28 / 92
第28話 嘘から出た真
しおりを挟む
誰もそれに気が付かなかった。
リリンの母親から流れ出た血がその前に倒れる父親の死体の元へ流れ始める。
まるでその死体に引き寄せられるように…
「さて、悪魔退治は終わった。成功報酬を貰わないとな」
「なっ?!」
村は既に蹂躙され各々の家にある価値のありそうな物は検査と称して全て盗賊に奪われていた。
唯一の子供であったロッツォは殺され、残るリリンも盗賊の手の中、その上で報酬を要求し出したのだ。
「あぁん?俺達のお陰で悪魔がこの村から滅びたんだから当然だろ?ガハハハハハ」
笑う盗賊の頭は気付かなかった。
直ぐ横に居る奴隷の息が止まっている事に…
「あん?どうした?」
頭の肩に手を置く奴隷。
そいつは突然頭の首筋に噛み付いた!?
「なっ?!なにしやがる?!」
それを無理矢理引き剥がす頭。
筋力差なのか出血もしなかったが歯形が残った所を手で擦り倒れた奴隷を睨み付ける。
「どういうつも…」
その奴隷は糸が切れたようにピクリともせず顔を見て頭は言葉を止めた。
目が無くなり二つの穴が出来ていたのだ。
そして、その死体から影が倒れている男の方へ地面を移動していく。
『愚かな者共よ…』
リリンの父親と思われる男の死体からその場に居る全員へ声が届く。
その男の死体の背中から黒い影が登りそこに形を作っていく…
それと共に男の死体は細くなり白骨化していく。
『お前達は犯してはならない罪を犯した。その命を持って購え』
周囲の空気が重くなり村人の一人が喉を押さえて苦しみ出す。
その目、鼻、口からオーロラのようなモノが抜きでて影で作られた人形へと流れ込む。
やがてそれに色が宿り姿がはっきりする。
紫の羽を生やし角が二本あるその姿は…
「あ…悪魔…」
一人の言葉に誰もが理解をした。
目の前の存在は決して人の手に負える存在ではないと…
「逃げるぞお前たち!」
一番最初に動いたのは盗賊の頭であった。
あれだけ悪魔を退治すると豪語し好き勝手やっていたにも関わらず素早い判断、それは悪魔がどういう存在か理解している者の動きであった。
『我が妻を殺して逃げられると?』
砂の地面に盗賊達の足が沼に沈むように沈んだ。
勢いのせいで倒れそうになるが足が地面に完全に固定されて動けなくなっており倒れることも出来ず勢いで何人か足の骨を痛めたようであった。
そんな中、動く姿が一つ…
「お父…さん…?」
リリンであった。
リリンの母親から流れ出た血がその前に倒れる父親の死体の元へ流れ始める。
まるでその死体に引き寄せられるように…
「さて、悪魔退治は終わった。成功報酬を貰わないとな」
「なっ?!」
村は既に蹂躙され各々の家にある価値のありそうな物は検査と称して全て盗賊に奪われていた。
唯一の子供であったロッツォは殺され、残るリリンも盗賊の手の中、その上で報酬を要求し出したのだ。
「あぁん?俺達のお陰で悪魔がこの村から滅びたんだから当然だろ?ガハハハハハ」
笑う盗賊の頭は気付かなかった。
直ぐ横に居る奴隷の息が止まっている事に…
「あん?どうした?」
頭の肩に手を置く奴隷。
そいつは突然頭の首筋に噛み付いた!?
「なっ?!なにしやがる?!」
それを無理矢理引き剥がす頭。
筋力差なのか出血もしなかったが歯形が残った所を手で擦り倒れた奴隷を睨み付ける。
「どういうつも…」
その奴隷は糸が切れたようにピクリともせず顔を見て頭は言葉を止めた。
目が無くなり二つの穴が出来ていたのだ。
そして、その死体から影が倒れている男の方へ地面を移動していく。
『愚かな者共よ…』
リリンの父親と思われる男の死体からその場に居る全員へ声が届く。
その男の死体の背中から黒い影が登りそこに形を作っていく…
それと共に男の死体は細くなり白骨化していく。
『お前達は犯してはならない罪を犯した。その命を持って購え』
周囲の空気が重くなり村人の一人が喉を押さえて苦しみ出す。
その目、鼻、口からオーロラのようなモノが抜きでて影で作られた人形へと流れ込む。
やがてそれに色が宿り姿がはっきりする。
紫の羽を生やし角が二本あるその姿は…
「あ…悪魔…」
一人の言葉に誰もが理解をした。
目の前の存在は決して人の手に負える存在ではないと…
「逃げるぞお前たち!」
一番最初に動いたのは盗賊の頭であった。
あれだけ悪魔を退治すると豪語し好き勝手やっていたにも関わらず素早い判断、それは悪魔がどういう存在か理解している者の動きであった。
『我が妻を殺して逃げられると?』
砂の地面に盗賊達の足が沼に沈むように沈んだ。
勢いのせいで倒れそうになるが足が地面に完全に固定されて動けなくなっており倒れることも出来ず勢いで何人か足の骨を痛めたようであった。
そんな中、動く姿が一つ…
「お父…さん…?」
リリンであった。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
あ、出ていって差し上げましょうか?許可してくださるなら喜んで出ていきますわ!
リーゼロッタ
ファンタジー
生まれてすぐ、国からの命令で神殿へ取られ十二年間。
聖女として真面目に働いてきたけれど、ある日婚約者でありこの国の王子は爆弾発言をする。
「お前は本当の聖女ではなかった!笑わないお前など、聖女足り得ない!本来の聖女は、このマルセリナだ。」
裏方の聖女としてそこから三年間働いたけれど、また王子はこう言う。
「この度の大火、それから天変地異は、お前がマルセリナの祈りを邪魔したせいだ!出ていけ!二度と帰ってくるな!」
あ、そうですか?許可が降りましたわ!やった!
、、、ただし責任は取っていただきますわよ?
◆◇◆◇◆◇
誤字・脱字等のご指摘・感想・お気に入り・しおり等をくださると、作者が喜びます。
100話以内で終わらせる予定ですが、分かりません。あくまで予定です。
更新は、夕方から夜、もしくは朝七時ごろが多いと思います。割と忙しいので。
また、更新は亀ではなくカタツムリレベルのトロさですので、ご承知おきください。
更新停止なども長期の期間に渡ってあることもありますが、お許しください。
壊れた男は異世界で嗤う
はるる
ファンタジー
五年の歳月をモンスターとの戦いに捧げようやく魔王ジャックを倒した勇者アキトは王様との約束である日本への帰還を楽しみにしていた。しかし、その願いがかなうことはなかった。アキトは裏切られていたのだ王様や周りの人に...
あぁ、この世界はどこまでも俺をイラつかせるんだなぁ!!!!!
カクヨムでも投稿してます。
せっかく転生したのに得たスキルは「料理」と「空間厨房」。どちらも外れだそうですが、私は今も生きています。
リーゼロッタ
ファンタジー
享年、30歳。どこにでもいるしがないOLのミライは、学校の成績も平凡、社内成績も平凡。
そんな彼女は、予告なしに突っ込んできた車によって死亡。
そして予告なしに転生。
ついた先は、料理レベルが低すぎるルネイモンド大陸にある「光の森」。
そしてやって来た謎の獣人によってわけの分からん事を言われ、、、
赤い鳥を仲間にし、、、
冒険系ゲームの世界につきもののスキルは外れだった!?
スキルが何でも料理に没頭します!
超・謎の世界観とイタリア語由来の名前・品名が特徴です。
合成語多いかも
話の単位は「食」
3月18日 投稿(一食目、二食目)
3月19日 え?なんかこっちのほうが24h.ポイントが多い、、、まあ嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる