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第83話 隠されたルール
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サイコロを持ちながら竜一は思考を巡らせていた。
そして、一つの仮説に行き着く・・・
(これ、なんで俺だけが残り9で2人が8なんだ?)
偶然、そう考えれば納得がいくかもしれないがこんな常識の範囲外のゲームの中でそんな安直に考える事は危険だと判断した竜一は気付いた。
残りのマスに対して4・5・6しかサイコロを振っても出ないと言う事は進む為には4を出すしかない。
ここで竜一は3回4を出せばクリアとなると考えはしなかった。
スゴロクの中には最後のマスには丁度でないと残ったマス数を戻らされるものがあるのだ。
もしこれもそうだとしたら・・・
(2人をクリアさせて俺だけクリア出来ない仕様に強制的に変えられたのか?)
もしも2人が9マスで竜一が8マスであればサイコロは3・5・6のみになっていたのかもしれない・・・
可能性の問題であるが竜一にはその考えが頭から離れなかった。
そしてそのまま竜一はサイコロを振る事無く持ち続けながら考える・・・
前方では2人がどうしたのかとチラチラと竜一の方を見るが竜一は気付かずにサイコロを見詰めながら考える・・・
どちらにしても確立3分の1で死ぬのを2回までミスしても大丈夫、そんなふざけたゲームに強制されている事に段々と腹を立て始めた竜一。
そして、気付いた・・・
(あれ?なんで強制的にデスゲームに参加させられている?今までは本を集める工程で・・・?!)
背筋にゾワっと寒気が走り竜一はサイコロを見詰めたまま気付き手にした拳大サイズのサイコロを腰を固定している金具に擦りつけ始めた。
ガリガリ・・・ガリガリ・・・
その音に不快感を覚えるが竜一は止めずに擦りつけ続ける・・・
ガリガリ・・・ガリガリ・・・
ガラスを爪で引っ掻いたりする時に感じる不快感、それと似た様な音が静寂の空間に響く・・・
竜一自身も嫌そうな顔をしつつも必要だと判断しそれをし続ける・・・
気付いたのだ、残る2冊のケン者の本は『見者の本』と『研者の本』であると。
そして、今までデスゲームが始まる前には必ず本がその姿を現していた。
しかし、今回は本は一切姿を現す事無くデスゲームが始まった。
だがもし今回も本が何処かに在って既に見ているのだとしたら・・・
ガリガリ・・・ガリガッ!!ザー
突然サイコロの一部が割れて砂になり地面へと落ち始めた。
そして、見る見るサイコロは崩れていき竜一の手の中に一冊の手帳が残った。
ポケットサイズのその手帳、勿論開く事は出来ず見ると表紙には『研者の本 9』裏表紙にも『研者の本 9』と記載されていた。
そして、竜一はその本を床へと転がす。
地面が凸凹になっている為に立つ事はもちろん無く表紙の通り9の文字が光り竜一の体を固定している機械が動き始める。
そして、最後の1マスに到着すると共にその姿が一瞬で消失する・・・
それを見ていた白根もまなみも互いを見て頷きまなみの手に現れたサイコロを同じように擦りつけ始めるのであった・・・
「ここは・・・戻ったのか・・・」
竜一が気付くとあのデスゲームへ飛ばされる前に居た本をはめ込む部屋に立っていた。
その手にはいつの間にかあの小さな手帳が握られており竜一はゆっくりと台座へ近付く。
そして、研者の本と書かれた穴にそっとセットするが・・・
「厚みが足りないのか・・・」
妙に深い部分にまで入った手帳を眺めていると・・・
「も・・・戻れたの・・・?」
後ろから声が聞こえ振り返るとまなみが立っていた。
勿論その手には小さな手帳サイズの研者の本が握られていたのだが・・・
突如まなみは走り出し竜一に抱き付いてきた。
「ちょっまなみ?!」
「ありがとう・・・本当にもう駄目かと思った・・・」
そう、あのデスゲームの隠された攻略の鍵として研者の本を見つけると言うルールが実はあったのだ。
もしもそれに気付かずにゴールに辿り着いた場合はゴールの先に更にマスが広がり延々と死ぬまでサイコロを振り続ける事となったのである。
語られないルールに気付けるか、それこそがあのデスゲームの本当のルールなのであった。
「わ・・・私・・・戻れた・・・」
声が聞こえ視線をやると白根が女の子座りでその場にペタンと座り込んだ。
一度死を体験した事もあり震えながら生きている実感を感じているのだろう、手帳サイズの研者の本を握り締めたまま自分の体を抱き締めていた。
「大丈夫か?」
「・・・うん・・・竜一・・・ありが・・・」
白根は途中で言葉に詰まった。
それはそうだろう、視線を上げると目の前で竜一とまなみが抱き合っていたのだ。
一瞬戸惑った白根であったが竜一が手を広げて白根に微笑む。
それが何を意味するのか理解した白根はゆっくりと立ち上がり竜一に近付く・・・
いやらしい気持ちではない、単純に生還を喜んでいるのだ。
そう理解した白根はまなみの背中ごと竜一に抱きつく・・・
「良かった。本当に・・・よかった・・・」
重みのある竜一の言葉、偶然とはいえ気付けなかったら死んでいたのだ。
そうして溢れる感情のままに白根とまなみは竜一に抱きつきながら涙を流すのであった・・・
そして、一つの仮説に行き着く・・・
(これ、なんで俺だけが残り9で2人が8なんだ?)
偶然、そう考えれば納得がいくかもしれないがこんな常識の範囲外のゲームの中でそんな安直に考える事は危険だと判断した竜一は気付いた。
残りのマスに対して4・5・6しかサイコロを振っても出ないと言う事は進む為には4を出すしかない。
ここで竜一は3回4を出せばクリアとなると考えはしなかった。
スゴロクの中には最後のマスには丁度でないと残ったマス数を戻らされるものがあるのだ。
もしこれもそうだとしたら・・・
(2人をクリアさせて俺だけクリア出来ない仕様に強制的に変えられたのか?)
もしも2人が9マスで竜一が8マスであればサイコロは3・5・6のみになっていたのかもしれない・・・
可能性の問題であるが竜一にはその考えが頭から離れなかった。
そしてそのまま竜一はサイコロを振る事無く持ち続けながら考える・・・
前方では2人がどうしたのかとチラチラと竜一の方を見るが竜一は気付かずにサイコロを見詰めながら考える・・・
どちらにしても確立3分の1で死ぬのを2回までミスしても大丈夫、そんなふざけたゲームに強制されている事に段々と腹を立て始めた竜一。
そして、気付いた・・・
(あれ?なんで強制的にデスゲームに参加させられている?今までは本を集める工程で・・・?!)
背筋にゾワっと寒気が走り竜一はサイコロを見詰めたまま気付き手にした拳大サイズのサイコロを腰を固定している金具に擦りつけ始めた。
ガリガリ・・・ガリガリ・・・
その音に不快感を覚えるが竜一は止めずに擦りつけ続ける・・・
ガリガリ・・・ガリガリ・・・
ガラスを爪で引っ掻いたりする時に感じる不快感、それと似た様な音が静寂の空間に響く・・・
竜一自身も嫌そうな顔をしつつも必要だと判断しそれをし続ける・・・
気付いたのだ、残る2冊のケン者の本は『見者の本』と『研者の本』であると。
そして、今までデスゲームが始まる前には必ず本がその姿を現していた。
しかし、今回は本は一切姿を現す事無くデスゲームが始まった。
だがもし今回も本が何処かに在って既に見ているのだとしたら・・・
ガリガリ・・・ガリガッ!!ザー
突然サイコロの一部が割れて砂になり地面へと落ち始めた。
そして、見る見るサイコロは崩れていき竜一の手の中に一冊の手帳が残った。
ポケットサイズのその手帳、勿論開く事は出来ず見ると表紙には『研者の本 9』裏表紙にも『研者の本 9』と記載されていた。
そして、竜一はその本を床へと転がす。
地面が凸凹になっている為に立つ事はもちろん無く表紙の通り9の文字が光り竜一の体を固定している機械が動き始める。
そして、最後の1マスに到着すると共にその姿が一瞬で消失する・・・
それを見ていた白根もまなみも互いを見て頷きまなみの手に現れたサイコロを同じように擦りつけ始めるのであった・・・
「ここは・・・戻ったのか・・・」
竜一が気付くとあのデスゲームへ飛ばされる前に居た本をはめ込む部屋に立っていた。
その手にはいつの間にかあの小さな手帳が握られており竜一はゆっくりと台座へ近付く。
そして、研者の本と書かれた穴にそっとセットするが・・・
「厚みが足りないのか・・・」
妙に深い部分にまで入った手帳を眺めていると・・・
「も・・・戻れたの・・・?」
後ろから声が聞こえ振り返るとまなみが立っていた。
勿論その手には小さな手帳サイズの研者の本が握られていたのだが・・・
突如まなみは走り出し竜一に抱き付いてきた。
「ちょっまなみ?!」
「ありがとう・・・本当にもう駄目かと思った・・・」
そう、あのデスゲームの隠された攻略の鍵として研者の本を見つけると言うルールが実はあったのだ。
もしもそれに気付かずにゴールに辿り着いた場合はゴールの先に更にマスが広がり延々と死ぬまでサイコロを振り続ける事となったのである。
語られないルールに気付けるか、それこそがあのデスゲームの本当のルールなのであった。
「わ・・・私・・・戻れた・・・」
声が聞こえ視線をやると白根が女の子座りでその場にペタンと座り込んだ。
一度死を体験した事もあり震えながら生きている実感を感じているのだろう、手帳サイズの研者の本を握り締めたまま自分の体を抱き締めていた。
「大丈夫か?」
「・・・うん・・・竜一・・・ありが・・・」
白根は途中で言葉に詰まった。
それはそうだろう、視線を上げると目の前で竜一とまなみが抱き合っていたのだ。
一瞬戸惑った白根であったが竜一が手を広げて白根に微笑む。
それが何を意味するのか理解した白根はゆっくりと立ち上がり竜一に近付く・・・
いやらしい気持ちではない、単純に生還を喜んでいるのだ。
そう理解した白根はまなみの背中ごと竜一に抱きつく・・・
「良かった。本当に・・・よかった・・・」
重みのある竜一の言葉、偶然とはいえ気付けなかったら死んでいたのだ。
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