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第20話 嵐と七志、動き出す
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「なんだよアント・・・なんでお前が居るんだよ?!」
ボブは七志の姿に気付き悪態を付いて来た。
昨日の今日であるから仕方ないだろう、だが家の中から聞こえてくる言い争いで大体の見当は付いていた。
そして・・・
『七志、気付いているか?』
「?」
『お前たちの事を男が3人で見張っているぞ、いや正確にはその家の住人をだな』
嵐から念話が入り七志は状況を推測する。
多分、これは一家が夜逃げしないように見張っているのだろう。
「なんだよ、何か言えよ!」
そんな七志にボブが突っかかってくる、それをアントンが宥めようとするがボブは止まらない!
「あぁ、笑えよ!俺の親父が賭場で大負けして俺の家族はもう終わりなんだ!」
「ボブ?!その話は本当なのか?」
アントンがボブが叫んだ事に反応し両肩を掴んで問い詰める。
その時、玄関が開き綺麗な女の人が顔を覗かせた。
状況からしてボブの母親であろうが物凄い綺麗な人なのに驚きを隠せなかった。
「アントン君、心配してきてくれたんだ。でもごめんね、その子の言う通りなのよ」
「おばさん・・・一体どう言う事なんですか?」
「はっウチの馬鹿亭主が騙されて新しい借金を白金貨3枚も作りやがってね、後6日でこの家を出て行かないと駄目なのさ」
白金貨とは金貨100枚で同等の価値とされ日本円に直すと白金貨1枚が100万円である。
つまりボブの家の借金は300万円となっている、そう理解した七志だったがどうするか悩んでいた。
ボブとは昨日会ったばかりである、そんな彼に300万円なんて大金を簡単に貸す訳にはいかない。
第一そんな大金を持って居る事を知られるのも問題なのだ。
「はぁ・・・全く、あんたは初めて見る子だね」
「あっはい、昨日から魔育園に通わせて貰っているナナシと言います」
「まだ子供なのに礼儀正しいんだね、でもゴメンねボブも魔育園にはもう通えないよ」
「っ!」
母親に言われなくてもボブは理解していたのであろう、月謝が払えないのなら勿論通えはしない。
それどころか自宅も失い借金が残った状態でボブ一家はこれからどうやって生活するのかも見通しが立たない。
それを理解してなのかアントンは握り拳に力を入れるが口は挟まない。
だが・・・
『なぁ七志、この一件解決するの動画にしたら面白いと思わね?』
嵐からの提案が始まった。
そう、彼らなら必要経費として解決に導く為の金を出す事も出来るし例え失敗しても借金はなんとか出来る。
その嵐の提案にニヤリと口元を歪めた七志の豹変した顔を見てボブは驚きに眼を見開く。
幸いアントンはそれに気付かなかったが七志はボブの目をまるで実験動物を見るような目で見つめ続けていた。
「それじゃ僕らはこれで・・・」
「アントン・・・元気でな」
アントンとボブが別れを言い分かれる。
無言で七志とアントンは道を歩き分かれ道で小さく別れを告げ帰路へ付く・・・
アントンの姿が完全に見えなくなったのを確認して七志は踵を返しボブの家へ向かう。
その足取りはまるで発売日にゲームを購入しに行く子供のように軽かった。
「なんだよ、まだなんか用か?」
目線を決して合わさないボブはまだ自宅の家の前に立っていた。
きっと自宅を離れる事を考えて脳裏に焼き付けているのだろうと理解した七志はボブの両肩に手を置いて話をして父親に取り次いでもらう・・・
母親は夜の仕事に出かけアントンと七志が一度帰宅した時に出て行った様で既に家には居らず好都合であった。
「はぁ・・・それでボブのお友達がなにを聞きたいんだい?」
「おじさんが負けたギャンブルに付いて興味があるんで教えて下さい」
授業料として金貨を1枚父親に握らせた七志にボブは驚きの目を向けたまま見詰めていた。
彼はこの数時間後、七志に恐怖する事となるのであった・・・
ボブは七志の姿に気付き悪態を付いて来た。
昨日の今日であるから仕方ないだろう、だが家の中から聞こえてくる言い争いで大体の見当は付いていた。
そして・・・
『七志、気付いているか?』
「?」
『お前たちの事を男が3人で見張っているぞ、いや正確にはその家の住人をだな』
嵐から念話が入り七志は状況を推測する。
多分、これは一家が夜逃げしないように見張っているのだろう。
「なんだよ、何か言えよ!」
そんな七志にボブが突っかかってくる、それをアントンが宥めようとするがボブは止まらない!
「あぁ、笑えよ!俺の親父が賭場で大負けして俺の家族はもう終わりなんだ!」
「ボブ?!その話は本当なのか?」
アントンがボブが叫んだ事に反応し両肩を掴んで問い詰める。
その時、玄関が開き綺麗な女の人が顔を覗かせた。
状況からしてボブの母親であろうが物凄い綺麗な人なのに驚きを隠せなかった。
「アントン君、心配してきてくれたんだ。でもごめんね、その子の言う通りなのよ」
「おばさん・・・一体どう言う事なんですか?」
「はっウチの馬鹿亭主が騙されて新しい借金を白金貨3枚も作りやがってね、後6日でこの家を出て行かないと駄目なのさ」
白金貨とは金貨100枚で同等の価値とされ日本円に直すと白金貨1枚が100万円である。
つまりボブの家の借金は300万円となっている、そう理解した七志だったがどうするか悩んでいた。
ボブとは昨日会ったばかりである、そんな彼に300万円なんて大金を簡単に貸す訳にはいかない。
第一そんな大金を持って居る事を知られるのも問題なのだ。
「はぁ・・・全く、あんたは初めて見る子だね」
「あっはい、昨日から魔育園に通わせて貰っているナナシと言います」
「まだ子供なのに礼儀正しいんだね、でもゴメンねボブも魔育園にはもう通えないよ」
「っ!」
母親に言われなくてもボブは理解していたのであろう、月謝が払えないのなら勿論通えはしない。
それどころか自宅も失い借金が残った状態でボブ一家はこれからどうやって生活するのかも見通しが立たない。
それを理解してなのかアントンは握り拳に力を入れるが口は挟まない。
だが・・・
『なぁ七志、この一件解決するの動画にしたら面白いと思わね?』
嵐からの提案が始まった。
そう、彼らなら必要経費として解決に導く為の金を出す事も出来るし例え失敗しても借金はなんとか出来る。
その嵐の提案にニヤリと口元を歪めた七志の豹変した顔を見てボブは驚きに眼を見開く。
幸いアントンはそれに気付かなかったが七志はボブの目をまるで実験動物を見るような目で見つめ続けていた。
「それじゃ僕らはこれで・・・」
「アントン・・・元気でな」
アントンとボブが別れを言い分かれる。
無言で七志とアントンは道を歩き分かれ道で小さく別れを告げ帰路へ付く・・・
アントンの姿が完全に見えなくなったのを確認して七志は踵を返しボブの家へ向かう。
その足取りはまるで発売日にゲームを購入しに行く子供のように軽かった。
「なんだよ、まだなんか用か?」
目線を決して合わさないボブはまだ自宅の家の前に立っていた。
きっと自宅を離れる事を考えて脳裏に焼き付けているのだろうと理解した七志はボブの両肩に手を置いて話をして父親に取り次いでもらう・・・
母親は夜の仕事に出かけアントンと七志が一度帰宅した時に出て行った様で既に家には居らず好都合であった。
「はぁ・・・それでボブのお友達がなにを聞きたいんだい?」
「おじさんが負けたギャンブルに付いて興味があるんで教えて下さい」
授業料として金貨を1枚父親に握らせた七志にボブは驚きの目を向けたまま見詰めていた。
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