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第5話 ラスクに餡をかけて作るなんちゃっておこげ料理
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結局会社からもしっかり治せと1週間の入院生活を終えて自宅に帰ってきたさやか。
流石に1週間も開けると冷蔵庫の中身が危険な事になっていたのでまず生ゴミの処理。
そして、溜まっていた洗濯物を洗濯して部屋の掃除。
何かを忘れている気がするのだが元気になった体で自由に動ける事の幸せを実感しながら色々やっていたら突然インターホンが鳴った。
「はーい」
退院祝いに和井さんが来てくれたのかな?
そう考えさやかが玄関を開くとそこにはパンチパーマに黄色のスーツを着た永久乃が居た。
「ごめんやっしゃ~、今月分の30万円貰いに来ましたで~」
さやか、この時やっと思い出した。
自分には5千万円の借金があった事を。
「すみません、ちょっと病気で入院していたもので。夕方また来て頂いていいですか?」
「夕方ですね、分かりました。それじゃ」
そう言って帰っていく永久乃・・・
このまま逃げ出すとか考えないのだろうか?
いや、きっと誰かが見張っているに違いない。
逃げる訳にはいかない!
さやかは『自分を育ててくれた父を助ける為に借金を肩代わりしたんだ』とあの時の気持ちを思い出し通帳を持って銀行へ向かった。
幸い貯金があったので今月の30万円は無事に用意できた。
だが貯金も病院の入院代を支払って100万円を切っていた。
来月からは頑張らないとな!
その日からさやかは夜のバイトを2つ掛け持ちで初め日曜は体を休める日として決め節約生活を開始した。
ちょっと誤算だったのは会社が10日以上休んでしまったのでメインの給料が低くなってしまい翌月も赤字になってしまった事だろう。
課長の計らいで来月分の有給休暇も入院の間に当て代えて貰えたのでそれ程酷い事にはならなかった。
仕事帰りに買っていたお酒も今は禁止して食料のメインとなるパンの耳をパン屋さんで貰って帰る日が続いた。
パンの耳を油で揚げて作るラスクにレトルトの餡をかけてなんちゃっておこげ料理が予想以上に美味しくて暫くの間これで生活する日が続いた。
そして、次の月末。
さやかを更なる悲劇が襲った。
「尹小田口絵さん、定時だ上がりたまえ」
いつものように課長の指示で定時5分前に帰り支度をさせられて定時にタイムカードを切って帰らされる。
やっぱりうちの会社は厳しすぎる、定時と同時に会社を追い出されるなんて酷すぎる・・・
そんな事を考えながらいつものパンの耳を頂きアパートに帰ったのだが部屋の電気が付いていたのだ。
胸騒ぎがした。
少し隙間が開いたままになっていた玄関を開けて中を見ると・・・
家の中が滅茶苦茶になっていた。
一目で分かった。
泥棒の仕業だ。
特に高い貴金属は置いてなかったので盗まれた物といえばたまに暇つぶしでやっていたゲームや音楽CDとかであった。
そして、明日が支払いの日だったので前もって30万円用意していたのだが勿論それも無くなっていた。
仕方なく、その日のうちに再び銀行から貯金を崩して30万円用意し帰ってからは警察を呼んで現場検証で一日が潰れた。
「これで貯金も50万円くらいになっちゃったよ・・・本当どうしよう・・・」
一人グチャグチャにされた部屋の真ん中で落ち込みながらさやかは引き裂かれていた布団に包まって眠るのだった。
流石に1週間も開けると冷蔵庫の中身が危険な事になっていたのでまず生ゴミの処理。
そして、溜まっていた洗濯物を洗濯して部屋の掃除。
何かを忘れている気がするのだが元気になった体で自由に動ける事の幸せを実感しながら色々やっていたら突然インターホンが鳴った。
「はーい」
退院祝いに和井さんが来てくれたのかな?
そう考えさやかが玄関を開くとそこにはパンチパーマに黄色のスーツを着た永久乃が居た。
「ごめんやっしゃ~、今月分の30万円貰いに来ましたで~」
さやか、この時やっと思い出した。
自分には5千万円の借金があった事を。
「すみません、ちょっと病気で入院していたもので。夕方また来て頂いていいですか?」
「夕方ですね、分かりました。それじゃ」
そう言って帰っていく永久乃・・・
このまま逃げ出すとか考えないのだろうか?
いや、きっと誰かが見張っているに違いない。
逃げる訳にはいかない!
さやかは『自分を育ててくれた父を助ける為に借金を肩代わりしたんだ』とあの時の気持ちを思い出し通帳を持って銀行へ向かった。
幸い貯金があったので今月の30万円は無事に用意できた。
だが貯金も病院の入院代を支払って100万円を切っていた。
来月からは頑張らないとな!
その日からさやかは夜のバイトを2つ掛け持ちで初め日曜は体を休める日として決め節約生活を開始した。
ちょっと誤算だったのは会社が10日以上休んでしまったのでメインの給料が低くなってしまい翌月も赤字になってしまった事だろう。
課長の計らいで来月分の有給休暇も入院の間に当て代えて貰えたのでそれ程酷い事にはならなかった。
仕事帰りに買っていたお酒も今は禁止して食料のメインとなるパンの耳をパン屋さんで貰って帰る日が続いた。
パンの耳を油で揚げて作るラスクにレトルトの餡をかけてなんちゃっておこげ料理が予想以上に美味しくて暫くの間これで生活する日が続いた。
そして、次の月末。
さやかを更なる悲劇が襲った。
「尹小田口絵さん、定時だ上がりたまえ」
いつものように課長の指示で定時5分前に帰り支度をさせられて定時にタイムカードを切って帰らされる。
やっぱりうちの会社は厳しすぎる、定時と同時に会社を追い出されるなんて酷すぎる・・・
そんな事を考えながらいつものパンの耳を頂きアパートに帰ったのだが部屋の電気が付いていたのだ。
胸騒ぎがした。
少し隙間が開いたままになっていた玄関を開けて中を見ると・・・
家の中が滅茶苦茶になっていた。
一目で分かった。
泥棒の仕業だ。
特に高い貴金属は置いてなかったので盗まれた物といえばたまに暇つぶしでやっていたゲームや音楽CDとかであった。
そして、明日が支払いの日だったので前もって30万円用意していたのだが勿論それも無くなっていた。
仕方なく、その日のうちに再び銀行から貯金を崩して30万円用意し帰ってからは警察を呼んで現場検証で一日が潰れた。
「これで貯金も50万円くらいになっちゃったよ・・・本当どうしよう・・・」
一人グチャグチャにされた部屋の真ん中で落ち込みながらさやかは引き裂かれていた布団に包まって眠るのだった。
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