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第5話 バーディ達が戻って来ました
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「やっと着いたぁ・・・」
ミストがヘロヘロになりながらも町に戻ってきた安心感で気の抜けた声を発した。
だが4人ともボロボロなのは変わらない、空はもう直ぐ太陽が出そうで大分と明るくなっていた。
夜通し森を魔物から逃げながら移動したのだから4人の疲労も仕方あるまい。
だがこれで4人ともゆっくり出来るわけでは無いのだ。
「よし、今回の打ち上げは盛大にするぞ!まずは冒険者ギルドに向かうからお前等口裏合わせするぞ」
バーディの言葉で3人は頷く。
ここまで来ればミシッドも早く休みたいので逆らう気はもう無かった。
「ハルクのヤツは森の中でベアマウンテンの集団に襲われた時に逃げるのが遅れて殺された。内容は腹部を引き裂かれて頭から食われたって事にするぞ」
「ベアマウンテンか・・・まぁ俺達の実力からすればそれくらいの危機じゃないとな・・・」
バーディーの狙いはBランクパーティへの見舞金であった。
そしてそれと共に・・・
「ハルクの件は後回しでは駄目なのですか?」
ミシッドの疑問も当然である、パーティメンバーへの見舞金に関しては急いで今日報告しなくても休んでからで問題ないのである。
だがその質問にバーディ達は答えない、いや答えられないのだ。
普段から無駄遣いが多すぎて手持ちの金が非常に少ないのである。
それでも彼等は驚く速度で様々な依頼を達成しかなりの報酬を普段から得ていたからそれで何とかなっていた。
まさかそれがパーティを追い出したハルクの能力のおかげだとは夢にも思わないのだ。
そしてミシッドの質問に肩を借りているクリムが答える。
「お前さんハルクのヤツから引継ぎと言う事で依頼を受けにカウンターで処理をしたじゃろ?あの時教える為にハルクが依頼を受けた形にしてしまったから仕方ないんじゃ」
「はぁ・・・なるほど・・・」
本来ギルドの依頼とはパーティで活動する場合パーティメンバー全員を代表したリーダーが行なうのが常識である。
だがメンドクサイという理由でバーディはいつもハルクにやらせており、今後はミシッドにやらせるつもりであった。
つまり依頼を受けたハルクが死んだと言う処理を行なわないとミシッドが持っている依頼の品をギルドに渡して依頼達成と言う形に出来ないのである。
「それじゃそう言う事でもうちょっとだけ頑張ろう」
「へーい」
バーディの言葉にミストが気の抜けた返事を返して4人は冒険者ギルドへと向かった。
「お疲れ様でした~」
「はい、お疲れ様」
冒険者ギルド内の受付嬢が夜勤の受付担当者と交代を行なっていた。
この世界では冒険者ギルドは8時間の3交代制で労働基準法に則った業務を行なっていた。
その為、冒険者ギルドの職員と言うのは公務員並みに競争率の高い職業なのであった。
「さぁ~今日も頑張りますか!」
元気な美少女の代表の様な受付嬢は腕を上げて伸びをしながらカウンター前に座る。
もう少しすれば事務の方から今朝の新しい依頼用紙が届くので、それを貼り出すまでは朝帰りで戻ってきた冒険者の依頼達成処理をするのがメインの仕事なのである。
なので基本的に時間までは凄く暇なのだ。
「えっとなになに?へぇ・・・そんな事があったのかぁ~」
夜勤の残した業務日報に目を通しながら独り言を言う受付嬢は入り口のドアが開けられる音に気付き視線を上げる。
そこにはBランクパーティのパーティ達がボロボロの状態で入ってきていた。
「ば、バーディさん?!それに皆さんもそんなにボロボロでどうしたんですか?!」
「はぁ・・・はぁ・・・ちょっとしくじっちまってね、済まないが死亡報告書お願いできるか?」
「えっ・・・」
死亡報告書、それは冒険者ギルドに登録しているパーティメンバーが死んだ時に作成する資料である。
冒険者の中には字が書けない者も居るので基本的に冒険者の言葉を受付嬢が記載して処理する物である。
「も、もしかして・・・」
「あぁ、ハルクのヤツが・・・くそっ俺のせいだ」
「バーディ、そんなに自分を責めるなよ・・・」
ミストが慰める形で会話をしている前で受付嬢は頼まれたとおり死亡報告書を作成し始める。
バーディは先程の打ち合わせの通り森の中で依頼の品を手に入れた帰りにベアマウンテンの集団に襲われてしまいハルクが殺されたと話をした。
腹部を引き裂かれて頭から食われたので何も持ち帰ることが出来なかったと報告し処理を終えてもらった。
「それは災難でしたね・・・しかし、ベアマウンテンの集団ですか・・・これは一大事かもしれませんね。ちょっと待ってて下さい」
そう言って受付嬢はバーディ達を待たせて事務所へ連絡する。
ここでバーディは痛恨のミスを犯していたのだが本人達はそれに気付いてはいなかった。
基本的にベアマウンテンは個々で縄張りを作り互いに共闘する事はありえないのだ。
それが集団で襲ってきたと言う事は、それを先導する上位種の出現の可能性があると同意なのである。
「とりあえずミシッド、あれを出しておいてくれ」
「あっはい・・・」
返事をしてミシッドは腰の袋から布に包まれた依頼の品を取り出す。
死亡処理が済めば依頼の方も完了が上げられる、スムーズに処理を行なってもらう為に準備をしたのだ。
「お待たせしました。少し後で詳しい話を聞かせて貰うかもしれませんがとりあえずこちらが見舞金になります」
戻って来た受付嬢はそう言ってカウンターの上に金貨の入った袋を置く。
Bランクパーティの見舞金は金貨30枚、日本円にすれば約300万円相当になる。
その金をバーディは受け取り続けてミシッドがカウンターの上に布を置いて中身を開いて取り出す。
「ウチのパーティメンバーのハルクが受けた依頼の品、月の雫草だ。形見になってしまったが必要な人が居るだろうから出させてもらうよ」
「確かに月の雫草ですね、分かりました。ハルクさんの受けた依頼を探しますのでもう暫くお待ち下さいませ」
そう言って受注中と言う大量の依頼用紙の山の中からハルクのサインが入った紙を探し始める受付嬢・・・
しかし、どれだけ探してもそれは見つからず手違いの可能性も考え違う場所を探し見つけた。
「あ・・・あの~」
「すまないな、疲れてるんだ早いところ頼むよ」
「こちらで間違いないですか?」
そう言って受付嬢がカウンターの上に置いた用紙をミシッドが確認し頷く。
彼とハルクだけが依頼用紙を見ていたので依頼者の氏名などの判断は彼にしか出来なかったのだ。
だが・・・
「これ・・・依頼達成済みになってるんですよね・・・30分ほど前に・・・」
「ハァ?」
「しかもご本人様が自ら提出なさっる形になってますが・・・」
「そ、そんな筈は・・・」
「えぇ、そうですよね。なので少し別室でお待ち頂けますか?」
そう受付嬢が告げて左手を挙げる。
それを見たギルドの護衛がバーディ達の後ろに移動した。
彼等が逃げ出さないように移動したのだ。
現在受付嬢はマニュアルに従い行動を開始していた。
パーティメンバーが死んだからと嘘をついて見舞金を奪う保険金詐欺の様な事件は過去にも沢山在ったのだ。
その為、こういう時の処理マニュアルがお役所仕事とも言える形でしっかりと作成されていたのだ。
「もしかしたらハルクさんの名を語った偽者が完了報告を上げていた可能性もありますので少し調べさせてもらいますね」
そう笑顔で告げた受付嬢の言葉と共に護衛は4人を別室へ連れて移動する・・・
騒ぎながら連行されるバーディ達を見送りながら受付嬢は夜勤の残した業務日報に再び視線をやる。
「ふふっ・・・」
バーディ達の災難は始まったばかりであった。
ミストがヘロヘロになりながらも町に戻ってきた安心感で気の抜けた声を発した。
だが4人ともボロボロなのは変わらない、空はもう直ぐ太陽が出そうで大分と明るくなっていた。
夜通し森を魔物から逃げながら移動したのだから4人の疲労も仕方あるまい。
だがこれで4人ともゆっくり出来るわけでは無いのだ。
「よし、今回の打ち上げは盛大にするぞ!まずは冒険者ギルドに向かうからお前等口裏合わせするぞ」
バーディの言葉で3人は頷く。
ここまで来ればミシッドも早く休みたいので逆らう気はもう無かった。
「ハルクのヤツは森の中でベアマウンテンの集団に襲われた時に逃げるのが遅れて殺された。内容は腹部を引き裂かれて頭から食われたって事にするぞ」
「ベアマウンテンか・・・まぁ俺達の実力からすればそれくらいの危機じゃないとな・・・」
バーディーの狙いはBランクパーティへの見舞金であった。
そしてそれと共に・・・
「ハルクの件は後回しでは駄目なのですか?」
ミシッドの疑問も当然である、パーティメンバーへの見舞金に関しては急いで今日報告しなくても休んでからで問題ないのである。
だがその質問にバーディ達は答えない、いや答えられないのだ。
普段から無駄遣いが多すぎて手持ちの金が非常に少ないのである。
それでも彼等は驚く速度で様々な依頼を達成しかなりの報酬を普段から得ていたからそれで何とかなっていた。
まさかそれがパーティを追い出したハルクの能力のおかげだとは夢にも思わないのだ。
そしてミシッドの質問に肩を借りているクリムが答える。
「お前さんハルクのヤツから引継ぎと言う事で依頼を受けにカウンターで処理をしたじゃろ?あの時教える為にハルクが依頼を受けた形にしてしまったから仕方ないんじゃ」
「はぁ・・・なるほど・・・」
本来ギルドの依頼とはパーティで活動する場合パーティメンバー全員を代表したリーダーが行なうのが常識である。
だがメンドクサイという理由でバーディはいつもハルクにやらせており、今後はミシッドにやらせるつもりであった。
つまり依頼を受けたハルクが死んだと言う処理を行なわないとミシッドが持っている依頼の品をギルドに渡して依頼達成と言う形に出来ないのである。
「それじゃそう言う事でもうちょっとだけ頑張ろう」
「へーい」
バーディの言葉にミストが気の抜けた返事を返して4人は冒険者ギルドへと向かった。
「お疲れ様でした~」
「はい、お疲れ様」
冒険者ギルド内の受付嬢が夜勤の受付担当者と交代を行なっていた。
この世界では冒険者ギルドは8時間の3交代制で労働基準法に則った業務を行なっていた。
その為、冒険者ギルドの職員と言うのは公務員並みに競争率の高い職業なのであった。
「さぁ~今日も頑張りますか!」
元気な美少女の代表の様な受付嬢は腕を上げて伸びをしながらカウンター前に座る。
もう少しすれば事務の方から今朝の新しい依頼用紙が届くので、それを貼り出すまでは朝帰りで戻ってきた冒険者の依頼達成処理をするのがメインの仕事なのである。
なので基本的に時間までは凄く暇なのだ。
「えっとなになに?へぇ・・・そんな事があったのかぁ~」
夜勤の残した業務日報に目を通しながら独り言を言う受付嬢は入り口のドアが開けられる音に気付き視線を上げる。
そこにはBランクパーティのパーティ達がボロボロの状態で入ってきていた。
「ば、バーディさん?!それに皆さんもそんなにボロボロでどうしたんですか?!」
「はぁ・・・はぁ・・・ちょっとしくじっちまってね、済まないが死亡報告書お願いできるか?」
「えっ・・・」
死亡報告書、それは冒険者ギルドに登録しているパーティメンバーが死んだ時に作成する資料である。
冒険者の中には字が書けない者も居るので基本的に冒険者の言葉を受付嬢が記載して処理する物である。
「も、もしかして・・・」
「あぁ、ハルクのヤツが・・・くそっ俺のせいだ」
「バーディ、そんなに自分を責めるなよ・・・」
ミストが慰める形で会話をしている前で受付嬢は頼まれたとおり死亡報告書を作成し始める。
バーディは先程の打ち合わせの通り森の中で依頼の品を手に入れた帰りにベアマウンテンの集団に襲われてしまいハルクが殺されたと話をした。
腹部を引き裂かれて頭から食われたので何も持ち帰ることが出来なかったと報告し処理を終えてもらった。
「それは災難でしたね・・・しかし、ベアマウンテンの集団ですか・・・これは一大事かもしれませんね。ちょっと待ってて下さい」
そう言って受付嬢はバーディ達を待たせて事務所へ連絡する。
ここでバーディは痛恨のミスを犯していたのだが本人達はそれに気付いてはいなかった。
基本的にベアマウンテンは個々で縄張りを作り互いに共闘する事はありえないのだ。
それが集団で襲ってきたと言う事は、それを先導する上位種の出現の可能性があると同意なのである。
「とりあえずミシッド、あれを出しておいてくれ」
「あっはい・・・」
返事をしてミシッドは腰の袋から布に包まれた依頼の品を取り出す。
死亡処理が済めば依頼の方も完了が上げられる、スムーズに処理を行なってもらう為に準備をしたのだ。
「お待たせしました。少し後で詳しい話を聞かせて貰うかもしれませんがとりあえずこちらが見舞金になります」
戻って来た受付嬢はそう言ってカウンターの上に金貨の入った袋を置く。
Bランクパーティの見舞金は金貨30枚、日本円にすれば約300万円相当になる。
その金をバーディは受け取り続けてミシッドがカウンターの上に布を置いて中身を開いて取り出す。
「ウチのパーティメンバーのハルクが受けた依頼の品、月の雫草だ。形見になってしまったが必要な人が居るだろうから出させてもらうよ」
「確かに月の雫草ですね、分かりました。ハルクさんの受けた依頼を探しますのでもう暫くお待ち下さいませ」
そう言って受注中と言う大量の依頼用紙の山の中からハルクのサインが入った紙を探し始める受付嬢・・・
しかし、どれだけ探してもそれは見つからず手違いの可能性も考え違う場所を探し見つけた。
「あ・・・あの~」
「すまないな、疲れてるんだ早いところ頼むよ」
「こちらで間違いないですか?」
そう言って受付嬢がカウンターの上に置いた用紙をミシッドが確認し頷く。
彼とハルクだけが依頼用紙を見ていたので依頼者の氏名などの判断は彼にしか出来なかったのだ。
だが・・・
「これ・・・依頼達成済みになってるんですよね・・・30分ほど前に・・・」
「ハァ?」
「しかもご本人様が自ら提出なさっる形になってますが・・・」
「そ、そんな筈は・・・」
「えぇ、そうですよね。なので少し別室でお待ち頂けますか?」
そう受付嬢が告げて左手を挙げる。
それを見たギルドの護衛がバーディ達の後ろに移動した。
彼等が逃げ出さないように移動したのだ。
現在受付嬢はマニュアルに従い行動を開始していた。
パーティメンバーが死んだからと嘘をついて見舞金を奪う保険金詐欺の様な事件は過去にも沢山在ったのだ。
その為、こういう時の処理マニュアルがお役所仕事とも言える形でしっかりと作成されていたのだ。
「もしかしたらハルクさんの名を語った偽者が完了報告を上げていた可能性もありますので少し調べさせてもらいますね」
そう笑顔で告げた受付嬢の言葉と共に護衛は4人を別室へ連れて移動する・・・
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