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第29話 回生起死のデスゲーム
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悪魔、それは人の中に紛れて存在する種族。
本来魔力の少ない人間とは違って豊富な魔力を持つ彼等は人間には使えない様々な魔法が使える。
そのせいもあり人間にとって危険な存在と認知されていた。
俗に言う悪魔狩りと呼ばれるモノが行なわれ大まかな悪魔は狩り尽くされていた。
それでも人間との間に子を宿す事が出来る種族な彼等はその血を薄くし人間の中へ紛れ込み生活を行なっていた。
そこに本来居た人間に成り代わる事で・・・
『リリン・・・我が娘・・・』
「本当に・・・お父さんなの・・・」
周囲には死体が転がり生きている人々は恐怖に震える中、2人は一定の距離を保ったまま向かい合う。
しかし、悪魔である父親は娘の中に悪魔の血が感じられない事に非常に残念な気持ちで一杯であった。
『すまないな、今まで黙ってて。お前には悪魔の血が全く宿っていないみたいだ・・・』
父親は一歩リリンに近付く。
それはリリンが悪魔と母親との間に作られた子供だと言う証言。
だがその目に宿るには優しさではなく石ころを見詰めるような視線。
『この村の人間は母さんを殺したんだ。生かしておく必要があるか?』
リリンは一歩下がる、父親の声では在るがその姿は人間ですら無いのだ。
恐怖からか小さな手は震えていた。
『そして、リリン・・・直ぐに母さんと同じところへ送ってあげるよ・・・』
その手がリリンに向けて開かれる。
わが子を手にかけると言うのは人間にとっては禁忌、だが悪魔にとっては自らの血が宿ってなければただの人間なのだ。
自らが愛した女性を殺した人間の仲間と言う感覚でしか自分の娘を捕らえていない悪魔は手に魔力を込める。
その手に炎の塊が出現しそれがリリンに向けて放たれようとしていた。
『さようなら我が娘・・・』
誰もそれを止める者は居ない。
次は自分が殺されると誰もが考えている中、ただ1人縛られている彼だけは歯を食いしばってそれを願った!
その瞬間、村を黒い人影が包囲しデスゲームメーカーが発動する!
男は人の命を使って願いを叶えるこのスキルを二度と使用しないと誓っていた。
だがリリンの危機、そしてこのままでは全員あの悪魔に殺される。
口は布で塞がれて声一つ上げられない状況で出来ることがそれしかなかったと言うのもある。
何もせずにこのまま皆殺しにされるくらいなら・・・
その思いで男は再びそのスキルを発動させたのだ。
発動に使われた命は悪魔に操られて盗賊の頭に噛み付いた奴隷の1人。
『本を燃やせ・・・LIFE1』
「な・・・なんだ?!」
その場に居た全員がその声に驚き辺りを見回す。
直ぐにその気配に悪魔は気付いた。
手にしている炎の塊は気を散らした瞬間に飛散し拳を握り締めて周囲を警戒する。
魔力を豊富に持つからこそそのありえない周囲の変化に敏感に気付いたのだろう。
そして、最初の悲鳴が上がる・・・
「ギャアアアアアアア!!!!!!!」
それは腰が抜けて倒れこんでいた村の中年男性であった。
悲鳴を上げながら振りほどこうとしているその中年男性の腕にしがみ付いて噛み付いている女性、彼女は中年男性の妻であった。
悪魔の仲間と言われ盗賊に投げられたナイフが額に突き刺さったまま女性は生気の無い顔で呻きながら男性の腕に噛み付いていたのだ。
どう見ても即死している筈の状態であるにも関わらず動いているのだ。
そして、それは次々に立ち上がり始める。
「な・・・なんなんだこれは・・・」
悪魔もその光景に驚きを隠せない。
魔法を使って生きている人間を操り人形にする事は出来る、だが死んだ者を動かすなんて悪魔でも出来ないのだ。
それなのに周囲に立つのは殺されたはずの村人。
そして、死んだはずの自分の妻であった。
まさか生きていた?
そんな考えが頭の中を過ぎりそうになるが妻の血は自分が魔力を回復させるために吸収した。
なので生きているのはありえないのだ。
それなのに彼女は真っ直ぐに立ち上がっていたのだ。
『お・・・お前生きていたのか・・・』
自分が唯一心を許す妻が生きていた。
人ならざる姿になろうとも悪魔は妻の元へ近寄る。
心の底から彼女の事を愛していたと言う事なのだろう。
だが近寄った悪魔に妻は両手を伸ばして口を開き襲い掛かってきた!
『お、おいっ?!』
生気の無い顔で悪魔に抱き付いて首筋に噛み付く妻。
だが本来の姿へ戻った悪魔の皮膚は人間の歯程度では噛み千切れない、それを理解している為に悪魔は抵抗しなかった。
だが・・・
『ぐ、ぐぁああああああああああああ!!!』
悪魔の首筋から吹き出る緑の血、そして驚くほどの強力な力でその手を振りほどく事も出来ない!
再び妻は悪魔の顔面に噛み付いた!
喰い千切られる鼻、悪魔は必死に妻を突き飛ばそうと両手に力を込め足を上げて妻の腹部に押し付けるがまるでビクともしない。
両肩を掴んでいるその指が体にめり込み腕が千切れそうになっていく・・・
『やめ・・・やめて・・・』
魔法を使って逃げようとするのだが魔力が何故か練れず恐ろしいまでの力で悪魔は恐怖のあまりその表情を歪めたまま押し倒される。
『ぐああああああああああああああああああああああ』
飛び散る肉片、周囲が緑色で染まり愛した者に喰われその命を散らす悪魔がそこに居た。
それと共に周囲でも死体に襲われ殺されていく村人と盗賊。
特に盗賊は悪魔に足を埋められ逃げる事が出来ず順に喰われるのを待つだけという悲惨な状況にあった。
そんな中、男の元へリリンが駆け寄ってきた。
「お兄さん・・・お父さんと・・・お母さんが・・・」
言葉にならない、どう説明したらいいのかも分からない現状で頼れるのがもう男しか居なかったのだろう。
縛られている縄を解こうと必死になってくれるが一向に縄は外れない。
そうしている間に1人がこちらへゆっくりと体を揺らしながら歩いてきた。
男はそれを見て恐怖に染まった。
体を食い千切られ埋まった足を引き千切って足首を直接地面に着いて歩いている盗賊の死体であったのだ。
その時、腕を縛る縄が解けて開放された手で足の中を解く!
「逃げるぞ!」
「ひぁっ?!」
リリンを庇いながら男は広場から家と家の間へ駆け込むのであった。
本来魔力の少ない人間とは違って豊富な魔力を持つ彼等は人間には使えない様々な魔法が使える。
そのせいもあり人間にとって危険な存在と認知されていた。
俗に言う悪魔狩りと呼ばれるモノが行なわれ大まかな悪魔は狩り尽くされていた。
それでも人間との間に子を宿す事が出来る種族な彼等はその血を薄くし人間の中へ紛れ込み生活を行なっていた。
そこに本来居た人間に成り代わる事で・・・
『リリン・・・我が娘・・・』
「本当に・・・お父さんなの・・・」
周囲には死体が転がり生きている人々は恐怖に震える中、2人は一定の距離を保ったまま向かい合う。
しかし、悪魔である父親は娘の中に悪魔の血が感じられない事に非常に残念な気持ちで一杯であった。
『すまないな、今まで黙ってて。お前には悪魔の血が全く宿っていないみたいだ・・・』
父親は一歩リリンに近付く。
それはリリンが悪魔と母親との間に作られた子供だと言う証言。
だがその目に宿るには優しさではなく石ころを見詰めるような視線。
『この村の人間は母さんを殺したんだ。生かしておく必要があるか?』
リリンは一歩下がる、父親の声では在るがその姿は人間ですら無いのだ。
恐怖からか小さな手は震えていた。
『そして、リリン・・・直ぐに母さんと同じところへ送ってあげるよ・・・』
その手がリリンに向けて開かれる。
わが子を手にかけると言うのは人間にとっては禁忌、だが悪魔にとっては自らの血が宿ってなければただの人間なのだ。
自らが愛した女性を殺した人間の仲間と言う感覚でしか自分の娘を捕らえていない悪魔は手に魔力を込める。
その手に炎の塊が出現しそれがリリンに向けて放たれようとしていた。
『さようなら我が娘・・・』
誰もそれを止める者は居ない。
次は自分が殺されると誰もが考えている中、ただ1人縛られている彼だけは歯を食いしばってそれを願った!
その瞬間、村を黒い人影が包囲しデスゲームメーカーが発動する!
男は人の命を使って願いを叶えるこのスキルを二度と使用しないと誓っていた。
だがリリンの危機、そしてこのままでは全員あの悪魔に殺される。
口は布で塞がれて声一つ上げられない状況で出来ることがそれしかなかったと言うのもある。
何もせずにこのまま皆殺しにされるくらいなら・・・
その思いで男は再びそのスキルを発動させたのだ。
発動に使われた命は悪魔に操られて盗賊の頭に噛み付いた奴隷の1人。
『本を燃やせ・・・LIFE1』
「な・・・なんだ?!」
その場に居た全員がその声に驚き辺りを見回す。
直ぐにその気配に悪魔は気付いた。
手にしている炎の塊は気を散らした瞬間に飛散し拳を握り締めて周囲を警戒する。
魔力を豊富に持つからこそそのありえない周囲の変化に敏感に気付いたのだろう。
そして、最初の悲鳴が上がる・・・
「ギャアアアアアアア!!!!!!!」
それは腰が抜けて倒れこんでいた村の中年男性であった。
悲鳴を上げながら振りほどこうとしているその中年男性の腕にしがみ付いて噛み付いている女性、彼女は中年男性の妻であった。
悪魔の仲間と言われ盗賊に投げられたナイフが額に突き刺さったまま女性は生気の無い顔で呻きながら男性の腕に噛み付いていたのだ。
どう見ても即死している筈の状態であるにも関わらず動いているのだ。
そして、それは次々に立ち上がり始める。
「な・・・なんなんだこれは・・・」
悪魔もその光景に驚きを隠せない。
魔法を使って生きている人間を操り人形にする事は出来る、だが死んだ者を動かすなんて悪魔でも出来ないのだ。
それなのに周囲に立つのは殺されたはずの村人。
そして、死んだはずの自分の妻であった。
まさか生きていた?
そんな考えが頭の中を過ぎりそうになるが妻の血は自分が魔力を回復させるために吸収した。
なので生きているのはありえないのだ。
それなのに彼女は真っ直ぐに立ち上がっていたのだ。
『お・・・お前生きていたのか・・・』
自分が唯一心を許す妻が生きていた。
人ならざる姿になろうとも悪魔は妻の元へ近寄る。
心の底から彼女の事を愛していたと言う事なのだろう。
だが近寄った悪魔に妻は両手を伸ばして口を開き襲い掛かってきた!
『お、おいっ?!』
生気の無い顔で悪魔に抱き付いて首筋に噛み付く妻。
だが本来の姿へ戻った悪魔の皮膚は人間の歯程度では噛み千切れない、それを理解している為に悪魔は抵抗しなかった。
だが・・・
『ぐ、ぐぁああああああああああああ!!!』
悪魔の首筋から吹き出る緑の血、そして驚くほどの強力な力でその手を振りほどく事も出来ない!
再び妻は悪魔の顔面に噛み付いた!
喰い千切られる鼻、悪魔は必死に妻を突き飛ばそうと両手に力を込め足を上げて妻の腹部に押し付けるがまるでビクともしない。
両肩を掴んでいるその指が体にめり込み腕が千切れそうになっていく・・・
『やめ・・・やめて・・・』
魔法を使って逃げようとするのだが魔力が何故か練れず恐ろしいまでの力で悪魔は恐怖のあまりその表情を歪めたまま押し倒される。
『ぐああああああああああああああああああああああ』
飛び散る肉片、周囲が緑色で染まり愛した者に喰われその命を散らす悪魔がそこに居た。
それと共に周囲でも死体に襲われ殺されていく村人と盗賊。
特に盗賊は悪魔に足を埋められ逃げる事が出来ず順に喰われるのを待つだけという悲惨な状況にあった。
そんな中、男の元へリリンが駆け寄ってきた。
「お兄さん・・・お父さんと・・・お母さんが・・・」
言葉にならない、どう説明したらいいのかも分からない現状で頼れるのがもう男しか居なかったのだろう。
縛られている縄を解こうと必死になってくれるが一向に縄は外れない。
そうしている間に1人がこちらへゆっくりと体を揺らしながら歩いてきた。
男はそれを見て恐怖に染まった。
体を食い千切られ埋まった足を引き千切って足首を直接地面に着いて歩いている盗賊の死体であったのだ。
その時、腕を縛る縄が解けて開放された手で足の中を解く!
「逃げるぞ!」
「ひぁっ?!」
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