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第89話 終わり
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「くそっ?!」
「無駄だよ」
竜一が脱出をしようと動くがイナバンに一睨みされただけで体が動かなくなり固定されてしまった。
イナバンの手はまなみの方へ翳されておりそのまままなみは膝を着いて座り込む。
「ふふふ・・・君達が得た力は全部消去させてもらったよ、これでデスゲームを発動させる事はもう不可能。更に死ねば転生も出来なくなった」
その言葉に苦虫を噛んだような表情を浮かべる竜一とまなみ。
悔しそうにイナバンを見ているその目が気に入らなかったのだろう。
「その目つき・・・嫌いだな」
そう告げられたと共に竜一とまなみの目が潰れた。
ぐしゃっと眼球が目の中で潰されたのだ。
「がぁ・・・がぁああああああ」
「いやぁ・・・痛いぃぃぃ見えないぃぃいい・・・」
顔面を押さえて蹲る2人を嬉しそうに見詰めるイナバンは再び手に力を加えた。
再び『ぐしゃっ』と音が響き竜一とまなみの鼻が顔面の中へ潰れて陥没した。
「うぎぃ・・・ぁぁぁ・・・」
「ひっひぃぃぃいいいい・・・」
その2人の絶叫を耳に手を当てて嬉しそうに聞くイナバン。
笑顔で顔を上下にゆっくりと揺らし満足そうに告げる。
「いいねぇ、良い声で鳴いてくれて嬉しいよ。それじゃ視力と嗅覚の次は何処が良い?」
痛みに悶える2人はその言葉が届いているのか届いていないのか分からない。
だがイナバンは少し考えた後に続ける。
「聴覚は僕の話を聞いてもらえなくなると悲しいし、味覚は舌を壊したら話せなくなるだろ・・・かと言って触覚を壊したら痛みを感じて貰えない・・・困ったな」
その言葉が聞こえていたのか竜一は歯を食いしばりながら潰れた鼻から大量に出血している顔を上げた。
「ふざけやがって・・・」
「まだそんな口が利けるなんて嬉しい・・・な!」
ボンッと竜一の左足が吹き飛んだ。
体を支えきれなくなり、そのまま横倒しになって着ていた死神のスーツが地面に着く。
声にならない叫びを上げた竜一が無くなった足を抑えようと伸ばした腕が続いて吹き飛ぶ。
「っ?!?!?!」
断面から夥しい出血が周囲の真っ暗な空間に飛び散り竜一は残った右足一本で地面をのた打ち回る。
痛みを紛らわす為に動いて更なる痛みに苦しむ様子がイナバンには滑稽だったのか噴出しそうになりながら芋虫の様な竜一を見詰める。
座り込んだ状態のまなみは動こうにも隣に居た筈の竜一から聞こえた異様な音に震えて動けなくなっていた。
「ははははっいや~楽しすぎるよ、さて・・・死ぬ前に君達にはお礼を言っておかないとね。僕を消滅させて殺す為に人外な能力にその身を委ねてここまで頑張ってくれて本当にありがとう、実はね・・・全部見ていたのだよ」
その言葉に竜一の動きも弱々しくなる。
全てバレていた。
命を何度も張って捨ててココまで来たと言うのに全て無駄だったと告げられたのだ。
力が抜ければ出血多量による体温低下で竜一は体を震えさせる。
だが四肢が右足しか残っていない状態で出来る事など何も無く口を開いても声にならない絶叫のせいで掠れた呼吸音しか出なくなっていた。
「でもね、神って存在はねいくら過去を改変して因果律を歪めても存在してしまった以上は時間を超越してしまう為に消える事は無いんだよ」
告げられた絶望的な言葉・・・
まなみは唖然とその言葉を聞き続ける・・・
まさに万事休す。
竜一の声が殆ど聞こえなく地面を擦る音も徐々に小さくなっているのに気付いているのだ。
「あはは・・・もう直ぐ死ぬみたいだよ。さぁさよならだね・・・坂上 竜一君・・・せめて最後は楽にしてあげるよ」
「や・・・やめっ・・・」
まなみの言葉が最後まで出る前にボンッと音が鳴り体に何か液体が付着する。
目が無いので見えないが破裂音と共に音が聞こえなくなった事でまなみは理解した。
竜一の体は木っ端微塵に吹き飛んだのだ。
「あー楽しかった。さて、最後は君だね。少なくとも神を殺そうとしたんだからその償いはして貰わないとね」
「ぁ・・・ぁぁ・・・」
まなみが小さく声を上げる・・・
全身がギリギリと内側へ締め付けられる・・・
全方向からまるで深海の水圧を受けている様にまなみの体は骨が悲鳴を上げながら徐々に小さくなっていく・・・
「それじゃ・・・さよならだ・・・えっと・・・まなみさん?」
その言葉と共にまなみの体は野球のボールサイズにまで一気に潰れた。
吹き出す血すらも同じ様に押し詰められ真っ赤な赤い球体となってしまったまなみ。
それが地面とぼちゃっと落ちて周囲へ飛び散る。
その様子に満足そうにイナバンは頷きフト気付く。
「あぁそうだ。白根 優里さんだったかな?彼女も知らなかったとは言え同罪だからね・・・神罰を与えに行かないと・・・」
そう言ってイナバンはその姿を闇に溶かして消えた。
後に残されたのは真っ暗な闇の中に血溜まりが2つ・・・
母親であるリリンを巻き込んで自分を殺そうとした人間への天罰、勝ったと思ったその瞬間に絶望へ叩き落す至福を堪能した死神イナバンは真の意味で自由となった。
配下の死神と共に永遠の存在となったイナバンは明日も誰かの命を狩り続けるのであろう・・・
END
「無駄だよ」
竜一が脱出をしようと動くがイナバンに一睨みされただけで体が動かなくなり固定されてしまった。
イナバンの手はまなみの方へ翳されておりそのまままなみは膝を着いて座り込む。
「ふふふ・・・君達が得た力は全部消去させてもらったよ、これでデスゲームを発動させる事はもう不可能。更に死ねば転生も出来なくなった」
その言葉に苦虫を噛んだような表情を浮かべる竜一とまなみ。
悔しそうにイナバンを見ているその目が気に入らなかったのだろう。
「その目つき・・・嫌いだな」
そう告げられたと共に竜一とまなみの目が潰れた。
ぐしゃっと眼球が目の中で潰されたのだ。
「がぁ・・・がぁああああああ」
「いやぁ・・・痛いぃぃぃ見えないぃぃいい・・・」
顔面を押さえて蹲る2人を嬉しそうに見詰めるイナバンは再び手に力を加えた。
再び『ぐしゃっ』と音が響き竜一とまなみの鼻が顔面の中へ潰れて陥没した。
「うぎぃ・・・ぁぁぁ・・・」
「ひっひぃぃぃいいいい・・・」
その2人の絶叫を耳に手を当てて嬉しそうに聞くイナバン。
笑顔で顔を上下にゆっくりと揺らし満足そうに告げる。
「いいねぇ、良い声で鳴いてくれて嬉しいよ。それじゃ視力と嗅覚の次は何処が良い?」
痛みに悶える2人はその言葉が届いているのか届いていないのか分からない。
だがイナバンは少し考えた後に続ける。
「聴覚は僕の話を聞いてもらえなくなると悲しいし、味覚は舌を壊したら話せなくなるだろ・・・かと言って触覚を壊したら痛みを感じて貰えない・・・困ったな」
その言葉が聞こえていたのか竜一は歯を食いしばりながら潰れた鼻から大量に出血している顔を上げた。
「ふざけやがって・・・」
「まだそんな口が利けるなんて嬉しい・・・な!」
ボンッと竜一の左足が吹き飛んだ。
体を支えきれなくなり、そのまま横倒しになって着ていた死神のスーツが地面に着く。
声にならない叫びを上げた竜一が無くなった足を抑えようと伸ばした腕が続いて吹き飛ぶ。
「っ?!?!?!」
断面から夥しい出血が周囲の真っ暗な空間に飛び散り竜一は残った右足一本で地面をのた打ち回る。
痛みを紛らわす為に動いて更なる痛みに苦しむ様子がイナバンには滑稽だったのか噴出しそうになりながら芋虫の様な竜一を見詰める。
座り込んだ状態のまなみは動こうにも隣に居た筈の竜一から聞こえた異様な音に震えて動けなくなっていた。
「ははははっいや~楽しすぎるよ、さて・・・死ぬ前に君達にはお礼を言っておかないとね。僕を消滅させて殺す為に人外な能力にその身を委ねてここまで頑張ってくれて本当にありがとう、実はね・・・全部見ていたのだよ」
その言葉に竜一の動きも弱々しくなる。
全てバレていた。
命を何度も張って捨ててココまで来たと言うのに全て無駄だったと告げられたのだ。
力が抜ければ出血多量による体温低下で竜一は体を震えさせる。
だが四肢が右足しか残っていない状態で出来る事など何も無く口を開いても声にならない絶叫のせいで掠れた呼吸音しか出なくなっていた。
「でもね、神って存在はねいくら過去を改変して因果律を歪めても存在してしまった以上は時間を超越してしまう為に消える事は無いんだよ」
告げられた絶望的な言葉・・・
まなみは唖然とその言葉を聞き続ける・・・
まさに万事休す。
竜一の声が殆ど聞こえなく地面を擦る音も徐々に小さくなっているのに気付いているのだ。
「あはは・・・もう直ぐ死ぬみたいだよ。さぁさよならだね・・・坂上 竜一君・・・せめて最後は楽にしてあげるよ」
「や・・・やめっ・・・」
まなみの言葉が最後まで出る前にボンッと音が鳴り体に何か液体が付着する。
目が無いので見えないが破裂音と共に音が聞こえなくなった事でまなみは理解した。
竜一の体は木っ端微塵に吹き飛んだのだ。
「あー楽しかった。さて、最後は君だね。少なくとも神を殺そうとしたんだからその償いはして貰わないとね」
「ぁ・・・ぁぁ・・・」
まなみが小さく声を上げる・・・
全身がギリギリと内側へ締め付けられる・・・
全方向からまるで深海の水圧を受けている様にまなみの体は骨が悲鳴を上げながら徐々に小さくなっていく・・・
「それじゃ・・・さよならだ・・・えっと・・・まなみさん?」
その言葉と共にまなみの体は野球のボールサイズにまで一気に潰れた。
吹き出す血すらも同じ様に押し詰められ真っ赤な赤い球体となってしまったまなみ。
それが地面とぼちゃっと落ちて周囲へ飛び散る。
その様子に満足そうにイナバンは頷きフト気付く。
「あぁそうだ。白根 優里さんだったかな?彼女も知らなかったとは言え同罪だからね・・・神罰を与えに行かないと・・・」
そう言ってイナバンはその姿を闇に溶かして消えた。
後に残されたのは真っ暗な闇の中に血溜まりが2つ・・・
母親であるリリンを巻き込んで自分を殺そうとした人間への天罰、勝ったと思ったその瞬間に絶望へ叩き落す至福を堪能した死神イナバンは真の意味で自由となった。
配下の死神と共に永遠の存在となったイナバンは明日も誰かの命を狩り続けるのであろう・・・
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