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第16話 キャベリン謝罪する!

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「あ・・・謝れ?」
「そうだ、悪い事したらごめんなさいだ!」

キャベリンはピコハンの言ってる事が理解できなかった。
いや、したくなかったのだ。
まさか復讐だとかそう言った事ではなく自分に謝らせる為にココまで来て警備を突破し屋敷を半壊させられたのだと理解したくなかったのだ。

「っでどうなんだ?俺はお前が謝りに来るまで毎日ここまでやってきて同じ事を言うぞ」

キャベリンは恐怖した。
今日だけでキャベリンの損害額はとてつもないのは理解出来ている。
こいつが明日も来ると聞けば警備の人間は逃げ出すだろう・・・
それを雇ったとしても屋敷の修繕の事もある、とてもじゃないが直した所で同じように破壊されるのが関の山だ。
下手すれば毎日建て直しを必要とされる事も視野に入れると・・・

「わ、分かった!謝る!謝るから!」
「本当か?!よし!」

そう言ってピコハンは小指を出す。
一瞬キャベリンは意味が分からなかったが・・・

「約束の指きりだ!」
「あ・・・あぁ・・・」

キャベリンも言われて理解し小指を出す。
そして、小指同士を絡めて・・・

「指きりげんまん嘘付いたらお前をダンジョンの中に一人で捨てる!指切った!」

キャベリンはその言葉を聞いて漏らした。
そして、あの情報を思い出したのだ。

『キャベリン様、どうにも村人の話ではピコハンとか言う少年が一人でダンジョンを攻略している人間と言う事ですが・・・』

あの時はそんな馬鹿な話があるかと鼻で笑い飛ばしたが・・・
現在の状況を見るに信憑性は高かった。
それくらいピコハン越しに見える屋敷の現状・・・
それが全てを物語っていた。

「それじゃ、いつ来る?今日は流石にもう遅いし・・・明日?」
「へっ?」

キャベリンは焦った。
時刻は既に真夜中、この明日が日が昇ったらなのかその翌日の事なのか理解出来なかったのだ。
だがもし日が昇ったらで村に行かなかったらまた明日もこいつはきっとココに来る・・・
出来ればもう係わり合いになりたくない。
そう考えたキャベリンは迷わず答える。

「ひ、一眠りして起きたら直ぐに謝罪に向かう!約束だ!」
「うん、分かった。待ってるよ」

そう言ってピコハンはスキップをするように屋敷を出て行った。
まるで友達の家から自宅に帰るように・・・
そして、その場に残されたキャベリンを助けようとやってくる者は誰も居なかった。
警備は誰もがご機嫌で帰ろうとするピコハンを引き攣った笑顔で見送りあちこち破壊された屋敷の現状を見て半数は既に屋敷から逃げ出していた。
キャベリンは怒る事もせず自室に戻り衣類だけ着替えて布団に潜った。
幸いなのは外の門だけは無事だった事だろう。
森の中に建てられたキャベリンの屋敷の現状を見れば野党が屋敷を襲撃してもおかしくなかったからである。
だがキャベリンにとっては野党よりもピコハン一人の方がとても恐ろしい・・・
その恐怖に悪夢を見せられその夜おねしょをするのであった。









「本当に申し訳なかった。この通りだ!」
「えっ?いや、あの・・・」

キャベリンはピコハンの家にて現在絶賛土下座中である。
その光景にアイは困惑しルージュはケラケラ笑いピコハンは腕を組んで頷いている。

「許してくれるまでワシはここを一歩も動かないぞ!」

キャベリンは必死であった。
もうピコハンには関わりたくない、だからこの場でなんとか収めてもらうのに必死なのだ。

「わ、分かりました!許します!許しますから頭上げてください!」
「本当か!?」

上げた顔はアイを向いているが目はピコハンを見ているキャベリン。
そして、1回頷いて許すピコハン。

「ありがとう、本当にありがとう・・・」

キャベリンは再び頭を下げて礼を告げ村を出て行く・・・
連れて来られた数名と共に屋敷に戻ってこれから屋敷の修繕に大忙しなのであろう。

「それで、貴女はなんですか?」

ルージュが視線を向ける先には一人の女。
昨夜ピコハンの強さにそのハートを打ち抜かれた警備隊長であったユティカである。

「仕事をお前のせいで首になった。このままじゃ生活できないから雇ってくれ」

ピコハンにそう告げるユティカの顔には笑みと照れが浮かんでいた。
アイもルージュもその顔を見て一瞬で気付く。
(あぁ・・・またライバルが増えてしまった・・・)

「あぁ、給料は暫く出ないかも知れないけど良いか?」
「住ませてもらえて食事が頂けるのであれば一向に構わない!」

それは雇うと言うのか?
そう考えるルージュだったが実際にピコハンがダンジョンに潜っている間村を守る人間が欲しいと思っていた事も在りそれ以上は何も言わない。
ただルージュが考えたのは・・・

「それじゃ今日から宜しく」
「あ・・・あぁ、こちらこそ」

そう言ってピコハンと握手をするユティカの惚れた男に対する顔にルージュはまぁ良いかと頭を切り替えるのであった。
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