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異世界編

第13話 調教開始

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「ん・・・んぁ・・・私は・・?」

真っ暗であった。
死んで生き返った時は光に包まれているのでそれとはまた違う感覚、何よりも体に感じる違和感に直ぐに気が付いた。

「動けな・・・い?」

両手を後ろで縛られ上から吊るされている、両足も足首を固定され土下座の様なポーズのまま身動きが取れない女勇者は恐怖した。
これから一体何が行なわれるのかわからない、それがとても怖かったのだ。

「おっ目が覚めたかい?」
「だ、誰だ?!」
「酷いな、ファーストキスの相手にそれは無いんじゃない?」

その言葉で女勇者は意識を失う前の事を思い出した。
魔王ガランドと戦いに行く途中で自分の前に立ちはだかった男。
自身がその男の手で拘束されたのだと理解した女勇者は歯を食いしばり怒りに震えていた。

「貴様!今すぐコレを解け!私は、私には魔王を倒す使命があるんだ!」
「はぁ・・・それをさせない為に俺がこうやって君を拘束しているのが分からない御馬鹿さんなのかい?」
「く、殺せ!」

その言葉を聞いたと共に少しの静寂が訪れた。
そして・・・

「ぷっあははははははははは!!!」

男の笑い声が高らかに響いた。
女勇者は困惑する、自らが言った事の何がおかしいのか全く分からないのだ。
しかし、真央は全く違う事で笑っているのである。

「な、何がおかしい!」
「いや~笑わせてくれるねぇ~、威勢は凄く良いんだけどその台詞は勇者じゃなくて騎士の台詞なんだよね」
「はっ???」

意味が分からない、困惑する女勇者の耳に足音が聞こえ徐々に近付いてくる。
怖い、殺されるのであれば望むところ・・・そうすれば教会で生き返り再び魔王を殺す為に立ち上がれるのだから。
だがその足音は自分の真横を通り過ぎて背後へと回った。

「一ついい事を教えてあげよう、今から君は俺が満足するまで毎日自由にその体を弄ばれる運命なのさ」
「・・・私の体が目当てか?!この愚者め!」
「おおっと怖い怖い、だけど口の利き方には気をつけた方がいいよ。今の君はまな板の上の鯉、まさにその物なのだから」

そう言われ足音の位置、声の高さから自分が何か台の上に拘束されているのを理解した女勇者。
その女勇者の腰に真央の手が触れた。

「なっ何をするつもりだ?!」
「だから言ってるだろ、お・し・お・き」

グイッとお尻が持ち上げられ腰だけ上げた状態にされ気付く。
下半身に何も装備されていないのだ。

「フッ・・・」
「ひぃっ!?」

小さく優しく生暖かい息が割れ目に吹き掛けられた。
ゾクリと背筋を寒気が走り体が反応する。

「ははっ敏感なんだね」
「絶対に許さない、必ずお前も殺す!」
「アソコ丸出しで良く吠えるワンちゃんだなぁ~」

そう言って真央は女勇者の太股に触れて・・・内股を抓った。

「ひぎぃっ!」

内股は人間の敏感な場所のである、抓ったりすれば軽くであってもかなりの痛みを感じさせる箇所である。
そして、その痛みを感じた部分に生暖かい何かが触れる・・・

「なっなんだ?!」
「・・・」
「なにを・・・一体何をやっているんだ?!」

痛みに関しては女勇者は耐性がかなりある、それはそうであろう毎日死ぬ程の痛みをリアルに体験しているのだから。
正確に言えば死ぬほどと言うよりも本当に死んでいるのだが・・・
その彼女をしても一瞬耐え難い痛み、内股の痛みと言うのはそれほど強いのである。
その痛みが走った部分に訪れた違和感に見えないという事実が恐怖を煽り立てる。
視覚が封じられる人は他の五感が敏感になり感覚で事象を想像するしか出来なくなる。
恐怖、それは理由が分からないからこそ最大限に感じ取れる物なのである。

「ひがぁっ?!・・・んっぁぁ・・・」

再び反対側の内股への痛み。
そして生暖かい感触・・・
その時に理解した。
舐められている、間違い無くそうだ。

「っと思ったかい?」
「っ?!」

突然目の前で聞こえたその声に驚く。
それはそうだろう、舐められていると想像した以上真央の顔は自分の股に在る筈なのだ。
だが実際に聞こえた声は正面から。
もう意味が分からない。

「さて、それじゃあまずは君の名前を聞かせてもらおうか」
「はっ名前を聞く時は自分から名乗るのが礼儀ってママから教わらなかったくぁ?!」
「名乗って欲しいってお願いしてるんじゃないんだ、名乗れって命令しているの分からないかな?」

口の中に何かが差し込まれ舌を押さえられる。
感触からして・・・指!
女勇者はチャンスとばかりにそれを歯で噛み切った!

「あっ?!」
「ぷっざまぁみろ!」

吐き出した噛み千切った指が地面にベチャっと落ちる音が聞こえ馬鹿にしたように口にする女勇者であるが・・・

「おまふぇっふぃふぁんふぁ・・・?!」

口が痺れた。
口内に違和感を感じると共に上手く喋れなくなったのだ。
その異常な事態に困惑する女勇者、それが先程噛み千切った指の体液が触れた所というのに気付いた時にもう遅かった。

「指だと思った?残念だけど今君が噛み千切ったのは麻痺樹って麻痺毒を樹液とする樹だったんだよね」
「っ?!」
「じゃあ今日は初日と言う事で、君が自己紹介をすれば終わりにしようか」
「ふぇっ?!」

それはこの麻痺が解けなければ名乗る事もできないという状況で伝えられた絶望的な宣言。
そして、続けて感じた内股の舐められたと思ってた部分に感じる更なる違和感。
怖い、怖い、怖い・・・
一体これからどうなってしまうのか、そう考えた女勇者の感情を真央は喰いながら手に取るように理解している事を彼女はまだ知らない・・・
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