた陰茎をズボンにしまい、服装を整えたルーは動けない私を優しく横抱きに抱えてリビングのソファに寝かせてくれた。
そして「ちょっと待っててくれ」と言ってキッチンへ走って行き、直ぐにカップを手に持ち戻って来た。

「…起きれるか?」

激し過ぎたと自覚があった様で、ルーは少し顔を赤らめていた。
背中を支えて貰う様に起き上がり、手渡されたカップの中身を飲むと、それは牛乳だった。濃厚でほんのりと甘くとても美味しくて一気に飲み干した

「美味しい」

「激しくしてごめん。…大丈夫か?」

1週間ぶりだったのと、私の「ただいま」と言う言葉に箍が外れてしまった。と言われた。

「…うん。でも、まだ寝たくないから前みたいに口付けで癒しの魔術を掛けてくれない?」

「あぁ、良いぞ」

ルーは私に優しく微笑み、深く口付けて魔術の掛け身体からを疲れを取り除いてくれた。

「ありがとう。……あれ?そう言えば、ルーお仕事途中じゃなかった!?」

「あっ!ヤベッ、そうだった!……ごめん、サラ!俺、一旦王宮に戻る!……たぶんってかきっと遅くなるから、お腹空いたら冷蔵庫とか食料庫の中のを適当に食べてくれて構わないから!あ!あと、玄関は鍵を掛けておくんだよ~!」

そう言うや否やルーは慌てて家を出て、ドアを閉めるのも忘れて飛び立って行ってしまった。
私の所為で仕事を抜けて来ちゃったのに、謝りそびれてしまった。

『ルーが帰って来たら、ちゃんと謝ろう』

私は玄関ドアを閉め、言われた通りきちんと鍵を掛けた。
ルーの魔術のおかげで体力が回復したので、私は床のリュックを改めて持ち上げキッチンへ移動した。
作業台の上に持ってきた食材を出して、貴美恵さんから借りた土鍋をコンロに置いた。

『思わずぶん投げちゃったけど、ルーが受け止めて床に置いてくれて本当に良かった~!』

土鍋には傷もヒビも無くて心底ホッとした私だった。借りて来ていた事をすっかり忘れてしまっていたので、取り出した時は慌てて回りを確認したのだった。

「さて!始めますか♪」

私はウキウキと調理を開始した。
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