63 / 92
第63話 強肉弱食
しおりを挟む
小鬼達にとって普段の食事は木の実や生えてる草、野生の動物もたまに狩りをしたりもするが基本は虫であった。
たまにリーダー格の小鬼が人間を迷わせて食らうのは、食べるよりも繁殖の為なのが本来の生態たのである。
そんな小鬼達にとっての虫とは日本人の米のように主食となる大事な食料なのであった。
「ギャギャギャ!!」
「ギギッ?!」
「ギャーギャギャ!」
次から次へと天井から落ちてくる虫達に喜ぶ小鬼達は我先にと拾ってその虫を口に入れて咀嚼する。
最初は取り合いに発展しそうな様子であったのが次から次へと落下してくる虫に取り合って争うより、新しいのを拾って食べた方が早いのを理解した小鬼達はカイン達に目もくれず虫を拾っては食べていく。
「何て言うか酷い光景ね…」
「ですが今のうちに…」
カミラとカインは小鬼達がこっちに目を向けていないのを確認し倒れたままのジタンの側に移動した。
心なしかカミラの距離が近い気がしたが状況が状況なので気にせずにカインはジタンに手を伸ばす
「良かった、生きてます。ジタンさん…ジタンさん…」
「ん…んん…」
肩を揺すって意識の戻ったジタンはカインの顔を見て妙な表情を見せる。
勿論ジタンも自分と同じ様に幻覚を見せられていたのを理解しているカインは背中を軽く叩きながらジタンを起こす。
「俺は…」
「どうやらアイツらに幻覚を見せられていたみたいです」
その言葉に理解が追い付いたのか周りの小鬼達が虫を食べ合ってる様を見て驚く。
だがジタンの声が出そうになるのをカインは口を押さえて防ぐ。
「落ち着いてください、無闇に今は刺激を与えない方がいい」
「ジタン、とりあえず立ちな」
カミラの言葉に腰を下ろした状態では逃げるにしても逃げられないと判断したジタンは立ち上がる。
その視界にカミラの手がカインの服を摘まんでいるのが入り少し気にもなったが今はそれどころではない。
小鬼達が食べている虫が天井から次々と落下してくるのにその時初めてジタンは気付き再び声を上げそうになる。
「落ち着いてください、ただの虫ですか…」
「ギャッ!?ギャャャァァァァ!?!?」
そこまで口にした時に声が上がった。
小鬼の悲鳴に驚きそっちを見ると先程から食べていた虫が一匹の小鬼に群がっている。
痛みを訴えているのか叫びながら暴れる小鬼は床に体を叩き付けて這い上がる虫を潰して殺していく。
だがそれが更に虫を呼び寄せるように虫達はその小鬼目掛けて押し寄せる…
その小鬼を避けるように他の小鬼達は距離を離しその様子を見つめ続ける…
「ギッギギィィギャァァァァ!!!!」
まさしく断末魔の叫びを上げてその小鬼は虫に覆い尽くされて黒い塊と化した。
悪夢は現実となった。
たまにリーダー格の小鬼が人間を迷わせて食らうのは、食べるよりも繁殖の為なのが本来の生態たのである。
そんな小鬼達にとっての虫とは日本人の米のように主食となる大事な食料なのであった。
「ギャギャギャ!!」
「ギギッ?!」
「ギャーギャギャ!」
次から次へと天井から落ちてくる虫達に喜ぶ小鬼達は我先にと拾ってその虫を口に入れて咀嚼する。
最初は取り合いに発展しそうな様子であったのが次から次へと落下してくる虫に取り合って争うより、新しいのを拾って食べた方が早いのを理解した小鬼達はカイン達に目もくれず虫を拾っては食べていく。
「何て言うか酷い光景ね…」
「ですが今のうちに…」
カミラとカインは小鬼達がこっちに目を向けていないのを確認し倒れたままのジタンの側に移動した。
心なしかカミラの距離が近い気がしたが状況が状況なので気にせずにカインはジタンに手を伸ばす
「良かった、生きてます。ジタンさん…ジタンさん…」
「ん…んん…」
肩を揺すって意識の戻ったジタンはカインの顔を見て妙な表情を見せる。
勿論ジタンも自分と同じ様に幻覚を見せられていたのを理解しているカインは背中を軽く叩きながらジタンを起こす。
「俺は…」
「どうやらアイツらに幻覚を見せられていたみたいです」
その言葉に理解が追い付いたのか周りの小鬼達が虫を食べ合ってる様を見て驚く。
だがジタンの声が出そうになるのをカインは口を押さえて防ぐ。
「落ち着いてください、無闇に今は刺激を与えない方がいい」
「ジタン、とりあえず立ちな」
カミラの言葉に腰を下ろした状態では逃げるにしても逃げられないと判断したジタンは立ち上がる。
その視界にカミラの手がカインの服を摘まんでいるのが入り少し気にもなったが今はそれどころではない。
小鬼達が食べている虫が天井から次々と落下してくるのにその時初めてジタンは気付き再び声を上げそうになる。
「落ち着いてください、ただの虫ですか…」
「ギャッ!?ギャャャァァァァ!?!?」
そこまで口にした時に声が上がった。
小鬼の悲鳴に驚きそっちを見ると先程から食べていた虫が一匹の小鬼に群がっている。
痛みを訴えているのか叫びながら暴れる小鬼は床に体を叩き付けて這い上がる虫を潰して殺していく。
だがそれが更に虫を呼び寄せるように虫達はその小鬼目掛けて押し寄せる…
その小鬼を避けるように他の小鬼達は距離を離しその様子を見つめ続ける…
「ギッギギィィギャァァァァ!!!!」
まさしく断末魔の叫びを上げてその小鬼は虫に覆い尽くされて黒い塊と化した。
悪夢は現実となった。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
エーリュシオンでお取りよせ?
ミスター愛妻
ファンタジー
ある男が寿命を迎え死んだ。
と、輪廻のまえに信心していた聖天様に呼び出された。
話とは、解脱できないので六道輪廻に入ることになるが、『名をはばかる方』の御指図で、異世界に転移できるというのだ。
TSと引き換えに不老不死、絶対不可侵の加護の上に、『お取り寄せ能力』という変な能力までいただいた主人公。
納得して転移した異世界は……
のんびりと憧れの『心静かな日々』を送るはずが……
気が付けば異世界で通販生活、まんざらでもない日々だが……『心静かな日々』はどうなるのか……こんなことでは聖天様に怒られそう……
本作は作者が別の表題で公開していた物を、追加修正させていただいたものです。その為に作品名もそぐわなくなり、今回『エーリュシオンでお取りよせ?』といたしました。
作者の前作である『惑星エラムシリーズ』を踏まえておりますので、かなり似たようなところがあります。
前作はストーリーを重視しておりますが、これについては単なる異世界漫遊記、主人公はのほほんと日々を送る予定? です。
なにも考えず、筆に任せて書いております上に、作者は文章力も皆無です、句読点さえ定かではありません、作者、とてもメンタルが弱いのでそのあたりのご批判はご勘弁くださいね。
本作は随所に意味の無い蘊蓄や説明があります。かなりのヒンシュクを受けましたが、そのあたりの部分は読み飛ばしていただければ幸いです。
表紙はゲルダ・ヴィークナー 手で刺繍したフリル付のカーバディーンドレス
パブリックドメインの物です。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
壊れた男は異世界で嗤う
はるる
ファンタジー
五年の歳月をモンスターとの戦いに捧げようやく魔王ジャックを倒した勇者アキトは王様との約束である日本への帰還を楽しみにしていた。しかし、その願いがかなうことはなかった。アキトは裏切られていたのだ王様や周りの人に...
あぁ、この世界はどこまでも俺をイラつかせるんだなぁ!!!!!
カクヨムでも投稿してます。
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる