上 下
2 / 4

AV男優、コイヤー・カカツテ

しおりを挟む
 俺は転生者だ。

 治癒師をやっている。成り行きで。

 転生者の自覚があるということは、当然、前世の記憶もある。

 前世ではAV男優だった。

 サラリーマン時代、ひょんなことからAV監督と知り合いになり、意気投合。

 ちょっとAVに出てみないかと誘われ、興味本位でやってみたのが始まりだ。

 べつにアブノーマルな作品でもなかったので、俺も楽しみつつ何本か汁男優として参加した。

 そんなある日、女優がノリで俺のペニスを亀頭責めしたのが運命の分岐点だった。

 もともと感じやすかった俺は七転八倒して悶絶した。その姿がカメラ映えしたらしく、女優も監督も大ウケ。

 さらに責められながら「もうやめちゃおうか?」と女優に囁かれた俺が、「かかってこいやー!」と叫んだことで、俺の名前が決まった。

 コイヤー・カカツテの誕生だ。

 そこから俺が出演する作品は、ことごとくM男系に偏った。しかし最初は、なんだかんだでそれを楽しんでた。

 乳首や亀頭、アナルを責め続けられて、気を失いそうなほどの快感を受け続けるのは、男なら一度は経験したいのではなかろうか。

 そう、一度なら。

 しかし、幸か不幸か……、いや、不幸にも、俺は人気AV男優になってしまったのだ。

 いったい俺の何が世の中の成人にウケたのか、さっぱり理解できない。

 一日のスケジュールがずっと撮影で埋まる日もあった。

 だけど、そんなの、ただの拷問だ。快楽も度を過ぎたら苦痛に変わる。

 デビューしてから何年か耐えていたが、いよいよ限界が近づいていた。

 撮影に行きたくなかった。本気で行きたくなかった。

 円形脱毛症になり、それを隠すためにスキンヘッドにした。

 そしたら、そのスキンヘッドで絶倫感が増したと、さらにウケた。

 女の尿を頭の上からかけてもらって「滝行」なんて撮影をしたこともある。罰当たりだ。

 そうして俺は、ついに最後の撮影を迎えることとなる。



 撮影はいつものように、俺が拘束されているところから始まった。

 基本的に俺に台詞はない。求められているのは余計な演技ではないのだ。

「ほら、さっさと吐いちまいなよ」

 ボンテージ姿の女が鞭を持って近づいてきた。

 吐いて終われるなら吐いてしまいたいが、そもそも俺の役が何なのか俺は知らない。

 俺は黙って首を振った。

 女優は鞭で地面を叩くと、俺の後ろに回って、目隠しをしてきた。

 ああ、くそっ。目隠しをされると間違いなく感度が上がる。地獄だ。

 音だけを頼りに次の展開を待っていた。すると、右の乳首に強い刺激が走った。

「んっ」

 つねられていた。そして、つねったまま乱暴にぐりぐりとひねられた。断続的にじんっじんっと右半身に快感が走り抜ける。

「吐け! ほら!」

 俺は首を振った。

 乳首から指が離れた。次は左かと待っていたら、右側の乳首が少し冷たいぬるっとしたものに包まれた。

 乳首が吸われている。きゅっと吸われた瞬間に、ぬろんと舐められた。気持ちよさで力が抜ける。

「ぐっ、ううぅ」

 俺は堪えた。しかしすぐに左の乳首も同時に摘まれる。

 右と左、交互に刺激が与えられる。

 右の乳首を甘咬みされた。ぴりりっと足先までぞくぞくする。

 次の瞬間に左の乳首を捻り上げられる。左足の指をきゅっと閉じて快感に耐える。

 しかしまたすぐに右、左、右、左、と快感の波が押し寄せてくる。

 頭がおかしくなりそうだ。

 ペニスがギンギンに硬直しているのが分かる。硬直の限界を超えようとするかのように、びくびくと脈打っている。

 不意に俺の両乳首から女優が離れた。

 ふう、と一息つく間も与えず、俺のペニスの先が掴まれた。

 俺の体がのけぞる。拘束具がガシャンと鳴った。

「早く吐かないと大変なことになるよ?」

 やめてくれ。今はまだ気持ちいいが、これが段々と苦痛へと変わっていくのだ。

 俺のペニスに何かがぬとっと落ちた。女優が唾を落としたのだ。

 それを塗り付けるように俺の竿をしごき始める。

「ぬうっ、ぐぅ」

 全身を得も言われぬ快感が駆け巡る。

 女優はぬるぬるのペニスをぐーっと引っ張った。手から滑り抜けるときに、小指、薬指、中指、人差し指と順番にカリ首に引っかける。そしてまたペニスの根本まで握り直し、同じことを繰り返す。

「これ、気持ちいいんでしょ?」

 俺は首を振った。が、腰が痙攣するほど気持ちよかった。このままだと射精しそうだった。

 俺の右乳首がまた女優の口に含まれた。れろれろと高速で舐められながら、ペニスのしごきが続けられた。

「あっ、まっ……てっ、いっ、い、く……」

 俺のその言葉で、女優はぱっと離れた。

「ぶあっはぁ!」

 寸止めをされて、俺の体ががくんと震えた。そしてうなだれる。

 ペニスがぐんっ、ぐんっ、と脈打つように上下していた。

 がぽんっと、ペニスが温かいもので包まれて締め付けられた。

 女優がフェラチオをしてきたのだ。

 ぐっぽぐっぽと唾液と舌を絡ませながら、俺のペニスを吸い上げる。

 全身が痙攣を始め、汗が吹き出す。俺は腰を前に突き出すと、一度大きく震えた。

「がっ、あっ、あ、うっうぅ」

 射精してしまった。

「なに勝手に射精してんだよ」女優は地面を鞭打った。「まだまだ終わらねえからな!」

 ここから地獄が始まるのだ。



 その後、男の潮吹き、二回目、三回目の射精と責められる。

 途中で何度かシーン変更や休憩が入ったが、今回はかなり無茶な撮影が強行されている感があった。

 俺の陰のうがずきずきと痛み始め、もう射精は無理だと思った。

 三回目の射精が終わったところで拘束を解かれたが、足腰が立たなくなっていた。

(もう辞めよう)

 いつからか、撮影が終わる頃には毎度こう考えるようになっていた。

 だけど、このときは本気だった。もう限界だったんだ。

 最後はセックスシーンだったが、俺が立てないことを見越して、正常位で終わらせることになっていた。

 拘束から抜け出した俺が、復讐とばかりに女優を突きまくるシーンだ。

 俺は心を無にして必死に腰を動かした。

 射精はできないと思った。だが、できなければ撮影が終わらない。何が何でも射精する。射精してみせる。

 心臓がひっくり返るんじゃないかというぐらい、ドンドンと拍動していた。

 無我夢中で腰を動かしながら、女優の顔を見た。

 すると、喘ぐ演技をしているはずの女優が真っ青な顔で俺を見ていた。

 それが最後の光景だった。

 俺はひゅっと息を吐いて女優の上に突っ伏した。



 そして、死んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...