Summer Vacation

セリーネス

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命動5

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巨木の真下は、それぞれの根と根元の幹が上階へ続く街への出入口となっている様だった。そして大地の方へ伸びていく根は、緩やかに伸びる傾斜をそのまま利用して道が造られ、地面へ続いていた。地面には、石畳が敷き詰められた東西南北に広がるかなり幅が広い道が続いている様だった。それにしても、地面から盛り出ている根はなんと巨大な事だろう……。
ルーと下り立ったこの場所も地面だと思っていたら、木の根の上に作られた騎士達専用の出入口前の広場だとルーが教えてくれた。根から地面までの高さが半端なくて軽く震えた。

…それにしても、上を見上げても木の壁しか見えない。

「震えは治まったかな?サラ」

ちゅっ、と優しく頬に口付け微笑む。ルーってば本当に格好良くて思わず見惚れてしまう。
周りの風景に心奪われたおかげとルーの魅力的過ぎる笑顔で、投身自殺の疑似体験を頭の隅に追いやる事が出来て震えも治まっていた。

『巨木の全長って一体どれ程なのかしら?バンジージャンプやフリーホール系を体験した事は無いけど、長い時間落ち続ける恐怖って本当に魂が抜け出てしまうんじゃないかと思う程怖かった…』

先程の恐怖をまた一瞬だけ思い出してしまい私は涙目になったが、ルーは先程から震え続けている私を甘い笑顔で見つめ続けてずっと抱き上げまま背中を優しく擦り、顔中に口付けを落として慰めてくれていた。

……そう、人目も憚らずにっ!!

ここが騎士の詰所前の広場だって事を忘れていた~!!
視線を感じてハッとなり、回りを見渡せば出入口に立つ騎士達を始め詰所内にいる騎士達、そして明らかに上階からわざわざ下りて来たんじゃ?と思える騎士達迄みんなしてこちらの様子を物凄く見つめていた。

「るっ!ルー!」

ルーから降ろしてもらおうと私は慌ててジタバタと暴れた。

「周りから注目されている事にやっと気付いて、恥ずかしくて顔が真っ赤になって焦るなんて、……ホントっ可愛いなぁ、サラは❤」

とっくに現状把握が済んでいるルーは余裕らしく、私を降ろした後は自分達をわざと見せびらかす様に腰に腕を回して私を抱き寄せ、耳に唇を寄せて囁いたり額に口付けを落としたりした。

「…昨日は自分が噂の中心になっている事を知って、驚いて嫌がっていたくせに」

余裕なその姿が少し憎らしくて、私はルーを睨んだ。

「こんなに可愛い恋人は見せびらかしたくなるだろう?今まで散々恋人や奥さん自慢をしてきた同僚達から羨ましがられるなんて気分も良いじゃないか♪」

「私はルーの自己満足の為にいるんじゃないんですけど?」

「勿論♪俺がサラの為にいるのさ❤」

そう言うと、すかさずちゅっと唇に口付けを落とされた~!
ご機嫌なルーに手を引かれたまま、顔が真っ赤に染まった私は広場脇のベンチに案内された。左手後ろの巨大な木戸から馬と一緒に出てくるからここで待っていて欲しい、と言われ、ベンチに向かう前に側の屋台で買ったお茶を手渡された。

「あんだけ俺等に注目しているって事は、本当にヤフク達が言っていた話は本当なんだろうな」

『今や王都中で話題になっている』

「…そうだね」

見つめ合って互いに苦笑した。

「出来ればサラを1人にしたくない。けど、詰所に一緒に行けば昨日以上の大騒ぎになってしまうと思うんだ」

…下手したら隊長が出てきて、叱責を食らって外出が遅くなる可能性があるから俺1人で行く事にする。だけど、絶対にサラの近くにあそこで暇している騎士達は近付けないし万が一誰かが側に来て話し掛けてきても無視して良いからな?あと、知らない奴に付いて行ったら駄目だからな?と、まるで小さい子供を心配する様な台詞を言い出したルーだった。

「……もうっ、ルー?私は小さな子供じゃないのよ?」

私は苦笑いを浮かべた。

私がそう言うのに「直ぐ戻るから、ここから動かないで待っていてね!」とルーは私に念を押す様に言うと、詰所へ駆けて行った。
ルーの背中を目で追っていると、詰所に近付く前にルーは騎士達に囲まれ周りから大きな声で何やら色々質問を受けていた。
ルーは足を止めずそんな人混みを引き連れ、詰所内へ消えて行った。

『結構人気者なのかも♪』

自分の好きな人が周りからも好かれている事を知ると嬉しくなる。
1人「ふふふ♪」と笑みをこぼし、お茶を一口飲んで改めて周りを見渡した。
巨木に覆われた世界だけど、以外と日は地面まできちんと降り注ぎ辺りは明るかった。

『1本、1本の木が大きいからこそ間に隙間が生まれて下まで陽光が差し込むのね』

地面には私の知る大きさの木々も勿論生えていて、大地には草花も生い茂り緑豊かな本当に美しい世界だ。
魔力が生きている世界だから、下手な機械化文明にならず自然を壊さない共存の道が歩めているのかもしれない。それに多種多様な種族がいるおかげで人間だけの独りよがりな考えに片寄らなくて済んでいるのだろう。
ベンチに座ったままで詰所側の幹や遠くの根を見ると、根っこ同士を繋ぐ様に巨木の囲う立派な歩廊が造られていた。そして、その上を2人組みの騎士が一定の感覚を開けて定位置に付き、見張りをしていた。この巨木の樹齢も気になるけど、イルツヴェーグの成り立ちとか歴史等をいつか学べたら面白いだろうなぁ…、と思った。

「凄いなぁ」

「何が?」

「きゃっ!」

つい口から零れた感嘆の声に反応が返って来るとは思わず、背後からの突然の声にビックリして文字通り飛び上がった。立ち上がってしまったまま振り返ると、いつの間に木戸から出てきたのか馬を連れたルーが近くに来ていた。

「ごめん、驚かせちゃった?」

私の驚き方が面白かったのか、ルーはクスクスと笑った。

「待たせてごめんね」

手綱から手を離し、ルーは私を抱き寄せて軽く口付けを落とした。
時間的にはそんなに経っていないのに、まるでずっと逢えなかったみたいな甘い雰囲気に頬が染まる。

「赤くなって可愛いなぁ❤」

私の初な反応に頬を緩めたルーから更にちゅっと唇に口付けをされた。
赤面が止まらない。…この状況にいつか慣れたいけど、そんな日は来るのだろうか?
ルーが私の腰を抱き上げて馬の背に座らせてくれると、ヒラリと後ろに跨がった。

「さぁ、行こうか♪」

木の根の道を下り、そのまま地面に降り立つとルーは馬首を左に向け、イルツヴェーグの巨木を左に見ながら石畳が敷かれた道を少し早足で駆け抜けた。
私は生まれて初めての乗馬(しかも横乗り)に最初はどうしたら良いのか判らず戸惑ったが、ルーが私の両腕を自身の腰に回させて服を掴む様に教えてくれた。そしてルーは自分の右腕を私の腰に回してキツく抱き締めて支えてくれたので、安定して座っていられた。
私は身体をルーに寄り掛からせて馬上からの景色を楽しんだ。

「ルーって馬に乗れるんだね」

「?」

ルーは私の言った事に軽く首を傾げた。
飛べる種族なので、馬とかって必要としていないのかと思った。と伝えると、得心がいった様で笑顔を浮かべた。確かにサーヴラーの騎士は飛んで任務に当たる場合が殆んどだが、馬や馬車を利用する事もあると教えてくれた。それに、森の中を抜ける際は飛ぶより馬で駆け抜けた方が速い場合もあるので、入団試験には必ず乗馬があるのだそうだ。
試験の話が出たのをきっかけに、私は色々とルーに質問をした。

「詰所で見かけた騎士服を普段はルーも着ているの?」

「あぁ。そうなんだけど、隊長・副隊長と近衛兵は色が違うんだ」

「へ~!ルーは何色なの?」

「中の詰襟のシャツはみんな同じ色だけど、上着は隊長が濃い赤。副隊長は黒、近衛兵は濃い青か白なんだ」

近衛兵に2色あるのは、王直属か第一王子直属か、の違いが一目で判る為らしい。後は隊ごとにマントの色と刺繍が異なる。そしてその他の隊の騎士達は基本的には王子又は王女が成人するまでは王直属の配下で、成人後は王子が上官となる。

「姫しか生まれなかった場合はどうなるの?」

「その場合は第一王女が上官になって、ゆくゆくは女王に即位するんだ」

だけど、王家は余程男系の血が強いのか王女が生まれる事の方が少ないらしい。

「あ、あのさ…」

王都からだいぶ離れた頃、ルーは速度を緩めて私の顔を見つめて話しかけてきた。

「サラに一つお願い事があるんだけど、良いかな?」

ほんのり顔を赤らめ、目も僅かに潤んで熱っぽい。

「どうしたの?改まって。…顔が赤いけど、風邪でも引いちゃった?」

具合が悪くなって引き返したいなら、遠慮なんてしないで欲しい。そう思って見上げると、ルーは道から外れ大木の影に馬を動かしそのまま止まると私を抱き締めて口付けを落とした。
その唇はいつも以上に熱くて私は驚いた。

「……その、このまま目的地迄後2時間位なんだけど」

「うん」

私の背中に回した右腕に力を込め、更に密着し耳に口を寄せた。

「……着く迄サラに挿れて進みたい」

「 !? は!? ……え?でもここって外だよ!?樹上にだって人が住んでいたりするんじゃないの?」

第一、馬上で一体どうやって!?

「この辺りは誰も住んでいない。それから俺が魔術でサラを隠してあげるから、恥ずかしくないよ」

馬上でのヤリ方も俺が教えてあげるから、安心して身を任せて❤と全くもって理解不可能な事を言われた!なんか、悪代官に手込めにされちゃう町娘な気分!!

「なっ、なっ、なんでいきなりそんな気分になっちゃったの!?」

待って!と言って慌てる私等お構いなしに、ルーはごそごそと自分の腰帯を緩めズボンの前を寛ぎ始めた。

…私に拒否権は無さそうだ。

「サラ……」

はぁ…と色っぽい溜め息を吐き、ルーがズボンを緩めて取り出したモノはもうかなりの状態で、タラタラと先走り(ルーが液体の名前を教えてくれた)を垂らし私のワンピースを濡らしていた。
日の下だから?なんかめちゃめちゃおっきくなってません!?
引き気味な私とは反対に、ルーは私の首筋に舌を這わせ息が粗くなっている。

「ごめん。もう、我慢できないんだ」

今すぐ挿れたい……!そう耳に熱い吐息と共に訴え、ワンピースの中に手を入れてきた。
なんだか様子が変なルーだけど、受け入れてあげないと凄く辛そうだ。

「……私の声が回りに漏れない様にと、絶対誰かに見られない様に隠してくれる?」

「あぁ!」

ルーは直ぐ様魔術式を展開して馬、私、自分の順に手をかざした。

「全部隠したから、もう見られる心配は無いよ」

そう言うと、ルーは私の腰を持ち上げルーと向かい合う様に馬を跨がせた。そして私の両手を自分の肩に掛けさせ、ルーの両脚の上に座る様に再度腰を持ち上げられると陰茎を膣に宛がい器用に先っぽで下着を横にずらすと一気に貫かれた。

「あっ!あぁぁぁん!!」

「はぁっ!ヤバいマジで最高にイイ……!」

大きいだけじゃなくて凄く太い!膣壁がミチミチと鳴っている様だった。
足が付かないのでルーが少し腰を動かすだけで、奥に当たり膣壁が擦られ直ぐにイってしまいそうになる。

「……馬を歩かせるけど、良い?」

気持ち好すぎて直ぐに達しない様に暫く我慢していたルーは、そっと馬を歩かせ始めた。

「あっ、ん!…あん!」

歩く馬が作る振動に中を占領しているルーの陰茎が絶え間なく膣壁を擦り、私は身体に快感の痺れが走り嬌声を上げた。

「ルー……!駄目!イっちゃう……!」

いつもより深く挿れられている所為で、ずっと奥を突かれ続け私はあり得ない程あっという間に達してしまった。

「くっ……、あぁ。俺のを絞り取る様に締め付けて気持ち好すぎる…!」

サラは本当にいやらしくて最高の身体を持っているな❤と唇に口付けをし、ルーはハッ!と掛け声をかけると馬に一つ鞭を入れた。

「あっ!あぁん!待って!……激しい!」

ルーは私を右腕だけで支え、軽く腰を上げて馬を走らせた。
イってしまったばかりなのに、ルーはわざと馬が与える振動を強くしたのだった。馬のひと駆けひと駆けが膣の中の陰茎を暴れさせ、私の奥を更に突き挿し激しく膣壁を抉る。私は止めど無く与えられる気持ち好すぎる快感にイかされ続け、全身に力が入らなくなりルーに必死にしがみついた。溢れ出る愛液は陰茎との抽挿を更に円滑に滑らせ、快感が増す一方だった。

「あぁっ!あぁっ!サラ!最高だよ!」

ルーはぐちゃぐちゃになってしまっている私の中に吐き出し、腰を強く押し付けて陰茎を震わせた。
しかし、ルーは馬のスピードは緩めずそのまま振動が作る抽挿は続き、溢れ出る愛液と精液で鞍も互いの服もグショグショに濡れてしまっていた。ルーも私も快楽に身を委ね喘ぎ声を止められず、更にルーは何度も達しては私に注ぎ続けた。

「あぁ……っ!」

イキ過ぎて私が意識を失いそうになっていた中で、ルーは一番強く腰を押し付けて熱い精液を吐き出すと、漸く馬のスピードを緩めた。
薄れそうになる意識で辺りを見渡すと、そこは森の中の小さな泉が湧く少し開けた場所だった。
ビクンッビクンッと膣の中で震わせるルーの陰茎を感じる事は出来るが、もう全身に力は入らないし股も脚も感覚が無くなってしまっていた。

「……ごめん、大丈夫?サラ?」

ルーは背中の羽を震わせ、浮き上がった。挿れたままで私を抱き上げて馬から降りると、馬の背に括り付けていた敷物を魔術を使い地面に広げた。
私をその上に優しく寝かせると、お腹に手を当てて浄化の魔術式を展開しゆっくりと陰茎を抜き出した。そして溢れる程注がれ、精液でぐしゃぐしゃに汚れた鞍と互いの股や服を泉で浸したタオルで拭い、風の魔術で綺麗に乾かしてくれたのだった。
サッパリと綺麗になった所で、ルーは私の隣に寝転び、腕枕をしながら抱き締め「気持ち良すぎてヤリ過ぎたくなって中毒になりそうだった。だけどサラに負担かけるからもうやらないよ。…本当にごめんな」とルーは私に謝った。
私に深く口付けをして体内に癒しの魔術を注ぎ、身体を整えてくれた。
漸く動ける様になった私はルーの方を向き、彼にぎゅーっと抱き付き胸に額をぐりぐりと擦り付けた。

「サラ?」

ルーはそんな私を優しく抱き締め返し、後頭部と背中を撫でてくれた。

「……凄く気持ち好くて自分じゃなくなってしまうみたいで怖かったの。あと、ルーがあまりにも激しくて薬を盛られちゃったのかと心配した」

「うん、俺もあんなに気持ち良いなんて思わなかった。……薬は多分盛られていたかもしれない」

「!?」

驚いて顔を上げると、照れた表情でルーは詰所に非番なのに噂を聞いてわざわざ下りてきた同期から飴を無理矢理口に入れられて、馬上での行為を聞かされた後から下半身が熱くなり変な気分になってしまった。と言った。

「せっかくのデートなのに、本当にごめんな」

ルーは起き上がると、胡座を掻いて座り腕を伸ばして私を抱き上げ横向きに座らせると私を優しく抱き締めた。

「目的地ってもう近いの?」

ルーの魔術のおかげで身体は元気になり、私は笑顔を見せた。

「うん、もう歩いてでも着く」

だから、その前にお昼にしようか♪とルーはまたもや魔術で馬の背にあった大きな籠を取り寄せて目の前に持ってきた。

「本当はこんな風に私的に魔術って使ったらいけないんだけどね」と、ルーはいたずらっ子の様な笑みを見せた。籠からサンドイッチや串焼きのお肉、サラダ、フルーツ、デザートにカップケーキ、良く冷えたお茶等を2人で並べながら、ルーは学んだ魔術の事を話してくれた。
イルツヴェーグの学舎に入学してから、ルーは本格的に魔術を学び出したそうだが、師は常日頃から魔術は世の為に使うべきもので己を堕落させる使い方をしてはならない!と言う人だったそうだ。サーヴラーでは皆当たり前の様に魔術が扱えるので深く考えずに使っている者が殆んどだが、自分が保有する魔力は決して底無しではない。修行をすれば魔力を増やしたり制御も出来るが、ルーが入学した様な推薦状が必要な学舎にでも入らない限り中々修行等しない。よって基本的には使い過ぎれば枯渇する。枯渇した魔力が元通りになるのも人によりけりだが、だいたい2~3日はかかる。しかし中には魔力が戻らずそのまま失ってしまう場合もある。
しかし、そんな状態では生活が出来ないと困った者は魔力の回復薬に手を出す。枯渇した身体に使うと一時的には魔力が回復し使える様にはなるが、魔力が回復しない身体に他人の魔力を入れる様なものなので、その薬を常用し続けると身体が蝕まれてしまうのだそうだ。
魔力回復薬は魔術師や騎士等修行を終え日頃から鍛練をしている者が使うべき物で一般人が安易に使って良い物ではない。と教えてくれた。

「だけど、容易に買えてしまう物でもあるから困るんだよね~。何せ違法薬ではないからさ」

取り扱っている屋台や店を重点的に巡回し、保有魔力が少なく修行をしていない一般人が常用しない様にルー達騎士は気を付けているが、年に一度は精神異常者や身体が蝕まれ寝たきりなってしまう者が出てしまうらしい。

「それ、私の母も同じ様な事を言っていたわ」

お昼を食べながらルーの話が以前父が話してくれた母の思いと同じなのを伝えると、ルーはそうだね。と頷いた。

「サラは向こうに居ればこの先も魔力に頼らないで済むだろうけど、…その、俺としてはサラにはこっちで一緒に暮らして欲しい。でもそうなると何かと魔力を使う事になるだろうから、基本的な修行を受けておいた方が良いかな」

まぁ、リルーリリアさんがもうその辺りは考えているかも知れないけどね。とルーは笑った。

『そうだ。明日向こうに帰ったら、これからどう2人と暮らすのか相談しなきゃいけないんだった』

ルーは基本的に日勤・夜勤が半月交代で来る仕事だし有事の際は直ぐ様駆け付けなくてはならないから向こうで暮らすなんてまず無理。日勤の時なら一緒にいられる時間も多いだろうけど、まだ学生の私は夜勤の時は完全にすれ違う。でも休みは10日一度だから私が向こうで暮らしたら明らかにルーが不公平になってしまう。
だけど、久志はファルリーアパファルの言葉が解らないし魔力だって無いに等しい。これではイルツヴェーグで一緒に暮らすのはかなり酷だろう。それに私も久志も学生だから毎日魔方陣で学校へ通うの?
なんか、それもおかしな気がする…。
平安時代みたいに私が2人の元に通う生活が良いのだろうか?(男女逆だけど)

「サラ?どうした?」

急に黙ってしまった私を心配したルーが顔を覗き込んだ。

「ううん!何でもない!大丈夫だよ」

ルーが膝から降ろしてくれないので、ずっとルーに抱きかかえられる様にお昼を食べていた私は、慌てて手に持っていたデザートを食べてお茶を飲んだ。

「そう?」

まだ少し心配気だが、ルーは空いた食器類を籠に戻して辺りを片付け始めた。やっと膝から降ろして貰えた私も片付けを手伝い、荷物を馬の背に括り付けたルーにまた馬に乗せてもらい出発した。

少し進むと森が終わり、一気に開けた景色になった。そしてなだらかな丘には色とりどりの花が咲き乱れていた。
各色毎に長方形が作られているので此処は花の栽培畑の様だ。

「サラ、ここは植物の栽培が大変上手いクシュリーラ(緑の民)の領地と畑なんだよ」

サーヴラーとクシュリーラは国が隣同士ともあり、仲が良い。イルツヴェーグの街を飾る植物の全てはクシュリーラ産なのだそうだ。

「あそこをサラに見せたかったんだ」

巧みに馬を扱い、ルーは器用に花畑の中を進んで行った。そして琥珀色に輝くラルーラの畑を見せてくれた。

「綺麗…!」

花屋の屋台でこの色のラルーラを見付けた時は正に私の瞳と思い、買ったがせっかくなら他の色も見て欲しいと思い連れてきてくれた。
ラルーラは本当に様々な色があり、美しかった。

「連れて来てくれて本当にありがとう!こんなに素敵な景色を見たのは生まれて初めてよ!」

私はルーの唇に口付けをした。

馬上から暫く美しい花畑を眺めていると、遠くで作業をしていたのか、クシュリーラの年配の男女がにこにこと笑い手招きをしてくれた。
薄い緑の髪を持ち、目は濃い茶色。耳はエルフの様に尖っていた。アキュミーラと同じ人族なのだそうだ。
どうやら私達を若い夫婦だと思ったのか、年配の夫婦は「互いの瞳の色のラルーラを持っていると末永く共にいられるよ」と私に碧色のラルーラ、ルーには琥珀色のラルーラを手渡してくれた。

2人にお礼を述べ、ルーは馬首をイルツヴェーグに向けた。
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