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第68話 モーゼの高笑い

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カインとカミラから5メートル程ではあるが離れた部屋の隅に移動したジタン。
足元には数匹の虫が居るが踏まないように摺り足で移動して角までたどり着きカインの方を見る。
自分が名乗り出たのはカミラの為であった。

「はぁ、俺ってこんなキャラじゃ無い筈なんだがな」

ここに来てからずっとカミラはカインにベッタリであった。
正確にはこの虫が出てきてからだが、それよりもまだ若いカミラがカインを心の拠り所にしているのは目に見えて明らかである。
カミラの事は同じ村で住んでいて知っているカインは大きく息を吸い込んだ。
旦那を亡くし一人息子も亡くし、充てもなく隣町に行ったところで待ってるのはその身を売って生活する日々だけかもしれない。
だがカインならまだ若いしリリンとカミラの二人を養う生活を送れる可能性は自分よりも高い。

「本当に俺らしくないな…ハハハ…ハハハハハ…ハーハッハッハッハッ!!!!」

呟いた勢いで高笑いを上げるジタン。
こんな全力で笑ったのはいつ以来だろうと心の底から盛大に笑った。
すると驚くことが起きた!!
まるで虫達が怖がるようにジタンを中心に逃げ出したのだ!!!

「ハハハ…なんだよそれ…本当に何なんだよーアハハハハハハハハ!!!」

天井にへばりついていた虫も落下してはジタンから逃げるように部屋の反対側へ移動する。
そのままジタンは笑いつつ部屋の中央へ向かい奥へと足を踏み出す。
笑い続けるジタンを少し不気味に感じながらも割れる虫の道をカインとカミラも着いていくのであった。
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