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第5話 全滅の自殺ゲーム

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時は少しだけ巻き戻る。

「なにやってるんだバカ野郎!」

怒鳴る坂上の言葉に我に返る鈴木。
手にした金属バットを坂上の腹に降り下ろした事で悶え苦しんでいる坂上に駆け寄る白根さん。
昼休みと言うこともありグラウンドには数名の生徒の姿が在る。
いくらなんでもこのままでは問題が広まると考えた鮫島は石崎に指示を出す。

「おい、とりあえずこいつ連れてくぞ」

鮫島の指示を受けて鈴木と石崎は悶え苦しんでいる坂上を引き起こしてプレハブへと運び出す。

「おらっお前も来るんだよ!」

鮫島は鈴木の金属バットを拾い白根の腕を掴んで最後にプレハブへ向かう。
入り口に金属バットを立て掛けて白根を中へ入らせ引き戸を周囲を確認してから閉めた。

「おい、死んでないだろうな?」
「は、はい…とりあえずは」
「ちっ、ほら看病してやれ」

鮫島は白根を足洗い場に倒れる坂上の方へ押してプレハブに置かれたソファに座る。
机の上に在った煙草に火をつけ落ち着くために一服しだした。

「す、すみません鮫島さん」
「まぁいい、とりあえず殺したかと思ってヒヤヒヤしたぜ」

気温が低かったのでストーブのスイッチを石崎が入れて部屋を暖め始めた時に生暖かい風が吹く。
そう、室内で入り口は閉められているのにも関わらず生暖かい風が吹いたのだ。
その時、その場に居た全員の脳内にそれは響いた。

『生存せよ…LIFE1』

「はっ?」
「えっ?」
「なにっ?」

鮫島、鈴木、石崎の三人が同時に声を上げる。
それと同時に様々な異変が起こる…

ガコンッ?!
「なっなんだ?!」

ストーブの煙突から突如聞こえた謎の音。
実はこの時煙突の先に鳥が飛び込み更に風で飛ばされてきた布が被さり蓋をした。

バチンッ!?
「うぉっ?!」

ストーブから何か音が聞こえた。

カタンッ…
「んっ?!」

プレハブの外に置かれた金属バットが風で倒れてスライド式の引き戸の蓋をした。

虐めを行っていた3人がそれぞれの異変に反応するが次に何が起こるのか身構えた。
しかし、数分しても何も変化が起こらず三人は互いを見合わせて笑い合う。

「はははっ何ビビってるんだよ」
「いやいや、お前こそ」
「ふぅ、まぁいいやそれよりもさ…」

そう言って石崎が視線を白根さんに向ける。
泣きながら倒れている坂上に何かを言っているが気にせずに石崎は立ち上がって白根さんの元へ近付く。

「さぁそろそろ俺の相手もしてくれよ」
「ぃゃ…」
「聞こえねぇよ」

無理矢理白根さんの腕を掴んで立たせる石崎。
引きずるように白根さんを敷いてあった体育マットの上に連れていきそのまま押し倒した。

「まなみのヤツは最近抵抗しなかったから新鮮でいいぜ」
「っ?!」

その言葉に白根さんは石崎をキツく睨み付ける。
だがそれすらも石崎を喜ばせるだけで嬉しそうに石崎は白根さんのスカートに手を入れようとする。
その時、白根さんが口にした。

「もぅ…おしまいよ…」
「あん?もう抵抗を止めるから優しくしてくれってか?無駄だ。これから放課後までお前は俺たち三人に…」
「もう、逃げられないわ…ゲームは始まってしまったもの…」
「はぁ?一体何を言って…」

その時であった。
ストーブから伸びて外へと繋がっている煙突の隙間から煙が漏れだした。

「おっおい!なんかやべぇぞ!?」

鈴木の叫びに石崎は顔をそっちに向けてそれを見た。
まるで煙突から漏れる煙が骸骨の様な模様を浮かび上がらせ天井に充満していく…

「バカっ!ストーブを消せ!」

鮫島の言葉に慌てて鈴木はストーブの消化ボタンを何度も押すが…

「き…消えない…消えないっすよ鮫島さん?!」
「ちっおらぁ!」

ボタンで火が消えないのを鈴木から伝えられた鮫島はストーブを強めに横から蹴った。
ストーブには地震の時などに火事を防ぐために震動などを感知して消化させる安全装置の様なものが普通は付いているのだが…

「うわっ煙突がっ」
「ちっ」

消火もされず本体が動いたことで煙突に隙間ができて煙が更に強く漏れだしたのだ!
天井の方に煙が充満し徐々に降りてきたのを見てむせながら石崎は外へ逃げようと入り口のドアに手を伸ばすが…

「ゲホッゲホッゲホッ…なんで…開かないん…だよ…ゲホゲホ…」

それを見た中腰になった鮫島は窓をチラリと見るが以前覗かれるのを避けるために板を打ち付けて前に棚を置いているので出れない。

ガシャン!
「ちくしょ…なんで…ごほっ…消えないんだ…エッホゴッホ」

ストーブを何とかしようと蹴り倒した鈴木。
だが倒れたストーブの火は消えず煙突から外れたストーブからは煙が酷く出る上にストーブからも火が出始めた。

「ちく…しょ…」

流石の鮫島もお手上げと判断すると共に壁沿いに体重を預けて床に横たわる。
石崎は入り口横で、鈴木はストーブの側で倒れた。

「坂上君…ごめん…ね…」

マットの上で制服を乱されたままの白根さんもそのまま目を閉じる。
実は彼女、薬を服用しており目を閉じればそのまま意識を取り戻すことは無いかもしれない状態であったのだ。
白根さんの目から流れる一筋の涙と共に彼女の命も尽きるのであった。
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