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夢の始まり7
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「風呂、サンキュー」
部屋に入ると、いつの間にか中央に6人掛けが出来そうな少し大きめのテーブルと椅子2脚が隣り合わせに並べて用意されており、テーブルの上には地図やら何処かの見取り図の様な紙やらが雑多に広げられていた。
「ちゃんと拭いてきたのか?」
頭にバスタオルを乗せ髪を軽く拭きながら現れた俺を見た久志は、まだ毛先から雫が落ちてきている事に気付き「こっちに座れ」と言いながら俺の腕を引っ張り椅子に座らされた。
丁度地図が見れる位置の前の椅子に座らされ、その隣の椅子に座った久志に頭をワシワシと拭かれる。
だいぶ拡大され、パッと見では何処だか判らない地図には何ヵ所かに青い○印が付いていた。
「これ、何処の街?」
頭を拭かれながら軽く振り向くと、目の前に胸が!
「!?」
腕を引っ張られて座らされた時は服着てたよな!?
なんで上半身裸なんだ!?いつの間に脱いだんだ!?
同性から見ても思わず見惚れてしまいそうになる程均等の取れた肢体に、今夜は妙な色香が漂っている様にさえ見える久志。
その姿に落ち着いたはずの鼓動がまた騒ぎだす。
「なんで、脱いでいるんだ……?」
うるさい程に騒ぐ鼓動が久志に気付かれないか不安を覚えつつ懸命に地図へ視線を移した。
「あぁ、お前の髪が思っていた以上に濡れているから、俺のシャツが濡れるのを防ぐ為に脱いだ」
「そ、そんなに濡れていたか?……ちゃんと拭いてきたんだが」
「手間かけさせて、なんかごめん」と、呟きつつ別に女性の様に長い髪でもなければ俺の短い髪を多少雑に乾かしたって問題ないはずなのに、未だに治まらない鼓動の所為でつい謝ってしまった。
「別に気にするな。好きで世話焼かせてもらってんだ」
久志は俺の頭を拭きながらそっと耳に口を寄せ優しい声音で呟いた。
「!?」
声と共に左耳に吹きかけられた温かい息に体がビクンッと震え、思わず両手で左の耳を押さえる。
「いきなり何すんだよっ!お前変態か!?」
絶対に羞恥で顔が真っ赤になり、目にも涙が溜まってしまっているだろうが、そんな事にも構わず勢い良く立ち上がって振り向き久志に声を荒げる。
しかし、俺の怒りが全く気にならないのか久志は手に持っていたバスタオルを持ち直して頷く。
「良い感じに乾いたな。じゃ、俺風呂に入ってくるから彰は机の上の冊子に目を通しておいてくれ」
またもや無表情のまま脱衣場に消えて行ってしまった。
「…………何なんだよ、ホント。あいつあんな奴だったか~………?」
一気に脱力し、テーブルに突っ伏してしまう。
しばし俺は動けなくなった。
※※※※※※※※※※※
2つの扉越しだからか、浴室からの気配はもちろんの事シャワーの音も殆んど聞こえない中、軽く30分は動けなかった俺はようやく頭を上げ、ゆっくりと立ち上がりよろめく足で窓際の机の上の冊子を手に取った。
しかし、また同じ椅子に座り直す気になれず横になりたくなり、寝室の戸を開けた。
本当は今日の事やこれからの事を色々聞きたかったが、削り取られ過ぎた精神力と未だに速い鼓動に疲れ切ってしまった。
固過ぎず軟か過ぎない今まで知らなかった最高に気持ちの良いベッドに横になり、更にフワモコな肌触りのタオルケットを抱き締めると、完全に睡魔にも抱き締められてしまい、枕元に冊子を置き目を閉じてしまった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「いないと思ったら……。ふふ、無防備で可愛いなぁ。あぁ、早く目覚めて。俺が我慢出来るうちに❤️」
何処か遠い空の上からの様な、でも何故か下半身に痺れを感じさせる様な声が聞こえた気がしたが、目を開けれない程眠くて俺は解らないまま夢の扉をくぐって行った。
部屋に入ると、いつの間にか中央に6人掛けが出来そうな少し大きめのテーブルと椅子2脚が隣り合わせに並べて用意されており、テーブルの上には地図やら何処かの見取り図の様な紙やらが雑多に広げられていた。
「ちゃんと拭いてきたのか?」
頭にバスタオルを乗せ髪を軽く拭きながら現れた俺を見た久志は、まだ毛先から雫が落ちてきている事に気付き「こっちに座れ」と言いながら俺の腕を引っ張り椅子に座らされた。
丁度地図が見れる位置の前の椅子に座らされ、その隣の椅子に座った久志に頭をワシワシと拭かれる。
だいぶ拡大され、パッと見では何処だか判らない地図には何ヵ所かに青い○印が付いていた。
「これ、何処の街?」
頭を拭かれながら軽く振り向くと、目の前に胸が!
「!?」
腕を引っ張られて座らされた時は服着てたよな!?
なんで上半身裸なんだ!?いつの間に脱いだんだ!?
同性から見ても思わず見惚れてしまいそうになる程均等の取れた肢体に、今夜は妙な色香が漂っている様にさえ見える久志。
その姿に落ち着いたはずの鼓動がまた騒ぎだす。
「なんで、脱いでいるんだ……?」
うるさい程に騒ぐ鼓動が久志に気付かれないか不安を覚えつつ懸命に地図へ視線を移した。
「あぁ、お前の髪が思っていた以上に濡れているから、俺のシャツが濡れるのを防ぐ為に脱いだ」
「そ、そんなに濡れていたか?……ちゃんと拭いてきたんだが」
「手間かけさせて、なんかごめん」と、呟きつつ別に女性の様に長い髪でもなければ俺の短い髪を多少雑に乾かしたって問題ないはずなのに、未だに治まらない鼓動の所為でつい謝ってしまった。
「別に気にするな。好きで世話焼かせてもらってんだ」
久志は俺の頭を拭きながらそっと耳に口を寄せ優しい声音で呟いた。
「!?」
声と共に左耳に吹きかけられた温かい息に体がビクンッと震え、思わず両手で左の耳を押さえる。
「いきなり何すんだよっ!お前変態か!?」
絶対に羞恥で顔が真っ赤になり、目にも涙が溜まってしまっているだろうが、そんな事にも構わず勢い良く立ち上がって振り向き久志に声を荒げる。
しかし、俺の怒りが全く気にならないのか久志は手に持っていたバスタオルを持ち直して頷く。
「良い感じに乾いたな。じゃ、俺風呂に入ってくるから彰は机の上の冊子に目を通しておいてくれ」
またもや無表情のまま脱衣場に消えて行ってしまった。
「…………何なんだよ、ホント。あいつあんな奴だったか~………?」
一気に脱力し、テーブルに突っ伏してしまう。
しばし俺は動けなくなった。
※※※※※※※※※※※
2つの扉越しだからか、浴室からの気配はもちろんの事シャワーの音も殆んど聞こえない中、軽く30分は動けなかった俺はようやく頭を上げ、ゆっくりと立ち上がりよろめく足で窓際の机の上の冊子を手に取った。
しかし、また同じ椅子に座り直す気になれず横になりたくなり、寝室の戸を開けた。
本当は今日の事やこれからの事を色々聞きたかったが、削り取られ過ぎた精神力と未だに速い鼓動に疲れ切ってしまった。
固過ぎず軟か過ぎない今まで知らなかった最高に気持ちの良いベッドに横になり、更にフワモコな肌触りのタオルケットを抱き締めると、完全に睡魔にも抱き締められてしまい、枕元に冊子を置き目を閉じてしまった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「いないと思ったら……。ふふ、無防備で可愛いなぁ。あぁ、早く目覚めて。俺が我慢出来るうちに❤️」
何処か遠い空の上からの様な、でも何故か下半身に痺れを感じさせる様な声が聞こえた気がしたが、目を開けれない程眠くて俺は解らないまま夢の扉をくぐって行った。
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