129 / 234
第129話 神は逃げ出した。しかし、回り込まれてしまった
しおりを挟む
「そうそう、君には教えてあげないと駄目なことがあったんだったよタツヤ君」
マリスが突然表情を物凄く嬉しそうにしながら上機嫌に語り出す。
「前世で君を殺したのはね、僕なんだよ!」
「何?」
「君は選んだのは本当に偶然でね、丁度家族が居なくて簡単だったから君が食べてる餅を細工してね」
「なるほどね。」
ゴンザレス太郎はもう呆れて何も言えなかった。
これからのマリスの事を思うと気の毒で気の毒で…
思わず笑いが込み上げてきた。
「ハハハハハハー!そうかそうか~いや~一応その体が女の娘だからあまり酷いこともって悩んだけどこれなら大丈夫だね」
「何笑ってるのか知らないけど不愉快だよ、そんな余裕もここまでさ」
マリスの顔に獰猛な肉食獣の様な笑みが浮かぶ。
自分が負けるはずはないと心から信じきってるその目を絶望に染めれると感じたゴンザレス太郎は心底嬉しくて仕方がなかった。
「どうでも良いけどその体で戦うつもりなのかい?」
「君は知らないと思うけどあれからこの世界はアップデートしてね、僕は新しく追加された数々の魔法もアイテムも全て自由に使えるし、君を絶望させて神に逆らった愚かさを嘆いて土下座させながら殺してやるよ!」
マリスは手から地面に砂を溢した。
いつもの赤砂だ。
これがいつものマリスの手だ。
「そんな10年前と同じ手を使ってて勝てると思ってるのがおかしくて仕方無いよ」
ゴンザレス太郎は再び笑いだす。
「その笑みもここまでだ!神に逆らった事を後悔するといいさ!さぁ出てこい新しい魔物達!」
マリスが手を振り下ろしあの魔物を召喚した動きのまま固まる…
「あれ?」
「プッアハハハハハハハハ!!!」
ゴンザレス太郎の高らかな笑い声が響く。
「な、何故だ?!何故魔物が生まれない!?」
何度も腕を振り下ろし魔物を生み出そうと繰り返すがその手は空を切るばかりで何も起こらない。
「おいたしちゃダメだよミリーちゃん」
「何を言ってる?私は神のマリスだぞ!」
「お前はやり過ぎたんだ。もう謝っても許す気は無いから覚悟した方がいいよ」
ゴンザレス太郎の気配に気押されてマリスは一歩下がる。
その頬に一筋の汗が流れる。
それに気が付くマリス。
「な、なんだこれは?!」
「汗がどうかしたのかい?」
ニヤニヤしながらゴンザレス太郎は持ち物からそれを取り出した。
一見するとただの首輪、だがそれを見てマリスは驚きの表情を浮かべひきつりながら話す。
「そ、それは主従懇願奴隷の首輪?!」
※『主従懇願奴隷の首輪』自らが主と定めた相手から受け取り自らが装着することで発動する呪いの首輪。装備すると死ぬまで取れず主人が受けた痛みや快楽苦悩等全ての感情をどんなに離れていても共有する首輪。この世界には奴隷制度が無いためマリスがお遊びで作ったネタアイテム。
「そ、それで我に永遠の忠誠を誓うから許してほしいって言いたいわけか?!」
「ばーか、そんなことあるわけないだろ」
作った本人のマリスも理解しているのだ。
これは他人に装着されては駄目で自らが望んで装備しないと効果を発揮しないことを。
「これはお前へのプレゼントだよミリーちゃん」
全身から汗が吹き出る…呼吸が苦しい…
謎のプレッシャーを受けてマリスはゴンザレス太郎に恐怖を覚える。
そう、忘れていたのだ。
目の前の存在が今まで数々の事象を悉く妨害してきたという事を…
ヤバイ、何かヤバイ、逃げなきゃ、今すぐここから…
「ほら、俺からの気持ちだ受け取ってくれ」
ゴンザレス太郎が主従懇願奴隷の首輪を差し出してきてマリスはそれを手で払い除ける。
そして、全力で逃げ出した。
家を飛び出し獣道に入り奥へ奥へと進んでいく。
(おかしい、何かがおかしい、なんだこの変な感じは?!)
マリスは自分の体に起こっている事をその時初めて知った。
「痛っ?!」
感じた事の無い痛みを感じ腕を見ると木の枝で切れた腕から血が垂れていた。
「えっ…」
そして、マリスは気付く…
先程の汗も体の疲労もこの痛みも神である自分にはあり得ないこと…
「これじゃあまるで…」
「人間みたい…か?」
声がして見上げるとそこにはゴンザレス太郎が先回りし仁王立ちで立っていたのだった。
マリスが突然表情を物凄く嬉しそうにしながら上機嫌に語り出す。
「前世で君を殺したのはね、僕なんだよ!」
「何?」
「君は選んだのは本当に偶然でね、丁度家族が居なくて簡単だったから君が食べてる餅を細工してね」
「なるほどね。」
ゴンザレス太郎はもう呆れて何も言えなかった。
これからのマリスの事を思うと気の毒で気の毒で…
思わず笑いが込み上げてきた。
「ハハハハハハー!そうかそうか~いや~一応その体が女の娘だからあまり酷いこともって悩んだけどこれなら大丈夫だね」
「何笑ってるのか知らないけど不愉快だよ、そんな余裕もここまでさ」
マリスの顔に獰猛な肉食獣の様な笑みが浮かぶ。
自分が負けるはずはないと心から信じきってるその目を絶望に染めれると感じたゴンザレス太郎は心底嬉しくて仕方がなかった。
「どうでも良いけどその体で戦うつもりなのかい?」
「君は知らないと思うけどあれからこの世界はアップデートしてね、僕は新しく追加された数々の魔法もアイテムも全て自由に使えるし、君を絶望させて神に逆らった愚かさを嘆いて土下座させながら殺してやるよ!」
マリスは手から地面に砂を溢した。
いつもの赤砂だ。
これがいつものマリスの手だ。
「そんな10年前と同じ手を使ってて勝てると思ってるのがおかしくて仕方無いよ」
ゴンザレス太郎は再び笑いだす。
「その笑みもここまでだ!神に逆らった事を後悔するといいさ!さぁ出てこい新しい魔物達!」
マリスが手を振り下ろしあの魔物を召喚した動きのまま固まる…
「あれ?」
「プッアハハハハハハハハ!!!」
ゴンザレス太郎の高らかな笑い声が響く。
「な、何故だ?!何故魔物が生まれない!?」
何度も腕を振り下ろし魔物を生み出そうと繰り返すがその手は空を切るばかりで何も起こらない。
「おいたしちゃダメだよミリーちゃん」
「何を言ってる?私は神のマリスだぞ!」
「お前はやり過ぎたんだ。もう謝っても許す気は無いから覚悟した方がいいよ」
ゴンザレス太郎の気配に気押されてマリスは一歩下がる。
その頬に一筋の汗が流れる。
それに気が付くマリス。
「な、なんだこれは?!」
「汗がどうかしたのかい?」
ニヤニヤしながらゴンザレス太郎は持ち物からそれを取り出した。
一見するとただの首輪、だがそれを見てマリスは驚きの表情を浮かべひきつりながら話す。
「そ、それは主従懇願奴隷の首輪?!」
※『主従懇願奴隷の首輪』自らが主と定めた相手から受け取り自らが装着することで発動する呪いの首輪。装備すると死ぬまで取れず主人が受けた痛みや快楽苦悩等全ての感情をどんなに離れていても共有する首輪。この世界には奴隷制度が無いためマリスがお遊びで作ったネタアイテム。
「そ、それで我に永遠の忠誠を誓うから許してほしいって言いたいわけか?!」
「ばーか、そんなことあるわけないだろ」
作った本人のマリスも理解しているのだ。
これは他人に装着されては駄目で自らが望んで装備しないと効果を発揮しないことを。
「これはお前へのプレゼントだよミリーちゃん」
全身から汗が吹き出る…呼吸が苦しい…
謎のプレッシャーを受けてマリスはゴンザレス太郎に恐怖を覚える。
そう、忘れていたのだ。
目の前の存在が今まで数々の事象を悉く妨害してきたという事を…
ヤバイ、何かヤバイ、逃げなきゃ、今すぐここから…
「ほら、俺からの気持ちだ受け取ってくれ」
ゴンザレス太郎が主従懇願奴隷の首輪を差し出してきてマリスはそれを手で払い除ける。
そして、全力で逃げ出した。
家を飛び出し獣道に入り奥へ奥へと進んでいく。
(おかしい、何かがおかしい、なんだこの変な感じは?!)
マリスは自分の体に起こっている事をその時初めて知った。
「痛っ?!」
感じた事の無い痛みを感じ腕を見ると木の枝で切れた腕から血が垂れていた。
「えっ…」
そして、マリスは気付く…
先程の汗も体の疲労もこの痛みも神である自分にはあり得ないこと…
「これじゃあまるで…」
「人間みたい…か?」
声がして見上げるとそこにはゴンザレス太郎が先回りし仁王立ちで立っていたのだった。
0
お気に入りに追加
411
あなたにおすすめの小説
殿下、人違いです。殿下の婚約者はその人ではありません
真理亜
ファンタジー
第二王子のマリウスが学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付けた相手は人違いだった。では一体自分の婚約者は誰なのか? 困惑するマリウスに「殿下の婚約者は私です」と名乗り出たのは、目も眩まんばかりの美少女ミランダだった。いっぺんに一目惚れしたマリウスは、慌てて婚約破棄を無かったことにしようとするが...
私は逃げます
恵葉
ファンタジー
ブラック企業で社畜なんてやっていたら、23歳で血反吐を吐いて、死んじゃった…と思ったら、異世界へ転生してしまったOLです。
そしてこれまたありがちな、貴族令嬢として転生してしまったのですが、運命から…ではなく、文字通り物理的に逃げます。
貴族のあれやこれやなんて、構っていられません!
今度こそ好きなように生きます!
異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ
真義あさひ
ファンタジー
俺、会社員の御米田ユウキは、ライバルに社内コンペの優勝も彼女も奪われ人生に絶望した。
夕焼けの歩道橋の上から道路に飛び降りかけたとき、田舎のばあちゃんからスマホに電話が入る。
「ユキちゃん? たまには帰(けぇ)ってこい?」
久しぶりに聞いたばあちゃんの優しい声に泣きそうになった。思えばもう何年田舎に帰ってなかったか……
それから会社を辞めて田舎の村役場のバイトになった。給料は安いが空気は良いし野菜も米も美味いし温泉もある。そもそも限界集落で無駄使いできる場所も遊ぶ場所もなく住人はご老人ばかり。
「あとは嫁さんさえ見つかればなあ~ここじゃ無理かなあ~」
村営温泉に入って退勤しようとしたとき、ひなびた村を光の魔法陣が包み込み、村はまるごと異世界へと転移した――
🍙🍙🍙🍙🍙🌾♨️🐟
ラノベ好きもラノベを知らないご年配の方々でも楽しめる異世界ものを考えて……なぜ……こうなった……みたいなお話。
※この物語はフィクションです。特に村関係にモデルは一切ありません
※他サイトでも併載中
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~
ふゆ
ファンタジー
私は死んだ。
はずだったんだけど、
「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」
神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。
なんと幼女になっちゃいました。
まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!
エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか?
*不定期更新になります
*誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください!
*ところどころほのぼのしてます( ^ω^ )
*小説家になろう様にも投稿させていただいています
小役人のススメ -官僚のタマゴと魔王による強国造り物語-
伊東万里
ファンタジー
毎日更新するよう頑張りたいと思います。
国家の進む方針やその実行組織など、豊かで幸せな国になるためには何が必要なのかを考えることをテーマにしています。
【あらすじ】
地方貴族の三男アルフレッド・プライセン。12歳。
三男は、長男、次男に比べ地位が低く、「貴族の三男はパンの無駄」といわれるほどに立場が弱い。子爵家の父の重臣達からも陰で小ばかにされていた。
小さいときにたまたま見つけた「小役人のススメ」という本に魅せられ、将来は貴族ではなく、下級(小役人)でもよいので、中央政府の官僚になり、甘い汁を吸いながら、地味に、でも裕福に暮らしたいと考えていた。
左目に宿った魔王の力を駆使し、官僚のタマゴとして隣国から国を守りながら、愛書「小役人のススメ」の内容を信じて自分の小役人道を進む。
賄賂や権益の誘い、ハニートラップに時に引っ掛かりながらも。
強国になるには優秀な官僚が必要である、と、アルフレッドの活躍を通じて、いつの日か大陸中に認められることを目指す物語
(この作品は、小説家になろう ツギクルにも投稿しています)
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
美しくも残酷な世界に花嫁(仮)として召喚されたようです~酒好きアラサーは食糧難の世界で庭を育てて煩悩のままに生活する
くみたろう
ファンタジー
いつもと変わらない日常が一変するのをただの会社員である芽依はその身をもって知った。
世界が違った、価値観が違った、常識が違った、何もかもが違った。
意味がわからなかったが悲観はしなかった。
花嫁だと言われ、その甘い香りが人外者を狂わすと言われても、芽依の周りは優しさに包まれている。
そばに居るのは巨大な蟻で、いつも優しく格好良く守ってくれる。
奴隷となった大好きな二人は本心から芽依を愛して側にいてくれる。
麗しい領主やその周りの人外者達も、話を聞いてくれる。
周りは酷く残酷な世界だけれども、芽依はたまにセクハラをして齧りつきながら穏やかに心を育み生きていく。
それはこの美しく清廉で、残酷でいておぞましい御伽噺の世界の中でも慈しみ育む人外者達や異世界の人間が芽依を育て守ってくれる。
お互いの常識や考えを擦り合わせ歩み寄り、等価交換を基盤とした世界の中で、優しさを育てて自分の居場所作りに励む。
全ては幸せな気持ちで大好きなお酒を飲む為であり、素敵な酒のつまみを開発する日々を送るためだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる