短編集(18禁)

昆布海胆

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最後のいつもの行為

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最近彼氏の様子がおかしい…
もしや浮気?
そんなモヤモヤを抱えたまま今日も私は彼に抱かれる。

ギシッギシッギシッ…

最初の頃のようなドキドキは今はなく、繋がりを続ける為だけの行為に疑心暗鬼な私は気付いた。
こいつ…もしかして私の名前すら忘れたんじゃないだろうか…
覚めた気分の性行は私から何もかもを無くしていく…
快感だと感じていた筈の行いに無感情となった。
それでももしかしたら私の勘違いかもしれない…
彼は私の事をちゃんと見ているのか気になって行為の最中に言ってみた。

「ねぇ?」
「ん?」
「イク時に名前…呼んでみて…」
「…なんで?」
「いいから…」

腰を止めて会話を少ししたが互いに冷めた感じの会話であった。
もしかしたらこれでこの関係も終わりかもしれないな…
刺激のないこんな関係ならそれもありなのかもね…

腰を上で降り続ける彼氏の顔を見上げると彼の目がこっちを見ていた。
なに?私の名前を必死に思い出そうとしてるの?
そう考えた私の視線はまさしく彼を道に落ちている石を見るように興味が無いものを見る目であった。
冷たい…肌と肌が触れ合って暖かい筈なのにとても冷たい…
そして、彼の腰使いが終わりを知らせていた。
いつも最後は勢いよく叩き付けるように動かして終わる…
それを理解している自分に小さく笑いながら彼の口から出る名前をただ待つ…
そして、その時はやって来た!

「イクッ!ともひろぉぉぉ!!!!」
「お前の名前じゃねぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」


こうして私たちの関係は明日も続いていく…
きっと自然体で居られる自分達は合っているんだろう…
だって…

「いや、沙弥が変なこと突然言うから…」
「あっ…」

覚えてくれてるんだから…




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