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NEXT 第6話 オークションの護衛

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「ねぇ、これ面白そうだよ!」

ミリーが嬉しそうに依頼書を指差しはしゃいでいる。
サラの出した依頼の返答が出るまで暇だったのでBランクのサラが何か依頼を受けて暇潰しをすることになったのだが…

「オークションの護衛?」
「そう!丁度今夜みたいだし面白そうじゃん!」

サラがいつもの嫌な予感を感じるがミリーは凄く楽しそうにしているのでどうやって断ろうか悩んでいたら…

「へぇ~オークションの護衛がBランクの依頼なんて珍しいな」

ゴンザレス太郎の言葉はもっともであった。
町から町への護衛ですらCランクの依頼なのだ、一夜限りの護衛にBランクを指定してくるなんて余程命を狙われているか理由があると言うことになる。

「う~ん…何か嫌な予感しかしないんだけど…やってみる?」
「私は構わない」
「俺も良いぜ」
「やったぁ!」

まぁゴンザレス太郎が護衛していれば守れない対象など存在しない、死んでも生き返らせられる、状態異常や消滅ですら元通りに出来るし戦って勝てる相手が居るわけがない。
そう考えたサラは自分の中の嫌な予感を無視して依頼を受けるのだった。
まさかこれがとんでもない依頼だとはこの時は誰も知るはずも無く・・・



「ふむ、来てくれたか。見たところおなごばっかりじゃが大丈夫かの?」
「安心して下さい、世界一安全に護衛させて頂きますから」
「そ・・・そうか、頼りにしとるぞ」

日が暮れギルドに出向いた4人を待っていた以来主の老人『ギャンブル』と顔合わせをして出発する。
一応護衛はサラの仕事で3人は無料の付き添いと言う形を取っている。
ギャンブル爺さんも同行が美女ばかりなので快く承諾したのだがその向かった先が…

「あの…こっちって町から出ません?」
「何を言っとるんだ?町から出ないと無理じゃろ?」

もしかしたら秘密の会場が何処かに在りそこで裏オークションが開催されるのかとワクワクしだしたミリーであったが…

「ブモォォォォォ!!!!」
「よし!そのまま押さえてろよ!」

サラが取り押さえているのは野生の豚の顔を持つ身長2メートルはある魔物のオークである。
そのオークに特殊調合した利尿剤を無理矢理飲ませて器にオークの尿を集めるギャンブル爺さん。
フーカとミリーはドン引きであった。

「オークションってオークのショ○ベンかよ?!」

ゴンザレス太郎の叫びが夜の森の中に響くがそれを否定するギャンブル爺さん。

「何を言っとるんじゃ?これを使って作る回復薬がオークションじゃぞ?」

それはギャンブル爺さんが独自に開発した特殊な回復薬で名を薬草から作られる薬が『ポーション』だからオークから作るので『オークション』と名付けられており、ポーションと違い飲んでも味覚を破壊する程は不味くないと言うことでそれなりに売れていた。
まさか材料がオークの尿とは誰も知らないのだが…

「よし、こんなものでイイじゃろう!」

ギャンブル爺さんがオークの尿を取った尿瓶の様な入れ物に蓋をして離れる。

「よし、嬢ちゃんオークを逃がしてやってくれ」
「えっ?!逃がすの?!」

このオークの尿の為にオークの数を減らすのは良くないと考えているギャンブル爺さん、冒険者のランクを高く設定していたのはこれが理由であった。
倒すのではなく逃がす事が出来る冒険者を求めていたのだ。
だが無理やり夜中に襲われて襲い掛かられ変な物を飲まされて尿を取られる。
オークと言えどブチ切れるのは十分である。

「ブモォオオオオオオオ!!!」

サラが手を離したらオークはギャンブル爺さん目掛けて猛ダッシュする!

「スキル『プロアクションマジリプレイ』発動!」

そのままギャンブル爺さんに体当たりした筈のオークだったがその姿が消えたと思ったら次の瞬間には木に減り込んで眠っていた。
ゴンザレス太郎がオークを転移させて木に激突させ更に状態異常の眠りをオークに付けたのだ。
あのままだとサラが間違い無くギャンブル爺さんを助ける為にオークを殺していたのでゴンザレス太郎が先に動いたのだ。

「タツヤありがと」
「まぁ依頼は生かして逃がせだからな」
「これは・・・お前さんのユニークスキルか?」
「んー秘密です」

人差し指を顔の前に立ててウィンクをしながら可愛くギャンブル爺さんに微笑むゴンザレス太郎、見た目は美少女だが中身は男である。
こうして無事に依頼を完了した4人はギルドに戻り受付に報告と依頼書を提出し報酬を受け取る。
日付も変わるその時間帯でもギルドは通常営業しており酒場の方では既に飲みすぎで意識を失っている冒険者達も居る。
そんな光景をいつの時代も変わらないんだな・・・とゴンザレス太郎は見詰めて居た時だった。

「見つけたわよ!今日こそは逃がさないわ!」

と一人の少女がゴンザレス太郎の前に立っていた。
金髪のツインテールにヒラヒラの服を着たどう見ても冒険者には見えない女の子がこんな時間に一人でギルドに居るのだ。
そして、その子はゴンザレス太郎にスキルを発動する。

「スキル『拘束』発動!」

女の子が手に持っていたロープがまるで生き物のように動きゴンザレス太郎の体を縛り上げる。
意味が分からずされるがままのゴンザレス太郎にその女の子は指を指し・・・

「さぁ、私を強くしなさい!世界最強さん!」

ゴンザレス太郎は無表情で女の子を見詰めるのであった。
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